3分でわかる最新人事コラム

第39回2008/04/08

「株式公開に至るまでの経営管理組織の確立」~アーリーステージ編~

「株式公開」というとまず「業績」を意識される方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。


確かに株式公開を目指すにあたり、「業績」は非常に重要な項目の一つとなります。
しかし、証券会社や証券取引所による株式公開審査では、
業績以外にも様々な点がチェックされます。
その中で、たった一つの項目をクリアできなかったために
上場が中止や延期になってしまうケースも珍しくありません。


そこで今回は業績以外の上場審査項目として非常に重要な
「経営管理組織の確立=人員計画」について、
株式公開準備の「アーリーステージ」、「ミドルステージ」、
「レイターステージ」の3段階に分け、
それぞれのステージで必要となる人員計画について3回に分けて解説していきます。


1.組織体制整備について

株式公開企業となると、会社の成長に伴って社会的責任も大きくなります。
したがって、個人的能力に重点が置かれていた経営体制から、
組織主体となる経営体制へと移行し、
個人経営から脱却することがポイントとして挙げられます。


会社組織の整備では将来の事業の成長戦略を考慮しながら、
具体的な組織図の形に当てはめて骨組みを作ることが大切です。


特に、職務権限と職務分掌を明確にすることは重要です。
この部分が明確化されないまま、企業規模が拡大していくと、
次第に指揮・命令系統の混乱や仕事の重複や漏れなどで、
業務執行が能率的に行われにくくなります。
また兼任すべきでない業務を同一個人が兼任すると、
不正を未然に防止できないといった問題も生じてしまいます。
この作業は単に上場準備としてだけでなく、
今後の企業の発展といった意味でも非常に大切な事となります。


2.「アーリーステージ」、「ミドルステージ」、「レイターステージ」とは

一般的に株式公開準備スケジュールを立てる際は、約3~5ヶ年計画で設定します。
上場申請時期から逆算し、一番早期に当たる時期から順に、


●「アーリーステージ」:上場時期についてもこれからというタイミング
●「ミドルステージ」  :上場申請期の2~1期前
             (通称:直前々期、もしくは直前期)
●「レイターステージ」:上場申請期1期前もしくは申請期
             (通称:直前期、もしくは申請事業年度)


といったかたちで分類されることが一般的です。
次に各ステージでの企業の状況について、詳しくご説明いたします。


≪アーリーステージ≫
これから上場準備を本格化させる時期です。
管理部門は社長含め1~2名程度でまかなっている状態です。
経理や給与関係などは派遣や
アウトソース先(会計事務所、社労士事務所等)に委託しているケースが多くあります。
社長は、この時期、ベンチャーキャピタルや証券会社との接触・交渉が始まります。


*社内組織体制作りについて*
組織構成でいいますと、この時期ベンチャーキャピタルなどから、
上場するために自社内で経理等の完結をしなくてはいけないという指摘も入り、
管理部門強化への意識も高まり始めます。
そこでまず、経理財務といった数字周りをすべて任せることのできるCFOや管理部門を
構築する管理部長といったポジションの方の採用についての検討もはじまってきます。


≪ミドルステージ≫
上場準備が本格化、上場時期も具体的に決まってくる段階です。
監査法人や主幹事(主となる証券会社)の選定が始まります。
しかしながら、資本政策や上場申請書作成など、
多くの課題を抱えており、証券会社や監査法人の対応が頻繁に行われます。


*社内組織体制作りについて*
上場企業に必要な組織体制を作るために、足りない部署に人員補充をしていきます。
特に管理部門は、それぞれの業務に担当責任者をつけることが求められるため、
この時期特に人員補強が必要となります。


≪レイターステージ≫
上場準備最終局面です。主幹事証券の本格的な審査がスタートします。
業績も順調に拡大し、上場時期も非常に明確に見えています。
ただし、準備作業自体が少し遅れ気味になるケースが多々発生してくる時期です。
組織体制についてもほぼ完成に近い状況です。上場後を見越した人材の補充をしていきます。


3.アーリーステージでの人員計画

本編ではまず、アーリーステージでの人員計画の解説です。


(1)売上確保のための人員強化
まず最優先すべき人員は、
現在成長段階にある売上を安定的に伸ばしていくための人員強化です。
具体的には、営業部門や生産部門・販売部門など、
生産性や売上アップに直接影響を与える部門の人員を増やしていく事が必要です。
ただし、公開を目指す企業にとってこの準備期間は、
企業の大きな変革期にあたるため、どの部署でも人手不足が発生し、
どの部門からも「社長、なんとか1名採用してください」という声が上がってきます。
そんな中で新規大型案件の受注などといった状況が起きると、
さらに人員の強化という点に重きが置かれて行きます。


そういった中では、つい様々な部署での採用を急務で始めてしまい、
人件費が圧迫され、売上が思うように伸びないといった傾向に陥るケースがありますが、
このような状況の時こそ、経営者は自らが掲げた事業計画を実現するために、
どのような人材を何人揃えたらよいのかを冷静沈着に考え組織づくりを行う必要があります。


