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第89回2012/08/16

「グローバル人材の採用戦略」

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ここ数年の間、ビジネスにおいて「グローバル」というキーワードを耳にする機会が大幅に増加してきています。更なる成長を目指す日本企業では、国内の限られたマーケットのみに頼ることなく、成長著しい新興国を中心に海外事業所の設立や、現地企業とのアライアンス、M&Aなどを駆使し積極的に海外進出を目指しています。そういったグローバル化の波は、人材採用についても例外ではありません。
そこで今回のコラムでは、近年のグローバル人材の採用戦略について、いくつかの例を挙げながら解説していきたいと思います。


何故グローバル人材が必要なのか
そもそもの話ではありますが、日本企業のグローバル化は今に始まった話ではありません。十数年も前から、老舗の大手メーカーなどでは既に世界各国に拠点を構え、ある一定のシェア確保がなされています。一方、ここ最近のグローバル化の傾向としては、これまでグローバル化が手つかずにいた、新たな日本の内需型企業の新進出や、ITなどの新サービスを提供する新興企業の世界進出の増加がうかがえます。
上記のようにグローバル化を目指す企業では、グローバル化に対応するため社内の組織構造を大きく変え、従来の基準ではない新しい体制の構築が必要となって来ているようです。例えば、海外拠点設立に伴う業務や、海外企業との契約に関する法的対応、現地外国人スタッフを採用する際のノウハウ等々、必要なことは多岐にわたります。
しかし、上記のようなビジネスのグローバル化を進める際の各種課題に対し、対応するための人材や過去の事例やノウハウなどが社内に無いため、暗中模索で進めている会社が大半のようです。そういった経営課題を解決するため、グローバル人材の採用について、その注目度は増してきている状況です。


グローバル人材の定義とターゲット層
ひとことでグローバル人材と言っても、その言葉から連想することは人それぞれかと思います。外国籍の人材、世界の異文化を熟知している人材、海外での勤務経験者、もしくは留学経験者、語学力を有する人材など、企業の歴史や風土、成功体験、価値観などによって定義は様々です。とりわけ多くの企業で定義されるグローバル人材のイメージは、現地法人の責任者(もしくはその候補)として配属することを想定しており、スキル・経験に加え、コミュニケーション力やマネジメント力、主体性・積極性、チャレンジ精神、判断力、適応力、思考力など、非常に数多くの資質が総合的に求められることになります。上記のような条件の全てを満たしたグローバル人材をターゲットに即戦力採用を目指す場合、ターゲットは容易には見つかりません。また、現在のところ、日本のグローバル化は他国に比べまだまだ弱く、そもそもグローバル人材が日本の人材マーケットに少ないため、業界経験、職務内容、経験地域、ポジション(管理職層~ジュニアクラス)、企業とのカルチャーフィットなどまで考慮していくと、対象となる候補者は転職市場には殆どいない状況です。そのため、従来どおりの採用方法でグローバル人材の採用活動を進めていても、採用活動は困難な状況に陥ってしまいます。
そのため、グローバル人材の採用ではすべての条件に合った人材をただ探すのではなく、会社の目標や経営課題の本質をしっかりと把握し、特に重要なポイントに的を絞った採用活動を進めていくことが要求されます。
次の章ではグローバル人材を大きく、「外国籍の人材」と「日本人のグローバル人材」の二つに分けて、それぞれの詳細について解説してみたいと思います。


外国籍のグローバル採用について
多くの日本企業が外国籍人材の採用に積極的になり始めたのは、2010年夏頃からであると言われています。
外国籍人材は、日本人に比べて語学や異文化への対応など、グローバル化に対応できるポテンシャルが高いことが主に評価されています。外国籍人材の採用のターゲットは日本滞在の海外留学生のみではなく、海外の人材を直接採用することが多くなってきています。採用担当者が直接、海外の大学などに赴き、学生を獲得するオンキャンパスリクルーティングの光景も珍しくなくなってきています。中途採用のマーケットにおいても、日本で活躍する外国人の採用に積極的な企業が増え始めてきた印象があります。
しかし一方で、必ずしも外国籍人材の採用が成功しているかでいうと、そういうわけでもないようです。優秀な外国籍人材が、日本企業に魅力を感じるかどうかを考えた際、数年前のような「日本は豊かで待遇も良い」といったイメージは影をひそめ、過去のものになりつつあります。すでにGDPでは中国に抜かれ、世界の新興企業との技術力の差は殆どなくなり、報酬面でも日本企業よりも待遇の良い海外企業は増えてきています。苦労して優秀な外国籍人材を採用できたものの、早期で退職してしまったというような事例も少なくないようです。
そのため、優秀な外国籍人材を採用したい場合は、自社の知名度や待遇などを海外の企業と比較し、それを元に採用計画を立てる必要があることを覚えておかなければなりません。また、どうすれば優秀なグローバル人材を惹きつけることができるのか?についてもしっかりとリサーチしたうえで、外国籍人材に自社の本気度をアピールしていかなければなりません。


