3分でわかる最新人事コラム

第53回2009/06/05

「女性が働きやすい環境 ~出産・育児~」

厚生労働省の調査によれば、平成20年の女性雇用者数は2312万人とされ、6年連続での増加になっており、雇用者総数に占める女性の割合は41.9%と上昇傾向にあります。

 

その一方で、男女雇用機会均等法が施行されてから20年以上経過し、制度上の男女間での均等取扱いは定着傾向にあるものの、未だ、妊娠・出産などを機に退職せざるを得ないケース、募集・採用時における性別のセグメント、また社内での昇進や人員配置における不当な扱い、またセクシュアルハラスメントの事案に係る相談件数も増加が続いており、女性の離職を誘発する大きな要素となっています。

 

少子化・高齢化の進む現代日本においては、女性の労働力は社会の存続において不可欠であるだけでなく、女性の次世代を担う優秀な人材を育んでいくという観点からも、働きやすいと感じることができる就業環境の整備は急務でしょう。

 

今回は、女性の就業における諸問題の中でも、少子高齢化を背景に昨今注目される「出産・育児」に絡む制度をテーマに、女性にとって働きやすい環境を整備することでの経営側の利点と制度を有効活用するための方法について整理して参ります。今後の制度構築のアイデア形成の一助として頂ければと思います。

 

経営視点からの直接的な利点について
【1.女性社員の採用・確保】
女性社員の特徴として、新卒入社や中途入社問わず、仕事内容はもちろんのこと、就業環境を重視する傾向にあります。採用時の母集団形成時に、女性にとって働きやすい環境、特に透明性のある人事制度や社風を明確に発信することで、応募率の向上が期待されます。

 

同時に出産後の復職実績があるのかどうか、また育児休暇を取得しやすい風土にあるのかなども、中長期的なキャリア形成や家庭と仕事の両立を考える際に重要なポイントになり、母集団形成の一助となります。

 

【2. 女性社員の定着性の向上】
また環境を充実させることは、採用時の母数の増加はもちろんのこと、同時に既存人材の定着率の向上につながります。そして会社のキーマンとなるような優良人材の流出の防止の機能を発揮することになります。定着率があがれば、より長期的な視点での戦力として、企業戦略や人員計画も立てやすくなる事でしょう。

 

経営視点からの間接的な利点について
【1. 社内の士気の向上】
女性が働きやすい環境を作ることは、社員全体を大切にすることにもなり、社員が自社に誇りを持って働くことにもつながるでしょう。また、ロイヤリティやモチベーションの向上など、全社的な風土がより良いものになることが期待されます。そして女性だけではなく、多様性の尊重やワークライフバランスの尊重にもつなげることで、より高い次元で社員の士気を向上させることが可能になるでしょう。

 

【2. 社会的なイメージの向上】
女性の働きやすい環境を整えることは、次世代を育み、命をつなぐということに会社として取り組んでいくことになるので、従業員の女性のみならず、ステークホルダー全体にとって良いイメージが産まれます。

 

以上、女性が働きやすいと感じる環境整備をすることで想定される直接的・間接的効果を述べてきましたが、実際にこれを実現し有効に活用している企業として一例を紹介します。

 

2008年、日経ホーム出版社「日経WOMAN」で「女性が働きやすい会社ベスト100」が発表され、第一位をP&Gが受賞しました。ワークライフバランス度、男女均等度などの観点から格付けしたものであり、P&Gでは、法定の育児休暇だけでなく、子供が2歳になる前日まで育児休暇を認めるといったケース、育児休暇から復職した社員への復職一時金を支給する制度、また「【仕事と育児】カウンセリング」という制度を導入しているなど、環境整備が非常に進んでいます。

 

