採用成功ガイドRECRUIT GUIDE


目次


    2020年を迎え、日本における「働き方改革」は、スローガンだけでなく次第に具体性を伴い始めました。 今回の法改正は、社員の仕事内容・生活に関わる法改正が多いことから、気を引き締めて変更点等を確認しておく必要があります。

    この記事では、2020年に施行される法律に主眼を置き、各ジャンルにおける改正の概要と、人事業務において具体的にどのような点が変更される可能性があるのかをお伝えします。 働き方関連法・労働者派遣法・パワハラ防止関連法・個人情報保護法の4ジャンルは、必ずチェックしておきましょう。

    1.人事に関わる2020年の法改正①働き方改革関連法


    2019~2020年の法改正で目玉となっているのが、働き方改革関連法の施行です。 2019年の段階で主要なものは施行されましたが、2020年4月1日から施行されるものもあります。 以下に、それぞれの概要と変更点をご紹介します。

    1-1.時間外労働の上限規制(中小企業)

    大企業は2019年に施行されていますが、中小企業にも時間外労働の上限規制が適用されます。 中小企業の基準は、業種・資本金・常時使用する労働者数によって変わってきますが、この選別は2019年の時点で済んでいるため、今回の施行で「中小企業の生産性向上」が否応なしに求められることになります。

    今後、中小企業も「残業時間月45時間、年間360時間」を超えることが許されなくなります。 また、繁忙期などの特別な事情があったとしても、単月100時間(休日労働含む)・複数月平均80時間(休日労働含む)、年720時間未満を超えると罰則が適用されます。 違反企業は「6か月以下の懲役または30万円以下罰金」の対象となるため、勤怠管理システムの導入など、残業時間の管理を徹底する仕組み作りが求められます。

    1-2.正規・非正規雇用労働者間の不合理な待遇差の禁止(大企業)

    かつて、正規・非正規の違いで大幅に給与が異なっていた時代は終わり、2020年4月からは、短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム・有期雇用労働法)によって、「同一労働同一賃金」が徹底されます。 不都合な賃金差を設けるのはもちろんのこと、社員の将来性などといった主観的な評価を待遇差の基準とすることも認められません。 人事の側で、基本給・賞与・役職手当・福利厚生など、個々の待遇ごとに根拠を用意する必要があります。

    2.人事に関わる2020年の法改正②労働者派遣法


    働き方改革関連法の動きに加えて、2020年4月は労働者派遣法の法改正も控えています。 こちらも、中身をきちんと確認しておかないと、派遣元とのトラブルにつながるため、新しいルールを頭に入れておきましょう。

    2-1.賃金の決定方式を派遣元が選べるようになった(派遣先均等・均衡方式/労使協定方式)

    労働者派遣法の改正で大きなポイントは、派遣労働者の賃金の決定方式についてです。 方法は2種類で、派遣先均等・均衡方式と、労使協定方式に分かれます。

    まず、派遣先均等・均衡方式は、派遣先の正社員賃金を参考にして賃金を決定する方法です。 賃金は、派遣先で派遣労働者と同一の仕事を行っている社員と均衡のとれた額でなければならず、派遣先の企業は派遣元に従業員の賃金に関する情報提供が義務付けられています。 これに対して労使協定方式では、一般労働者の平均賃金を参考にして、労使協定によって派遣元が待遇を決めます。 一般的な労働者の賃金と比較し、同等以上の賃金にする必要があるため、派遣先に対する負担は少ないのが特徴です。

    いずれを選んだにせよ、派遣先企業の人事は、派遣労働者の給与が派遣先の正社員に比べて不当に低くならないよう対応しなければなりません。

    2-2.派遣先企業のリスクとは

    人事がもう一つ頭に入れておかなければならないのは、今回の法改正には罰則があることです。 派遣先均等・均衡方式を選び、派遣先が比較対象労働者の情報を提供しなかった場合、勧告ならびに社名公表の対象となります。 その他、正社員と同等の教育訓練を与えること・福利厚生施設(食堂や休憩室など)も正社員と平等に利用させることなどが「義務」となったので、社内の設備を整えつつ、全社員に厳しく訴えることが必要です。

    3.人事に関わる2020年の法改正③パワハラ防止関連法


    セクハラに対する企業の目は年々厳しくなりましたが、パワハラの分野でも法改正が進み、2020年6月にはパワハラ防止関連法の施行も控えています。 日本の法律においてパワハラが規定されるのは初めてとなり、企業側にも多くの努力が求められます。

