2023年11月07日

公認会計士・税理士どっち向き?向いている人の特徴や難易度、平均年収、キャリアパスなど

管理部門・士業の転職

公認会計士は、試験を受けずに税理士として登録できますが、税理士が公認会計士登録することは不可能です。このことから公認会計士試験の難易度の高さが推察できますが、税理士試験も決して簡単ではありません。
また、開業税理士として成功すれば高年収が見込めるため、収入面だけではどちらが良いと言い切れないでしょう。

「公認会計士と税理士では、どっちが自分に向いているのだろう」と考える人のために、向いている人の特徴や試験難易度、キャリアパス、平均年収などについて解説します。

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公認会計士と税理士の試験制度・難易度から見る「向いている人」とは?

まずは、試験制度と試験の難易度について解説します。

公認会計士試験

公認会計士試験は、受験資格がなく誰も受験できます。試験は二段階で、短答式試験と、短答式試験合格者のみが受けられる論文式試験です。

短答式試験には免除制度があり、合格後2年間は論文式試験から受験することができます。
試験科目は、短答式試験が4科目で、財務会計論、管理会計論、監査論、企業法です。論文式試験は5科目で、会計学、監査論、租税法、企業法、そして選択科目として経営学、経済学、民法、統計学の内から1科目選択します。

合格までの勉強時間目安は一般的に3,500時間程度と言われており、毎日5時間勉強したとしても、2年間必要です。
合格率は、短答式試験が8~15%程度、論文式試験も含めた公認会計士試験全体の合格率は7~11%程度です。短答式試験・論文式試験ともに、近年難化傾向にあるといわれています。

税理士試験

税理士試験は受験資格があり、下記いずれかの条件を満たした人のみが受験できます。

【学識による受験資格】
・大学、短大又は高等専門学校を卒業し、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者
・大学3年次以上で、社会科学に属する科目を1科目以上含む62単位以上を取得した者
・一定の専修学校の専門課程を修了し、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者
・司法試または公認会計士試験の短答式試験の合格者

【資格による受験資格】
・日商簿記検定1級または全経簿記検定上級の合格者

【職歴による受験資格】
・法人又は事業行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した者
・銀行、信託会社、保険会社等で資金の貸付け・運用に関する事務に2年以上従事した者
・税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事した者

試験科目は、必修科目の簿記論・財務諸表論、選択必修科目の所得税法・法人税法どちらか、および選択科目である消費税法または酒税法・相続税法・固定資産税・国税徴収法・住民税または事業税の内3科目で、合計5科目です。
税理士試験も公認会計士試験と同様に科目免除制度がありますが、合格した科目は“生涯”免除されます。そのため、毎年1・2科目ずつ受験するのが一般的です。

合格までの平均勉強時間は3,000時間と言われていますが、科目免除制度により毎年1科目ずつ受験ができるため、1つの科目に集中して勉強することができます。
令和4年度の第72回税理士試験の合格率は、19.5%です。直近5年間の合格率は18.4%なので、令和4年度の合格率は平均的であったといえるでしょう。

公認会計士試験と税理士試験を比較した場合、受験資格はあるものの、科目免除に有効期限のない税理士試験の方が受験しやすいと言えるでしょう。
また、1年に1科目ずつ注力して勉強ができるため、働きながらでも目指せる資格です。


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公認会計士と税理士の年収事情から見る「向いている人」とは?

公認会計士と税理士の年収を比較するのは、実は容易ではありません。
公認会計士の試験合格直後の勤務先は、監査法人が一般的です。監査法人での年収は役職によって決まり、年齢や経験年数で判定が可能です。
入社1~4年目のスタッフで年収400万円程度から始まり、15年目以降でパートナーになった場合は、年収1,500~2,500万円程度と言われています。

しかし、公認会計士の監査法人以後のキャリアパスは様々で、事業会社の経理部門や内部監査、経営企画、コンサルティングファーム、会計事務所など、多岐に渡ります。そのため、平均年収もキャリアパスごとに様々です。

