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M&Aの表明保証における公認会計士の注意点とは【コラム】

2018/01/19

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2016年のM&Aをまとめると

M&A情報・データサイト MARR Online(マールオンライン)の調査によれば、2016年の日本国内におけるM&A件数は2,652件、金額は16兆6,133億円で、前年比2.6%増でした。
件数ベースでみると、IN-IN(国内の会社が国内の会社を買収する)が1,816件(金額は約3兆6,534億円)と、全体の約68%を占めました。一方、金額ベースでは、IN-OUT(国内の会社が海外の会社を買収する)が10兆4,012億円(件数は635件)と、全体の約63%を占めました。昨年の金額トップは、ソフトバンクグループがイギリスの半導体大手ARMを約3兆3,234億円で買収した案件です。孫正義社長が「たかが3兆円」と豪語した姿を記憶している方もいるかもしれません。

一番件数の多かったIN-INでは、飲料や鉄鋼業界で再編が進展し、M&Aへと加速しました。今後は衣料品、食料品、小売業、電気機器、サービス業、情報通信業、銀行、化学などの産業でM&Aが活性化すると想定されます。

一般的なM&Aの流れには、公開会社と非公開会社とでは株式買付・買収価格算定などで異なるところもありますが、買収先企業の選定後、初期調査、交渉、基本合意、詳細調査(デューディリジェンス)、再度交渉、売買契約、クロージング、そして統合という、非常に長いステップがあります。そのなかで、売買契約の際に「表明保証」が盛り込まれることが多くなっています。
「表明保証」は、売主となる企業が買主となる企業に対し、最終契約の締結日や譲渡日などにおいて、対象企業に関する財務や法務などに関する一定の事項が真実かつ正確であることを表明し、その内容を保証するものです。今回は、契約交渉上の重要なポイントとなることも多くなってきている、この「表明保証」について、掘り下げてみたいと思います。

表明保証の例

表明保証の例として、主に以下のような項目が挙げられます。
1. 売主の財務諸表が、一般に承認された会計原則に従って作成されていること
2. 売主の株式について、いかなる第三者も、ストックオプション、新株予約権、そのほかの方法で株式を取得する権利を有しないこと
3. 売主の貸借対照表に計上されていない、簿外の債務などが存在しないこと
4. 売主の財務または資産の状況、経営成績などに重大な悪影響を及ぼすおそれのある事由が生じていないこと
5. 売主には、その従業員に対しての、未払いの賃料、時間外手当、社会保険料などの労働契約に関する債務が存在しないこと
6. 売主が所有する土地や建物に、有害物質による汚染がないこと
7. 売主が第三者の特許権、実用新案権、商標権、意匠権、著作権などを侵害していないこと
8. 売主が第三者から訴訟などを受けておらず、また、合理的に予見される範囲内での紛争も存在せず、偶発債務が存在しないこと
また通常は、これらの事項に違反し、M&Aを実行できないときは、契約を解除し、買主が補償請求・損害賠償請求ができるという条項も加えられます。

表明保証違反を避けるために

表明保証違反による損害賠償額は、多くの場合株式譲渡額をもとに決められますが、その20%、30%という例が多いようです。ただ、表明保証の内容と事実とが異なったら、ただちに責任を追及することができるかどうかについては、判例でも争いがあるようです。
軽微な違反であれば、表明保証条項と事実が少し異なったとしても、M&Aの判断に影響がないのであれば、責任追及が否定された判例もあります。また逆に買主が悪意または重大な過失によって表明保証違反に気づかなかった際、損害賠償責任を負わないとして争われるケースも少なくありません。
M&Aの重要なステップのひとつ、デューディリジェンスにおいても、対象会社の財務面の調査は必ず行われますが、時間やコスト、そして売主側が不利な資料を積極的に提出しないという点から、すべてを把握することは困難であり、またすべてを株式譲渡代金に織り込んで交渉することも現実的ではありません。こういった制約をカバーするためにも、表明保証において上記の例を含んだ財務・会計情報に関する事項を規定することが不可欠となるでしょう。

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(記事提供/株式会社エスタイル)

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