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目に見える数字がある営業部門・販売部門とは違い、明確な数値目標を追うわけではない管理部門は、人事評価における目標設定が難しいという特徴があります。 具体的な目標設定がなければ「同じことの繰り返し」になりがちなのも、ルーティーンワークが多い管理部門に見られる傾向の一つですから、適切な人事評価を行うことで社員のモチベーションを高めることが大切です。 この記事では、人事評価における目標設定について、主に管理部門向けのポイント・目標設定例などをご紹介します。
1.人事評価における目標設定の重要性
そもそも、人事評価を行うにあたり、目標設定は非常に重要な意味を持っています。 各社員が自分の仕事に意味があることを再確認できるだけでなく、評価する側にとっても分かりやすい指標ができるため、例えば以下のようなメリットが生まれます。
人事評価しやすくなる
評価の内容が抽象的だったり、評価された側が的を射ていないと感じた内容だったりすると、社員は人事評価に不信感を抱きます。 しかし、具体的な目標設定にもとづいて評価がなされている場合、評価を受ける社員は納得せざるを得ないため、評価する側・される側の心理的なギャップが減り、人事評価をスムーズに進められます。
業務遂行力が上がる
漠然とした指示にもとづいて業務を行うのと、具体的な目標が共有されている中で業務を行うのとでは、その遂行力に差が生じてきます。 何を・いつまでに・どのように行うのかが明確に指定され、どのようなパフォーマンスが評価につながるのかが分かりやすく提示されていれば、社員を目標のない漫然とした勤務から解放できます。
モチベーションが向上する
職務に対する正しい理解の下で目標を設定すると、多くの社員は定められた目標を達成しようと動き出します。 特に、管理部門は納期・締めなどに追われることが多く、それ以外の面で仕事の質を向上させることに意識が向きにくい傾向があります。 そのため、良い目標設定は、より質の高い仕事に向けてモチベーションを高めるのに貢献してくれます。
2.目標設定する上でのポイント
人事評価において実際に目標を設定する場合、漠然とした目標では意味がありません。 仕事の効率化・業績アップなど、目標達成に対して何らかの見返りがあることが分かってこそ、社員は目標達成に向けて行動します。 続いては、社員の原動力となる目標設定を行う上でのポイントについてお伝えします。
達成可能な範囲で具体的に
目標を設定する場合、その難易度が大切になってきます。 簡単なものは社員のハードルになりませんし、難し過ぎると多くの社員が不満を述べるようになります。 各社員が今の実力から背伸びすれば届く範囲に目標を設定し、かつ具体的な内容を提示する必要があります。
定量評価
具体的な目標を提示する場合、定性評価よりも定量評価の方が、評価基準を分かりやすく説明できます。 しかし、管理部門の場合、業務内容を数値化して分析するのが難しいケースは往々にして存在し、目標設定に悩む人事担当者は少なくありません。 ただ、例えば作業効率の面で考えると、残業時間を減らす・作業数を減らすなど、仕事の流れ自体を定量化できた場合にその減少度に応じて評価値を付けることもできますから、必ずしも管理部門だからといって定量評価が難しいとは限りません。
期日を明確にする
より直接的な方法で定量評価を行うのであれば、本来期日が定まっていなかった業務に、あえて期日を設ける方法があります。 結果的に作業効率を向上させ、その功労者がハッキリ分かるようになれば、会社としてもメリットがあるはずです。
3.目標設定に使えるSMARTの法則
どうしても目標設定に悩んでしまう場合は、目標設定における5つの成功因子を特定した「SMARTの法則」を活用してみましょう。 この法則は1981年に提唱されたもので、組織の力を最大化するために何をすべきかが5つにまとめられています。 以下に、各要素についてご紹介します。
Specific(目標が明確・具体的であること)
目標を設定するなら、誰の目から見ても明確で、かつ具体的かどうかを考えましょう。 一部の人間だけにしか理解できない目標設定では、目標達成のメリットが伝わりにくく、モチベーション向上にもつながりません。
Measurable(計量が可能なこと)
進捗や達成度が確認できるような目標でなければ、本当に目標を達成しているのか、該当社員も人事も客観的に判断することができません。 せめて目安になるものを用意して、目標を管理する体制を構築する必要があります。
Achievable(社員が目標達成について同意していること)
どんな仕事・目標であっても、細かく役割や権限を割り当てることが大切です。 その上で、社員が設定した目標に同意して、達成する可能性を見据えているかどうかが重要になってきます。
Relevant(経営目標に根差したものであること)
どんなに素晴らしい目標でも、それが自社のリソースで難しいようであれば、絵に描いた餅で終わってしまいます。 現実を把握しつつ、経営目標に根差した目標設定になっているかどうか、事前に確認しましょう。
Time-bound(期限が設定されていること)
目標の達成に期限を設けていなければ、もはやそれは目標とは呼べません。 せっかく目標を設定するなら、何をいつまでに達成するのかを決め、努力目標で終わらせないようにしたいところです。