2017年は倒産増加!税理士なら知っておくべき、倒産防止共済制度の改正【コラム】

税理士
2018/03/23

2017年は倒産増加!税理士なら知っておくべき、倒産防止共済制度の改正【コラム】

20180323topics.jpg

2017年上期は倒産による負債総額が増えていた!

2017年上半期の倒産件数は4,267件(前年同期比0.1%減)でしたが、下半期では金融機関の対応や景況が影響したこともあったためか、2017年通期の倒産件数は、2016年から0.4%(41件)の減少に落ち着きました。
しかし、負債総額の3兆1,676億3,700万円は2016年(2兆61億1,900万円)を大きく上回りました。その負債総額は前年比で57.8%増(1兆1,615億1,800万円増)となりました。また、東京・大阪・兵庫・愛知・神奈川などの大都市圏で増加していることも特徴といえます。

特に気になるのは、中小企業倒産件数が9年連続で前年を下回っている一方で、従業員数別の構成比では従業員数5人未満が74.1%と大半を占めていることです。また、倒産の原因別件数で「他社倒産の余波」が増加している点です。上場企業の倒産が2社ありましたが、いずれも製造業であり、そのうち1社は製造業としては戦後最大の倒産と言われた自動車部品関連の大手メーカーの倒産です。その経緯は大きく報道されていましたので、皆さんもご存じでしょう。多くの下請け会社を抱える大手メーカーとなると、その影響も甚大です。しかし、製造業だけでなく大手取引先の倒産は中小企業にとって非常に大きなリスクです。税理士の方は、経営者に対してこうしたリスクへの備えも提案すべきではないでしょうか。

中小企業のセーフティネット「中小企業倒産防止共済制度」(経営セーフティ共済)

税理士の皆さんであれば「中小企業倒産防止共済制度」をご存じかと思います。「中小企業倒産防止共済制度」は取引先の倒産によって中小企業の連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐ、中小企業のためのセーフティネットとして設けられた制度です。経営セーフティ共済という名称でご存じの方もいらっしゃるかもしれません。経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)は、独立行政法人 中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営する共済制度です。中小企業基本法に基づく中小企業と個人事業主も加入できます。2016年度には約43万の企業や事業者などが加入し、累計で約27万件、約1兆9,000億円の貸付け実績があります。

共済加入者は、取引先が取引停止処分、私的整理、破産手続開始の申立てなど、災害による不渡り、特定非常災害による支払い不能となった場合、取引先の倒産後すぐに、無担保・無保証人で借入れができます。貸付額は回収困難となった売掛金債権などの額、もしくは納付された掛金総額の10倍(最高8,000万円)のいずれか少ないほうが上限となります。

掛金は月額5,000円~20万円まで自由に選べ、任意で増額・減額できるほか、税制面でも優遇されています。確定申告の際に掛金を損金または必要経費に算入できるので、節税にもなります。

中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)のメリット

中小企業倒産防止共済法施行規則が改正され、2017年11月以降に翌月以降の掛金を納付(前納)した場合の掛金の減額率が、5/1,000(1,000分の5)から0.9/1,000(1,000分の0.9)へと見直されました。

中小企業倒産防止共済制度では、翌月以降の掛金を前納した場合、前納減額金として割引金が返金されます。前納減額金は「掛金月額×減額率×前納月数の累計」の計算式で算定されるため、減額率が引き下げられたことで、掛金を前納した場合に受け取ることができる前納減額金が少なくなりました。改正後の減額率は2017年11月以降に前納した分から適用されるため、改正前の料率に間に合うよう10月中に駆け込みで前納する事業者が増加しました。

中小企業倒産防止共済制度は、取引先が倒産した時の資金面のリスク対策だけでなく、損金計上することでできる節税や、こうした割引金によるメリットなどがあります。中小企業倒産防止共済制度を解約する場合、自己都合の解約であっても、掛金を12ヵ月以上納めていれば解約手当金を受け取れます。12~39ヵ月で掛金総額の8割以上が戻り、40ヵ月以上の場合は掛金全額が戻ります。
つまり、加入することでは何ひとつ損失はなく、万が一の時にはスピーディに必要な貸付が受けられるのです。利息がほとんどつかない普通預金に入れておくよりはずっとメリットがあるのではないでしょうか。中小企業基盤整備機構(中小機構)では、この他に中小企業の経営を支援するさまざまなサービスがあります。

中小事業の支援対策としてチェックしておこう

従業員数が少ない中小企業ほど専任の営業職を雇用していないことも多く、経営者が営業を兼務するためか、売上構成が少数、場合によっては1社の取引先に集中することも多いです。これは単に営業力や人材の不足だけでなく、取引先を絞ることで設備投資や業務の効率が向上すること、大手取引先による抱え込みなど、背景にはさまざまな理由があると思われます。

しかし、企業体質としては非常に危険な状態であり、頼みの綱である取引先が倒産した時には連鎖倒産するリスクがより大きくなってきます。予定していた支払いがなくなったときに、新規の取引先を開拓するまでの運転資金として金融機関から融資を受けようにも、メインの取引先が倒産した状況で、新規の融資を貸し付けてくれる可能性は低く、審査などで時間がかかることもあります。

そんなときに、スピーディかつ無担保・無保証人で借り入れができる中小企業倒産防止共済制度に加入していれば、最高8,000万円までは調達することができます。本来、取引先の倒産に備えてこうしたリスク対策の制度活用は経営者や管理部門の責任者などが対策するべきことではありますが、そもそも中小企業には人材が不足しがちで、社長ひとりが本業から営業、財務、人事まで背負っているケースも少なくなりません。

多忙な経営者を支援するために、顧問税理士がこうしたクライアントの状況に応じて、こうしたリスク対策や節税につながる制度やサービスの情報を提供し、よりよい方法を模索することも大切な仕事ではないでしょうか。そうすることで、クライアントの連鎖倒産を回避できれば、クライアントを守るだけでなく、自身の事業を守ることにもつながります。経理や税務申告を手伝うだけでなく、一歩二歩と踏みこんだ提案をしていくことで、顧問税理士としての差別化にもつながるでしょう。

会員登録すると、キャリアのご相談や非公開求人のご紹介、履歴書の自動生成などの様々なサービスをご利用いただけます。

会員登録すると、キャリアのご相談や非公開求人のご紹介、履歴書の自動生成などの様々なサービスをご利用いただけます。

初めてご訪問の方へ

管理部門特化型エージェント No.1
MS-Japanのサービスをご覧ください!

最新求人情報や転職に役立つ情報をメールで配信します。

アドバイザーが直接あなたの可能性を診断!