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増加を続けるNPO法人。そこに関わる公認会計士の仕事とは【コラム】

2018/02/19

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NPO法人について知っていますか?

公認会計士の皆さんならば、NPO法人(Non Profit Organization)とは、特定非営利活動促進法(通称:NPO法)によって規定される、特定非営利活動法人という法人格を持つ非営利組織であること、税制上の優遇措置があるといった基礎知識はご存じでしょう。しかし、公私ともに身近に関わったことはなく、NPO法人の実態はよく知らないという方は、実はけっこういらっしゃるのではないでしょうか。

では、NPO法人とはどんなものでしょう?
まず、NPO法人の根拠法であるNPO法は、特定非営利活動を行う団体に法人格を付与し、ボランティア活動などの社会貢献活動の発展を促進することを目的として、1998年(平成10)12月に施行されたものです。特定非営利活動とは、保健、医療または福祉、社会教育、災害救援活動、人権擁護、国際協力などからなる20種類の分野に該当し、不特定かつ多数のもの、すなわち公共の利益に貢献することを目的とする活動を指します。NPO法人の所轄庁は、主たる事務所が所在する都道府県となっています。

NPO法人は行政に比べて小回りがきくなどの利点を活かし、行政では対応が難しい、時間がかかる部分を補完しながら、行政とともに公益となるサービスを担っていくことが期待されています。NPO法人を設立する際には、所轄庁による「認証」が必要であり、さらに、個人および法人が寄付を行った場合に税制上の優遇措置が適用されるよう「認定」されると認定NPO法人となります。認証数・認定数とも、2015年度認証:50,867 認定:955、2016年度認証:51,518、認定:1,021と、増加を続けています。今後も行政や民間企業と並び、社会に対して公共的・社会的サービスを提供する事業者の一形態として拡大し、さまざまな社会の課題や問題の解決に貢献していくことが予想できます。

NPO法人と民間企業の違いは「利益の分配」

NPO法人は、特定非営利活動と呼ばれる活動を通じて、社会的な問題に取り組むことを目的とした非営利組織です。「非営利組織」という呼称から勘違いされることもあるようですが、NPO法人が利益を出してはいけないということではありません。「非営利組織」だからといって、収益のない事業を細々とやっているとは限らないのです。きちんと収益をあげ、職員を雇用し、健全な経営を続けているNPO法人も存在することはご存じでしょうか。

NPO法人と株式会社などに代表される民間企業との違いは「利益の分配」の有無です。
たとえば、株式会社は、株主(出資者)からお金を集めて事業を展開し、事業からあがった利益を株主に分配します。それに対してNPO法人には「利益の分配」がありません。非営利事業を通じてあがった利益は、職員の給与、事務所の維持費などの運営費や事業などの活動費として使っていかなければならず、剰余金が出たからといって出資者や関係者に分配することなどは禁止されています。

NPO法人のなかには、国や自治体からの助成金や寄付などを活動資金とする団体もありますが、独立した収益事業を確立することが安定的な運営につながります。民間企業は、出資者や従業員に利益を還元するために事業を行いますが、NPO法人に代表される非営利団体は活動を続けるために事業収益を必要とするということです。そのために、NPO法人が特定非営利活動に係る事業以外の事業(その他の事業)を行うことも認められています。その場合は、特定非営利活動に係る会計と区分する必要があります。

NPO法人も会計は民間企業と同じ複式簿記ですので、会計業務そのものに大きな違いはありません。ただし、会費、事業費、寄付金などの独特の科目、所轄庁に提出する事業報告書などの書式などに差異がありますので多少の慣れは必要かもしれませんが、公認会計士の皆さんにとってはそれほど難しいことではないでしょう。

NPO法人における公認会計士の役割

NPO法人の設立にあたっては、10人以上の社員を必要とします。ここでいう社員とは、議決権を持っている構成員のことであり、被雇用者の意味ではありません。簡単にいえば、団体加入者を指します。その入退会について不当な条件を付けないなどの基準があるように、NPOの運営には公共性、公平性、透明性などが求められています。

NPO法人制度は自主的な法人運営を尊重し、情報開示を通じた市民の選択、監視を前提とした制度となっています。情報開示として、期末から3ヵ月以内に前事業年度の事業報告書、計算書類および役員名簿などを作成し、すべての事務所に備えて社員及び利害関係者に閲覧させること、事業年度ごとに1度は事業報告書などを所轄庁に提出し、閲覧または謄写させることが条例により定められています。税制上の優遇を受けることもあり、特に重要なのは会計に関する情報開示になります。そのため、適正かつ明確な会計処理が求められますが、管理運営に携わる職員を最小限に抑え、少人数で兼務する場合も多く、会計処理が負担となっているNPO法人もあります。また、公認会計士や税理士などが監事となっていることも少なくありません。

NPO法人が会計業務に関する助言やサービスを受けることで、職員らは本来の事業に専念できるようになり、運営の合理化や事業の充実につながります。しかしながら、多くのNPO法人は、なるべく支出を少なくするよう、各種経費を抑制する傾向があり、運営に関する業務を委託することを躊躇するケースも多いのです。それにはNPOの会計業務を支援する会計や税務に関するサービスの情報が少なく、コストや成果についての認知度が低いことも理由のひとつになっているかもしれません。

NPO法人を理解することで、新分野の開拓も期待できる

国や地方自治体、営利組織が対処しきれない小回りのきいたサービスを担うNPOは、今後も増加を続けていくものと思われます。NPO法人の数が増えていくだけでなく、NPO法人の事業が拡大・発展することで収支が大きくなり、会計処理も複雑化することが予想されます。それに比例して、会計のスペシャリストの力が求められることも増加するのではないでしょうか。参入するにはNPO法人の会計知識が前提になりますが、さらに注力されるべきは、その団体の事業や運営体制をしっかりと把握することです。独自のビジネスモデルやサービスを確立している団体もあり、それによって会計処理にもイレギュラーが生じる場合があります。NPO法人によって独自の文化や考え方を持っている場合もあり、関係者とのコミュニケーションや活動に対する理解こそが肝要です。

また、民間企業がスポンサーとなってNPO法人を立ち上げ、広報活動やCSR事業を推進するケースも増えています。NPO法人の会計や運営に精通することで、クライアントに新たな事業形態を提案することも可能になるでしょう。「非営利」という言葉にとらわれず、事業形態のひとつとして、関心をお持ちになってはいかがでしょうか。

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