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第51回2009/04/07

「一般企業における公認会計士の活用」

 近年、「IFRS」「国際会計基準」「コンバージェンス」などの会計用語を耳にする機会が多くなりました。これらはいずれも、各国で独自に作成され発達してきた会計基準を世界で統一して、企業を世界標準のモノサシ=会計基準で測れるようにしようという流れの中で注目されている用語です。
 経済のグローバル化に伴い、世界的に会計への関心が高まっている今日においては、
経営者や、ステークホルダーの皆様も、会計の重要性を再認識されていることと思います。また、株式公開を目指す企業においては、公開に合わせて内部監査の構築を求められる為、会計に対して強い関心があるのではないでしょうか。
 しかしその一方で、会計の役割が「企業活動において発生したお金や商品・サービスに関する伝票の事後的な処理である」という表層的な認識で、経営の意思決定が行われているケースも少なくないようです。
環境の変化が激しい今日においては、その時々の経営環境のみに応じた戦略ではなく、過去のデータや未来の収益予測等、現状を把握した上でデータに基づいた経営戦略を打ち出すことが重要とされています。また、データに基づく経営の財務戦略を打ち出すことは、ステークホルダーに対しても安心感を与える等の影響力も持ち合わせています。
 要はしっかりとした会計制度の整備と、将来を見据えた経営計画、また社内スタッフの育成・採用が大切なのです。これらを実現する手段のひとつに、会計・財務のプロフェッショナルである「公認会計士」(有資格者)の直接雇用があります。実際に、公認会計士を直接雇用したことによって企業内にしっかりとした会計制度を確立でき、高い成果を上げているケースも多くあります。しかし、一般事業会社における公認会計士の直接雇用は、現在ではまだ一般的ではありません。そこで今回は「一般事業会社における公認会計士の活用」について解説していきます。

 

そもそも公認会計士とは
 公認会計士の資格は、弁護士や医師に並ぶ三大国家資格と言われています。それほど、日本での公認会計士の社会的地位やステータスは高いと言えます。
代表的業務である監査業務は、公認会計士の独占業務です。監査業務は企業経営が正しく運営されているかどうかを第三者の立場でチェックする業務で、その使命を公認会計士が担っていることから、会計の専門家とも言われています。
その他の業務には、税務業務、コンサルティングサービス等があります。
公認会計士は税理士としても登録することができるので、税務業務を行うことが可能なのです。
 公認会計士試験に合格した後の一般的な進路は、監査法人に入所して監査業務の経験を積むことです。その後、会計や税務の知識を活かして独立開業するケースや、コンサルティングファームにて企業経営に関する立案や、会計についてのアドバイス等のコンサルティングを行うことでキャリアを形成するケースもあります。このように公認会計士は、経済社会の様々なフィールドで活躍しています。

 

一般事業会社における公認会計士の活用事例
 最近では、公認会計士の活躍するフィールドが監査法人やコンサルティングファームのみならず、一般事業会社や自治体・公益法人にまで広がっています。
実際に一般事業会社の財務・経理部門では会計のスペシャリストとして、決算業務や予算編成、財務分析等を手掛ける公認会計士が登場しています。高度なスキルが求められる財務・会計・税務上の問題への対応や財務戦略・資金調達戦略の立案。銀行、主幹事証券会社、監査法人等との折衝等に従事しています。
 上場を目指すアーリーステージにおける企業では、株式公開上場準備を進める上で社内に監査法人・主幹事証券等との交渉窓口となる担当者を置く必要があります。この役割を企業内の公認会計士に任せているケースも見られます。企業内会計士は企業の内情に精通している為、スムーズに交渉が進むなどのメリットがあります。
 また、ある程度の規模にある一般事業会社では公認会計士が一般事業会社のCFO(最高財務責任者)として活躍しているケースもあります。その場合、公認会計士は自社の財務状況の把握・分析を行い、企業価値向上につながる財務戦略を立案し、経営戦略にフィードバックするなどの業務を行っています。
 その他にも、日本版SOX法に対応した内部統制の監査やM&A、環境調査、株式公開の支援、情報システム導入・開発の支援、システム監査など公認会計士には様々な活躍の場があります。特に内部監査の重要性が叫ばれている今日においては、公認会計士が企業内で内部監査業務に従事することは、その企業の信頼性を高めることになると考えられる為、一般事業会社での公認会計士ニーズが伸びているようです。
このように一般事業会社において、公認会計士が活躍するポジションが実は多く存在しており、適材適所で雇用することによるメリットは計り知れません。

 

一般事業会社が公認会計士を採用するメリット
上記のように、成長ステージや企業部門によって彼らのスキルが最も活かされるポイントや具体的な役割は異なりますが、公認会計士を直接雇用することで様々なメリットを享受することができると言えます。

 

1 公認会計士には、監査業務の経験を通じて、企業の財務状況を経営的な観点から大局的に把握するスキルやノウハウを身に付けている方が多いため、社外に対しての財務情報及び業務情報の信頼性が得られる
=より正確な決算書の開示が可能となる

 

2 既存スタッフと公認会計士が共同で業務を行える環境になるため、経理・財務部門の社内教育につながる。また、社内ノウハウの定着と共有が可能となり、既存スタッフの能力向上・ボトムアップ効果を得られる
などが挙げられます。
 さらに、財務分析によって取引先の経営状態を知ることは、取引を継続するか解消するかなどの重要な判断材料になるため、営業部門を強化する際にも公認会計士の知識・経験を大いに活かすこともできます。
このような点をとっても、公認会計士を直接雇用することで得られる効果は多分にあり、様々な側面から彼らのスキルや経験が必要であると一般事業会社にも認知され始めており、需要が増加傾向にあります。

