弁護士人数の推移 弁護士の働き方はどうなるのか?
「弁護士になったとして就職先はあるの?」
弁護士を目指していても、そのような心配する人は多いと思います。
たしかに、近年になり弁護士数が増え、弁護士は「就職難」といわれることもあります。
しかし、企業内弁護士など、組織における有資格者の需要は確実に高まってきています。
この記事では、弁護士の人数の推移、および弁護士の働き方はどうなるのかを見ていきましょう。
弁護士数の推移
それでは最初に、司法試験合格者数および弁護士数の、過去5年間の推移を見てみましょう。
過去5年間の司法試験合格者数
過去5年間の司法試験合格者数の推移は、下の表の通りです。
出願者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
---|---|---|---|---|
2015年 | 9,072 | 8,016 | 1,820 | 22.7% |
2016年 | 7,730 | 6,899 | 1,583 | 22.9% |
2017年 | 6,716 | 5,967 | 1,543 | 25.9% |
2018年 | 5,811 | 5,238 | 1,525 | 29.1% |
2019年 | 4,930 | 4,466 | 1,502 | 33.6% |
出典:法務省
この表を見ると、過去5年間、司法試験の合格者数は減少しています。
司法試験の合格者数は、2006年に新司法試験制度が導入されてから数年間、毎年2,000人を突破していました。
しかし、その後は減少に転じ、1,500人程度に落ち着くようになっています。
減少している原因は、出願者数および受験者数が減少したことによります。
弁護士数の推移
次に、弁護士数の過去5年間の推移は下の表の通りです。
弁護士数 | 増減数 | |
---|---|---|
2014年 | 35,045 | 1,421 |
2015年 | 36,415 | 1,370 |
2016年 | 37,680 | 1,265 |
2017年 | 38,980 | 1,300 |
2018年 | 40,066 | 1,086 |
出典:日本弁護士連合会『弁護士白書2018年版 弁護士人口』
弁護士数は、過去5年間で増加しています。
しかし、その増加数は、徐々に小さくなっている傾向が見られます。
弁護士人口の将来予測
日本弁護士連合会による、弁護士人口の将来予測を見てみましょう。
司法試験 合格者数 |
弁護士数 | 43年前新規弁護士 登録者数 |
前年比 増加数 |
国民人口 推計 |
弁護士1人 あたりの 国民数 |
|
---|---|---|---|---|---|---|
2023年 | 1,500 | 44,397 | 419 | 1,006 | 122,122 | 2,751 |
2028年 | 1,500 | 49,252 | 427 | 998 | 118,293 | 2,402 |
2033年 | 1,500 | 54,018 | 501 | 924 | 113,970 | 2,110 |
2038年 | 1,500 | 58,639 | 577 | 848 | 109,250 | 1,863 |
2043年 | 1,500 | 61,781 | 1,350 | 75 | 104,253 | 1,687 |
2048年 | 1,500 | 63,715 | 1,131 | 264 | 99,131 | 1,556 |
2053年 | 1,500 | 60,468 | 2,101 | -676 | 93,993 | 1,554 |
2054年 | 1,500 | 59,822 | 2,071 | -646 | 92,964 | 1,554 |
2055年 | 1,500 | 59,192 | 2,055 | -630 | 91,933 | 1,553 |
2056年 | 1,500 | 58,630 | 1,987 | -562 | 90,901 | 1,550 |
2057年 | 1,500 | 58,082 | 1,973 | -548 | 89,865 | 1,547 |
2058年 | 1,500 | 57,676 | 1,831 | -406 | 88,826 | 1,540 |
2059年 | 1,500 | 57,344 | 1,758 | -333 | 87,783 | 1,531 |
2060年 | 1,500 | 57,265 | 1,504 | -79 | 86,737 | 1,515 |
2061年 | 1,500 | 57,265 | 1,425 | 0 | 85,680 | 1,496 |
出典:日本弁護士連合会『弁護士白書2016年版 弁護士人口の将来予測』
上の表は、2023年~2061年の司法試験合格者数、弁護士数、および弁護士1人あたりの国民数をシミュレーションしたものです。
