税理士補助業務をしつつ働くメリットとは?勉強と両立できる事務所の見分け方など
税理士補助業務をしつつ働くメリットとは?勉強と両立できる事務所の見分け方など
税理士試験は難関ですので、仕事を辞め、浪人して勉強している人も少なくありません。一方で、合格後の世界を肌で感じていたいと、税理士事務所で「税理士補助」として働きながら勉強している人もいます。
この記事では、税理士補助として働きながら税理士試験の勉強をするメリット・デメリットや、事務所の見分け方などを解説しています。
税理士補助は多忙で勉強時間が確保できない?
弁護士の志望者が、パラリーガル(法律事務所補助職)として働きながら司法試験の受験勉強をすることは昔から珍しくありません。憧れている資格の事務所で実際に勤務しながら試験の合格を目指すのは、特に文系の難関資格をめぐっては珍しくない光景です。
では、税理士補助として勤務しながら税理士試験の合格を目指すことはできるのでしょうか。
現実的な問題として、そもそも税理士補助の仕事は忙しく、特に確定申告シーズンで会計年度末であることが多い毎年1月~3月は、残業や休日出勤の連続です。なかなか勉強時間が取れないでしょうし、気力も残っていないかもしれません。
ただ、繁忙期はあらかじめある程度わかっているわけですから、その時期を受験勉強に注ぎ込まないことを前提に計画を立てることもできます。本試験直前に集中して勉強し、試験に突破することも十分に可能だからです。税理士試験は毎年8月に行われます。
税理士補助をしながら勉強するメリット
最大のメリットは、租税や会計に関する実務経験が積めることです。
税理士法第3条は、税理士試験の合格者について、「租税に関する事務又は会計に関する事務で、政令で定めるものに従事した期間が通算して2年以上あること」を条件に税理士資格を与えるものと定めています。
この租税や会計に関する2年間の実務従事経験は、税理士試験に合格した後でもいいし、合格前でも構わないのです。だとしたら、合格後すぐに税理士を名乗れるよう、受験勉強をしながら実務経験を積んでいたほうが合理的だといえるでしょう。
では、「租税に関する事務又は会計に関する事務で、政令で定めるもの」とは何でしょう。
ここでいう「政令」に該当する税理士法施行令1条の3は、実務経験としてカウントされる会計事務について「貸借対照表勘定及び損益勘定を設けて計理する会計に関する事務(特別の判断を要しない機械的事務を除く。)とする」と定めます。
具体的には、次のような会計事務を2年以上続けていればいいことになります(国税庁「税理士法基本通達」3-3)。
・簿記上の取引について、簿記の原則に従い取引仕訳を行う事務
・仕訳帳等から各勘定への転記事務
・元帳を整理し、日計表又は月計表を作成して、その記録の正否を判断する事務
・決算手続に関する事務
・財務諸表の作成に関する事務
・帳簿組織を立案し、又は原始記録と帳簿記入の事項とを照合点検する事務
一方で、電子計算機を使用して行う単純な入出力事務など、簿記会計に関する知識がなくてもできる単純な事務は「特別の判断を要しない機械的事務」に該当しますので、実務経験にカウントされない点に注意が必要です(国税庁「税理士法基本通達」3-2)。
また、実務経験としてカウントされる租税事務は、税務署勤務、その他の官公署や企業の納税に関する業務をいいます(国税庁「税理士法基本通達」3-1)。
税理士補助として勤務しながら勉強すると、合格後の仕事を常に肌で感じられているわけですから、モチベーションの維持に繋がります。周りにも同様の境遇の人がいるかもしれません。
税理士補助をしながら勉強するデメリット
デメリットは、受験勉強に取れる時間が少なくなることでしょう。税理士補助は決して高給の仕事ではないので、受験勉強に必要な講座受講料や模試受験料などの負担も無視できません。家族や職場の理解も必要となります。
税理士試験は、他の資格試験と違い、その年にいっぺんに試験を突破する必要はなく、合格に必要な5科目を、年を追うごとに順番に合格していくことも認められています。一度合格した科目は、次年度以降もその合格が有効であるからです。
よって、日々が多忙であることに焦らず、空いた時間を最大限に活用し、着実に合格への階段を上っていくことが重要です。
また、浪人とは異なり、税理士にならなくてもある程度の収入が得られるので、人によっては、合格へのモチベーションがかえって下がってしまう場合もあります。
税理士補助をしながら勉強できる事務所の見分け方
事務所のトップである税理士自身が、税理士補助を経て税理士試験を突破した過去があるのなら、他の税理士補助にも税理士試験の勉強を許す可能性が高まります。
あるいは、資格試験予備校の「合格体験記」に、税理士補助をしながら合格した先輩が載っていれば、その事務所名もひょっとしたら体験記に記載されているかもしれません。
もし分からなければ、ストレートに面接の場で、税理士補助をしながら資格試験の勉強をして構わないか尋ねてみるといいでしょう。
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必要な経験・能力 |
・税理士志望または税理試験に向け勉強中(未経験可) |
想定年収 |
400万円 ~ |
まとめ
税理士補助として働きながら、税理士試験を突破することはいばらの道ではありますが、合格後のビジョンを描きながら勉強できるので、試験へのモチベーションを保ちやすいです。
ただし、勉強ができる環境かどうかは、入社を決める前にしっかりと確認しましょう。
・税理士補助はどんな仕事?年収や向いている人、志望動機のポイントは?
・税務スタッフの志望動機の書き方 例文や評価のポイント
・事務所選びが重要!働きながら税理士を目指すコツ
・会計事務所に就職・転職するには?事務所を選ぶポイント
・【監査法人の転職情報】まとめページ
この記事を監修した人
企業の採用支援(リクルーティングアドバイザー)を約8年、求職者の転職支援(キャリアアドバイザー)を約5年経験。
両ポジションでチームマネジメントを経験し、キャリアアドバイザーとしては複数回にわたり支援実績数NO1を獲得。リクルーティングアドバイザーにおいても入社1年半後にチームマネジメントを経験させていただきました。現在は子育てと両立しながら、常に社内でトップ10以内の採用支援実績を維持。
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