採用成功ガイドRECRUIT GUIDE


目次


    再雇用制度という言葉を聞いたことがありますか。超高齢化社会などの影響で人口減少が止まらない日本において、再雇用制度は労働人口を閣法する上で有益な制度です。

    再雇用制度は大きく2種類あります。

    • 定年後の再雇用
    • その他の再雇用
    今回は、再雇用制度の背景や導入した場合のメリット・デメリット、企業事例などをご紹介します。再雇用制度が気になる方は、参考にしてください。

    1.再雇用制度とは?


    再雇用制度とは、その名の通り定年後や何らかの理由で離職した人を再雇用する制度のことです。大きく定年後再雇用と、定年前に行われるその他の再雇用があります。

    1-1.定年後の再雇用

    定年後再雇用は、法改正が影響しています。高年齢者雇用安定法の改正により、65歳までの高年齢者雇用確保措置として、定年の引き上げ・希望者への継続雇用制度の導入・定年制の廃止のいずれかの措置を講じなければならなくなりました。現在一般的な再雇用制度として、60歳で定年したあと、正社員以外の雇用形態で65歳まで1年契約で有期雇用を更新する形が取られています。

    1-2.定年前の再雇用

    定年前の再雇用としては出戻り社員を再雇用する場合があります。出戻り社員に関しては賛否両論ありますが、企業側としてはすでに業務がわかっており即戦力として活かせる人材であるため、再雇用に前向きな場合も多いです。

    1-3.出産・育児での退職者の再雇用

    また、出産や育児なので退職した人を再雇用する動きもあります。出産・育児で離職した女性で復職を希望している人が多いことなどから、再雇用制度を導入する企業もあるのです。

    2.再雇用が広がってきた背景


    再雇用が広がってきた背景の主な原因を見ていきましょう。

    2-1.人手不足

    日本の人口は2004年をピークに減少に転じており、生産年齢人口は減少傾向にあります。人手が不足していることから、人材の確保が大きな課題となっているのです。日本の人口は今後ますます減少することが予測されていますので、対策を講じる必要が生じています。

    2-2.高齢化の進行

    WHOが定めている高齢化社会の定義は下記の通りです。

    高齢化率7%~14% :高齢化社会
    高齢化率14%~21%:高齢社会
    高齢化率21%以上 :超高齢化社会

    日本は2007年に高齢化率が21.5%を記録し超高齢化社会となりました。超高齢化社会は労働人口の減少をもたらします。経済の縮小や鈍化に繋がり、国際競争力が衰えるなど様々な弊害が生じるのです。超高齢化社会で明るく暮らすためには、長く働き続けることが有効な対策と言えます。定年後に第二の人生を歩む生き方は一般的ではなくなり、これからは高齢者がいつまでも現役で活躍する生き方が一般的になりつつあるのです。この事実もあって再雇用制度が広がってきたと言えます。

    2-3.退職年齢と年金受給年齢の差

    定年後再雇用が社会から後押しされている大きな要因の一つが、退職年齢と年金受給年齢の差です。以前は60歳から厚生年金の受給が開始されていました。しかし、現在の公的年金受給開始年齢は、原則65歳からです。60歳で定年を迎え退職してしまうと、公的年金がもらえるまで5年間の空白があります。年金がもらえるまでの間、働きたいと考える高齢者は少なくないです。

    3.定年後再雇用制度に関する法律の変遷


    定年後再雇用制度には、高年齢者雇用安定法が深く関わっています。1986年に制定された高年齢者雇用安定法ですが、改正が多いことで有名です。高齢者の雇用に関わる現状が目まぐるしく変化していることもあって、数年ごとに改正が実施されています。簡単な流れを追ってみましょう。

    1986年:高年齢者雇用安定法の制定

    これにより60歳への定年延長が企業の努力義務と定められました。

    1990年:高年齢者雇用安定法の改正

    定年到達者の再雇用が努力義務と定められます。

    2000年:改正

    65歳までの雇用を確保する措置が努力義務と定められます。

    2004年:改正(2006年施行)

    65歳までの雇用を確保する措置の段階的義務化が定められます。

    2012年:改正(2013年施行)

    継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みが廃止されました。希望者は65歳まで雇用することを義務化します。

