3分でわかる最新人事コラム

第35回2007/12/04

「雇用形態 正社員と準社員」

高度経済成長期に生まれた日本的な雇用形態と言われた
「終身雇用」制度がバブル崩壊とともに終焉を向かえ、
国際競争や不況を背景に雇用形態の多様化が進んでいます。


今回は、この雇用の多様化を正社員と準社員というカテゴリーにわけ、
その背景と、メリット・デメリットをあげ、
現段階で明らかになっている問題点を見つめなおし、
企業にとって核となる人材活性のための雇用形態のあり方を考えます。


尚、この文章の中では準社員とは
「契約社員・派遣社員・パート・アルバイト」を指す事といたします。


雇用形態の多様化の背景

日本において「終身雇用」という言葉が初めて使われたとされる1958年以降、
第2次世界大戦後の高度経済成長・バブル期まで、日本型雇用体系として、
「会社は学校を卒業した直後の人間を採用し、
定年まで雇用を保証する」正社員での雇用が一般的でした。


しかし、今日においては「正社員=終身雇用」という図式も崩れつつあり、
さらに準社員と呼ばれるフロー型の人材への置き換えが進んでいます。
現在、雇用の多様化が進んでいる背景として、大きくは次の4つの要因を挙げる事ができます。


(1) 日本経済の変化
終身雇用制度は長い間多くの日本人の行動や生活に強い影響を与えてきましたが、
今日では大きな試練に直面しています。
バブル経済崩壊後の長引く不況のために、
維持することが容易でなくなった事が一因と言えます。


1990 年代から2000 年代にかけて、多くの日本企業は円高や国際競争、
平成不況の中で、人件費の圧迫と過剰雇用に直面し、
雇用の調整が大きな経営課題となりました。
グローバル化に伴う先行き不透明な経済状況と企業間競争の激化の下で、
企業が存続するためには人件費の柔軟化を図る必要があることから、
柔軟な要員管理と人員配置を行うことが不可欠になり、
パートタイム、フルタイムの有期契約労働者など、
いわゆる準社員の活用の重要性が高まったのです。


(2) 情報通信技術等の進展
IT化の進展は、IT革命と言われるほど、急速かつ革新的であり、
かつて通用した技術・技能が通用しなくなるほどの変化をもたらしています。
従来は長期間同一企業に勤め、技術・技能を習熟していくことが求められ、
年功型の人事・賃金管理が行われてきましたが、技術革新のテンポの速い今日、
年功型管理の重要性が相対的に低下している仕事分野が増えつつあります。
同時に、IT化は、仕事の標準化などをもたらし、
それまで正規従業員が担当していた業務が
パートタイマーやアルバイトでも十分賄えるようになったため、
非正規従業員の増加に結びついています。


一方、正規従業員には、定型的業務のウエイトが低下し、
創造性や創意工夫の余地の大きな仕事、
専門性の高い仕事が求められるようになってきました。


さらに、IT化は、在宅勤務、サテライトオフィス勤務、
モバイルワークなどの勤務形態や非雇用のSOHOなど、
多様な就労形態の増加をもたらすとみられています。


(3) 少子・高齢化の進展
現在の日本における重大な問題としてあげることが出来る
「少子高齢化問題」も雇用の多様化と密接に関わっています。


少子化は、日本全体でみれば、経済規模の縮小や国内総生産の減少、労働力人口、
とくに若年層の労働者の減少など、国力の衰退につながると考えられます。
一方、企業にとっては、変化の激しい企業環境下において、
優秀な若年層を獲得・維持し活性化させることが、
企業の盛衰を決定づけるといっても過言ではなく、
その確保が重要な課題となってくる事でしょう。


他方、高齢者については、将来的な労働力人口の減少が明らかである中で、
労働力の確保、技能・技術伝承という観点からその活用が大切となります。
さらに、女性の一層の活躍が期待されています。
出産や育児、介護といった家庭事情が生じた場合に仕事か家庭かの選択に迫られ、
女性従業員が退職せざるを得ないケースや、
性別の役割意識により
女性が活躍できる場を与えられないケースもあるとの指摘があります。
優秀な女性を活用しないことは、企業にとっても大きな損失であり、
仕事と家庭の両立支援と組織風土の改革は、
女性を活用する上で重要な課題と言えるでしょう。


なお、高齢者や女性を活用する上では、
企業と本人のニーズや能力に応じた業務内容や雇用・就労形態を用意するとともに、
それらに対応した公正な賃金水準・賃金制度の確立も重要な視点になります。


(4) 労働者ニーズの多様化
上記のような企業や経済の流れによる背景以外には
個人の思考の変化を挙げることが出来ます。
現在、人々の雇用・就労形態やつきたい仕事・役割などのニーズは多様化しています。
例えば、仕事中心に生涯設計を立てたい人、家庭や趣味を中心に生活したい人、
同一企業で定年まで働きたい人、キャリア形成として転職することを望む人、
限られた期間だけ働きたい人、短時間で勤務したい人、高いポスト・役職を望む人、
成果に見合って適宜高い報酬を得たい人、創造的な仕事につきたい人、
経験を積んで高い技術・技能を取得したい人、
指示に従って定型的な業務を行いたい人など、動機も多様化しています。


