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    新卒採用時に各社が学生向けの企業説明会を行っていますが、中途採用のために転職希望者向けに説明会を催している企業も少なくありません。特に大手企業の場合、中途採用の求人を出すと多数の応募者が見込まれるため、一度で伝えるべき事項を伝えられる会社説明会は採用の効率化を図る上で有意義なものとなります。しかし、中小企業においても会社説明会を実施するメリットはあります。この記事では中途採用での会社説明会の役割について詳しく取り上げていきます。

    中途採用で会社説明会を実施するメリット

    中途採用の場合、応募してくる転職希望者の多くが在職中であり、どうしても個々の対応を要されてしまいますが、複数の応募者に向けて一度に自社についての説明を行うことのできる会社説明会の開催によって採用業務の合理化を図ることができます。説明だけを行うのではなく、筆記試験などの1次選考も説明会の内容に加えれば、説明会終了後に改めて応募して1次試験を受ける、という手間を転職希望者に省かせることもできます。また、無断での欠席や途中退席をした者は以降の選考に応募してきたとしても採用しないものとしたり、説明会中の態度や服装をチェックして選考の判断材料としたりするなど、後々の選考過程における手間や時間の軽減にもつながっていきます。

    会社説明をしっかりと行うことができるのも魅力です。中途採用の場合、転職希望者は自分で応募先企業を選ばなくてはならず、そのための情報収集もすべて自分で行う必要があります。いくらネットが発達しているからといっても、就業しながら入念に情報収集するのは簡単ではありませんし、ネットで閲覧した情報の精度についてもやはり不安を抱きがちなものです。これらの状況下に置かれている転職希望者にとって、中途採用向けの会社説明会は応募を検討している企業の担当者から活きた情報を得られる貴重な機会となります。その他の媒体に比べて、提供できる情報量が多くなるのも企業側にとってのメリットです。

    会社説明会を開催するタイミング


    中途採用向けの会社説明会は、下記の3つのタイミングで多く行われています。

    転職フェア

    転職フェアをはじめとする転職希望者向けのイベントは、合同説明会や転職セミナーといった名称で多々行われています。これらのイベントでは出展している企業の求人票を閲覧できるコーナーが設けられており、転職希望者はそれらを眺めつつ気になった企業があれば、そのブースへと訪れて会社の説明を受けるというのが一般的です。
    転職フェアは転職希望者にとって、その企業の担当者から直に会社説明を受けられる貴重な機会と映っているため、転職希望者の側から会社の説明を受けにブースへと訪れてくれるので、とてもスムーズに会社説明会を実施しやすいのがメリットです。個々に説明していく方法もあれば、開催時間を決めておき複数を対象に会社説明を行う方法もあるなど、柔軟な対応が可能となります。また、その場で気になった転職希望者がいればスカウトしやすいのも転職フェアで会社説明会を行う魅力といえます。

    選考途中

    会社説明会が転職希望者とのファーストコンタクトとなるケースが主ですが、選考途中に会社説明会を組み入れている企業もあります。この目的は、“いいな”と思った転職希望者だけに自社についての詳しい説明を行うことであり、採用の合理化を図るためのものです。この場合にファーストコンタクトとなるのは面接です。事前に、“面接にかかる時間はおおよそ30分ほどだが、最大で1時間くらいになるかもしれない”と伝えておくのがポイントです。そして、面接で良さそうな人材だと判断できた場合には途中から個別での会社説明会を行い、そうでない場合には面接のみで終わらせるといった流れにします。

    定期開催する

    定期的に会社説明会を開催する方法もあります。このケースでは会社説明会はあくまで説明会という目的のために行うのであり、選考の目的は兼ねていません。“自社についてご説明するので気軽にお越しください”といったニュアンスのイベントになります。本気で応募を考えている人だけでなく、これから転職活動に取り組もうと思っているライトな層にもアプローチできるのが定期開催の魅力です。

    中途採用者に向けた会社説明会のポイント


    会社説明会を催すにあたって把握しておくべきポイントとしてまず挙げられるのが、採用基準を明確にすることです。これが曖昧であればターゲットが定まらず、会社説明会への参加を募る際に支障をきたすほか、参加した転職希望者の多くが自社の求める人材像と乖離しているなど、せっかくの会社説明会が台無しになってしまう可能性も出てきます。どのような人物に会社説明会へと参加してほしいのか、どうすればそのような人物を集められるのか、を突き詰めて説明会をプランニングしていきます。

    説明会の内容については、企業側からの一方的な説明に終始しないよう注意が必要です。業務内容や業績および今後のビジョン、給与モデルや福利厚生など、伝えたい情報は多々出てきますが、一方的に説明するだけでは参加してくれる転職希望者との距離感はなかなか縮まっていきません。多くの会社説明会において質疑応答の時間が設けられていますが、それが形骸化してしまわないよう、想定される質問について的確な解答ができるよう事前に準備しておくことが大切です。

    また、会社説明会はあくまで説明会であるとし、適性テストなどを抜き打ちで実施しないよう注意が必要です。せっかくコストをかけて多くの転職希望者を集めているのですから、選考の場も兼ねたいと考えるのは仕方ないことですが、説明会にはまだ応募するかどうか決めていない参加者もいるので、抜き打ちテストの実施はそういった参加者に不信感を抱かせてしまいかねません。選考も兼ねて説明会を行うのであれば、2部構成にして希望者のみ適性テストを受けられると告知しておくようにします。

    同様に会社説明会のタイムスケジュールや内容について、突如変更を加えるのは避けるべきです。中途採用への応募者の多くは在職中であり、貴重な時間を割きながら予定を組み、足を運んでくれています。そこで予定を変更させなくてはならない状況を生み出してしまっては自社への信用を形成できません。内容についてもブレがあるようであれば、いい加減な会社なのではないかとの疑念を抱かれてしまいます。

    可能な場合にはスケジュール内に社内見学を取り入れ、採用担当者以外の社内の人間とコミュニケーションを交わす機会を設けるのもおススメです。言葉による説明だけでなく、実際に就業する現場を自分の目で確認してもらうことで、転職希望者それぞれに就業後の具体的なビジョンを持たせやすくなります。更に、そこで就業している従業員と接触することで、活きた情報を得られるようになります。

    最後に、事前準備を徹底し、万全の状態で会社説明会を実施することが大切です。座席数は十分に足りているか、音響設備は機能しているか、配布する資料は揃っているか、などを細かにチェックするのも、転職希望者からの信用を得るために大切なポイントとなります。

    まとめ

    会社説明会は企業側、転職希望者のどちらも時間を割いて共有する貴重な機会です。就業しながら転職活動している転職希望者に十分な情報を提供し、もっと自社に興味を持ってもらうためにも、中途採用向けの会社説明会を積極的に行っていくことは中途採用成功への近道のひとつといえます。
    今回、ご紹介した中途採用向けの会社説明会を行う際のポイントを参考にしながら、会社側・転職希望者どちらにもメリットある機会を設けてみてはいかがでしょうか。