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個人・組織問わず、目標設定によって何らかの成果を求めるのは基本的な戦略ですが、実際に正しく目標を設定するのは難しいものです。 逆に言えば、個人のモチベーションを高めつつ組織に貢献できるような目標設定ができたなら、多くの収穫が見込めることでしょう。 効率的かつ効果的な目標設定を行うには、その場しのぎで目標を設定するのではなく、将来を見据えた緻密な目標を設定することが大切です。 この記事では、目標設定ために必要なフレームワークについて、人事評価担当者が理解しておくべきことをご紹介します。
1.目標設定のポイント
フレームワークを使って目標を設定するのは、その目標を達成することで確実に個人・組織にメリットがあるようにするためです。 よって、目標を立てる最初の段階で、会社にとってプラスになる目標なのか・どうやって目標の達成度を把握するのか、事前にポイントを押さえておく必要があります。 具体的には、以下の目線を忘れずに、目標設定の質を高めることが大切です。
会社、チームに貢献できる目標にする
企業が目標設定をする以上、その根本には経営目標があり、それを達成するために社員たち個人の目標が設けられる形が自然です。
逆に言えば、社員一人ひとりが考える目標を達成したとしても、必ずしも経営に良い影響をもたらすとは限りません。
また、人事評価担当者の独断で目標設定を進めてしまうと、多くの社員が反発する可能性はもちろん、経営目標から大幅に遠ざかってしまうおそれもあります。
必ず、会社・チームに対して何らかの貢献が見込める目標になるよう、全体を見通して内容を決めましょう。
定量的な目標にする
経営目標から掘り下げて目標設定を行う以上、達成状況がすみやかに分かるよう目標を構成したいところです。
そのためには、できるだけ定量的な目標を設定することが大切です。
特に、管理部門の目標は定性評価に偏りがちな組織が多いため、聖域なく定量目標の概念を導入していかなければなりません。
行っている作業の数量を削減する・作業の質に点数を付けて管理するなど、評価の中にできるだけ数の概念を組み込んで目標を設定することが大切です。
2.目標設定に活用できるフレームワーク7選
フレームワークという単語の本来の意味は、日本語で「枠組み」や「構造」などです。
目標設定において重要なのは、枠組みそのものではなく、その内部に何を納めるかです。
しかし、目標全体をデザイニングするためには、美しいフレームワークがあった方がまとまりやすいことも事実です。
ここからは、目標設定に活用できるフレームワークについて、代表的なものを7つご紹介します。
1.OKR
OKR(Objectives and Key Results)は、Google・Intelなどの世界的な大企業が導入しているフレームワークです。 日本語では「目標と主要な成果指標」と説明でき、まず組織の目標を立てた後、事業やチームごとの目標・従業員レベルでの目標と、主要な成果指標を合わせてチェックしていきます。 ここでの成果指標とは、目標を達成するために何をしなければならないかをまとめたもので、例えば以下のようなものがあげられます。
- 新規顧客獲得数の増加
- 運営コストの減少
- 個人で使用する経費の上限 など
OKRはあくまでも全体のビジョンに対する進捗を管理する方法で、完璧に目標を達成するためのフレームワークというよりは、どれだけビジョンに近づいているかを組織が把握するためのフレームワークと言えるでしょう。
2.SMARTの法則
目標設定における成功因子を5つにまとめた法則のことで、成功因子には以下の5つがあります。
- Specific(目標が明確・具体的であること)
- Measurable(計量が可能なこと)
- Achievable(社員が目標達成について同意していること)
- Relevant(経営目標に根差したものであること)
- Time-bound(期限が設定されていること)
これらの条件を満たした目標を設定することで、確実に達成に向けて社員が行動を起こせるようにするのがねらいです。
3.KPIツリー
KPIツリーとは、いわゆるチャンクダウンに似た手法で、ゴールから逆算して成功要因・途中経過評価指標を作成していくフレームワークです。 このフレームワークは、以下の3要素で構成されます。
- KGI(Key Goal Indicator) :ビジネスにおけるゴール(目標)
- KSF(Key Success Factor) :KGIを達成するために重要な成功要因
