3分でわかる最新人事コラム

第27回2007/03/14

「ジョブ・ローテーション(Job Rotation)」

戦後長らくの間、わが国の雇用社会においては長期雇用を前提としたいわゆる
「終身雇用制度」が中心的な役割を果たしてきました。
このような長期雇用システムの下では、新卒、中途採用を問わず、
正社員(いわゆる総合職)として採用した人員を職種・職務内容、勤務地を限定せず、
企業内で必要な能力を長期的に形成・発展させることが、
人事管理上、重要視されてきました。


その中で企業はOJT(On the Job Training)を通じて定期的な人事異動や教育訓練を行い、
その企業での活躍を期待する「企業中心主義」の人材育成を図ってきました。


しかし昨今、終身雇用制度は崩壊し、
それとともに企業における労働者の人事管理も変化してきております。
これまでの企業側の一方的な人員育成の考え方から、
労働者側のキャリア開発の視点も取り入れた企業の
戦略的人的資源管理(Strategic Human Resource Management)がとられるようになり、
企業・労働者双方にとって非常に重要なものとなってきているのです。


その中では人事異動(配置転換)という言葉よりも
ジョブ・ローテーション(Job Rotation)という用語が一般的になり、
すでに多くの企業で実践されています。


今回はこのジョブ・ローテーションに焦点をあて、
一般的な概説からその意義、導入のメリットなどについて解説します。


1.ジョブ・ローテーションとは

ジョブ・ローテーションとは、
人材育成計画に基づき、
同一企業内で定期的に職場の異動・業務内容の変更を行うことをいいます。
ジョブ・ローテーションは企業内での
「業務の遂行の過程における教育訓練」(OJT)の一環として行われるのが一般的です。
人事管理上、事務系職種(ホワイトカラー)と
現場作業の職種(ブルーカラー)を区別して行っている場合が多いのですが、
その場合、ジョブ・ローテーションも区別して行われています。


大手企業の総合職のように、ジェネラリストのイメージが強い事務系職種についても、
営業、人事、経理、法務などの職務機能=職種が存在し、
いずれかの職種を中心にキャリア形成をされることが一般的でした。
それでも終身雇用制度の下では、
その企業での長期にわたる能力開発や昇格・昇進の手段として、
異なる職種へのローテーションも幅広く行われて来ました。


過去においても「人事異動」や「配置転換」という名の下に、
人事管理上ローテーションが実施され、
かつての日本企業の競争力の一因となっておりました。
しかし近年においてのジョブ・ローテーションは過去のそれとは若干意を異にします。


これまで人事管理上とられてきた手法は
あくまで企業内におけるジェネラリスト育成が目的でありましたが、
「グローバル化が進む企業環境においては競争力が弱い」
「企業横断的な専門的キャリア形成が難しく、
職種ごとのスペシャリスト育成が出来ない」などの批判から生まれた
近年のジョブ・ローテーションは、
まさに企業の競争力強化につながる戦略的人的資源管理ということができます。


このように、現在のグローバル化が進んだ企業環境において、
ジョブ・ローテーションは非常に重要であり、
その手法の如何によって企業・労働者の成長が決まるといっても過言ではありません。


2.メリット 

ジョブ・ローテーションを行うメリットはいくつかありますが、
代表的なものとしては以下のようなものを挙げることが出来ます。


◇企業、労働者双方にとっての適正を見出すことが出来る可能性が高まる為、
   適材適所の配置が可能となる
◇異部門とのローテーションにより、
   社内でのコミュニケーションネットワークの形成を助長し、
   部門内だけだと硬直しがちな環境に良い風を送り込める
◇一定の職務に長期間就くと、専門性が増す一方でマンネリ化するおそれがあるが、
   それを脱することができ、労働者のモチベーションの維持・向上につながる
◇上記のような事から従業員満足(Employee Satisfaction)の向上にもつながる


上記はあくまで一例ですが、企業というある意味で
従業員共同体と呼べる組織を成長・活性化していくためにも、
ジョブ・ローテーションの果たす役割は非常に大きいことは間違いありません。
また、近年注目されている、個人の持つ知識や情報を組織全体で共有し、
有効に活用することで業績を上げようという経営手法である
ナレッジマネジメント(Knowledge Management)の視点からも、
重要且つ効果的な手法ということができます。


3.ジョブ・ローテーションとキャリアパス 

ジョブ・ローテーションを行っている企業の多くは大手企業と思われがちですが、
中堅~ベンチャー企業においてもこのような制度を人事戦略上導入している企業は存在し、
労働者の能力向上や新卒・中途採用のブランド構築に良い効果を現しています。


では具体的にどのようなジョブ・ローテーション制度を導入すべきなのでしょうか。
これは既述の通り、企業における経営の視点のみならず、
労働者側の職業設計=キャリアパスの一環という視点も併せて考慮したうえで、
その制度を構築・運用しなければ良い効果は期待できません。


また、雇用システムの変化により、労働者の意識も変容し、
これまでの企業に依存した職業生活よりも
自身のキャリアを中心としたキャリアパスを念頭に、
それを実現できる企業や環境を求めている人も少なくありません。
その為、労使双方のメリットを認識した上で企業の人事戦略に活かすことが出来れば、
それは企業にとってより一層の発展につながるだけでなく、
そのような環境・制度を充実させることが、自社の社員の能力向上に加えて、
優秀な人材を確保する為の採用ブランドの向上にも繋がることになります。


4.総括 

実質的な終身雇用が崩壊したことで、
従来考えられていた「ジョブ・ローテーションの意義」は変化しています。
大手企業を中心に導入されていたジョブ・ローテーションは、前述の通り、
優秀な人材を求める中小企業やベンチャー企業でも有効に活用され始めています。


どのように活用すべきかは企業の規模・ステージや業界・業種によって様々ですが、
効果的なジョブ・ローテーション制度を構築する事が、良い人材を確保する為、
また強い企業を作る為の有効な手段となります。
また、社員のモチベーション向上に努める事が離職率の低下につながりますし、
様々なポジションを通じて成長する事で、
より経営意識を持った社員の育成にもつながるのです。


ジョブ・ローテーションの効果的な活用は様々な人的課題の解決につながります。
もし導入されていないようであれば、この機会に社内の状況を確認し、
ジョブ・ローテーションの導入を検討してみてはいかがでしょうか?

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