採用成功ガイドRECRUIT GUIDE


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    職場のあるべき姿・理想の姿としてよく語られるのが「風通しの良い職場」というスローガンですが、具体的に何らかの施策を実行し、社員同士がお互いを尊重して働ける社内環境を実現している会社は決して多くありません。 この記事では、そんな社内環境改善に向けて心を砕いている人事職の方に向けて、風通しの良い職場を実現するためにできる10の改善アイデアと、実際に職場環境の改善に成功している企業についてご紹介します。

    1.風通しの良い職場とは?


    職場環境の改善について具体的に話す前に、まずは「風通しの良い職場」とは何を意味するのか、簡単に定義してみましょう。

    1-1.「風通しの良い職場」の定義

    「風通しの良い職場」とは、多くの人にとって「従業員が伸び伸びと働ける職場」のことを意味しています。 これは決して「言いたいことをラフに・誰にでも言える」ことを意味しているのではなく、一定の規律に基づいて意見を吸い上げる仕組みが整っている環境を指していることに注意が必要です。 異なる表現としては「オープンな職場」・「開放的な職場」といったニュアンスが該当し、社員それぞれが節度を持ちながら相手と接し、率直なコミュニケーションを図れる環境が経営者・人事にとっての理想です。 逆に、風通しの良い職場の対義語的な表現として、閉鎖的・封建的な職場といった言い回しがあり、多くの会社でそのような体制を打破しようと試みます。

    1-2.風通しの良い職場の特徴

    風通しの良い職場の特徴として、社内で自由に意見が言える場所・議論できる場所を会社で設けていることが挙げられます。 これは、形ばかりの「業務改善会議」のようなものではなく、気が付いたらどこでもミーティングができて意見交換ができるという柔軟性のあるものが該当します。

    特に、上司・同僚の中で性格に難がある人が一人でもいれば、それだけで職場の雰囲気は悪くなりますから、お互いに気持ちよく仕事できる配慮が全ての社員に求められます。 せっかく時間を設けてミーティングを行っても、会議の中で新人が伝えた意見についてその場で否定せず、後で陰口を言うようなスタッフがいれば、それだけでスタッフ同士の信頼関係は瓦解します。 上司としても、意見があればその場で言い、陰口は厳しく罰するスタンスで接することが大切です。

    2.風通しの良い職場にするために人事ができる10の取り組み


    自分が働いている会社の風通しを良くすることは、残念ながら社員一人の力で実現するのは難しいでしょう。 多くの社員の協力があってこそ、風通しの良さは実現できることを理解した上で、社員の意見や考えを自由に吸い上げる仕組みを設けることが大切です。 以下に、主な施策として、人事ができる10の取り組みをご紹介します。

    ①社員へのアンケートを実施

    まずは、各社員が感じている課題について具体的に把握し、正しく理解することが、人事にとって大切です。 風通しに関する具体的な質問事項をまとめ、社員アンケートを実施して実情を把握すべきです。 最低限、以下の内容はアンケートで確認しておきましょう。

    • 当人が問題だと感じていることv
    • 自力で解決できない理由
    • それを解決するために会社にして欲しいこと

    ②挨拶を積極的に行う

    挨拶は「相手に対し心を開いている」ことを相手に示す行為ですから、立場に関係なく挨拶がきちんとできない人は、それだけで問題を抱えていると考えてよいでしょう。 何となく気恥ずかしいと感じる社員には、挨拶と報告を兼ねて話しかける習慣をつけてもらうよう働きかけます。 上司なら、部下の体調や仕事を気遣う一言を添えるだけで、相手への印象が変わることでしょう。

    ③社内イベントを企画する

    人事として、酒宴にかかわらず、誰でも楽しめるような社内イベントを企画することには意味があります。 関係者全員が一同に集まることを想定するのではなく、社員それぞれの趣味を把握し、それぞれの好みに応じて自由参加できるプランを練ると、参加率の向上につながります。 必ずしも、全員が同じ場所に集まることだけが、社内レク・イベントとは限らない点に注意が必要です。

    ④社内に歓談ができる休憩スペースを取り入れる

    社員にとって休憩は大切な時間であり、お昼休みにかかわらず自由歓談できるスペースを設けておくと、そこからちょっとしたミーティングが始まる場合もあります。 ただし、人によっては休憩中の会話を嫌うケースもありますから、外に出る自由・一人でいる自由も尊重できるよう、可能であれば個人ブースを設けるとよいかもしれません。

