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3分でわかる最新人事コラム

第90回

2012/10/15

「経歴詐称について」

当社が日々多くの方の転職サポートをさせて頂く中で、残念ながら、転職活動中に経歴詐称が発覚することは少なくありません。企業の採用活動を担当されている方の中にも、選考中~入社までの間に同じようなご経験をされた方がいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は、経歴詐称について、詐称の事例や詐称が発覚した際のリスク、それに対する取り組み等をご紹介させていただきます。


経歴詐称の事例
経歴詐称と言っても、詐称される項目は様々です。まずは、実際どのような箇所が詐称されているのか、いくつかのパターンに分けて解説いたします。

 

◆資格
資格の詐称の多くは、履歴書に実際に取得していない資格を記載するケースです。TOEICのように点数で示す資格の場合は、点数を少し高めに表記するケースもあります。

 

◆年収
現在、あるいは過去の年収を水増しするケースがあります。これは、内定時に年収等の条件を有利にすることを目的としている場合が多いです。

 

◆学歴
大学名を詐称する場合や、そもそも最終学歴自体を詐称するケースがあります。また、留年や浪人を隠すために、卒業・入学時期をずらして記載するなど、時期を詐称するケースも見受けられます。

 

◆転職回数や在籍期間
多くの場合、転職回数が少ないほうが評価されることが多いため、転職回数を少なく表記される場合があります。特に、早期退職(おおむね3か月程度以内)をした企業の経歴等を表記しないケースが多いようです。中には、表記を省略するだけでなく、前後の企業の在籍期間とかぶせてしまうようなケースも見られます。

 

◆経験されている仕事内容
応募する職種の経験が物足りない場合などに、経験業務の内容を詐称するケースが見受けられます。
例えば、経理のポジションなどで「決算業務」の経験が必須の場合で、その経験がないのに決算経験ありと詐称するケースです。但し、求人側と求職者側との間で、単に「経験あり」という言葉の意味がずれてしまっているだけの場合もあるため、内容によっては詐称と判断するか否かについての見極めが非常に難しい場合もあります。

 

◆雇用形態
こちらは、派遣社員や契約社員などの非正社員の経歴を、正社員と偽るケースが多く見受けられます。逆に、正社員で入社したものの、ある理由により短期間での退職となってしまった場合などに、業務委託契約や契約社員などの有期雇用であったと詐称するケースもあります。

 

◆職位
特にマネジメント職の募集の際に、職位を偽って記載されるケースが見受けられます。また、実際に職位は正確であっても、マネジメント経験の有無や部下の人数について、偽った情報を掲載したり過大表現をするケースも見受けられます。


経歴詐称が発覚した際のリスク
前章では経歴詐称の種類や事例についてお伝えしましたが、実際に詐称が発覚した場合には、採用側にはどのようなリスクがあるのでしょうか。
以下では、実際経歴詐称が発覚した場合のリスクについて、ご紹介させていただきます。入社前に発覚した場合と、入社後に発覚した場合ではリスクも多少異なってきますので、大きく二つに分けて解説いたします。

 

◆入社前に経歴詐称が発覚した場合
入社前に経歴詐称が発覚した場合の中でも、詐称が発覚したタイミングが書類選考など、選考の初期段階であれば、速やかに選考を不合格にする事は可能です。しかしながら、入社前であっても、最終選考を終えて社長や経営幹部の方々の評価が高かった場合に、経歴詐称が発覚した場合はどうでしょう。
選考が進むにつれ関わる人数も増えるため、上記のように選考が佳境に入ってから経歴詐称が発覚すると、その後の対応にも時間と手間を要してしまいます。選考のタイミングによっては、選考者への伝え方なども非常にデリケートな問題となりうるため、本来必要ない調整業務に手間と時間がとられてしまいます。
また、すでに内定を出してしまった後に詐称が発覚した際は、必ずしも詐称を理由に内定の取り消しが行えない場合もあるため、特に注意が必要です。

 

◆入社後に経歴詐称が発覚した場合
入社後に経歴詐称が発覚した場合、状況によっては「解雇」という選択肢を検討される場合もあるかと思います。「経歴詐称の発覚による解雇であれば、懲戒解雇が妥当ではないか」と、思われる方も多いと思いますが、実際はすべての経歴詐称において懲戒解雇が対象となるわけではないという現実もあります。
「独立行政法人 労働政策研究・研修機構」では、経歴詐称に関する懲戒解雇に関し、以下のような文章を掲載しています。