対して税理士も、会計事務所などに勤務する所属税理士や、事業会社で雇用される企業内税理士、独立している開業税理士など、働き方が様々です。
会計事務所で勤務する場合、公認会計士と同様に入社1~4年目のスタッフで年収400万円程度から始まります。大手税理士法人のパートナーになると、年収1,500万円以上からのスタートとなる場合もあります。

参考までに、弊社MS-Japanの転職エージェントMS Agentを利用して転職成功した方で、公認会計士資格保有者と税理士資格保有者の年収を比較してみましょう。

年代 公認会計士資格保有者 税理士資格保有者
20代 686万円 470万円
30代 684万円 634万円
40代 760万円 550万円
50代 793万円 570万円
60代以上 490万円 600万円

MS Agent経由の転職成功者においては、公認会計士資格保有者の方が、年収が高い傾向があります。
しかし、上記は監査法人や会計事務所、企業に所属する公認会計士、税理士の平均年収であり、独立開業した場合の年収は当てはまりません。
本人のスキルと働き方次第ではありますが、独立開業すれば、上記の平均年収を上回る可能性があります。

また、公認会計士・税理士いずれも、Big4と呼ばれる大手監査法人・税理士法人があり、Big4で勤務した場合の年収は前述の目安を大きく上回るでしょう。


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公認会計士と税理士のクライアントから見る「向いている人」とは?

公認会計士のクライアントは基本的に大企業です。
公認会計士が担う役割のほとんどは会計監査に関わるものですが、監査は経営状態・財務状況の開示・説明責任を持つ一定規模以上の企業にしか要求されません。

中小企業がクライアントとなるのは、金融機関から融資を受けるために作成する決算書のチェック業務などで、その場合は継続ではなく単発での依頼が多い傾向があります。
クライアントに大企業が多いことから、公認会計士のニーズは本社のある首都圏・大都市に多いといえます。

一方、税理士のクライアントは、中小企業やNPO法人、宗教法人などがメインです。
税理士は税務に関する業務を扱うので、何らかの事業活動を行っていれば、法人・個人を問わず税理士のクライアントになり得ます。事業ではなく、不動産や投資によって一定の収入が発生している場合も、税理士のクライアント対象です。

ただ、税理士を利用するにも費用がかかるため、ある程度の収入・利益のある法人組織が主なクライアントです。個人事業主などは確定申告をスムーズに行う会計ソフト・サービスを利用するケースも増えています。
税理士のクライアントとなる中小規模の事業者は地方都市・郊外地域に多いことから、地域の企業・経済を支える存在として活躍している税理士は全国に多数存在します。

大企業を相手に規模の大きい仕事がしたい場合は公認会計士、中小企業などを相手に地域密着型で働きたい場合は税理士が最適だと言えるでしょう。

公認会計士と税理士のキャリアパスから見る「向いている人」とは?

前述した通り、公認会計士・税理士の資格や知識を活かせるキャリアパスは、様々な選択肢があります。

公認会計士のキャリアパス

公認会計士試験の合格後は監査法人に就職する人が9割に上ります。これは公認会計士登録に必要な実務経験を積むためです。
監査法人で公認会計士として経験を積み重ね、パートナーを目指すキャリアパスと監査法人以外に転職するキャリアパスに分かれます。
事業会社に転職する場合は、経理経営企画内部監査ベンチャー企業のCFO(最高財務責任者)IPO準備M&Aなどが一般的です。
監査法人での激務に疲れてしまった場合や、同じことの繰り返しである監査業務に飽きてしまった場合に選択する傾向が多いキャリアパスです。

また、M&Aを中心としたFASや、総合的に会計面の支援を行う会計コンサルティングファームも公認会計士の採用が活発です。
監査業務は顧客の間違いを指摘するため、感謝がされにくく、モチベーションが下がりやすい傾向があります。
そこで顧客の成長をサポートし、感謝される仕事をしたいという目的で、コンサルティングファームへの転職を選ぶ公認会計士も増えています。

