採用成功ガイドRECRUIT GUIDE


目次

    経理の人事評価ポイントや目標設定方法

    バックオフィスの中でも、比較的スケジュールがタイトに設定されている経理スタッフは、どうしても日次・月次・年次という枠組みで仕事を捉えがちです。 その結果、ルーティーンワークのミスゼロが大きな目的となるため、会社によっては人事評価ポイント・目標設定などに幅を持たせられず、社員一人ひとりの評価が画一的になってしまう点は否めません。

    しかし、実際に評価基準を細分化していくと、思っていた以上に経理の仕事が多岐にわたっていることが分かります。 この記事では、経理の人事評価ポイントや目標設定方法について、ガイドラインや具体例も含めてご紹介します。

    経理の人事評価基準の作り方

    経理の人事評価基準の作り方

    まずは、経理の人事評価基準の作り方についてご紹介します。 バックオフィス部門であれば似通った部分もありますが、やはり細分化すれば経理独自の内容が増えていきます。

    1.階層を区分する

    人事評価基準を作成する場合、どの部門でも階層ごとに評価基準を設定していきます。 いわゆる等級もその一つで、社員数によって等級数は上下しますが、役職や責任の度合いによって概ね2~6段階で区分していきます。 経理職で言えば、経理部長・課長は4等級、係長・主任クラスは3等級、ベテラン社員は2等級、新入社員は1等級といった具合です。

    2.基準点を設ける

    次に、それぞれの等級ごとの仕事内容を整理していき、主に誰が何をやっているのか(誰が担当なのか)を明確にして行きます。 その上で、職務の最終責任者・主な担当者・人員不足時のサポーターという三段階で、各職務の責任が誰に・どこまであるのかを明らかにします。 各職務において、最低限やらなければならないことをした場合は点数を「3」とし、そこから業務達成度・改善の度合いに応じて5段階で評価するようにします。

    3.成果を細分化する

    基準点の対象が一通りまとまったら、それぞれについて「評価の定義」・「チェックポイント」など、評価する成果の細分化を行っていきます。 例えば、クレジットカード売上管理であれば、期限までに売上データを既存の方法でまとめることを「3」とし、期限前にデータをまとめられた・より効率的な方法を考案したなどのパフォーマンスがあれば4~5、期限内にできなかった・サポーターの力を借りたようであれば1~2といったように、仕事の成果に応じて評価を下せるようにします。

    >【経理】最新のマーケットレポートをチェック


    経理の人事評価基準の具体例

    一般的に、ルーティーンワークが多い経理職は、人事評価基準を作るのが難しいと考えられています。 しかし、着眼点によってはスタッフの働きを細分化することも不可能ではなく、むしろ各スタッフの違いを浮き彫りにすることができます。

    一例をあげると、業務の難易度にかかわらず「ミスゼロ率」をチェックすることは難しくありません。 現代では、Excelなどの表計算ソフトを使えば計算ミスは大幅に防げますし、会計ソフトは仕訳が合わなければチェックをかけて修正することもできます。

    取り扱う数字の量は多くても、それをチェックする機構がアナログでなければ、大きな間違いに至るケースは少なくなってきています。 にもかかわらず、数字入力のミスが多い・周囲と比較して明らかに計算能力が欠如しているような場合は、やはりスタッフの中でも能力の差が目立ってしまいます。

    途中過程でミスを起こすのは人間なら当然ですが、納品物にミスがあることは原則として許されないため、その点で責任感を評価基準に含めることもできます。 このように、職務適性・責任感・スキル習熟度など複数のファクターが確認できる基準を見つけ出せれば、効率的な評価につながります。


    管理部門・士業の採用はMS-Japan

    厚生労働省の評価ガイドライン

    評価基準は、自社の事情に合致したものを作成するのが理想ですが、本格的な人事考課自体が初めての会社など、フォーマットがなければ具体的な基準をイメージできないケースもあると思います。 そのような場合、厚生労働省が公式サイトにて公開している「判定目安表(評価ガイドライン)」を活用すると効率的です。

    評価ガイドラインでは、能力を図る単位(責任感・ビジネスマナー・簿記・税務など)それぞれに対して、職務遂行のための基準を設け、基準を上回る場合はA・基準相応の場合はB・基準を下回る場合はCといった形で評価の度合いを示しています。 データはExcel形式でダウンロードできるようになっていて、基本的には新入社員含むプレイヤーレベルでの能力単位が示されています。