日本人のグローバル人材の採用について
そもそも、日本人はグローバル化に対しての意識が変わってきたのでしょうか。「以前に比べ海外に行って自己を成長させたい、と言ってくれる若者が少なくなってきた。」と積極性に欠ける人材不足にある企業の採用担当者が危機感を感じていました。
日本の労働者全員がグローバル化に対し積極的かというとそうでもなく、語学力の問題や家族の問題、未知の場所に対する見えない不安などを理由に、海外勤務を希望しない日本人労働者が増えている傾向があるようです。現在の日本の海外駐在員は約23万人(各国大使館に在留届を出した人の数)というデータがありますが、日本の労働人口が約6300万人ということを考えると、全体の約0.4%に過ぎず、日本人は他国に比べてグローバル化に非積極的なのかもしれません。各国のグローバル化の波に対し危機感を持つことで、日本のグローバル人材はこれから増えていくのかもしれませんが、世界各国の優秀人材の躍進に比べるとまだまだ鈍く、日本人一人ひとりが個人・企業の成長に貪欲となり、グローバル人材としての自覚を高めなければなりません。
採用側としては、海外現地法人勤務経験者だけでなく、留学経験者など未経験でも海外勤務に積極的な人材を採用するなどで不足感をカバーしていく必要がありそうです。


各企業のグローバル採用の事例
グローバル人材の採用について、いち早く取組みを始めた各企業からも徐々に新たな方針が打ち出されています。下記はその一例です。

 

・楽天 2012年7月より社内公用語を完全英語化。会議、文書、コミュニケーションの全てを英語にて実施。12 年春入社者はTOEIC730 点以上の英語力を求められ、クリアしないと配属がお預けになる。

 

・ファーストリテイリング 海外展開強化のため、2013 年春の新卒採用は1500 人を予定。そのうち半分~8 割を外国人とする計画。3~5 年後には東京本部の社員の半数を外国人とする方針。

 

・イオン アジア事業を急拡大するため、北京に中国本社を、クアラルンプールに東南アジア本社設立。2012年度に採用予定の新卒採用3000名のうち、1000名以上が海外現地法人での現地採用とする計画。また2020 年までに本社社員の半数を外国人とする方針。

 

・パナソニック 2012 年のグループ採用計画において、採用予定1450名のうち海外現地採用の比率を約8割とする方針。国内新卒採用も国籍を問わず外国人留学生を積極採用。

 

成長を目指す企業では、優秀な外国籍人材の採用が積極的に行われている傾向があるようです。それに伴い社内体制の変革を行い、英語の社内公用語化や、外国籍人材に海外現地法人での活躍の場を積極的に提供するなど、外国籍人材が活躍しやすい風土づくりが根付き始めています。
日本人も外国籍人材のフロンティア精神を見習い、これまでの価値観を変え、グローバル化に必要なマインドが持てるよう自己成長を図っていかなければならない状況になって来ているようです。


最後に
日本はこれまで、世界から「豊かな国」「技術力が高い」「報酬面が期待できそう」など、数多くの魅力を感じてもらうことができ、比較的容易に外国籍人材の採用活動を行えた時代があったかもしれません。また、これまでは国内マーケットだけで十分にビジネスが成り立っていたため、グローバル人材の必要性が現在ほど高くはなかったのかもしれません。
しかし現在の日本の市場は既に飽和状態となり、労働者人口の減少に加え超高齢化社会を迎えることなど、今後の成長に限界を感じ始めています。一方でアジアなど新興国は急成長をしており、世界情勢は大きく変化し、日本の世界での存在感が危うくなってきています。現状打破のためにグローバルの積極化を始めた会社も増え始めてきていますが、当然のことながら、海外進出は多難極まりない状況です。
これからの時代のグローバル化では、企業がこれまで体験したことのないプロセスや手段で仕事が行えるようダイバーシティを磨き、労働者各々がグローバル人材としての自覚を持たなければなりません。そうなるための一つのきっかけがグローバル人材の採用なのではないでしょうか。日本の企業、採用担当者自身も多様性を持ち、実りのあるグローバル人材の採用を実現して頂けることを祈っております。

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