このように、働き方に対する労働者のニーズやライフスタイルが多様化してくると、
正規従業員についても、従来型の一律的な雇用・労務管理では、
優秀な人材の確保・活用も困難になります。
そのため、企業としては、可能な限り多様な雇用・就労形態を用意するなど、
就労しやすい環境を整備し、その能力を最大限に活かすと同時に、それぞれの仕事、
役割、貢献度と整合性をもった人事・処遇制度を構築することが重要となってくるのです。


上記のように、雇用の多様化の背景には日本社会および経済、
それに伴う個々の生活スタイルの変化による企業及び個人のニーズが反映されており、
今後更に加速することは必至であると考えられます。


つまりは多様な人材の活用と活性化が、
企業の盛衰を左右すると言っても過言ではない時代に、人事体制を柔軟に組み立て、
一部の従業員にのみ弊害が出てくるようなアンバランスな雇用形態であっては、
いずれ企業の根幹を震撼させる問題になると考えられます。


雇用形態の多様化に伴う現在の問題

雇用・就労形態の多様化は急速に進展しています。
総務省統計局「労働力調査(詳細集計)」によれば、
現在、就業者数6,304万人のうち、
雇用者【雇われて給料を得ている者】は5,343万人(就業者数の84.8%)、
そのうち正社員は3,839万人(同60.9%)、
パート、アルバイト、派遣労働者等の準社員は1,504万人(同23.9%)です。
さらに、正社員と同じ仕事に従事しているという
準社員の割合が年々増加傾向にあると言われており、
従来正社員が行っていた役割の一部を担う準社員が増加していると言えます。


労働者側には、自らのライフスタイルにあう働き方を選択します。
家庭生活との両立を優先して選ぶという場合もあるでしょうし、
やむを得ずにいわゆる正規従業員以外の雇用形態で就労している者もいることを
経営者は頭にとめておく必要があるでしょう。


多くの企業は、今後の人事戦略として、正規雇用を絞り込む一方、
パート、派遣、契約社員など準社員の増大や
業務のアウトソーシングを図ることを経営課題としています。
そのメリットとしては、能力・成果主義の徹底、人材の価値を市場で評価、
年功序列制度の見直しなどが理由として多いですが、
その一方では、企業に対する帰属意識がなくなることや、
個人優先になって組織の一体感が崩れることへの懸念も強いと言えます。
また、職場の中や仕事の過程を通じて
職業能力の練成を図るOJTが有効に機能してきた経緯もあって、
長期的雇用形態のメリットも看過することはできません。


多様な人材を活用する場合の人事管理上でのいくつかの問題点をあげますと、
まず、ストック型とフロー型の人材が混合する職場となる中では、
勤務条件が異なるために就業管理が煩雑化する恐れがあります。
集団としてのまとまりが薄れてくる可能性も高いと同時に、
従業員どうしのコミュニケーションが困難になることも考えられます。
準社員のウエイトが急速に増大している現在、
正社員との仕事の違いや地位の差が出てくることによって、
両者の融和を図ることの必要性が指摘されています。


これらの問題への対応策を的確に立てることが
人材ミックス管理にあたっての重要な課題と言えます。
また、それぞれの就業形態の違いによる労働条件の格差について、
均等待遇の観点から管理の見直しや、
発生した苦情・トラブルへの対応も必要となってきます。
今後は、正社員・準社員間での相互転換の可能性が重要になってくるのではないでしょうか。


まとめ 

企業戦略としての雇用形態のあり方について
企業側の人件費コストの削減や生産量の変動への柔軟な対応とともに、
情報通信技術の発展、少子高齢化に伴う企業内労働力の問題や
個人の多様な就業ニーズに適合する雇用形態が生み出されてきたことを背景に、
企業も就業者もお互いのニーズが一致することによって雇用形態の多様化は進展しており、
今後も更に加速することが考えられます。


今後、企業はこういった雇用形態の多様化を推し進め、
柔軟に対応することで、人材活用を企業戦略の根幹として重要視していく必要があります。


雇用形態の多様化は、就業者のニーズを見極め、
その持てる能力を最大限に引き出す戦略として捉えることが重要です。
企業としては、長期に経営を支える人材も不可欠であり、
すべてをフロー型の人材に置き換えることは困難です。
また、これまで日本の多くの企業がそうであったように、
人材の確保は「知的財産」の確保という側面も持つことに留意しなければなりません。


短期的なコストという見方だけではなく、こうした長期的な視点にも立って、
最適な雇用形態の組み合わせを考えるべきであり、正社員と準社員の間に、
どちらかに偏った負担を負わすようないびつな形にしては
企業の経営を揺るがすものになることを経営者が誰よりも把握しておく必要があるでしょう。
「企業は人なり」という原点を忘れてはなりません。
今後の経営は人材をいかに活用できるかに懸かっていると言えましょう。

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