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公認会計士の求人流動化?企業内会計士採用増加にみる、それぞれの対応は【コラム】

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年間約500人の公認会計士が監査法人から転職する現状、その行先は

これまでの公認会計士のキャリアパスは、監査法人に就職し、そのごく一部が独立開業する、という流れが一般的でしたが、最近、上場企業などで働く「企業内会計士」の採用が増加傾向にあり、組織内で働く、という選択肢が一般化してきています。たしかに、企業内会計士の持つ専門的知識などが求められる分野は多々あります。たとえば事業会社においては、経理、財務、管理会計への対応のほか、経営企画、事業企画などの企画業務もあります。官公庁においては金融機関の検査や、財務状況の分析、財政支出に対する監査などもありますし、金融機関においては融資業務、資金管理、運用や事業再生などに経験やスキルなどが役立つことでしょう。

2018年1月18日付の日本経済新聞電子版によれば、企業内会計士は「この5年間で3倍に増えた」とのこと。リーマン・ショック後に監査法人が採用を絞り始めたのを機に増加したといい、日本公認会計士協会の増田明彦常務理事によれば、約3万人の公認会計士のうち、1割強が監査法人以外で勤務しており、監査法人から転職する公認会計士の数は年間で500人ほどにのぼる、としています。

それでは、実際に企業内会計士を採用する企業側にとって、どのようなメリットがあるのか。手放す側の監査法人はどのように対応しているのか。また、監査法人を離れた会計士たちのサポートはどのようにしてなされているのかを知っておきましょう。

採用側と流出側、それぞれの反応

公認会計士を会計に精通した企業内会計士として採用することのメリットとしてまず挙げられるのは、経理財務職としての即戦力が確保できる点でしょう。仕事の習熟が早く、会計基準などを調べることにも慣れているので、財務諸表への理解力も早く、専門性を活かした高い確度での予測や決算業務にも即対応可能といえます。また、M&A、IFRS導入や海外進出に備えて、自社で対応できる人材を養成することに限界を感じた企業が企業内会計士を採用するケースもあり、多くの企業が企業内会計士の採用は有用であると考えています。
そして、これまでの監査経験を活用し、監査される側になってもスムーズな対応ができ、また監査の全体の流れを理解していることから、客観的な目線で社外の人びととの利害調整を円滑に行える点も評価されています。

このほか、企業側が企業内会計士に期待している点のひとつとして、高い倫理観も挙げられています。日本公認会計士協会では倫理規則を制定しており、公認会計士はすべてこの倫理規則に従う必要があるのと、国際会計士連盟が定めた、違法行為に気づいた場合の会計士の対応に関する倫理規定もあり、職業倫理について意識させられる機会が多いことから、倫理観については一般の経理財務従事職よりも高いことが期待されます。

採用する企業側は企業内会計士に好意的である一方で、離職される監査法人の反応はどうなのでしょうか。
大手・準大手監査法人は、毎年1,000人超の試験合格者を採用していますが、ある程度は離職者も見込んでおり、離職者の半分くらいが企業に転職するのは想定内といわれています。しかしながら、人手不足に悩む監査法人側は、2〜3月に毎週、公認会計士の中途採用イベントを実施したり、いったんほかの企業などに転職した人材にも戻ってきてもらいやすくする取り組みも行ったりしています。

日本公認会計士協会の「組織内会計士ネットワーク」

このような背景から、日本公認会計士協会では、一般企業、官公庁などの組織に属している組織内会計士の活動領域の拡充、および人材の流動化の促進を目的として、2012年11月より、「組織内会計士ネットワーク」を開始し、研修会や交流会の企画や調査研究活動を行っています。活動開始当初、正会員・賛助会員を含めた会員数は700人ほどでしたが、登録者数は徐々に増加し、2017年6月時点では1,900人近くにのぼっています。一般企業などに所属する組織内会計士のほか、監査法人などに勤務していて、組織内会計士の業務に関心のある日本公認会計士協会の会員・準会員であれば登録が可能で、また登録費用は無料です。
同ネットワーク内の「組織内会計士ウェブサイト」にて、企業等で活躍する組織内会計士に対する施策の周知、研修会や交流会などの情報提供が行われていますが、このウェブサイトは日本公認会計士協会が運営しています。
研修会の形で組織内会計士へ転身する会計士へのセミナーが開講されているほか、日本公認会計士協会や組織内会計士協議会による会員へのバックアップ体制についての紹介、各地域会における受け皿やサポート体制の紹介、さらには、組織内会計士の実態調査アンケート結果から浮かび上がる組織内会計士の置かれている環境についても紹介されています。同ネットワークが公認会計士の多様なキャリアパスのひとつとして、組織内で働く会計士の活躍をサポートしていることがわかります。

日本版「アラムナイ(退職者)システム」

監査法人側にも新たな動きがあります。以前は公認会計士が監査法人を退職すると、その後の「出戻り」には難色を示すケースがほとんどでしたが、ここ数年の人材不足もあり、それほど気にする風潮もなくなったことから、「アラムナイシステム」が定着する土台が整ったようです。

以前から欧米などで広がっている大手監査法人の「アラムナイシステム」。「アラムナイ」とはもともとは「卒業生」という意味ですが、ここでは退職者という意味で使われており、退職者同士の親交イベントや、アラムナイメンバーのプロフィール掲載・検索機能の付与、またCPE単位を取得できるeラーニングシステムといったコンテンツの提供など、退職者の交流組織を新設することで、新たな採用機会も探っています。

4大監査法人のひとつ、トーマツは2018年5月8日に創立50周年を迎えるにあたり、その記念事業として「デロイト トーマツ アラムナイ(以下、DTアラムナイ)」の活動を開始します。会員資格となるのは、DTグループに属する法人への現在および過去の在籍者や、デロイト トウシュ トーマツ リミテッド(DTTL)のメンバーファームにおける日系企業サービスへの現在および過去の従事者です。主な活動は、イベント(懇親会やセミナーなど)の開催、会員専用WEBサイトにおける会員検索機能の提供、e-ラーニングの提供、DTグループ、卒業生、ビジネスに関する各種情報提供、社外ポジションの情報提供などを予定しており、欧米のアラムナイシステムのような充実した内容となっています。
公認会計士が活躍できる場が増えたことは非常に喜ばしいことであり、また求人の流動化は、さまざまなキャリアを積む公認会計士の人材が増えるだけでなく、自己研鑚の機会も増えるのではないでしょうか。

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