3分でわかる最新人事コラム

第83回2011/12/12

「従業員の健康管理」

リーマンショック、東日本大震災などの要因から、企業は様々な経営課題を抱えていますが、そのうちの一つに「従業員の健康管理」についての問題が挙げられます。この問題は、情報技術の驚異的な発展などの社会的変化に重ねて、企業における厳しい成果主義や、雇用形態の変化による労働者の価値観の多様化等を背景としており、CSR(企業の社会的責任)や内部統制の観点からも重要視されるようになってきています。
グローバル化が進む社会で企業が生き残るためには、優秀な人材を採用し、育てるだけでなく、その人材に自社で活躍し続けてもらう必要があります。優秀な人材に活躍し続けてもらうためにも、前述の「健康管理」の問題は重要なポイントとなります。今回のコラムでは、「従業員の健康管理」について掘り下げてみたいと思います。

 

健康とは
健康管理についてお話しするまえに、そもそも「健康」とは何を指すのでしょうか。
WHO(世界保健機関)は「健康とは、完全に、身体、精神、及び社会的によい(安寧な)状態であることを意味し、単に病気でないとか、虚弱でないということではない」と定義しています。つまり、ひとことで「健康」といっても、人間の健康には「フィジカル(体)」と「メンタル(心)」の二つの面があるのです。心身共に良好な状態のことが「健康」といえるわけです。

 

「従業員の健康管理」とは
まずはフィジカルな面についてですが、言うまでもなくフィジカルの「健康」とは、病気や怪我をせずに身体的なトラブルがなく社会活動が行える状態のことを指します。企業としては、従業員がその状態を保持し、加齢や生活習慣による健康状態悪化の予防、さらには健康状態の増進が求められます。
一方、メンタルの面についてはどうでしょうか。ある職場では、3ヵ月以上の休職者のうち約7割が、メンタルヘルス問題が原因であり、さらにはそのほとんどが有能な従業員や管理職(上級職)であるといいます。つまり「従業員がメンタル不全に陥る=企業としての生産性が落ちる」といっても過言ではありません。万が一、問題が深刻化して初めて発見され、長期休暇の末に復職に至らず、最終的に退職に至る、といった事態が発生すると会社の生産性以前の大きな問題にもなりかねません。メンタル面の健康管理については、まずはトラブルの予防のための措置が求められることは言うまでもなく、さらには事後の対策(復職後のフォローや周囲からの理解)も必要とされるでしょう。

 

具体的な管理の方法
では企業に求められる健康管理について、具体的にどのような管理が必要なのでしょうか。
民法・労働基準法・労働安全衛生法では、雇用主に対して「使用者は労働者の生命および健康などを危険から保護するよう配慮しなければならない」という「安全配慮義務」を課しています。さらに労働安全衛生法では、「保護」のみではなく「従業員が安全に健康的に働くことができるような積極的な環境づくり」までを求めています。とはいえ、法律の記述の範囲ではどのような内容の配慮をすればよいか、どのような環境をつくればよいか、までは指定されていません。
ここでは、従業員の健康管理に関して、フィジカル面とメンタル面に分けて、もう少し具体的な管理方法をお伝えいたします。

 

◆ フィジカル面
予防対策という観点からみると、まずは何よりも法律で定められた健康診断をしっかりと実施することです。健康診断を行うことで従業員の健康状態を把握し、危険信号を察知することが重要です。さらにその結果に伴って保健指導の実施を行うことで、トラブルの予防のみではなく健康の保持・増進にもつながっていきます。また、レクリエーション等の機会の提供やオフィスの禁煙化など、快適な職場環境の提供をすることも健康管理の一つといえます。また労働安全衛生法の安全配慮義務の観点から言えば、作業環境の測定や、安全装置の導入など、作業環境の整備も考慮する必要があります。

 

◆ メンタル面
メンタル面のトラブルの主な原因としては過度な労働時間や職場の人間関係などが挙げられますが、その全てを事前に予防するのは非常に難しく、多くの場合、トラブルの早期発見のための相談窓口の設置などの対策を実施します。またメンタル面で健康を害する場合、職場環境に起因する事が多いため、従業員、特に管理職に対してメンタルヘルスケアの知識を提供する機会を作ることも必要です。

 

健康管理を行う上での課題と対策
雇用側は、法律に基づき(程度の差はありますが)前述のような管理を行っていく必要があります。しかし実際に健康管理を行おうとした際に、人材、コスト、ノウハウの不足などの課題があり、管理しきれていない場合も多いようです。
人材の課題は、文字通り健康管理を行うための専門スタッフの確保が難しいという点です。大企業であれば専門の部署を設け、産業医を常駐で置くことも可能ですが、中小企業になってくると難しいのが現状です。
コストについては企業規模に関わらず、企業の経営方針から発生する問題です。従業員の健康管理は、直接的な利益を生むような取り組みではないため、方針によってはなかなか積極的に取り組もうという話になりにくいようです。
また、社内に健康管理に対するノウハウがないため、運用がうまくいかない場合もあります。例えばメンタル不全などの理由から休職していた従業員が復職する際には、周囲の理解やフォローが不可欠だと言います。その際の職務内容や配慮の仕方などがわからず、結果的に復職に失敗するケースもあるようです。

 

上記のような理由から健康管理の対応に難しさを感じている企業のために、近年はヘルスケアのアウトソーシングサービスも提供されています。このようなサービスであれば、社内に部署を設けるよりは容易に利用できますし、総合的なコストも抑えることができます。また、企業ごとの状況に合わせて、受けられるケアの種類やレベルを変えることができるサービスもあるようです。

 

まとめ
前述のとおり、従業員の健康管理にかかるコストが「直接的に利益をもたらすものではないため、極力節約すべきである」という考え方も一部にはあります。しかし、心身ともに健康でない従業員が多ければ多いほど、生産性は下がりますし、従業員満足度も低下して行きます。逆に、健康な従業員が多いと、従業員満足度は上がるでしょうし、優秀な人材の流出もしにくくなるでしょう。そう考えると、従業員の健康管理は企業として「考慮すべきもの」ではなく、企業が競争に勝ち抜き成長をしていく上で「必要不可欠なもの」といえるかもしれません。

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