 

―――――
【服務規律・懲戒制度等】経歴詐称について
(1) 労働契約締結にあたり使用者が経歴の申告を求めた場合、労働者は原則としてこれに応ずべき義務を負う。
(2) 経歴詐称に対する懲戒解雇が有効かどうかの判断は、真実を告知していたならば採用しなかったであろう重大な経歴の詐称であったかどうかを基準とする。
(3) 学歴や職歴の詐称は、労働力の適正な配置を誤らせるような場合には、懲戒解雇が有効となる。
(4) 履歴書の懲罰欄にいう「罰」とは一般に確定した有罪判決(いわゆる「前科」)を意味する。
―――――

 

もし発覚した経歴詐称箇所が懲戒解雇処分に該当しなかった場合は、普通解雇の形で対応せざる負えない可能性が出てくるため、対応はより困難を極めます。また、労働基準法の第20、21条にもある通り、試用期間中の場合でも入社から14日間を超える場合は、労働基準法上の解雇予告手続きが必要となるため注意が必要です。


経歴詐称人材の採用を防ぐために
上記のようなリスクを取らないためにも、経歴詐称をした方の採用を未然に防ぐことが重要となってきます。ここでは、経歴詐称を未然に防ぐ方法や、そのために活用されている対策例についてご紹介いたします。

 

・最終選考前後にリファレンスを取る
これは特に外資系の企業様に多くございますが、応募時もしくは選考中に、前職もしくは現職の上司や知り合いからの推薦状の提出を要求します。これらを依頼することにより、選考プロセスの中で経歴詐称の早期発見の可能性を高めることが可能です。また、募集の段階で、選考フローの一部にリファレンスの提出がある旨を伝える事で、経歴詐称人材の応募を未然に防ぐ効果もあります。

 

・雇用保険被保険者証や年金手帳、源泉徴収票の確認
入社前の手続きとして、「雇用保険被保険者証や年金手帳、源泉徴収票」が必要となりますが、これらの書類が来た段階で、選考時に受け取った履歴書や職務経歴書との相違がないかを確認する事で、事前に経歴詐称を発見する手掛かりとなる場合もあります。
また、正式な内定通知書を発行する前に源泉徴収票のコピーなどを取得することで、年収の詐称を防ぐ場合もあります。

 

・卒業証明書や資格証明書の提出を求める
学歴(大学卒業等)や資格等が採用時にとても重要な要素となる場合は、入社前にご用意頂く書類の中に、最終学歴の卒業証明書や資格証明書の提出を求める場合もあります。これは、経歴の裏付けを取るとともに、こういった手続きが必要となる事を事前に伝える事で、経歴詐称人材の応募を未然に防ぐことにもつながります。

 

・選考フローの過程で、詳細な経験内容の確認を行う
こちらはどの企業様も対応されていらっしゃる事かと思いますが、特に採用するポジションで高い必要性がある経験・知識に関しては、その部門や仕事内容に詳しい方が、面接時に詳細な経験内容のヒアリングをすることである程度のリスクヘッジが可能です。あるいは簡単な筆記テストなどを行う事で、確認することも出来ます。
選考における経験内容の精査を行うことは、経歴詐称だけでなく、雇用のミスマッチの防止にもつながりますので特に重要です。

 

上記のような取り組みを実施するために、選考フローの一部見直しが発生したり、応募書類の管理が煩雑になったり等、採用担当者がやらなければいけないことが増えてしまう可能性もあります。
しかしながら、経歴詐称が発生した際のリスクを考えると無視はできないのではないでしょうか。そもそも人材の採用は重要な業務ですが、特に重要なポジションを採用される際だけでも、上記のような取り組みを検討する必要があるのではないでしょうか。


まとめ
リーマンショックによる不況から早3年が経過し、転職市場も再び活発化してきています。そのような状況の中、限られた時間の中で、人柄やご経験だけでなく、経歴の詐称までを見抜くのは、非常に難しいことかと思います。また、経歴詐称が発覚するタイミングが遅くなればなるほど、その後の対応に困難を極めるという事が、今回のコラムを通じて、ご参考いただけたかと存じます。
全ての対策を施すことは難しいかもしれませんが、少しでも経歴詐称のことを意識して選考を進めるだけでも減らせるリスクはあると思いますので、この機会に一度選考方法の見直しを検討してみてはいかがでしょうか。

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