    ⑤メンター制度を導入

    メンターとは、日本語にすると「助言者」という意味合いです。 会社では特に「新入社員に対し先輩社員が助言する」スタンスでとらえているところが多く、企業によっては経営者がその任を担う場合もあります。 導入する際の注意点としては、表面的な会話にならないよう、業務外も含めてこまめに相談に乗れるホスピタリティを持った人材をメンターに採用することが大切です。

    ⑥ワンフロアにする

    特に難しい設計になっている場合を除き、物理的に風通しの良い環境を作ることも、風通しの良い職場作りに大きく貢献してくれます。 壁を撤去してワンフロア状態にすると、他部署の動きも分かり連携も取りやすくなるため、コミュニケーションが密になるメリットがあります。

    ⑦フリーアドレス制度を導入する

    フリーアドレス制度とは、社員が固定席に座らず、自由に席を選んで仕事をするスタイルのことです。 人間関係が固定化するのを防げるため、それぞれのスタンスに応じて場所を決められ、自分が不必要と感じるコミュニケーションも最小化できます。 ただし、上司とのコミュニケーションが希薄化するおそれもあるため、一定以上の役職者の席は固定するなどの工夫は必要です。

    ⑧コミュニケーションツールを取り入れる

    表立ってコミュニケーションを取れる時間がない・社員同士の信頼関係を可視化できる仕組みが欲しいと考えている会社の中では、コミュニケーションツールを取り入れるケースも増えてきました。 経営者や幹部の意向を社員に伝える、社員のモチベーションアップにつなげる目的で、社内報アプリやサンクスカードなどを採用する会社も増えてきています。

    ⑨社長室をなくす

    社長室を「閉鎖的な環境の象徴」として、取っ払ってしまった会社もあります。 社員が意見をストレートに伝えやすくなり、心理的な距離感も少なくなるなどの利点があります。 もちろん、あえて社員に良い意味での緊張感を与える役割も担ってくれます。

    ⑩オフィスBGMを取り入れる

    店舗型の会社でラジオ・テレビを流しているところは少なくありませんが、あえてオフィス用のBGMを取り入れるのも、良い気分転換となります。 学生時代にDJ経験のある社員など、リクエストに応じてBGMをチョイスする担当者を決めると、有線放送に頼らなくても魅力的な環境作りを実現できるでしょう。

    3.風通しの良い職場の企業例


    風通しの良い企業として語られることが多い企業として、リクルートグループ各社が挙げられます。 仕事・旅行・グルメなど、幅広い情報を各種媒体で提供するフットワークの軽さは、日本企業ではまず見られない柔軟性で、社員同士の関係もフラットになるよう社風が構築されています。 独立した社員を応援する社風も、大企業の中では例外中の例外と言ってよいでしょう。

    また、接客に対して明確なマニュアルがなく、自主的にモチベーションアップを図る仕組みを設けているスターバックスも、風通しの良い職場として評価が高いようです。 社員間の信頼関係を構築することに重きを置き、一般的な外資系のイメージとは異なる「仲間やチームを大切にする」文化を持つイケア・ジャパンも、風通しの良さを評価されています。

    4.風通しの良い職場がもたらすメリット


    自社を風通しの良い職場にするメリットは、大きく分けて2つあります。 具体的には、社員の定着率向上と、離職率の低下です。

    この二つは相関関係にあり、離職率の高い会社は社員を使い捨てにする印象を求職者に感じさせますし、定着率が高いなら長く働けるかもしれないと期待する求職者も多くなります。 実際には必ずしもそのような結果であるとは限らないとしても、求人の確認や会社のリサーチ時に、数字で大きく印象が左右される点は否めません。

    自分の意見が上司や経営者に通りやすくなると、その提案内容で結果が出た際、正当な評価が得られやすくなります。 そこで待遇が向上すれば、当然その後のパフォーマンスにも良い影響を及ぼすはずです。

    5.まとめ


    職場を風通し良くするためには、現在の状況とそうなった原因を正しく把握し、自社にどのような対策が必要なのかをチェックすることが大切です。 社員一人ひとりの体感には個人差があるため、全ての社員に対して対策を講じる必要があるのか、それとも会社一丸となって取り組まなければならないのか、対策の規模を考えることも求められます。

    しかし、人事職に求められることは、シンプルに考えれば「会社の雰囲気を良くすること」です。 自分が新入社員・中堅社員・管理職などそれぞれの立場に立って考え、何をしてくれたら喜ぶのかをイメージしつつ、関係者からヒアリングすることで解決策が見えてくるはずです。

    自分一人で悩まなくてもよい会社。 その実現が、人事職には求められているのです。

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