- KPI(Key Performance Indicator) :各種成功要因達成時における途中経過評価指標
KGIのためにKSFがあり、KSFのためにKPIがあるという階層構造になっていて、一つのKSFに対してKPIは複数存在します。 例えば、実際に自社サービスを利用した経験があるユーザーを前年比で20%増加させたいというKSFがあった場合、KPIとして新規ユーザー数を10%増やす・サービス継続率を10%増やすなどの指標を考えていくことで、フレームワークが成立します。
KPIを実現するための施策を実施して、それぞれがKPI→KFS→KGIという段階にどこまで届いているのか、複数の指標から判断していきます。 途中経過を評価するのに数値情報は必須のため、目標達成には欠かせないフレームワークの一つです。
4.マンダラチャート
仏教の「曼荼羅」に由来したフレームワークで、曼荼羅模様のようなマス目にアイデアを書き込んで、発想を展開していくために用いられます。 具体的な作成手順は、主に以下のような流れとなります。
- 紙に縦×3・横×3のマス目を書く(合計で9マスになるように)
- 中心のマス目には「発想を展開したい課題(テーマ)」を書く
- 課題を書いたマス目の周りに、その課題から連想されるもの・関連性があるものを思うままに書き綴る
- 最初の9マスを埋めたら、最初の課題以外の8マスから1マスずつ選択し、それを中央にした9マスを展開する
- 手順①~③を、残りの8マス分繰り返し、最終的に81マスが埋まっている状況まで連想する
思考をそのまま自分の頭の中で続けていても、古い思考は記憶の奥底に沈んでしまい、せっかくのアイデアが失われてしまうおそれがあります。 その点、マンダラチャートを活用すれば、たくさんのアイデアを埋もれさせることなく、しかも優先順位を付けて行動に移すことができます。
5.ロードマップ(ビジネスロードマップ)
時間軸と目標軸を基準に、いつまでに目標を達成するかを定め、中間目標を時間軸に沿って階段状に積み重ねていくフレームワークです。 現状からスタートして目標を定め、3ケ月後にどうなっているか・6ケ月後にどうなっているか・9か月後にどうなっているか……といったように、目標に対して期限を切り、途中経過をまとめていきます。 このフレームワークは、会社全体・部署全体の目標など、できるだけ大きなものを把握するために用い、他のフレームワークと併用して目標の達成状況を管理するのに使うと効果的です。
6.タイムマシン法
将来を逆算してアイデア・目標をイメージするフレームワークで、未来手帳など個人目標の達成によく使われる手法の一つです。 未来を動機にする目標形成には、理想の未来を目標にする「バックキャスティング」という方法と、現在を起点に未来を想像する「フォアキャスティング」という方法があり、タイムマシン法はバックキャスティングに該当します。 こちらもロードマップと手法は似ていますが、ゴールから逆算して中間目標を立てていき、その達成を実現する点で違いがあります。
7.GROWモデル
上司が部下に指導する際に用いられるフレームワークで、部下が自発的に行動できるよう上司がガイドするのが主な目的です。 GROWとは、以下の単語の頭文字です。
- Goal :目標を明確化する
- Reality/Resource :現実を把握する/リソース(資源)を発見する
- Options :選択肢を考える
- Will :行動計画を立て、目標達成する意思を持つ
上司は、各プロセスにおいて部下の意欲を引き出す質問を投げかけ、部下自身に目標を達成させるよう促します。 質問を重ねることにより、自分の意志で目標を達成させるよう導いていきます。
3.まとめ
フレームワークには様々な種類があり、一つを実践したからといって、必ずしも理想的な形で目標設定ができるとは限りません。 それぞれに特徴がありますから、構造をよく理解した上で、どんな目標を達成するのに有効かを考える必要があります。
例えば、一つのフレームワークにこだわらず、複数のフレームワークを使って目標達成状況を管理するのも良い方法ですし、時にはフレームワークそのものが目的にマッチしているかを疑って判断するのも有効です。 ただし、進捗管理やフレームワーク研究ばかりに気を取られていて、肝心の目標自体がおろそかになってしまっては元も子もありません。 あくまでも目標設定を目的とするなら、まずはそれだけに集中してフレームワークを活用することが大切です。
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