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    smartの法則

    人事評価における目標や、新卒・中途採用における採用基準の設定は、時に担当者を非常に悩ませます。 評価基準・採用基準を考えるのが初めてという担当者の中には、目標をどう立てればよいのか分からなかったり、採用基準としてどんな条件を考えるべきなのか思いつかなかったりするケースも少なくありません。

    そんな時に役立つのが「SMARTの法則」です。 1981年に提唱されたこの法則は、各業界や著名人によって様々なアレンジがなされているものの、目標設定において重要なポイントが網羅されています。 この記事では、SMARTの法則を活用した目標の設定方法・設定例を、活用時のコツも踏まえてお伝えします。

    1.SMARTの法則とは

    そもそも、SMARTの法則について詳しく知らない人も多いと思いますので、まずは基本となる5つのポイントを押さえましょう。 いずれも具体的な例をもとに理解すると分かりやすいため、かんたんな例も含めてご紹介します。

    Specific(目標が明確・具体的であること)

    目標を立てる場合、なぜその目標でなければならないのか、明確かつ具体的なところまで考え抜くことが大切です。 単に「優秀な担当者」を育てるという目標ではなく、何をもって優秀とするのかを具体的に決めて、例えば「お客様アンケートで過去最高の評価をもらえるオペレーター」や「ミスゼロ1年達成の請求担当者」など、誰もが分かりやすいイメージにまで落とし組みましょう。

    Measurable(計量が可能なこと)

    目標は、できるだけ客観視できるよう「計量できるもの」に絞りたいところです。 例えば、営業成績なら前年比で目標を想定したり、訪問数に対する成約率を計算したりして、誰もが可視化できるようにすることが大切です。

    Achievable(社員が目標達成について同意していること)

    せっかく目標を設定する以上、すべての社員がそれぞれの目標に対して同意しなければ意味がありません。 業務効率化を目標とする場合、作業を減らすことが別のセクションに影響を及ぼさないよう、原則として一つひとつの目標に各社員の同意が必要という意識を持ちましょう。

    Relevant(経営目標に根差したものであること)

    目標達成の動機は、つまるところ経営目標の達成です。 現場は営業利益を重視しがちですが、究極の目標は純利益増であって、売上のために費用を余計に計上するのは本末転倒ですから、無理のない目標設定が求められます。

    Time-bound(期限が設定されていること)

    人生が有限である以上、どんな目標も無期限であることは許されません。 「画期的なシステムの構築」を目標とするだけではなく、その前に「○年以内に・○ヶ月以内に」という条件付けが必要です。

    2.SMARTの法則で目標を設定する方法

    SMARTの法則に当てはまる目標を設定するには、法則と具体的な目標の内容とを照らし合わせながら、最終的な目標に落とし込む方法がスムーズです。 経理部の例で言えば、以下のような形で目標全体を見通せるようにすると分かりやすいでしょう。

    目標イメージ ルーティーンワークのミスをなくす
    Specific(目標が明確・具体的であるかどうか) 日次業務における作業のすべてを正確にする
    Measurable(計量が可能かどうか) ミスをダブルチェックする担当者が、各業務のミスを計測する
    Achievable(社員が目標達成について同意しているか) お互いのチームワークを深める意味で行い、ノーミスならばダブルチェック者も含めて昇給の対象となる
    Relevant(経営目標に根差したものであるかどうか) ミスがなければ業務は効率化され、経営戦略を立てる際の資料を補正する必要がなくなる
    Time-bound(期限が設定されているかどうか) 月単位・年単位でミスの数をカウントし、期間内ミスゼロを達成したらボーナス増額
    最終目標 今年度における経理部のミスゼロ達成

    ここで注意しておきたいのは、目標一つひとつに対して、そのプロセスを明確に意識することです。 先の例であれば、どうしてその目標が必要になるのかを経営目標から考えた上で、難易度が高いと思われる目標を達成したらそれ相応の報酬を用意するなど、理屈が通ったものでなければ他部署も納得しないはずです。

    また、監視する立場の人間は、必ず社員の取り組みについてフィードバックが必要です。 ただ目標を達成するだけでなく、達成に向けてどのような努力を続けていたのかを把握した上で、その結果がどうだったのかを確認して初めて評価が下せるものと考えておきましょう。

    3.SMARTの法則の注意点


    続いては、先にあげた注意すべき2点について、もう少し詳しく掘り下げていきましょう。 どちらも評価する立場にとっては責任重大な部分ですから、ないがしろにせず一つひとつ確認しながら進めていきたいところです。

