企業の法務部で弁護士として働く!転職時にアピールすべきポイントとは
企業の法務部で弁護士として働く!転職時にアピールすべきポイントとは
最難関の国家資格の一つである「司法試験」に合格した弁護士は、法律家の絶対数が少ない時代、特段営業をかけなくても仕事を得られていました。
しかし、司法制度改革を経て司法試験合格者が増えたことにより、弁護士間の競争が激しくなる結果を招いています。
ただ、悪いことばかりではなく、そのような状況を察知した企業が企業内弁護士を採用する動きを見せるなど、弁護士の活躍できるフィールドは増えてきています。
企業の法務部で働くことは、令和を迎えた現代の日本において、広く知られているキャリアパスの一つとなっています。
もちろん、誰もが椅子を得られるわけではなく、採用担当者は企業風土に溶け込める人材かどうかを見極めようとします。
この記事では、企業の法務部で弁護士として働こうと思った場合、転職時にどのようなことをアピールすればよいのかについてお伝えします。
企業の法務部で働く弁護士の数は増えている
企業で働く弁護士は、インハウスローヤー(企業内弁護士)と呼ばれ、その大半は法務部門に所属しています。
顧問弁護士として間接的に対処してもらうだけでなく、より企業に近い位置で法律問題の解決に取り組んで欲しいという思惑から、法務部門の強化の一環として企業内弁護士を雇おうと考える企業は少なくありません。
実際、企業から見た場合に「従業員が弁護士であること」のメリットについては、以下のようなものがあげられます。
・訴訟代理人弁護士が得られること
※(ただし、どこまで関与させるかは企業の考え方による)
・事例の法律への当てはめ・置き換え能力が得られること
※(法的事実の抽出や事実認定など)
・他の弁護士を選別する際に、適切な選択肢を増やせること
※(ある分野に精通した弁護士を、同じ弁護士の視点から見つけ出せる)
・情報交換が迅速に行えること
※(弁護士として委員会、研修等に参加して得られた情報の共有・フィードバックが期待できる)
この他にも、弁護士という肩書・高い職業的倫理観など、企業が弁護士を雇うことで得られるメリットは多いため、例えば新卒から社員を雇うにしても、資格の有無がそのまま魅力につながります。
また、ここ10数年で企業内弁護士は増加の一途をたどっており、かつては法律事務所でキャリアを積むのが王道だった弁護士のキャリアパスにも変化が生じてきています。
日本組織内弁護士協会の統計データによると、弁護士会別企業内弁護士数の推移は、全国的に増加傾向にあることが分かっています。
関東弁連は、東京が含まれていることもありますが、2001年には63名だったものが、2020年には2,236名にまで増加しており、20年間でおよそ35倍の増加率 となっています。
しかし、近畿や中部・九州弁連でも、全体として人数は年々増加しており、弁護士にとってインハウスローヤーという選択肢は十分検討すべきものであることが分かります。
企業の法務部で働いた場合、弁護士有資格者と無資格者で仕事内容は違う?
法務という職種は、企業内でもやや特殊な部類に含まれます。
例えば、新卒者がいきなり法務部に配属されることは少なく、多くの場合は経験者を雇うか、別のセクションで経験を積んだ人材の異動により人員補充されることが一般的です。
これは、法務という職種の仕事が、一筋縄ではいかないことが理由です。
オフィスワークの中でも、再現性を求められる要素がそれほど多くなく、しかも現場感覚も求められます。
特に、ビジネスは法律ありきで進むとは限らないものなので、例えば条文内の「著しく」の程度をどのように解釈するかは、個々のケースや慣例などによって異なります。
また、いくら慣例として長らく認められていたものであっても、法務の立場から見てNGであることが分かっていることは、現場に対してNOを突きつけなければなりません。
この点において、担当者が弁護士資格を有していることで、多少は話に説得力が出るかもしれません。ただ、それが弁護士ならではの仕事かどうかを問われたとき、結局は法務スタッフと同じ・似たような仕事に分類されることも珍しくないでしょう。
インハウスローヤーという観点からもう少し掘り下げると、弁護士の資格がそのまま無資格者との差別化につながるかどうかは、企業側のスタンスによります。
実際のところ、弁護士の持つ能力・知識に対する期待は大きいものの、企業側で弁護士の職務を明確に分けるのは難しいのが実情です。
もともと、インハウスローヤーの場合、一般的な弁護士のように、訴訟などトラブルを前提とした仕事ばかりを任されるとは限りません。
訴訟法務だけでなく、契約法務、組織法務、コンプライアンス、国際法務など、幅広い複数の業務を部署内で分担する形で対応することになります。
ただし、弁護士というキャリアへの期待が大きい分だけ、大きなプロジェクトなどにアサインしてもらえる確率が高くなる可能性は十分あります。