司法試験合格者数は、近年の司法試験合格者数の推移、および日本弁護士連合会の提言にもとづき「1,500人」と仮定されています。
また、43年前に新規弁護士登録をしたのと同数の弁護士が、引退や死亡により弁護士でなくなると仮定されています。
この表によれば、弁護士数は2048年をピークとして減少に転じるとされています。
また、国民人口の推計とあわせ、2016年に3,352人となっている弁護士1人あたりの国民数は、1,500人程度にまで落ち着くとされています。
大規模法律事務所の弁護士数
大規模法律事務所などの法律事務所に、何人の弁護士が所属しているのかを見てみましょう。
順位 | 事務所名 | 弁護士数 |
---|---|---|
1 | 西村あさひ法律事務所 | 522 |
2 | アンダーソン・毛利・友常法律事務所 | 437 |
3 | 長島・大野・常松法律事務所 | 417 |
4 | 森・濱田松本法律事務所 | 402 |
5 | TMI総合法律事務所 | 383 |
6 | 弁護士法人アディーレ法律事務所 | 163 |
7 | ベリーベスト法律事務所 | 147 |
8 | シティユーワ法律事務所 | 146 |
9 | 弁護士法人大江橋法律事務所 | 137 |
10 | 渥美坂井法律事務所・外国法共同事業 | 121 |
出典:日本弁護士連合会『弁護士白書2018 事務所における弁護士の人数』
また、このトップ10の事務所も含め、事務所規模ごとの過去3年間の所属弁護士数推移は下の表の通りです。
人数 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2016年~2018年 の増減数 |
---|---|---|---|---|
1人 | 9,404 | 9,689 | 10,038 | 634 |
2人 | 5,868 | 5,980 | 5,936 | 68 |
3~5人 | 9,027 | 9,222 | 9,540 | 513 |
6~10人 | 5,092 | 5,377 | 5,469 | 377 |
11~20人 | 3,047 | 3,192 | 3,282 | 235 |
21~30人 | 1,339 | 1,377 | 1,278 | -61 |
31~50人 | 769 | 823 | 997 | 228 |
51~100人 | 531 | 556 | 536 | 5 |
101人以上 | 2,603 | 2,764 | 2,990 | 387 |
合計 | 37,680 | 38,980 | 40,066 | 2,386 |
出典:日本弁護士連合会『弁護士白書2018 事務所における弁護士の人数』
2016年~2018年までのあいだで、弁護士事務所の所属弁護士数は2,386人の増加となっています。
101人以上の大規模事務所をはじめとし、多くの事務所規模で、所属弁護士数は数百人単位で増加しています。
\些細なことでも遠慮なくご相談ください/
企業内弁護士数の推移
近年では、企業内弁護士が大幅に増加しています。
企業内弁護士数の推移は、下の表の通りです。
出典:日本組織内弁護士協会『企業内弁護士数の推移(2001年~2018年)
企業内弁護士数は、2001年の時点で66人だったものが、2018年には2,161人となっています。 実に30倍以上となる右肩上がりの伸び率です。
弁護士の人数が増え続けても就職先はあるのか?
以上のデータを見ることにより、次のことがわかりました。
(1)弁護士数は、増加の伸び率が落ち着きをとりもどしており、将来は減少の予測がされている。
(2)弁護士事務所の所属弁護士数は増加している。
(3)企業内弁護士数は大幅に増加している。
弁護士の人数が増えたため、たしかに「就職難」といわれることもあります。
しかし、一方で、弁護士の雇用に対する需要も高まりを見せています。
特に、企業内弁護士など組織における有資格者の需要は、大幅に高まっているといえます。
まとめ
弁護士の人数は増えてはいても、弁護士の需要も同時に高まっているのが近年の傾向です。
たしかに、司法修習を終えれば確実に全員が弁護士になれた昔に比べれば、弁護士の就職は大変になったといえるでしょう。
しかし、今後については、就職の状況は改善されていくと見込めます。
弁護士の就職活動は、企業・法律事務所など求人情報を幅広く集めることが大切です。
<参考>
・日弁連『弁護士白書2018年版 弁護士人口』
・日弁連『弁護士白書2016年版 弁護士人口の将来予測』
・日弁連『弁護士白書2018年版 事務所における弁護士の人数』
・日本組織内弁護士協会『企業内弁護士数の推移』
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