3分でわかる最新人事コラム

第9回2005/06/13

「裁量労働制について」

column-no9.jpg従来の日本型人事システムが崩壊し、新しい人事システムを導入する企業が増加しています。
その人事制度の中心は仕事の「成果主義」や「実力主義」が強調されるケースが多く、
それに関連して、業務の遂行手段および時間配分を従業員にゆだねる
「裁量労働制」が注目され導入する企業が増加しています。
今回は、その裁量労働制に焦点を当て解説します。

 

1.「裁量労働制」とは

実際の勤務時間と関係なく、あらかじめ決められた時間を働いたとみなし、給与を支払う仕組み。
労働時間計算を実労働時間ではなく、見なし時間によって行う制度です。
ただし、この裁量労働制は、従業員の不利益になる可能性もあるため、
どんな職種にでも適用できるわけでもなく、
対象者に応じて「専門業務型」と「企画業務型」の2種類の裁量労働制が認められています。
「専門業務型裁量労働制」は、主にクリエイティブな業務や専門的業務など、
労働時間を管理することが適切ではなく、
その業務遂行の方法を従業員の裁量にゆだねることで、
従業員がより能力や成果を発揮できるような職種に適用されるケースが多くなっています。
具体的には対象者が研究開発職や情報処理システム開発、
編集者やデザイナー、プロデューサー、弁護士、公認会計士など
11種類の専門的業務に限定されているのが特徴です。


一方、「企画業務型裁量労働制」は、主にホワイトカラーを対象としているのが特徴であり、
ホワイトカラーの生産性向上の観点から、事業運営に関する企画・立案・調査・
分析業務などの従業員の裁量にゆだねる業務に適用されます。
また、同じようにみなし労働時間制には、
上記2種類以外にも外回りの営業職のように事業場外で業務に従事し、
労働時間を具体的に算定することが困難な業務には「事業場外労働」という制度もあります。


いずれにしても、実施にあたっては労基法に沿った手続きが必要となります。
「専門業務型」の場合は、労働組合や従業員の過半数を代表する者との労使協定を結び、
労働基準監督署への届出が必要であり、「企画業務型」は上記に加え、
労使委員会による委員の5分の4以上の多数による議決が必要でありより厳格となっています 。


2.「裁量労働制」と時間外労働との関係について

裁量労働制は、そもそも労基法の法定労働時間との関わりがベースにあります。
法定労働時間である1週間に40時間・1日に8時間を超えた場合には、
時間外手当を支払うことになります。
日本の企業では「サービス残業」という言葉がありますが、
これは単に労基法違反の時間外手当の不払いとして、
法律に違反する行為と認識されるケースもあり、
昨今マスコミなどでも労働紛争として取り上げられています。
裁量労働制は、労使協定で定めた時間を労働したと「みなす」制度であり、
1日9時間と協定すればそれ以上の労働をした場合も、
それ以下の場合も一律9時間の労働をみなすこととなる。
この場合、時間外に関して、
あくまで労基法の法定労働時間8時間を超えた分(1時間分)は
時間外手当を支払うことになります。


裁量労働制を導入することで、残業手当を支払う必要はない、
あるいは深夜・休日労働も支払う必要はないと勘違いされるケースがありますが、
法定労働時間を超えた場合や深夜・休日労働などの場合も支払う必要があります。
労使協定はあくまでも会社側と従業員側との協定であり、
時間外労働や休日・深夜等の業務は労基法第4章の法定労働時間および
労働時時間の算定が適用されるため支払わなければなりません。


3.裁量労働制の導入について

(1) 対象とする業務自体の慎重な検討が必要となります。
経営者や管理者の具体的な指揮命令を受けずに、
時間配分などの自己決定ができる業務であるかの見極めが重要です。


(2) みなし労働時間を何時間にするか。
「裁量労働制」では、従業員の実際の労働時間に関係なく、
労使協定で定めた時間だけ働いたものとすると規定されていますが、
先に述べたとおり、1日のみなし労働時間を9時間と定めた場合、
8時間を超える1時間分について時間外手当を支払うことになります。
このように、みなし労働時間を何時間にするかによって従業員の収入が決まってしまうため、
決定にあたっては、充分な検討が必要であり、
具体的には、過去(最低1年間)の時間外労働の実態を調べて、
その平均値に近い時間にする必要があります。


(3) 仕事量のばらつきを極力抑える。
従業員一人一人についてみなし労働時間を定めるのではなく、
例えばある部署のシステムエンジニアについては1日○時間というように定めると、
同じみなし労働時間の従業員の間で
分配される仕事量に差があっては不公平になってしまいます。
職場内の仕事量の配分の見直しが重要になります。


(4) 休日勤務や深夜勤務は原則として禁止する。
まわりに人がいないことで仕事に集中できるといった理由で、
休日や深夜に仕事をしたいと考える人がいますが、
裁量労働制の場合、休日勤務や深夜勤務はその対象とならず、
休日勤務手当や深夜勤務手当を支払う必要があります。
よって、みんなが働いている時間にあまり働かず、休日や深夜に働くという人がいた場合、
その人の収入が他の人より多くなってしまい不公平になります。


(5) 従業員を公平に評価できる管理者の教育が必要。
時間の管理を本人の裁量に任せる以上、業務の進捗度を管理することが重要になります。
従業員ごとの目標設定、フォロー、アドバイスを与え進捗度を管理するなどの制度が確立され、
実際に機能しているかなどの管理者(上司)サイドの能力評価も重要です。


(6) 成果をきちんと評価できるシステム作りが必要。
「裁量労働制」では、従業員に対する評価の対象となるのは主に仕事の成果が中心となります。
そこで、仕事の成果をきちんと評価できるシステムが不可欠となり、
評価と報酬の仕組みが賃金制度として整備されているか、
裁量労働制を導入する場合、これが一番問題になると思われます。


「従業員の裁量にゆだねる必要性が高まっている」とする経営者の意見の割合、
および「労働時間ではなく成果で評価してほしい」とする従業員の意見の割合が、
ともに統計上で高い比率を占めています。
現在、裁量労働制の導入に向けて検討中の企業も多く、
導入の際には、自社の状況を的確に把握し、
従業員の働きがいを引き出すための評価制度の充実、
上司による公平な従業員の評価等のための
管理者教育の徹底を十分考慮する必要があります。
何より、仕事の効率化=生産性の向上を達成し、
且つ従業員のモチベーション向上に繋がることが大切なのです。

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