(2)経営管理責任者の採用
売上確保のための人員強化がある程度落ち着いてきましたら、
次のステップとして経営管理責任者の採用を行います。


会社が小さいうちはまとまりのあった組織も、
会社の拡大とともに、創業メンバーと非創業メンバーの会社への思い入れのギャップや、
マネジメントの未熟さが原因で、
次第に経営トップのコントロールが上手く効かない組織となってしまいがちです。


ベンチャー企業が上場できるレベルまで成長するには、
組織構築の成否が鍵を握ります。
そういった面でも管理を専門にやってきた優秀な責任者を採用することが必須となります


■公開準備企業にとって、優秀な経営管理責任者とは
 優秀な経営管理責任者を採用するにあたり、以下のようなポイントが挙げられます。
 ・「経理・財務」畑で経験されていた数値管理のプロフェッショナル
  (公開準備に欠かせないのは何と言っても数字管理です。特に決算業務と
  資金運用、管理会計を経験されている方をお勧めします。)
 ・公開準備経験者、もしくは達成者
 ・中小規模(社員数10-100名程度)の企業で、プレイングマネージャーとして、
  管理全体を統括されていた方  (中小規模の企業ですと、
    管理部長でも部下が1~3名程度で、ご自身でも手を動かしている場合が多いです。)


また上記以外にも、ベンチャーキャピタルや監査法人などといった、
公開準備企業を支えている会社で営業経験をされた後、
事業会社内で経理財務や経営企画を中心とした管理部門出身の方も、
様々な公開準備知識と経験をもっているという点でお勧めです。


■実は30代後半から50代の優秀な管理責任者の採用も、公開準備成功のカギ
 上で述べたような人材を獲得していくと考えますと、
  年齢層としても30代後半から50代の方が思い浮かばれます。

 
 しかしながらベンチャー企業は若手経営者が多いため、
  自分より年上の方をマネジメントしていく事に対する抵抗感や、
  他の若手社員とのバランスが気になってしまい、
  なかなか前向きな検討ができないケースが多くございます。


 しかし、限られた時間の中で起こりうる様々な問題に対し、
  迅速に対応していくためには、
  こういった即戦力となる人の協力はとてもありがたいものです。
  ここで実際、経験豊富な即戦力人材を採用し、
  上場を成功させた企業ケースをご紹介させていただきます。

 

≪ケース:IT系ベンチャー企業A社≫
●企業状況
 ・設立:2005年 ・従業員:20名(平均年齢:29歳)
 ・資本金:1000万円  ・売上高:7000万円
 ・現在の状況:
   5年後に公開申請を予定。管理部門は社長がメインで行い、
      作業的な部分は役員や営業が片手間で行い、
      給与計算や経理関係はアウトソースしている状況。今後公開準備に向け、
      ベンチャーキャピタルから内製化するよう指摘も入り、
      管理部長もしくはCFOの検討を始めている。


●求人内容(経理マネージャー 将来のCFO候補)
 ・年齢:~37歳(社長が30代前半のためあまり年齢の離れていない方)
 ・年収:400~600万円
 ・応募資格:経理財務3年以上の経験でポテンシャルの高い方


社内の年齢バランスなども考慮し、上記内容で選考を行っていました。
しかし、スキルのある若手社員は少ないため、採用に時間がかかりました。
また実際若手人材を面接していくと、どうしてもスキル面に不安を感じる部分が出てきました。
そこで、年齢がもう少し上で、
過去ベンチャーの役員を経験していた即戦力の方にも応募枠を広げました。


その後A社は、同業界の取締役経験者とお会いする事になりました。
その方は社長よりも一回りくらい年齢の高い方でしたが、
コミュニケーション能力が高く、謙虚で、年収よりもやりがいを重視する方でした。


また、以前も50名規模の会社で取締役経験があり、マネジメントだけでなく、
経理作業のような部分にも携わっていたので、入社後も庶務的な業務から、
経営者のアドバイザー的な業務まで幅広く柔軟に対応いただきました。


大きな変化を伴う上場準備期だからこそ、信頼のおける優秀な管理責任者に組織管理を任せ、
経営者は急拡大する組織の中で、「企業理念・ビジョンの共有」、
「売上向上のためのマネジメント」、
「従業員同士の結束及びモチベーションの維持」といった部分に専念する事が重要です。


上場準備を始めると、組織人員は約3年間で見違えるほど変わります。
その中でいかに従業員同士の高い結束をはかれるか
という部分は売上維持以上に大切なミッションとなります。


4.ミドルステージに向けて、管理部門の強化の重要性

管理部門を強化し、
権限委譲を行うという点は公開準備には重要なポイントとして挙げられます。


急成長している非公開会社は、たとえば営業などといった、
業績向上に直接結びつく部門に多くの人材を投入するケーが多くあります。
この場合、管理業務は重要事項を社長が直轄し、
それ以外は比較的手薄になってしまう傾向があります。
しかし、株式公開準備段階では管理部門責任者を設け、
権限を委譲することで管理体制を整備していく必要があります。


ミドルステージになると、
その中でも特にバックオフィスの基幹である会計業務体制を整備することが必須です。
特に今後は金融商品取引法による内部統制についても対応が必要となり、
会計業務を中核とした組織体制が必要となります。
次回のミドルステージでの人員計画は、
管理部門強化の重要性という部分を中心に解説していきます。

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