さらに、公認会計士は税理士登録することもできる資格のため、会計事務所に転職するキャリアパスもあります。監査だけでなく業務の幅を広げたい、クライアントサポートに徹したいと考える公認会計士に多い転職先です。

税理士のキャリアパス

税理士試験合格後は、会計事務所・税理士法人へ転職するのが一般的なキャリアパスです。
公認会計士と同様に、税理士登録するために必要な実務経験を得るためにほとんどの税理士が選択します。

その後のキャリアパスは様々で、公認会計士と同様に事業会社の経理もキャリアパスのひとつです。
税務だけでなく会計に関する幅広い業務に携わりたい税理士が選択する転職先です。

反対に、税務のスペシャリストとして深い知識を身に着けたい場合は、資産税(相続・事業承継)特化型や業界特化型の会計事務所が人気のキャリアパスです。
また、コンサルティング業務を極めたい税理士には、M&Aや海外進出などの税務に携わるコンサルティングファームや、企業再生系・経営戦略系のコンサルティングファームが、人気が高い傾向にあります。

さらに、独立開業も税理士に多いキャリアパスです。公認会計士が独立開業する場合も、税理士登録して独立開業するケースが多いですが、公認会計士の試験科目で税務に関する問題は租税法で数問出題されるのみなので、改めて勉強が必要です。
独立開業においては、税理士が有利な傾向があると言えるでしょう。

キャリアパスにおいては、単に年収だけではなく、個人のライフスタイルや志向によって、公認会計士と税理士のどっちが向いているかは大きく変わります。
また、いずれかの資格を保有していれば有利になるわけでは無く、資格保有後の努力の次第でどちらの資格でも十分魅力的になるでしょう。

公認会計士と税理士の転職理由から見る「向いていない人」とは

公認会計士と税理士の 転職理由から見る 「向いていない人」とは

公認会計士と税理士の一般的なキャリアパスである、監査法人と会計事務所における転職理由について解説します。

公認会計士の転職理由

監査法人に勤める公認会計士が転職を考える理由は、下記の3つが挙げられます。

・昇級・昇格が思い通りに進まない
・激務
・監査業務に面白みを感じられない

監査法人でパートナーになれる公認会計士は一握りであり、希望するキャリアプランから離れてしまったことをきっかけに転職を決意する人が多いです。

また、ジュニアレベルまではクライアントと接する機会が少なく、事務所内での監査業務がほとんどであるため、監査がつまらない、クライアントワークをしたいなどの転職理由が多い傾向にあります。

税理士の転職理由

会計事務所に勤める税理士の転職理由は下記の3つが挙げられます。

・クライアントワークがつらい
・激務
・小規模事務所でキャリアアップが見込めない

中小規模の会計事務所では、入社早々から様々な業務を任される傾向があります。
そのため、クライアントワークで顧客に翻弄され、転職を考えるきっかけとなることも多いです。

また、規模の小さい会計事務所では役職のポストが少なく、体制的にキャリアアップができないケースもあります。


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まとめ

この記事では、「公認会計士と税理士ではどっちが自分に向いているのだろう」と考える人向けに、各資格について多角的に比較しました。

公認会計士と税理士の試験難易度や年収の実情、ワークライフバランスを考えた働き方、働く地域などを考えると、どちらも良い側面とそうではない側面があります。

どちらの資格が自分に向いているかは、「どんな働き方をしたいのか」というライフスタイルや志向によって変わるといえます。
公認会計士・税理士どちらの資格であっても、取得後にきちんと勉強を続け、誠実に仕事と向き合えば、十分に魅力的な資格となるでしょう。

管理部門・士業の転職

この記事を監修したキャリアアドバイザー

齊藤 仁美

大学卒業後、幸せに働く人を増やしたいという想いから新卒でMS-Japanに入社。
上場企業を中心とした求人開拓から管理部門全般のマッチングを行い、2021年1月より専門性の高いJ事業部に異動。
主に会計事務所、監査法人、社労士事務所の担当を持ちながら士業領域での転職を検討している方のカウンセリングから案件紹介を両面で行う。

会計事務所・監査法人 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ USCPA を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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