    3-1.パワハラが何を意味するのか、あらためて知っておく

    厚生労働省では、パワハラ行動例を主に6つのパターンに分けており、それぞれ「身体的な攻撃」・「精神的な攻撃」・「人間関係からの切り離し」・「過大な要求」・「過小な要求」・「個の侵害」となっています。 暴力をふるう身体的な攻撃・侮辱や暴言といった精神的な攻撃は刑法に触れる話ですから論外ですが、表面的には分かりにくい集団での無視、能力よりも過分な仕事を押し付ける、逆にキャリアからかけ離れた単純作業をやらせる、業務に関係ないプライベートな話を振るなどの行為は、明確にパワハラとして定義されています。

    3-2.パワハラの定義と予防の徹底

    人事に求められるのは、先の例に挙げた「パワハラとはどういう行為を指すのか」を社内に浸透させることと、パワハラが起こらない職場にするための予防法を策定することです。

    企業の側で就業規則・労使協定を制定した後、社員全員にパワハラがどういうことなのかを理解してもらうには、社長や幹部の表明だけでは足らず、研修を社員に根気強く受けさせることが肝心です。 また、アンケート用紙を用意するなど、パワハラの実態を率直に上層部に伝えられるような仕組みを設けたり、パワハラ問題の専門家が相談に乗れるような窓口を用意したりと、問題が大きくなる前に手を打つことが肝心です。

    4.人事に関わる2020年の法改正④個人情報保護法


    2020年2月現在において、個人情報保護法の分野では「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直し制度改正大綱」が、個人情報保護委員会から公表されています。 その中で、法改正による対応を行うものは、2020年の通常国会において改正法案提出を目指す予定となっています。

    4-1.現行法と改正大綱の内容を比較して考える

    具体的な改正の動きは確定していないものの、大綱の中で「おそらく改正される公算が高い」と思われるものは、いくつか確認できます。 特にポイントとなるのは、利用停止権・消去権・第三者提供停止権の強化、仮名化情報の創設、保有個人データの範囲拡大などが該当するでしょう。

    • 個人情報に対し、権利利益の観点から本人が関与できる範囲や権利行使要件の緩和。
    • 保有個人データの範囲拡大に「6ケ月以内に消去する個人データ」が含まれること。
    • 個人が特定できない形に加工してかつ元に戻せない状態にしたデータの取り扱い。

    これらの点を確認した上で、現在の個人情報管理状況を踏まえ、今後の対応を再検討することが求められます。

    4-2.ペナルティの重科を軽視しない

    先に挙げたポイント以外にも、改正大綱で法改正につながるポイントは存在します。 法改正に向けた対応を効率的に進めていくためにも、特に自社の管理状況でペナルティにつながりかねないケースについては、特に優先して対応することを想定しましょう。

    就職情報サイトの内定辞退率予測データ販売など、記号化した個人のデータをめぐり、企業側のモラルが低下している状況を踏まえ、大綱ではペナルティの在り方についても言及されています。 現行の法定刑(1年以下の懲役または50万円以下の罰金)に加え、法人処罰規定に係る重科の導入など、必要に応じて見直しがかかるものと予想されるため、実際に改正された際には自社の弱点となる部分に注視して対応を進めましょう。

    5.まとめ


    2020年における法改正では、働き方改革関連法・労働者派遣法・パワハラ防止関連法・個人情報保護法の4点に着目し、改正に向けた対応スケジュールを立てることが大切です。 大きな視点で見ると、立場に関係なく待遇を平等にすること、不当な圧力をかける社員を生まないよう環境を改善すること、企業が個人情報の取り扱いをより厳密に行うこと、これらが法改正の主な目的と言えます。

    残業時間や待遇に関する法改正は、日本人が長年あいまいにしてきた部分にメスを入れることにもつながるため、仕組み作りが今後の会社の評価に影響することを十分考慮して対応したいところです。 罰則に関連する部分も漏らさずチェックを入れ、社員全員に浸透させる工夫をしましょう。

    パワハラについて言えば、日本人の美徳である「努力」を過剰に信奉した結果、当人に悪意がなくても失敗につながるケースが考えられます。 若年者以上に年配の社員の思考を変化させなければ、将来的に自社に新しい人材が寄り付かなくなるリスクもありますから、研修と窓口の二段構えは最低限用意しなければなりません。

    最後に、採用にあたって多数の個人情報を取り扱う人事職は、その情報の取り扱いに重大な責任があることを、今一度自覚しておきましょう。 利益を優先するあまり、モラルを見失ってペナルティを受けては元も子もありませんから、法の利益を最大限受けられる解釈を法務などと相談し、適切に対処することが肝心です。

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    【参照】
    個人情報保護委員会「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直し制度改正大綱」

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