採用成功ガイドRECRUIT GUIDE


目次


    仕事の目標設定には「数字」がつきものです。営業部門であれば営業成績、販売部門であれば販売実績など、目に見える数字で成果を表現できるため、目標設定も比較的容易です。しかし、管理部門には数値化できる要素が少なく、それゆえに目標設定があいまいになりがちで、成果として目に見えるものを提示することが難しい傾向にあるとされています。ただ、全く設定ができないというわけではなく、会社によっては独自の基準で評価値を設けているところもあります。この記事では、管理部門の目標設定について、どのような形で進めていくのが望ましいのか、具体例を挙げながら解説していきます。

    1.管理部門にも目標設定は必要?


    管理部門では、目標設定を行わないまま社員が仕事に臨んだ場合、どうしても前例に沿った形で仕事を進める傾向があります。経理部門など、やるべき仕事が通年変わらず、変わるのは数字・ルールだけというケースでは、特にその傾向が強まります。その上、人間関係も固定化されやすく、発展性に乏しい組織になるリスクをはらんでいます。よって、できる限り公平な目標設定を取り入れることが、以下のメリットにつながります。

    2.管理部門の職種別目標設定例


    実際に各社でどのような目標設定や評価を行っているのでしょうか。職種別に事例を交えてご紹介します。会社ごとに組織をどのように動機づけしたいのかは異なりますので、一つの参考にしていただければ幸いです。

    2-1.経理・財務

    経理・財務における目標設定を考える場合、無理に定量的な目標設定や大掛かりな提案を求めてしてしまうと、無駄な仕事が増える可能性もあるので注意が必要です。例えば、業務効率を高めるために流行りのAIやRPAを使った改善を進めるといったプロジェクトは、毎年発生するものではなく、また個人で取り組むものではありません。それよりは、経理・財務の日々の業務でミスがないことや、定型業務の見直し・マニュアル化による効率改善といったことを評価すべきでしょう。また、資格取得や新しい知識のインプットを日々行っていること、更にそれを研修・勉強会などでアウトプットしていることなどを評価するのも良いでしょう。会社にとって、部署にとって今後の財産になるようなことが、経理・財務のメンバーの評価ポイントになります。

    2-2.人事

    人事もチームワークで事が動く組織性を持っているため、部門としての目標設定は難しくなくても、個々人の能力を示すための目標設定は難しい傾向にあります。そこであえて、自らが行っている業務の中で業務改善ができそうな分野を目標に据えさせ、上司がそれに対してフィードバックするスタンスの目標設定を行うと、一定の効果が期待できます。ある企業では、仕事や会社のことで社員の相談に乗った際に、その対象となった社員から「サンクスカード」が渡される仕組みを使っています。サンクスカードを受け取った枚数を定量的に計測する評価の一つとしています。社員と関わってきた時間が、そのまま評価の対象となるのであれば、人事冥利に尽きるのではないでしょうか。

    2-3.総務

    総務が人事部門と独立している場合は、総務独自の目標設定が必要です。総務の実績として最も分かりやすいのは、会社の「経費削減目標」の達成でしょう。経費管理やコスト削減と聞くと、経理部門が管理する立場にありますが、具体的に会社の経費について深く関わっているのは総務です。人件費・備品費用・減価償却など、経理が処理するデータ・仕訳の基礎となるものは、多くの会社で総務の管轄となっていますから、ごく自然に対応することができるでしょう。

    2-4.法務

    法務の仕事を一定の基準で評価する場合、その仕事内容によってランク付けする形が可視化しやすくなります。一口に法務の仕事と言っても、日常的に行う業務・業務内容の改善・突発的な案件への対応に分かれるからです。ある企業では、対応した業務の難易度や仕事にかけられる時間に応じて、ポイント制を導入して、定量的に評価する取り組みをしているようです。突発的な案件を収拾すれば、最低10ptを超えるポイント取得。業務内容をより効率的にできるようにすれば、10pt以内でのポイント取得。日常業務のノーミスであれば、一律5ptを取得。あくまでも一例ですが、このように業務とポイントを区別して活用しているようです。

    2-5.事務・秘書

    受付や営業活動に携わる事務職・幹部や上司に代わってスケジュール調整を執り行う秘書の仕事は、他の管理部門と比べて評価基準を打ち出すのが難しいかもしれません。そこで、受付事務なら来客対応、営業事務なら営業スタッフ、秘書なら幹部・上司といったように、関係者からの評価を重視する仕組みを設けるのがよいでしょう。人事同様にサンクスカード・お客様アンケートなどを使った評価基準を設けると、それ自体がフィードバックになります。もちろん、他の管理部門同様、業務改善・日常業務の評価基準を追加することも忘れずに。

