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    障害者雇用の特徴と注意点!知って得する助成金を解説

    障害者雇用促進法が改正され、合理的配慮の提供が義務化されるなど、障害者雇用を取り巻く状況は変化しています。実際に障害者の状況はどうなっているのか、また特徴や注意点はどのようなことがあるのか、助成金の紹介などと合わせてまとめました。現場の理解を得る為のポイントについても解説しているので、障害者雇用が気になる方は参考にしてみてください。

    障害者の就職件数

    厚生労働省の「令和元年 障害者雇用状況の集計結果」によると、雇用障害者数は56万608.5人、対前年4.8%増加、また実雇用率は2.11%で、対前年比0.06ポイント上昇となっています。雇用障害者数、実雇用率のどちらも過去最高と記録し、障害者を積極的に雇用している企業が増えていることがわかりました。ただし、障害者雇用率制度で定められている民間企業の法定雇用率は2.2%です。この法定雇用率を達成している企業の割合は48.0%で、改善の余地があると言えます。

    実は民間企業に雇用されている障害者の数は16年連続で増加し続けており、雇用に対する理解は徐々に深まっていると分析されているのです。令和元年は、雇用者のうちに占める身体障害者の人数が354,134.0人、知的障害者は128,383.0人、精神障害者は78,091.5人となっています。特に法改正に伴い、昨今、精神障害者は伸び率が大きく、対前年比15.9%の増加です。

    産業別にみると、「鉱業,採石業、砂利採取業」と「金融業、保険業」を除く全ての業種で雇用されている障害者の数は前年より増加しています。法定雇用率を上回っているのは、「医療,福祉」「農,林,漁業」「生活関連サービス業,娯楽業」「電気・ガス・熱供給・水道業」です。

    障害者雇用の助成金


    障害者雇用に関しては、障害者雇用促進法に様々な規則が定められています。また、雇用側には、さまざまな助成金を受け取ることができることです。

    さまざまな助成金

    障害者を雇用した場合、雇用側は助成金を受け取ることができます。一口に助成金と言っても様々な種類がありますが、代表的なものは下記です。

    特定求職者雇用開発助成金

    障害者だけではなく高年齢者などの就職困難者を、ハローワーク等の紹介によって雇用保険の一般被保険者として継続して雇用するものとして雇い入れた事業者に助成される助成金です。支給条件が定められており、支給金額は対象労働者の年齢や勤務条件などによって異なります。支給額は30万〜240万、期間は1年〜3年です。詳しくは厚生労働省のHPなどを確認することを推奨します。

    障害者トライアルコース

    ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介によって、障害者を一定の期間雇用することにより支給される助成金です。

    受給要件が定められており、受給額は
    “1:対象労働者が精神障害者の場合、月額最大8万円を3か月、月額最大4万円を3か月(最長6か月間)
    2:1以外の場合、月額最大4万円(最長3か月間)“
    となっています。

    他にも、障害者短時間トライアルコースがあり、こちらは障害者を継続雇用することを目的とした上で、一定期間試行的に雇用する時に助成されます。

    障害者雇用安定助成金(障害者職場適応援助コース)

    障害者を雇い入れた場合の助成金の一つです。支給額は対象労働者の障害の種別や雇用形態によって異なります。1人あたり月額3万円〜12万円の支給があります。詳細は、支給要件を確認しましょう。

    障害者雇用納付金制度に基づく助成金

    障害者を雇用するために事業主が施設等の整備をすることや、適切な雇用管理のための措置を講じた時に支給される助成金です。

    人材開発支援助成金(障害者職業能力開発コース)

    障害者の職業能力開発や向上などの為の措置を講じた事業者に対して支給される助成金です。

    障害者雇用安定助成金(障害者職場定着支援コース)

    障害者の雇用促進や職場定着を図ることを目的に必要な措置を講じる事業者への助成金です。7つの対象措置があり、それぞれ対象となる労働者がありますので、詳しくは厚生労働省のHPから最新情報を確認することを推奨します。支給金額は各措置や支給対象者などによって細かく定めされています。

    障害者雇用の注意点

    雇用側の注意点としては大きく3つあります。

    1:納付金を納めることが求められる

    障害者雇用促進法が定める障害者雇用率制度を前提とした障害者雇用納付金制度があります。民間企業は、雇用している労働者のうち2.2%以上の障害者を雇用することが義務付けられているのです。従業員を45.5人以上雇用している場合は、障害者を1人以上雇用することが必要とされています。法定雇用率を達成していない場合、納付金を納めることが必要です。なお、納められた納付金は、法定雇用率を達成している企業の助成金などに支給される仕組みが整えられています。

    2:ハローワークからの行政指導

    障害者雇用率制度の雇用義務を履行していない場合、ハローワークからの行政指導が入ります。事業者は雇用状況を報告した上で雇入れ計画を作成し、着実な実施をすることが必要です。

    3:企業名の公表

    ハローワークからの行政指導が入っても、障害者の雇用状況の改善が遅れた場合は、特別指導が入り、企業名が公表されます。実際に平成27年には障害者の雇用状況に改善が見られないとして8社の企業名が公表されました。企業名を公表されると社会貢献度が低い企業というマイナスイメージがついてしまうのでリスクです。その為か、障害者雇用の水増し問題が発覚し、平成30年度の企業名公表は行われませんでした。ただし、平成29年度までは通常のルールに基づき公表されていたので、企業にとって障害者を雇わないことは、ブランディングや評判に悪影響がある可能性があります。

    現場の理解を得るためには?

    障害者雇用を行うためには、現場の理解を得ることが大切です。大きく3つのポイントがあります。

    1:なぜ障害者雇用に取り組むのか理由を伝える

    社内の理解を得る為の第一歩として、障害者雇用に取り組む理由を伝えましょう。社員の中には、障害者雇用促進法が定める障害者雇用率制度のことなどを知らない人もいます。障害者雇用は、担当者だけではなく会社全体で取り組む必要があることだと伝え、理解を得るように努めましょう。企業としてどのように取り組むのかなど、明確な姿勢を伝えていきましょう。

    2:担当部署に雇用の目的を伝達する

    なぜその部署の配属になるのか、企業はどのようなことを期待しているのかを担当部署に伝えることも大事です。実際に障害者と働く人たちにしっかりと目的を伝えることで、理解の促進をはかることができます。どのような組織を目指していくのかを伝えておくと、障害者と一緒に働く意識が高まりやすいです。

    3:研修の実施

    障害者や障害に関する知識が不足していると不安をあおります。企業として障害者や障害に関する研修を実施することで、現場の理解を得ることができやすいです。研修は担当者向け、管理者向けなど、立場によって分けて実施することが有効です。
    担当者向けの研修では、できることとできないことを伝えたり、コミュニケーションにおける留意点などを伝えることが肝要と言えます。一口に障害者と言っても、障害特性はさまざまです。障害者も1人1人個性を持った人間ですので、接し方のポイントを伝えた上で、日々のコミュニケーションが円滑にできるようにお互いが配慮することが必要と言えます。
    管理者向けでは、サポート方法や緊急時の対応の定め方や周知の方法などを伝達することが有効です。

    まとめ