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【CPE研修レポート】「中小企業のM&A事例から考える効果的な財務DDの勘所」

2018/04/13

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平成30年3月23日(金)に、株式会社MS-Japan(東京飯田橋本社)にて、『【CPE2単位】「中小企業のM&A事例から考える効果的な財務DDの勘所」』が開催されました。今回は、監査法人アヴァンティアのマネージング・パートナーである公認会計士の木村直人氏を講師に迎えて、中小企業を買収する際にどのような点に留意して財務DDを行うべきか、また、財務DDを行う際に重要と思われる実務上のポイントについて解説していただきました。

中小企業を買収する際に何故DDが必要なのか

まず、財務DDのテクニカルな部分について触れる前に、「なぜ企業買収を行う際に財務DDが必要なのか」という根本的な考え方について説明がありました。講師の木村氏曰く「DD業務を行う前に、なぜその業務が必要なのかを理解することが重要」とのことで「その必要性や重要性が分かっていないと良いDDは出来ないのではないか」ということでした。かく言う木村氏も監査法人のパートナーでありながら、中小企業のM&Aに際して財務DDを実務者として行っています。その現場感覚からもDDの必要性・重要性に関して以下のように感じているようです。

「企業が身売りする場合、必ずと言ってよいほど何か問題を抱えているもの。また、買い手側もそういった会社を買収する際にどういった部分にリスクがあるのか把握をする必要がある。」

「企業を買収するということは紛れもなく投資活動、その投資に対してどういったメリットとリスクがあるか理解して経営判断を下さないといけない。そのためにもDDは重要。」

「仮に企業を買収しても投資回収できなければ無意味。また、投資が失敗した時に把握しておくべきリスクを知っていなかったとしたら、経営者としても説明責任を果たせない。」

M&Aは事業を伸ばす手段の一つですが、企業を買収すれば万事解決ということではありません。事業を成長させる上で経営者も取るべきリスクは取らなくてはなりませんが、あえて取らなくても良いリスクがあるのであれば回避するべきでしょう。上記のような分野は、まさにリスクマネジメントの領域ですが、そのリスクマネジメントの分野においても経営責任を果たすのであれば、やはり主観の入っていない第三者的視点での調査・レポートは大事なのだと感じました。

財務DDは監査と似て非なるもの

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財務DDは買収監査と表現されることがありますが、木村氏は「財務DDと会計監査は似て非なるものだ。」と繰り返し主張しています。財務DDで求められるのは、買収先の帳簿や科目ごとの信憑性を保証するものではなく、買収先の本当の姿を捉えて、依頼主である企業が“正しい判断”を下せるように経営判断に必要な情報を入手することだということです。

また、「財務DDは会計監査とは違い、調べるポイントや調査後のアウトプットにおいて絶対的な決まりがない。」とも木村氏は言います。つまり、「M&A投資に際して経営者として必要となるリスクマネジメントを行うことが本質であり、いくら買収先の財務諸表が正しく作られていることを専門家が証明しても意味がない。」ということです。それは、財務DDの目的と監査証明業務のそれとがイコールではないということでもあるようです。
加えて木村氏は以下のように補足をしています。「財務DDには幾つものメニューがあるが、クライアントが知りたがっているポイントに沿った調査を行うことこそが需要であり、それ以外の枝葉の調査は決して必須ではない。むしろ、本当に良い財務DDは、クライアントが経営判断を下すに当たり、必要な情報をコンパクトにまとめている。」

上記のように、会計監査と財務DD自体の目的が異なるということを理解した上で買収先をDDすれば、自ずと何をどこまで調べるべきかも浮き彫りになるのではないでしょうか。

中小企業の財務DDでは、様々な非常識に出くわすことも多い

中小企業は上場企業と異なり、制度会計よりも税務会計で決算をしています。当然のことながら、上場企業の当たり前が中小企業では通じません。逆説的に言えば、中小企業が当たり前のように行っていることは、上場企業ではあり得ないことも多いのです。例えば、以下のようなケースが想定される場合、決算上の数値は本当の姿を反映していない可能性があります。

資産評価、引当金

・含み損の処理が適切になされていない。(評価損、減損等)
・必要な引当金の計上がなされていない。

⇒上記が修正されることで純資産が大きく毀損する可能性あり

営業項目

・上場企業では認められない売上計上基準が採用されている。・在庫の実地棚卸が行われておらず在庫が確定できない。

⇒買収後の連結決算に際して抜本的な是正が必要となることも

固定資産、減価償却

・決算対策の一環で恣意的に減価償却がストップされている。
・閉鎖したはずの工場に係る固定資産が台帳に残っている。


⇒非上場の中小企業では珍しくない。銀行対策で赤字決算を避けるために数字が操作されている可能性もあり

正常収益力の把握

・必要以上に人件費をカットしている
・管理部門を異常なほど削っている
・上場企業では容認できないような取引によって利益が底上げされている等

⇒本当の実力を反映していないため買収先を過大評価してしまう可能性も

上記のように中小企業の決算書には様々なサプライズ要素が潜んでいるため、各科目の数値が正しいか否かではなく、その企業の実力や実態を掴む力がDDでは求められるようです。因みに、当研修会の参加者からは「正常収益力を正しく反映している決算書なのかという視点は勉強になった。」「事業会社に勤めているが、M&Aを行う予定があり参考になった。」
「さらに財務DDについて詳しく知りたいと思った。」などのご意見をいただきました。

今後も株式会社MS-Japanでは、継続してCPE単位認定研修を企画して参りたいと思います。ご興味をお持ちいただけた方は、是非お気軽にお申し込みください。
※次回の研修会は7月を予定しています。詳細は決まり次第当社ウェブサイトにて公開致します。

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