2016年08月17日

今さら聞けない!有効求人倍率と完全失業率について~実際の転職市場と乖離があるってホント?~

管理部門・士業の転職

今さら聞けない!有効求人倍率と完全失業率について~実際の転職市場と乖離があるってホント?~

転職活動を始める時期を決めるにあたって、重要な指標となるのが「有効求人倍率」と「完全失業率」です。
この記事では、「有効求人倍率」と「完全失業率」を詳しく解説します。

管理部門・士業の転職

1. 今さら聞けない!現在の有効求人倍率と完全失業率

厚生労働省が先月29日に発表した、2016年6月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月比0.01ポイント上昇の1.37倍で、4ヶ月連続で改善しました。これは1991年8月以来、24年10ヶ月ぶりの高水準となりました。

また、総務省が同日発表した労働力調査によると、2016年6月の完全失業率(季節調整値)は前月比0.1ポイント低下の3.1%で、3ヶ月ぶりに改善しました。これは1995年7月以来、20年11ヶ月ぶりの低水準です。

更に、総務省が同日発表した完全失業者数(季節調整値)は208万人で、4万人減少しました。そのうち、会社都合や定年退職など「非自発的な離職」は6万人減、「自発的な離職」は横ばいで、就業者数(季節調整値)は6456万人で47万人増えています。これを踏まえ、総務省は「雇用情勢は引き続き改善傾向で推移している」とコメントしています。

※厚生労働省・総務省ともに、毎月の有効求人倍率と完全失業率については、調査結果が発表されるまでに約1ヶ月かかりますので、現時点では、上記2016年6月の数値が、最新情報となります。

2. 今さら聞けない!有効求人倍率って何?

有効求人倍率(倍) = 有効求職者数 ÷ 有効求人数 × 100

有効求人倍率とは、有効求職者数に対する有効求人数の割合で「今、ハローワークで職探しをする人1人に対して何件の求人案件があるか」を示す数値です。求職者「1」あたりの求人案件数なので、数値が高いほど求人が多いことを示します。厚生労働省が全国のハローワークの求職者数、求人数をもとに算出し、「職業安定業務統計(一般職業紹介状況)」で毎月発表しています。

有効求人倍率は、景気とほぼ一致して動くため景気動向指数の一致指数となっており、完全失業率よりも景気の変動をダイレクトに反映する傾向があります。例えば、リーマンショック後に有効求人倍率が0.42倍となっており、非常に厳しい景況感が伺えます。一方、現在は有効求人倍率が1.37倍となっており、当時と比較すると好景気になっていることが伺えます。

但し、有効求人倍率はハローワークの求人を基に計測されているので、ハローワークにある求人案件と、ハローワークで就職活動している人しかカウントされません。つまり、新卒の就職活動や、インターネットの求人サイト、弊社のような転職エージェントが依頼を受けている、求人数・求職者数の全てが反映されているわけではありませんので、あくまで景気動向指数の一つとして捉えた方が良いかと思います。

3. 今さら聞けない!完全失業率って何?

完全失業率(%) = 完全失業者 ÷ 労働力人口 × 100

完全失業率とは、労働力人口(15歳以上で働く意欲がある人)のうち、完全失業者(職が無く求職活動をしている人)が占める割合で、数値が高いほど仕事を探している人が多いことを示します。総務省統計局が、全国から無作為に4万世帯10万人の満15歳以上の人を選んで「世帯調査票」に記入して貰い、その解答を集計して算出します。有効求職者数と併せて、雇用動向を示す指数の一つです。

例えば、景気が回復してくると、求人ニーズが増え、次に仕事を得る方が増え、段階的に完全失業率が下がっていきます。逆に景気が悪化すると、求人ニーズが減り、次に仕事を得られない方が増え、段階的に完全失業率が上がっていきます。好景気に伴う求人増加も、不景気に伴うリストラも、雇用は景気動向より少し遅れて変化があるため、有効求人倍率に比べて完全失業率の変化には時間がかかります。

4. 今さら聞けない!()内の季節調整値って何?

有効求人倍率や完全失業率の発表時に、但し書きで示される「季節調整値」とは、季節に左右される影響を除いた数値であることを表しています。景気の動向等を判断するには、有効求人倍率・完全失業率・完全失業者数など、様々な項目で毎月のデータを比較する必要があります。しかし、月によって稼働日数の違い、 正月や年度末決算などの社会習慣、農林業など一部産業では季節の影響が大きく単純には比較できません。そこで、景気動向指標になる数値では、これら月々の変動の癖(季節的要因)を除いた数値を算出します。これが、季節調整値です。

5. 今さら聞けない!有効求人倍率と完全失業率は、転職活動にどう影響するの?

失業率と有効求人倍率は、その両方を見ることで、より正確に雇用情勢を把握することができます。雇用情勢だけでなく景気動向を知りたい場合は、短期的な数字や、一つの指標だけを見て、雇用状況の動向を判断することはできません。例えば、有効求人倍率は改善しているのに完全失業率が高い場合は、働きたい人たちの意向とハローワークにある求人がずれている、等の状況が考えられます。

現在は、有効求人倍率(季節調整値)が1.37倍、完全失業率(季節調整値)が3.1%で3ヶ月ぶりに改善し、会社都合退職等の非自発的退職が減ったことから、転職市場は売り手市場が続いており転職活動はしやすい状況と言えます。

転職活動を考える方にとって、景気指標や世相を反映したニュースは、時に転職活動に役立つことがあります。しかしながら、心から「転職したい」と望み、転職活動という行動をして変化を起こすのは、他でもないあなた自身です。有効求人倍率や完全失業率などの指標を見て一喜一憂するのではなく、まずその指標自体が世の中の状態を正しく反映しているかを知ることが肝要です。そのうえで、ご自身にどんな影響があるか、この景気動向では企業にどのような施策が必要なのか、ご自身の立ち位置から考えて頂くと、良いのではないかと思います。ご参考頂ければ幸いです。

≪参考≫
厚生労働省 一般職業紹介状況(平成28年6月分)について

管理部門・士業の転職

あなたへのおすすめ求人

サイトメニュー

職種で求人を探す
資格で求人を探す
勤務地で求人を探す
資格の転職情報を調べる
転職セミナー・個別相談会
転職サービス紹介
転職ノウハウ
求人企業の皆様へ
MS-Japanについて

業界最大級の求人数・転職支援実績!管理部門・士業の転職に精通した専門アドバイザーがキャリア相談~入社までサポートいたします。

無料でキャリア相談する

関連おすすめ記事

新着記事

業界最大級の求人数・転職支援実績!管理部門・士業の転職に精通した専門アドバイザーがキャリア相談~入社までサポートいたします。

無料でキャリア相談する