3分でわかる最新人事コラム

第7回2005/04/14

「エンプロイヤビリティ」

近年、終身雇用制度や年功序列などの従来型の人事システムが崩壊し、
労働者側の就業意識や就業形態が多様化する中、人材の流動化が加速的に進展しています。
また企業内においても、世の中のニーズや外部環境の急激な変化に対応するため、
柔軟な組織創りが求められており従業員に対しても特定の職務への習熟ではなく、
変化への適応能力や課題解決能力、創造力といったものを求める傾向が強くなってきています。


このように環境変化に対し従業員に求められる能力は
「一つの企業内で通用する職業能力」ではなく
「企業の枠を超えて通用する職業能力」へと大きく変化しています。
そして企業はこの変化を的確に捉え従業員育成していくことが、
今後の企業活動成功の一つの要因となっていくことと考えられます。
今回はこの労働市場で通用する職業能力、
すなわち「エンプロイヤビリティ」に焦点をあて、解説します。


1.そもそも「エンプロイヤビリティ」とは

エンプロイヤビリティ(Employability)とは、雇い入れられる(employable)の名詞形で、
「雇用されうる能力」という意味で使われています。またエンプロイアビリティともいわれ、
「職業能力」「専門能力」「市場価値」「転職能力」などと、
意訳されて使われることもあります。 
具体的には、技術や技能などの職業能力ばかりでなく、
パーソナリティや健康・体力などを含めた、
幅広い総合的な能力を指して言います。


以前からエンプロイヤビリティに着目していた欧米では、
景気動向によってレイオフ(一時解雇)があることを想定し、
主に「他社で雇用されうる能力」、
つまり「労働移動を可能にする能力」という意味で使われてきました。


これに対し、長期安定的な雇用を中心としてきた日本では、
エンプロイヤビリティに独自の定義を与えています。
1999年4月、旧日経連のエンプロイヤビリティ検討委員会
(日経連と経団連が統合し、現在、日本経営者団体連盟)は、結果を報告書にまとめ、
『エンプロイヤビリティの確立をめざして』を発表しました。


この報告書の中では、エンプロイヤビリティを
「労働移動を可能にする能力」+「当該企業の中で発揮され、
継続的に雇用されることを可能にする能力」と定義しています。
つまり、転職を前提にするばかりでなく、
現在雇用されている企業でも
持続的に雇用されうる能力を含めている所に大きな特徴があります。


2.エンプロイヤビリティの向上

エンプロイヤビリティを向上させる必要性が重要視されるようになった背景には、
企業の人事施策の大きな転換があります。
企業は成熟した低成長経済の時代にあって、
経営環境の変化に迅速に対応する経営戦略を立案し、
その戦略を素早く実行に移せる組織の実現を切実に求めており、
そのためには多様な分野において
高いエンプロイヤビリティをもつ豊富な人材が必要になります。


そこで、社員一人ひとりがエンプロイヤビリティを向上させていかなければ、
こうした組織は実現できません。
さもなければ、たとえ従来型の長期にわたる雇用体系を崩してでも、
企業は労働市場からの新たな人材の導入や反対に労働市場への放出を行い、
高付加価値を生む柔軟な組織づくりを行う必要が出てきます。


実際にエンプロイヤビリティを向上させるには2つの方法がありますが、
どちらもきわめて重要な役割を担い、相互補完の関係にあります。
1つは、企業側のバックアップや仕事を通じて能力を獲得する方法で、
もう1つは個人が自助努力によって能力を身につける方法です。
当然、企業側は社員1人ひとりに焦点を当て、OFF-JT(Off the Job Training:職場外研修)、
OJT(On the Job Training:職場内訓練)、選択型研修など、
多様な手段で人材を育成していく必要があり一方、
個人の側も自らのキャリアプランを主体的に構想し、
厳しく自分を律しながら自己啓発に務める必要があります。


しかし現実には多くの場合、
本来の従業員個々人と企業の関係「自立した当事者同士として対等でフェアな関係」に程遠く、
あまりにも従業員側が立場的に弱いのも事実です。
このような状況下で「エンプロイヤビリティ向上」が強調されると、
本来企業にとって人事管理の柱であったはずの人材育成が個々人の責任に置き換えられ、
その成果を企業が都合よく利用できるということになり、
従業員は常に失業の危機に怯えつつ買手(企業)に評価されるかどうか分からないままに
自己啓発に励まなければならないことになります。
すなわち、能力開発にかかわる責任と
リスクが一方的に従業員に課せられるのではないかという状況に陥るわけです。


3.エンプロイヤビリティ VS エンプロイメンタビリティ

エンプロイヤビリティを向上させれば、
社員が現在属している企業を飛び出す可能性も高まります。
そこで企業には、エンプロイヤビリティと対になる概念として、
エンプロイメンタビリティ=「雇用しうる能力」が問われることになります。
魅力ある企業経営、職場づくりを実現しなければ、人材は他社に流出していくでしょう。


しかし、たとえ一部の人材が流出したとしても、
エンプロイメンタビリティの改善に努力する企業には
市場から優秀な人材が新たに流入してくるはずです。
エンプロイメンタビリティを向上させる上で人事・人材開発部門には、
例えば自社の経営戦略を実現するコンピテンシー(第三回ジャフココミュニティ記事弊社掲載)を
明確化し個人のキャリアプランとすり合わせて支援するなど、
経営戦略を具体的な人事施策まで落とし込み
一貫性を持って社員のもとへ届ける役割が必要となるでしょう。 
個人にとって、エンプロイヤビリティは自社内にとどまらない市場価値です。
一方、エンプロイメンタビリティは人材を引きつける企業としての市場価値といえるでしょう。
企業も個人も、自らの市場価値を高めていく時代なのではないでしょうか。


いずれにせよ、当該企業に属する社員が自ら能力を高める必要がありますが、
優れた人材育成によって"市場価値の高い人材を輩出する企業"という評価が高まれば、
ますます有能な人材も集まるはずです。

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