他には、弁護士資格を持つ人材の活用法として、訴訟が発生した際に「自らが代理人として法廷に立てる」点があげられます。
しかし、訴訟対応に集中してしまうと、結果的に他の日常業務などが回らなくなってしまい、それをデメリットと考える企業は少なくありません。
よって、訴訟が発生した場合などは、外部に依頼するケースが多いものと推察されます。
弁護士が企業の法務部に転職する際にアピールすべきポイントとは
弁護士のキャリアを企業の法務部で活かすためには、企業側の思惑を理解した上で、適切なアピールを試みる必要があります。
特に、法律事務所から転職を検討している場合、臨床法務と企業法務のスタンスの違いが浮き彫りになる可能性が高いですから、企業側に寄り添ったアピールをイメージすることが大切です。
以下に、弁護士として企業の法務部に転職する際にアピールすべき、具体的なポイントをご紹介します。
企業法務経験
法律事務所は、その専門性によって細かく分類されます。
民事・刑事・企業法務など複数の分野に携わる総合法律事務所もあれば、特定分野に特化したブティック型法律事務所もあります。
インハウスローヤーとして働く場合、企業法務に携わっていた経験の有無は、最低限聞かれるものと考えておきたいところです。
具体的なアドバイスを行っていた場合などは、どんな案件に対応していたのか、その経験をしっかりとアピールできるよう準備を整えましょう。
また、応募先の企業が、過去のクライアント企業と似た業種・企業規模だった場合、その点もプラスに働きます。
類似点が多ければ多いほど、即戦力に近い立場で採用される可能性が高まりますから、過去の経験は細かくまとめておくことをおすすめします。
コミュニケーション能力
弁護士は、クライアントとの信頼関係を築くため、高いコミュニケーション能力を必要とする職種です。
具体的には、以下の要素がコミュニケーションに要求されると考えてよいでしょう。
・相談者の話を丁寧に聞き取る「傾聴力」
・話を聞いた上で、気になるポイントを無理なく聞き出す「質問力」
・論理を崩さず冷静にやり取りを進め、相手に納得させる「説得力」
・法律について詳しくないクライアントに、法律知識を分かりやすくかみ砕いて話す「説明力」
また、弁護士を採用する際に企業が懸念する点として、無資格の法務スタッフ・他部署の社員との協働ができるかどうかがあげられます。
つまり、自社のビジネスに貢献する姿勢で職務を全うできるかどうか、企業側は見極めたいと考えています。
インハウスローヤーとして働こうと考えているなら、その点にフォーカスしてアピールを試みましょう。
具体的には、法律事務所のスタッフとコミュニケーションを円滑に取っていたこと、クライアントとのコミュニケーションで工夫していたことなどを、可能な範囲でエピソードを添えて伝えるとよいでしょう。
企業で働きたいという気持ち
インハウスローヤーという働き方が認知されてきている状況においても、やはり弁護士のメインとなるキャリアは「法律事務所」となるでしょう。
その上で、なぜ法律事務所を離れて自社を選んだのか、企業側は掘り下げて確認したいと考えています。
仮に、明確な理由が存在しない弁護士を雇ってしまった場合、すぐに会社を離れてしまうおそれがあるからです。
そのため、どうしてその企業で働きたいと思ったのか、その理由をはっきりと伝えなければなりません。
例)
・現在働いている法律事務所が激務のため、ワークライフバランスがとれない。
・語学力など、自分の得意分野を現職では活かせない。
・より企業の側に立った仕事を経験したい。
どんな理由であれ、それが動機としてふさわしいものである必要があります。
応募者として、企業研究をしっかり行い、適切な回答を用意しましょう。
まとめ
企業の法務部で働くという選択肢は、現代の弁護士にとって一般的なキャリアパスとして認知されています。
また、実際にインハウスローヤーとして働く場合、企業側が弁護士に抱く期待・懸念にフォーカスして、自分を雇うメリットをアピールできると採用がスムーズになります。
実務経験はもちろんのこと、弁護士として培ってきたコミュニケーション能力・その企業で働きたい理由なども明確に伝えることが求められます。
ただ、法律事務所などのフィールドで得た経験がマイナスに働くことはありませんから、企業側の事情を踏まえて情報を整理しながら伝えることで、希望の結果に近づけるでしょう。
この記事を監修した人
企業担当のリクルーティングアドバイザーを経験した後、現在は転職を考えられている方のキャリアアドバイザーとして、若手ポテンシャル層~シニアベテラン層まで多くの方の転職活動のサポートをしています。
人材業界での経験も長くなり、いつまでも誰かの記憶に残る仕事をしていたいと思っています。
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