 

公認会計士を採用する上での課題
 今後、公認会計士を企業内に求める傾向はさらに強くなっていくと考えられます。しかし、現状としては公認会計士試験合格者の約9割が監査法人へ就職しています。監査法人で監査業務を学び、経験を積んでからコンサルティングファームへ転職するか、独立開業を選ぶことが一般的だと言えます。このように、日本においては、公認会計士が一般事業会社で働く選択肢は諸外国に比べて確立されておらず、企業側にも採用ノウハウが浸透していない現状があります。
 しかし、経営環境の変化が激しい今日においては、会計のプロである公認会計士の直接雇用は、現状を打破する意味で起爆剤となり、強く安定した組織作りや会計制度の整備を考える上でのキーポイントになるといっても過言ではないでしょう。
採用ニーズがあるのに対して、一般事業会社の直接雇用が一般的ではない要因としては、
1 公認会計士の絶対数が少ない為、公募ではなかなか応募または候補者が集まらない
2 専門性が高い職業である為、選考が困難である
3 年収等の情報不足により、採用条件の調整が困難
などが、採用側の課題として挙げられます。

 

公認会計士を採用するには
上に挙げた課題に、どのように対応すれば良いか、解説していきます。

 

1、公認会計士の絶対数が少ない為、公募ではなかなか候補が集まらない
→「ホームページ等で公認会計士を採用しているが、なかなか応募がない」というケースは多く見られます。公認会計士の絶対数自体が少ない上に、日々忙しくしている彼らは、独自のリレーションやコネクション若しくは人材紹介会社経由で転職をしているケースが多いのです。
その為、人材紹介会社やヘッドハンティング会社を利用することで、求職中の公認会計士との接点を持つ確率が格段に高くなります。

 

2、専門性が高い職業である為、選考が困難である
→一口に公認会計士と言っても、業務内容が多岐に亘る為に得意とする分野は異なります。
そこで、公認会計士のキャリアや志向含め、諸事情を把握している人材紹介会社に相談することにより、企業が求める能力を有する公認会計士に対象を絞り込むことが容易になります。

 

3、年収等の情報不足により、採用条件の調整が困難
→公認会計士の年収目安は、前職給与や個人の能力等・条件により収入の差が生じる場合もありますが、一般事業会社で即戦力と成り得る層は、監査法人経験5~6年目だと考えて概ね問題ないでしょう。彼らの平均年収は900万円前後になります。
一般事業会社で採用する場合、この年収は既存社員との比較やバランスまたは水準によって捉え方はそれぞれだと思います。実際に、直接雇用となると、「従来からの社員との給与水準も乱してしまうことになり、生え抜き組との軋轢が生じてしまうのではないか」と心配されている経営者もいるかもしれません。
しかし、年収交渉においても人材紹介会社を介することで、条件面のすり合わせがスムーズに進み、双方にとって良い落とし処を見つけることができるというメリットもあります。
 企業環境によりケースバイケースではありますが、社外のコンサルティングファームを一時的に利用するよりも、中長期的な視点からみると企業内会計士を雇用することで得られるメリットの方が大きいとも言えるでしょう。先に述べたように、社内スキルのボトムアップ等、コスト面だけでは測れない効果も併せて考慮すると、公認会計士の雇用は十分検討に値するのではないでしょうか。

 

公認会計士を採用する上での注意点
 次に、公認会計士を採用する上で、認識しておくべき点を何点か説明します。
まず、監査法人一所でしか就業経験の無い公認会計士は、マネジメント能力が必ずしも豊富でない可能性があります。一般的に監査業務はチームで行うことが多い為、スタッフひとりひとりに細かく指導しなくても、大まかな指示だけで仕事ができてしまうのです。要は、部下を指導・教育して全体をまとめあげていくという経験ができず、組織をマネジメントする能力がつきにくいのです。よって、採用を考える場合は、入社前と入社後のギャップを軽減する上でも面接時にマネジメント経験の有無をヒアリングすることが大切だと言えます。公認会計士に従事させるプロジェクトや部門によって異なる点ではありますが、入社後のフォローとして適宜研修を用意する等の配慮が必要になることもあります。
また、これは公認会計士に限ったことではありませんが、アーリーステージの企業が雇用する場合は、ベンチャー特有の文化や意思決定のスピード等を面接時に話し合い、すり合わせをする機会を設けることが大切です。これは、入社前後のイメージのギャップをなるべく少なくすることで、早期退社やミスマッチを防ぐことが可能なためです。

 

あとがき
 冒頭で述べた通り、国際会計基準の統一化を見据えた動きの中で、会計の持つ意味が再度問われています。
 企業の財務数値を明確に表すことは、株主、投資家をはじめとした利害関係者に対して健全な会社運営を行っているアピール材料となり、企業価値向上につなげることができます。また、年々複雑化していく会計制度に適切・迅速に対応していくことで、企業の認知度アップや利害関係者からの信頼を集めることになります。
 日々刻々と変化する環境に迅速に対応することが勝ち残る鍵と言えます。変化のあるところにビジネスチャンスがあり、変化をとらえていち早く行動することが競争優位につながります。
貴社の会計制度の更なる充実のために、この機会に公認会計士の雇用について検討されては如何でしょうか。

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