    現在

    政府は、働きたい高齢者が70歳まで就労できる仕組みを作れるように、2020年の通常国会に再び高年齢者雇用安定法の改正案を提出する予定となっています。将来的には定年退職そのものがなくなるという見方もあり、今後も高齢者を取り巻く事情は変化する可能性が高いです。将来を見据えて、現役で働き続けられるように対策を講じておきたい個人は多く、企業側にも期待が寄せられています。

    4.再雇用制度の企業にとってのメリット・デメリット


    4-1.メリット

    ・人手不足解消

    再雇用制度の大きなメリットは人手不足の解消です。再雇用なので、会社の雰囲気や実務をわかっている人員を確保できます。本来はやめさせたくない優秀な人材を確保できることも強みです。もともと働いていた人であることから経験や知識を存分に業務に活かすことができるでしょう。また、働いている人にとっても再雇用されるということは希望につながり、社員の定着をはかることができます。

    ・採用コスト削減

    人を雇おうとすると、コストがかかります。求人媒体への広告費、説明会への参加費、採用に携わる社員の人件費などです。その点、再雇用であれば新たに求人を出すことや書類選考などをするわけではないので、採用コストの削減につがなります。人となりがわかっているので、早期退職などのリスクも少なく、企業側も安心して雇うことができる点はメリットです。

    ・助成金などがある

    再雇用制度を利用することで受け取れる助成金などがあります。例えば、高齢者の雇用促進が目的である「65歳超雇用推進助成金」は、中小企業に対して最大160万円が支給されるのです。

    4-2.デメリット

    ・既存社員とのバランス

    再雇用された人材に関して既存社員から反発が生じる場合もあります。再雇用した人材と既存社員がうまく協力できるように、企業側が細かくフォローすることが必要です。既存社員の反発なども考慮した上で、再雇用するかどうかは慎重に判断することが大切と言えます。

    ・制度変更の必要性

    再雇用制度を導入するに当たり、会社の制度を変更する必要があります。詳しい相談は社会保険労務士にするなど、専門家の意見を聞きながら変更することがおすすめです。再雇用制度に関係する法律が改正されることもありますので、最新の情報を正しく把握しておく必要があります。

    5.再雇用制度を積極的に行う企業事例


    5-1.ダイキン工業株式会社

    大阪府に本社があり、世界的に活躍しているダイキン工業。2019年度には、希望者全員を定年後70歳まで再雇用する制度を導入予定と公表されています。人を基軸におく経営をビジョンとして掲げており、一人ひとりが活躍できる企業を目指しているのです。ダイキン工業では、性別・国籍・年齢・役職を問わず最大限成長できる環境を作ることを使命としているので、再雇用制度の活用においても注目を集めています。

    5-2.大和ハウス工業株式会社

    国内外でも知名度が高い大和ハウス工業は、65歳以降も現役として仕事ができるユニークなアクティブ・エイジング制度を導入しています。一定の功績が認められるシニア社員は、年齢で制限されることもなく働き続けることが可能です。定年後の雇用形態は1年更新で嘱託。週4勤務で、月20万円の給与をもらうことができます。今後定年制度がなくなるかもしれない現代にあって、先進的な企業と言えるでしょう。

    5-3.日本水産株式会社

    日本水産株式会社は、定年後の再雇用制度としてシニア職員制度を導入しています。雇用形態は1年更新の契約社員。シニア幹部とシニア一般という2つの社員区分があります。2013年度以降でシニア職員を希望する人は、約8割いることを公表しています。シニア職員制度があることで、社員が定年後のキャリア設計を考えることができることが特徴です。

    6.まとめ


    再雇用制度は、超高齢化社会である日本にとって必要な制度です。再雇用で人手不足を解消しましょう。導入する際は、既存社員とのバランスをとり、全ての社員が活躍できるようにフォローをすることが肝心です。再雇用制度は、大きく定年後の再雇用と、その他の再雇用の2つに分けることができます。特に定年後の再雇用は注意が必要です。関連する高年齢者雇用安定法は頻繁に改正されていますので、社会保険労務士など専門家に意見を聞きつつ、柔軟に対応する必要があります。再雇用制度をうまく利用すると、自社に合う優秀な人材を確保でき、企業にとっても有益です。今後、労働人口のさらなる減少と、経済の縮小が予測されますので、時代の変化にいち早く対応できるように、再雇用制度を上手く活用しましょう。

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