    3.管理部門の目標設定をするメリット


    3-1.社員の参加意識やモチベーションが上がる

    まず、分かりやすい目標設定を実現することで、社員の側も積極的に取り組みに参加しようという気持ちになります。目標達成後のインセンティブなど、成果報酬を加えることで、同じルーティーンワークでもモチベーションに差が生じます。長年管理部門で勤務している社員ほど、営業部門・販売部門との賃金格差・評価の差などに納得がいっていないケースは珍しくありません。多くの場合、評価体系が管理部門向けに構築されてこなかったことが一因であり、どの仕事に対してどういう評価を経営陣が下すのかを明確にすれば、働くことへの意欲もプラスになります。

    3-2.社員同士のコミュニケーションが増える

    個人の成績が重視される営業・販売部門に比べて、管理部門は個人プレーを評価する仕組みが整っていません。というよりも、人や部署との関連性の中で自分の仕事が定まっているため、チームプレーが評価されるスタンスの部署が多いのです。よって、自らの成績を向上させるには、必然的に他の部署・スタッフとの円滑なコミュニケーションが求められ、その結果が自分の仕事に反映されます。ある意味では、円滑に仕事を進めるコミュニケーション自体が、評価の対象となる可能性も十分あります。

    3-3.評価がしやすく公平な評価ができる

    客観視することが簡単な評価制度を設けることで、評価の「なぜ」が具体的に定まります。誰の目から見ても「目標を達成した」ことが分かれば、不満も生まれにくいですし、自分自身が今後どのように努力を積み重ねればよいのかが見えてきます。ミスゼロのように、その月に全くミスをせず仕事を行ったスタッフがいたならば、そのノウハウを共有することで仕事がより効率的に進められます。自分だけでなく、管理部門にとっても大きな貢献となる要素を目標化できれば、その実りは組織にとって大きなものになるでしょう。

    4.管理部門の目標設定時に注意すべきこと


    実際に管理部門の目標を設定する際には、いくつか注意すべき点もあります。以下に、主なものをご紹介します。

    4-1.企業目標から個人目標に落とし込む

    目標を立てる場合、個人が自分の物差しで目標を立てることは、会社に貢献する結果につながるとは限りません。あくまでも、会社全体の目標である「企業目標」を物差しにして、そこから自分は何をすべきかを考え、個人目標に落とし込むという観点が大切です。ここを勘違いしてしまうと、目標達成自体が無駄骨に終わってしまうかもしれません。フィードバックする側も、企業目標という視点を忘れないようにしましょう。

    4-2.中長期的な目標から立てる

    管理部門の目標設定は、月単位・週単位など、営業成績のように細かく立てることに向いていません。最低でも3ケ月・半年というスパンから、目標を構築することが大切です。経費対策一つとっても、1ヶ月で達成できるようなものなら、逆に「どうしてすぐにやらなかったのか」と経営陣は考えるはずです。部門全体の目標とするのであれば、長い目で見て取り組めるものを想定することが大切です。

    4-3.数値化した目標が難しければ、数値化できない目標を立てる

    目標設定とその達成は、やはり何らかの形で数値化できた方が分かりやすいものです。しかし、各部門が置かれている状況によっては、重要度の高い仕事を数値化できないケースもあるでしょう。一例として、新システムの導入と円滑な運用を今年度の目標に掲げた場合、そもそも基準となるデータがないため、どこまでが「円滑」と言えるのかが不透明です。しかし、導入と運用自体は会社にとって不可欠なものですから、導入それ自体を評価せざるを得ず、数値化は適当でないことが分かります。

    4-4.具体的な目標を立てる

    会社の目標設定において数字が重視されるのは、数字自体が具体性を伴うものだからです。「前年度の売上を超える」よりも「対前年比150%増を目指す」と表現した方が、誰の目から見ても分かりやすいはずです。しかし、例えば人事考査に用いる人事評価シートの改善などは、以前のシートとの違いを数値化して表現することが難しい場合もあり、そもそも採用されることを目標にしている以上、OKかNGかの二通りしか回答がありません。よって、単純な数値化だけにとらわれず、その目標が具体性を伴っているかどうかを判断することが大切です。

    5.まとめ


    目標を定める場合、「定量目標」と「定性目標」という、2つの視点から目標設定を考える必要があります。パーセンテージ・実数の設定による定量目標と、最終的な完成形をイメージする定性目標とでは、目標達成の動機が異なります。しかし、どちらも会社にとっては大切なことで、管理部門では特に定性目標の達成が求められるものと考えられます。無理やり数値化できる分野を探すより、数値化できない分野での改善点を探った方が、かえって答えが見つかるかもしれません。管理部門にしかできない分野での適切な目標設定は、会社の労働環境の改善につながり、長い目で見て社員の定着につながります。数値化にこだわらず、会社の置かれている状況から目標を立てることを意識しましょう。

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