    目標のプロセスを意識する

    経営目標に根差した目標設定・目標達成だけでなく、そのプロセスに意味があるのかどうか、設定する側は理論を構築しなければなりません。 例えば、営業目標の達成は売上増、経費削減目標の達成は費用減につながるメリットがあるなど、目標の裏にあるものを意識しましょう。

    フィードバックをする

    目標設定・達成の過程で最も悪いことは、部下が「やりっぱなし」・上司が「言いっぱなし」になることです。 必ず、部下がやったことに対して評価を伝え、その上で今後のビジョンについても共有する必要があります。 特に、部下は上司に比べて経営目標への理解が不足しているケースが多いので、目標の背景にある社長や幹部の考えを伝えることが大切です。

    4.SMARTの法則を活用した目標設定例

    実際にSMARTの法則を活用して目標を設定している例には、どのようなものがあるのでしょうか。 以下に、管理部門で応用できる設定例をいくつかご紹介します。

    経理部のケース

    経理部は、日々の仕事が締めと隣り合わせのため、新しいことを積極的に取り入れる余裕がないケースは珍しくありません。 よって、その忙しさを軽減することにフォーカスした目標設定を行えば、部署全体がメリットを享受できます。 例えば『月次業務の作業完了日を2日早める』・『決算資料を4月上旬までに揃える』など、普段の業務を早めに済ませることを目標にするとスムーズです。

    人事部のケース

    人事の仕事は計量するのが難しいとされていますが、ポイントを押さえれば計量も不可能ではありません。 特に活用したいのは「社員アンケート」など、社員の声を集められるツールです。 配置換えに伴う満足度の集計や、異動を希望する人員の数など、自分たちが行った施策に対する反応や評価を計量すれば、実績を客観的に確認できるでしょう。

    総務部のケース

    総務部にSMARTの法則を当てはめて考えるならば、会社の健康状態を数値化して把握できるよう、費用面でのお金の流れを把握することがポイントです。 『前年比で消耗品費の20%減』・『Web活用による広告宣伝費の3割圧縮』など、数値目標を定めて年度ごとに結果を確認しながら目標達成に向けて行動すれば、その分利益が残ります。 ただし、他の部署に極端な負担を強いるようなやり方はチームワークを乱すため、あくまでも各部署が無理なくできるよう目標と向き合う姿勢が求められます。

    5.SMARTの法則で目標設定する効果

    SMARTの法則で、目標をテーブルにまとめながら検討していくと、一つひとつの目標を達成する目的や評価の方向性が定まりやすくなります。 具体的には、SMARTの法則を活用しなかった場合に比べて、以下のようなメリットがあります。

    人事で社員を評価しやすくなる

    目標が具体的で数値化されていればいるほど、目標に対する評価は客観的なものになります。 定性評価が必要な場面は往々にして存在しますが、計量化された目標が多いと、その分人事評価の面で担当者の労力は軽減されるでしょう。 会社は社員一人ひとりが集まって運営するものですから、できるだけ細かいところまで目標を落とし込んでいくと、評価される側は嬉しいですし、評価する側も楽になります。

    業務遂行力が上がる

    SMARTという単語が示す通り、SMARTの法則は業務遂行力の向上・業務効率化を図る上でとても効果的です。 法則を活用すれば、標語のように目標を提示するだけでなく、達成に至るプロセスまで考えて作り込めるため、目標達成に向けて社員が行動するだけで良い効果が期待できるからです。 設定した時点で、達成のメリットがイメージできる目標を作ることは、それ自体が業務遂行力の高い行為と言えます。

    モチベーションが向上する

    SMARTの法則を応用して正しく目標を設定することは、社員一人ひとりのモチベーション向上につながります。 目標設定の段階で、目標そのものに問題意識が含まれているため、達成することが各社員の将来につながるものと理解できるからです。 もちろん、SMARTすべてのポイントを押さえた目標設定であることが大前提です。

    6.まとめ


    SMARTの法則自体は、古くから存在していた目標設定の考え方ですが、現代において数多くのエッセンスを取り入れ日々進化している考え方でもあります。 よって、目標の設定・達成を実現したからといって、そこで成長が止まるわけではありません。

    SMARTに用いられている単語も、それぞれAやRの意味が微妙に違っていたり、業界によって解釈が異なったりと様々です。 また、SMARTER・SMARRTなど、より多くの要素を盛り込んだ考え方も生まれています。

    作業効率化・計量化などにとらわれ過ぎず、自分たちの組織を成長させるために新しい考え方を取り入れるなど、担当者もまた成長が求められています。 フレームだけにとらわれず、社員の大多数が満足できる評価方法を考案することが、人事の最終目標と言えるでしょう。

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