採用成功ガイドRECRUIT GUIDE


目次


    2019円4月1日から、働き方改革関連法の順次施行が進むことにより、人事の面でも採用に関する法律を見直す必要性が出てきました。中小企業の定義・優先的に対応すべき事項などが定まるにつれて、多くの会社が新たな体制を整えることを余儀なくされています。採用に関しても同じことが言え、多様な働き方・労働契約に基づいた人員の採用体制が求められます。今回は、2019年度において人事の観点から守るべき法律について、法律の名称と具体的な義務などについてご紹介します。

    1.求人募集に関する法律


    まずは、求人募集の観点から、人事職が理解を深めるべき法律についてご紹介します。 今回は、採用において重要な事項にあたる部分のみ抜粋します。

    1-1.職業安定法

    職業安定法上、求人募集において重要な観点は、2018年に法律が改正されたことによる、以下の労働条件の明示です。

    • 試用期間の有無の明示(ある場合は期間も含む)
    • 裁量労働制を採用している場合、みなし労働時間を明示
    • 募集者の社名、名前の明示
    • 派遣労働者を雇用する場合、雇用形態を派遣労働者と明示  など

    1-2.男女雇用機会均等法

    男女雇用機会均等法上、求人募集を出すにあたり守るべきことは、性別を理由とする差別の禁止です。 具体的には、以下のような例が該当します。

    • 採用に当たり、男女いずれかの性を排除する記述をしないこと(営業マン・女性歓迎など)
    • 採用人数が男女不平等にならないこと
    • 性別に応じて別途条件/資格を付けること  など

    1-3.雇用対策法

    雇用対策法上、求人募集において留意すべき点は、原則として年齢制限を設けてはいけないという点です。 ただし、例外として年齢制限が認められる場合もあるため、事情があり年齢制限を設けたい場合は、以下のような例外事由を提示しなければなりません。

    • 定年年齢を上限とすること
    • 長期勤続によるキャリア形成
    • 芸術・芸能の分野における表現の真実性などの要請がある場合  など

    1-4.著作権法

    著作権法上、求人募集で注意すべき点は、著作権違反に該当するような求人広告を作らないことです。 原則として著作権は作成者に帰属するため、基本的には掲載媒体に著作権があるものと考えてよいでしょう。よって、求人雑誌を読んで気に入ったフレーズ・写真・イラストなどがあった場合、掲載元に許諾をもらわず使用するのは注意が必要です。知らず知らずのうちに盗作となっていないかどうか、事前のチェックを怠らないようにしましょう。

    2.採用選考・面接に関する法律


    次に、採用選考・面接の観点から、人事職が理解を深めるべき法律についてご紹介します。 ここでは特に、応募時・面接時に行ってはいけない項目に注目して、NGとなる項目をいくつかまとめています。

    2-1.職業安定法

    職業安定法上、求職者に応募用紙・面接等で聞いてはいけない項目は、主に以下のような内容があります。

    • 本人に責任のない事項の把握(本籍、出身地、家族、住宅状況など)
    • 本来自由であるべき事項の把握(宗教、支持政党、人生観、生活信条など)
    • 採用選考の方法(身元調査、合理的・客観的に必要性が認められない健康診断の実施)
    「尊敬する人物」を聞くこともNGのため、パーソナリティーの把握は仕事に直結する範囲で確認することを意識しましょう。

    2-2.男女雇用機会均等法

    男女雇用機会均等法上、求職者に対する採用試験・面接時において取り扱いに注意すべき内容は、主に以下のような内容があります。

    • エントリーシート、筆記試験の受付を男女のいずれかに限定しないこと
    • 男女の別で面接の回数を変更しないこと
    • 女性に適用しない適性検査を男性に実施する  など

    2-3.労働組合法

    労働組合法第7条1項を一部抜粋すると、面接時に留意しなければならない点について、以下のような記述があります。

    第七条 使用者は、次の各号に掲げる行為をしてはならない。 一 労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもつて、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすること又は労働者が労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを雇用条件とすること。

    上記の通り、採用面接において、労働組合からの脱退、及び加入しない旨の確約がなければ採用しないと求職者に伝えることは、労働組合法において禁止されています。

    3.採用内定・解雇に関する法律


    採用内定・解雇の観点から、人事職として最低限理解しておく必要があるのは、以下の4つです。 主に、雇用契約の観点から、どの点に着目すべきかについてご紹介します。

    3-1.労働基準法

    労働基準法において、雇用契約を結ぶ場合は労働条件を明示しなければなりません。 気を付けなければならないのは【絶対的明示事項】と【相対的明示事項】の別で、少なくとも以下の内容は絶対的明示事項として必ず明示しなければならないものと、労働基準法施行規則で定められています。

    • 労働契約の期間
    • 就業場所、従事すべき業務
    • 始業及び就業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交代制勤務について
    • 賃金、昇給に関すること
    • 退職に関すること

    3-2.労働組合法

    採用・解雇の面で労働組合法上問題になるのは、不当労働行為に関する内容です。 例えば、労働組合の組合員であることを理由として解雇するのは認められていませんが、過去のユニオンでの活動を考慮して不採用とすることは、必ずしも不利益取り扱いにならない場合があります。