また全社的に統一された意識を植え付けるため、「きっと、もっと輝く私。」という女性応援のスローガンを掲げるなど、意識的な向上も図っているようです。加えて、「ママが女性として輝くために」をテーマに、同社を中心として複数の企業が共同運営をするポータルサイト「womama(ウーママ)」では、各社が同テーマに沿った製品・サービスを展開しており、販路拡大のためのマーケティングやカスタマーリレーションシップを意識したコミュニケーションの方法として有効に活用されています。
【出展:日経ビジネスオンライン、P&Gホームページ】

 

上記の事例は利点があるものの、大手企業のように充実した環境整備を行なう潤沢な資金やそれを実行する豊富な人的要員を有さない中小企業にとってはあまり現実的な話には聞こえないかもしれません。また仮に制度を導入したとしても、それが制度としてあるだけで形骸化しており、有効活用されてないのであれば、それは単に宝の持ち腐れになります。では、どうすれば有効な制度活用が出来るか手段を考えてみましょう。

 

【1. 制度導入へのコスト対策】
まず制度導入を考える中小企業にとって考えられるコスト対策としては、行政から支給される助成金の利用です。以下、特に子育てと仕事の両立を支援するものとして、代表的なものをいくつか挙げています。中には労働者数100人以下の中小企業事業主だけが利用できるものもあります。助成金の利用については、各都道府県労働局やハローワーク、また顧問先の社会保険労務士に相談してみるとよいでしょう。

 

1. 育児休業取得促進支援助成金(育児休業に係るもの)
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/pdf/40.pdf
2. 育児休業取得促進支援助成金(短時間勤務に係るもの)
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/pdf/40.pdf
3. 中小企業子育て支援助成金
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/ryouritsu01/02.html
4. 両立支援レベルアップ助成金
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/ryouritsu01/02.html

 

また、人件費のコスト対策として、出産・育児休暇中の欠員補充を、新規で採用するのではなく、休暇中の社員の業務をアウトソースするサービスを利用すれば、期間での契約も可能ですし、コストも抑えることができる為、有効な手法の一つでしょう。

 

【2.意識改革と風土形成】
制度を有効に機能させるためには、女性の就業環境に関する社員の意識改革や気兼ねなく制度が利用できる風土の形成が不可欠です。制度の利用を推進・支援する風土を浸透させるためのコミュニケーションの手段として、いくつか想定される項目を挙げてみます。

 

・経営陣や管理職層と育児経験者を巻き込んだ情報共有のためのミーティング、また行政や民間が開催する管理職層・人事労務担当者向けの研修への参加など、特に制度導入に深く関わる層の意識・理解を深める。

 

・ワークライフバランスを掲げた社内スローガンを打ち出す。また自社ホームページなどの媒体を利用することにより、そのスローガンを対外的にも発信し、そうした会社の一員であることをより深く認識させることで、全社的な意識向上を図る。

 

・女性社員だけではなく、男性社員にも育児のための休暇取得を促す。また休暇のために職場を離れる社員をカバーする社員への配慮(定期的な面談実施等)を徹底することにより、男女間もしくは休暇を取る当事者とそれをカバーする社員の間の差異を埋めることで、平等性を浸透させる。


 

総括
以上に述べたように、会社の規模に関わらず、その程度こそ異なるものの働く女性の事情を配慮した就業環境の整備は可能であることがお分かり頂けたかと思います。
中長期的な戦力として活躍出来る人材を確保し、長く在籍してもらうことは、企業戦略を展開していく上で不可欠な要素です。もし制度が未整備であるがために、時間もコストもかけて育てた人材が辞めてしまうのであれば、会社にとっては大きな機会損失であり、且つまた新たな人材を採用し、育てていくとなると新たに大変な労力を要することになります。
仮に早急な制度導入が難しい場合にも、会社がそれを重要な課題として取り組む姿勢を持ち、それを発信していくことで、その努力が社員へ有効に伝わるでしょう。
特に成長過渡期にある中堅・中小企業にとって、一人一人の人材が担う役割は大きいものです。そんな大切な人材の採用・定着の手段、また自社へのロイヤリティの向上のためにも、是非これを機に女性社員の就業環境について、再考されてみては如何でしょうか。

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