    すべてをそのまま自社の評価基準にあてはめるのは難しい場合もあり、例えば国際会計・国際税務に関しては、事業規模によって必要なところ・不必要なところがあります。 自社の事情に応じて、能力単位は取捨選択した上で活用することを前提とした構成となっているため、カスタマイズは必須と考えてよいでしょう。

    判定目安表(評価ガイドライン) 一覧表

    経理の人事評価のポイント

    経理担当者を上司が評価するポイントは、大きく分けて4つあります。 以下の特徴を把握した上で、評価基準の精度を高めることが大切です。

    1.コミュニケーション能力

    経理職として働いたことがない人は、ただ自分の持ち場で計算だけやっていればよいと思っているかもしれませんが、実際にはかなりレベルの高いコミュニケーション能力が求められます。 会社の数字を取り扱うため、一般社員でも社長・幹部とやり取りするケースは珍しくありませんし、他部署と連携しなければできない仕事も多数あるからです。

    2.ホスピタリティがある

    経理職の仕事は、一人でできる仕事は限られていて、どの仕事も会社・各部署における歯車の一つとなっています。 また、自分の仕事が終わらなければ別のスタッフが仕事に取り掛かれないケースも多く、常に「自分の仕事が誰のために必要なのか」を考えながらスケジュールを立てる必要があるため、他者を思いやる心が求められます。

    3.知識の深さ

    転職の際、日商簿記・税理士試験合格科目など、キャリアとして履歴書等に記入できる資格はいくつかあります。 しかし、経理職に求められる知識の深さは、そういった目に見える資格だけではありません。 社内ルール・商品情報など、自社の内情に詳しいことも、経理職に必要な能力の一つです。

    4.柔軟性がある

    課題意識があり、ルーティーンワークの邪魔にならない範囲で解決策を考えている人材は、経理というセクションでは希少です。 その上で、どんな仕事も一通り覚えようとする積極性があるかどうかは、上司にとって気になる要素の一つです。

    経理の目標設定方法

    経理の目標設定方法

    人事評価を効率的に進めるためには、どのような点に注目すればよいのかを理解した上で、具体例を参考に目標設定を行うことが必要です。 以下に、経理の目標設定のポイント・目標設定の具体例についてお伝えします。

    経理の目標設定のポイント

    目標設定を行う場合、その時点での社員の能力よりも「少々高い位置」に目標を合わせることが肝心です。 頑張れば手が届く範囲という、難易度を意識した目標設定が重要になってきます。 また、数値化できる目標(定量評価)を盛り込み、評価される社員が納得しやすい指標を設けることが大切です。

    注意点として、もともと経理業務は期日に追われる仕事を行っているため、スケジュールをタイトにするような目標設定はNGです。 上記のような点を踏まえれば、仕事に差しさわりのない範囲で目標設定ができるはずです。

    経理における目標設定の具体例

    実際に目標設定を行う場合の具体例としては、以下のようなものがあげられます。

    • 残業時間の短縮
    • 作業数の減少(作業効率化)
    • 他スタッフのサポート回数

    経理は、残業を前提としてスケジュールが組まれている会社も多いため、残業時間の短縮は経営陣から直接評価されることもある重要課題の一つです。 また、フィンテックの導入などで作業数を減少させる仕組みを構築できれば、その分余った時間を別の仕事に割けるようになるでしょう。 サンクスカードを別部署で導入しているなら、経理職でもサンクスカードを導入し、各スタッフ同士で枚数交換ができる雰囲気を作りましょう。

    まとめ

    経理の人事評価ポイント・目標設定方法を考える場合、まずは仕事内容を正確に把握することが重要です。 一人だけで完結する仕事はほとんどありませんから、誰がどこまで各種業務に携わっているのかを明らかにしたところから、評価基準の選定が始まります。

    経理担当者に求められる能力は、総じてチームワークをベースにしたものが多く見られるため、最初のうちは精度の高い評価基準を作ることは難しいかもしれません。 しかし、定量評価をできるだけ取り入れるようにすると、評価する側・される側にとって、お互いに納得のいく評価・目標設定がしやすくなるはずです。 できるだけ仕事の中身を細分化して、少しでも差別化できる・実績を客観的に把握できるよう準備を進めることが、経理職の人事評価では不可欠と考えておきましょう。

    【この記事を読んだ方におすすめ】
    >建前とホンネの転職理由から学ぶ「経理人材採用と定着強化のポイント」
    >「経理」の採用のポイント!求人募集・面接から年収の決め方まで
    >管理部門の目標設定は難しい?具体例を基に設定方法を解説
    >経理人材を採用したい!面接時にどこを見るべき?