2023年06月01日

不動産鑑定士の試験内容・勉強時間・難易度は?《公認会計士のダブルライセンス》

管理部門・士業の転職
不動産鑑定士の試験内容・勉強時間・難易度は? 《公認会計士のダブルライセンス》 不動産鑑定士は、司法試験、公認会計士と並んで三大国家資格と呼ばれています。
公認会計士で不動産鑑定士の取得を考えている方に、試験の難益度や資格を取得したことによる魅力やキャリアビジョンについて説明します。

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不動産鑑定士について

不動産鑑定士をひとことでいえば「不動産価値を評価する専門家」ですが、一般的な「不動産査定」とは異なります。

不動産査定とは、その不動産の売却価格の目安を算出するものです。
一方、不動産鑑定はその不動産が持つ利用価値を前提として、地域の環境や諸条件を考慮した上で不動産の有効利用を判定し、適正な地価を判断します。
つまり不動産の価格だけでなく、不動産の適正な利用についての専門家でもあります。

不動産鑑定士の業務

不動産鑑定業務

国や都道府県が一般に適正な価格を公開するための「地価公示」、「都道府県地価調査」、「相続税標準地の鑑定評価」、「固定資産税標準宅地の鑑定評価」等があります。
他にも公共用地の取得や、裁判所から依頼された競売物件の評価や現物出資の評価、会社合併時の資産評価など、公共団体、民間の依頼により不動産鑑定業務を行います。

不動産の運用やコンサルティング業務

コンサルティング会社や大手不動産鑑定会社、銀行の担保評価部門に勤務し、個人や企業を対象に、不動産の有効活用、開発計画の策定をはじめとする総合的なアドバイスや投資判断材料の資料作成等の業務があります。さらに顧客の不動産の運用業務を行うこともあります。

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不動産鑑定士の試験内容、難易度について

試験内容

不動産鑑定士の試験は一次試験が短答式試験、二次試験が論文式試験です。その後に実務修習を受け、その修了考査をクリアすれば不動産鑑定士の登録ができます。
受験資格は不要ですが、短答式試験に合格してから3年以内に論文式試験を受けなければなりません。ただし論文式試験は一度合格すれば、いつでも実務修習を受けることができます。

短答式試験:不動産に関する行政法規、不動産の鑑定評価に関する理論
論文式試験:民法、経済学、会計学、不動産の鑑定評価に関する理論

難易度

不動産鑑定士の難易度は公認会計士よりもやや低いといわれているものの、それでも「三大国家資格」だけあってかなりハイレベルです。合格までに2~3年はかかることを覚悟した方がよいでしょう。
一次試験の合格率は25%程度、二次試験は毎年10%程度です。二次試験は一次試験の合格者のみが受験できますので、実質の合格率は数%です。

不動産鑑定士に合格するための勉強では一次、二次試験とも膨大な量の暗記が必要です。特に「不動産の鑑定評価に関する理論」の得点比重が高いため、鑑定基準の暗記は非常に重要です。
言い換えれば、もちろん暗記をした上での理論上の理解が必要ですが、コツコツと地道に勉強することにより合格の道が見えてくるといえるでしょう。

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不動産鑑定士の魅力や将来のキャリアビジョンは?

希少価値が高い不動産関連のエキスパート

不動産鑑定士は不動産関連の最高峰であり、不動産の鑑定評価を行うことができる唯一の資格です。全国の不動産鑑定士の数は8千人程度ですので、希少価値が高い資格です。

不動産鑑定士の資格を活用するには

ビルやマンションなどの不動産を賃貸借する際の家賃や地代、契約更新料、名義書換料なども鑑定評価の対象であり、借地権、借家権価格と財産価値判定の根拠としても鑑定評価を役立てることができます。

不動産売買での適正価格を知る上で鑑定評価の知識があれば、安心して取引を進められ、不動産を担保にして事業資金などを借りる際は借りられる金額の予測がつきます。
不動産を裏付けとする証券に投資する場合や、特定目的会社に融資する場合は、その不動産からどれくらいの収益が期待でき、将来の適正な売却可能価格を知るためには鑑定評価を活用することができます。
さらに会社分割、会社更生法、民事再生法、減損会計導入などに伴い鑑定評価が必要とされます。

公認会計士とダブルライセンスによるキャリアビジョンは

公的な業務を定期的に請け負うことができれば、不動産鑑定士として独立し高収入も期待できますが、新参者にとって特に地方での開業は難しいでしょう。
しかし、不動産鑑定士事務所や不動産会社、不動産ファンド、大手銀行やコンサルティング等で活躍するには有用な資格です。

公認会計士資格と併せた相乗効果が発揮できる活用方法は、社内で投資対象の価値やリスクを調査し経済的評価を行うデューデリジェンスやバリュエーション業務に携わることです。
公認会計士の資格を持ちつつ、不動産関連業務の経験をつむことでバランスよいキャリアを形成することができるでしょう。よりよい転職先や独立開業の道が期待できます。
ただし、不動産業界自体が景気の影響を受けやすい業界であるため、不動産業界に実務が偏り過ぎると、自身のキャリアも影響を受けやすくなる可能性があります。

不動産鑑定士は容易に取得できる資格ではありません。しかし年々受験者数が減少しているため国土交通省が不動産鑑定士不足を危惧し、不動産鑑定士の制度を見直そうとしているため、以前よりは合格しやすくなるのではないでしょうか。
ニッチな業界でありますが、逆にそれを活用しご自分のキャリアに活かすことができれば挑戦してみてはいかがでしょうか。

≪参考≫
日本不動産鑑定士協会連合会
国土交通省-国家試験のご案内
国土交通省-平成29 年不動産鑑定士試験(短答式試験・論文式試験)の施行
国土交通省-平成29年不動産鑑定士試験論文式試験の結果について
国土交通省-平成29年不動産鑑定士試験短答式試験合格者の発表
国土交通省-平成26年不動産鑑定士試験合格者の発表について
国土交通省-不動産鑑定評価の現状(更新)
日本経済新聞-不動産鑑定士の確保急げ 国交省、受験者減で制度見直し

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