    3-3.男女雇用機会均等法

    採用・解雇に際し、男女雇用機会均等法において留意すべき点は、以下のようなものがあります。

    • 雇用管理の各ステージにおける性別を理由とする差別の禁止
    • 間接差別の禁止(身長、体重、体力を要件とすることなど)
    • 女性労働者に係る措置に関する特例(格差解消を目的とする、女性のみを対象とした取扱いなど)
    省令で定めるもの以外は違反にはならないものの、事情によっては裁判で違法と判断されるケースもあるため、雇用契約の際は十分留意する必要があります。

    3-4.育児・介護休業法

    育児・介護休業法において留意すべき内容としては、「妊娠又は出産したこと、産前産後休業又は育児休業等の申出をしたこと又は取得したこと等を理由として、解雇その他不利益な取扱いをしない」ことが該当します。仮に、経営環境が悪化した状況であっても上記は適用されるため、解雇・降格・減給のような措置を取らないようにすることが求められます。

    4.障害者・高校生・外国人採用に関する法律


    事業規模や業種によっては、障害者・高校生・外国人などを採用するケースもあります。それぞれの採用に関わる法律としては、以下のようなものが挙げられます。

    • 障害者採用に関する法律(障害者基本法、障害者差別解消法、障害者雇用促進法、障害者総合支援法)
    • 高校生採用に関する法律
    • 外国人採用に関する法律(入管法)
    障害者の採用に関しては、雇用の分野における障害を理由とする差別的取扱の禁止、障害者が職場で働くにあたっての支障を改善する措置を講ずることの義務化など、新たに施行された内容もあります。 人手不足の状況を勘案して高卒採用を見直す企業も増えていることから、未成年者の採用に関する労働基準法の条文を再確認しつつ、一人一社の原則などの慣例を知っておくことも大切です。

    また、外国人労働者を採用する場合、特に技能実習生・留学生に関する事項や在留資格に関する部分は、理解を深めておく必要があります。就業に支障のないよう、人事として取り組むべきことを明確にしておきましょう。

    5.採用に関する法律を学べる本


    採用の実践的な法律知識を得るには、法律の条文にそのまま当たるよりも、採用に関する法律を職務内容別にかみ砕いて丁寧に説明している本を選んだ方が理解も早まります。 以下に、採用に関する法律について、人事目線で学ぶのに適した書籍をご紹介します。

    5-1.トップ・ミドルのための 採用から退職までの法律知識(中央経済社)

    人材を採用してから退職に至るまでの法律知識が網羅されており、具体的な事例も確認できるため、職場の机に置いておきたい一冊です。著者の安西氏は、高卒後、香川労働基準局に配属された叩き上げであり、後に中央大学法学部の通信課程を卒業して労働基準監督官に合格しています。労基の側から書かれている知識のため、これを守っていれば問題ないという安心感があります。
    >トップ・ミドルのための 採用から退職までの法律知識(中央経済社)

    5-2.採用から解雇、退職まで(労働調査会出版局)

    改訂9版を数える解説書で、こちらも雇い入れから解雇・退職までの流れで一通りの知識がまとめられています。本文における情報元となる条文を逐一紹介してくれるため、労働条件・労働契約全般に関わる実務を分かりやすく紐解きながら、根拠を知ることができます。行政解釈・裁判例・実務Q&Aなど、情報量も豊富です。
    >採用から解雇、退職まで(労働調査会出版局)

    5-3.最新版 労働法のしくみと仕事がわかる本(日本実業出版社)

    情報が新しく、2019年4月施行の働き方改革法にも触れられている解説本です。会社にとっての労働法の位置づけを説明するところから始まり、求人・解雇・休職・ハラスメント・退職と、場面別に小分けされており、初心者向けの一冊です。
    >最新版 労働法のしくみと仕事がわかる本(日本実業出版社)

    6.まとめ


    以上、概要のみの紹介となりますが、採用に関する法律で人事として理解を深めておきたいものをご紹介しました。募集から採用・退職に至るまで、法規に縛られる部分が大きい人事業務では、人に関わる法的知識の有無が会社の評価を決めることにつながります。SNS等の普及に伴い、会社側に何か不手際があれば、求職者側が簡単に発信できる時代になりました。そのため、会社側に非のない体制を整えるためにも、法律を順守する意識を年々高めていかなければなりません。 すでにできあがっている雇用契約書の中にも、内容が古くなってしまった部分は少なくなく、法改正に準拠した内容に書き換える必要が出てくることもあります。面接時のマニュアル・採用時の慣例となっているものなど、できるだけ早く自社の中で時代遅れ・法律の基準を満たしていないものを洗い出し、改善につなげていきましょう。

    【この記事を読んだ方におすすめ】
    >なぜ求人に年齢制限を設けてはいけないのか?年齢制限して採用したい場合の方法とは
    >【企業向け】試用期間をちゃんと理解していますか?試用期間を設ける理由から解雇の注意点まで。
    >増えている採用時のリファレンスチェック。違法にならないように注意して実施しよう

    【参照】
    厚生労働省「労働者を募集する企業の皆様へ」
    厚生労働省「男女均等な採用選考ルール」
    厚生労働省「その募集・採用年齢にこだわっていませんか?」
    厚生労働省「公正な採用選考の基本」
    厚生労働省「外国人雇用はルールを守って適正に」
    「労働組合法」
    「労働基準法施行規則」

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