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    即戦力採用を失敗するケースはどんなとき?

    中途採用では即戦力人材が求められることが多く、採用後すぐに高いパフォーマンスを発揮してもらうのを期待するのは、どの業界においても同じです。しかし、その人物の見極めが難しく、採用してみたところ期待はずれだったというケースも決して少なくありません。この記事では、即戦力採用を成功させるために知っておくべきポイントをいくつかご紹介していきます。これからの雇用リスクを軽減させるためにも、是非参考にしてみてください。

    中途採用で即戦力が重視される理由

    中途採用で即戦力の人材が求められているのは、人件費のコストパフォーマンスを最大化させる狙いがあります。即戦力として活躍できる能力を既に備えた人材を採用することができれば、新卒社員や未経験者に行うための教育研修にかかるコストを削減できるほか、まだ戦力とならない時期に支払う給与など先行投資的なコストもかからず、自社への貢献が期待できます。

    募集職種の経験年数を求めるのも、それが理由です。中途採用市場にいる求職者はそれぞれが新卒時から相応の年数を重ねてきているため、新卒社員のように教育研修に時間をかけていられません。同じだけの教育研修を行うのであれば、一般的に伸びしろがより大きいと期待できること、提示年収を低く抑えられること、組織の年齢構成を考えるさいに柔軟に配置し易いことから、新卒社員や20代の若手を採用したほうが企業側にとって都合が良いのです。

    ピンポイントでの採用を狙う中途採用の場合、理想とする人材像に近い応募者と出会うまでに求人広告の出稿回数も多くなりがちであり、採用コストが積み重なってしまいます。人材紹介サービスを利用する場合にも支払う紹介手数料は安くありません。できるだけ採用コストや教育コストをかけたくないという理由から、企業は中途採用において即戦力を重視しているのです。

    即戦力を採用するポイント


    中途採用に応募してきた人物が即戦力であるかどうかを判断するには、まず必要なスキルや経験を持っているかどうか確認します。これらについては履歴書や職務経歴書などの応募書類を見ればいくらか把握できますが、即戦力としての活躍を期待する以上、これまで培ってきたスキルや経験を活かして自社で活躍できるかどうかまで見極める必要がありますので、単純に職務経験の有無を確認するだけでなく、具体的にどのような実績を残してきたのかもチェックしなくてはなりません。面接時にはビジネスマナーが身に付いているか、コミュニケーション能力に長けているか、など書類だけで判断できない点を評価します。

    能力面だけでなく、人物面の評価も必要です。まず挙げられるのは、素直さや謙虚さを持っているかどうかです。いくら必要なスキルや経験といった要件を満たしていたとしても、それが通用するのは以前の会社に限定される場合もあるためです。新たな環境下で高いパフォーマンスを発揮するには、能力を環境にフィットさせることが不可欠であり、素直さや謙虚さを持って新たな環境に自分を合わせていかなくてはなりません。このプロセスを疎かにしてしまえば、せっかくの能力も宝の持ち腐れとなってしまいがちです。同様に、好奇心旺盛であるかどうかも大切なポイントとなります。これまで経験してきた枠組みの中だけで業務に従事するのでは、新たな環境での高いパフォーマンスにはつながりづらいからです。

    即戦力採用の失敗パターン

    即戦力採用の失敗パターンには代表的な4つのパターンがあります。

    ①入社前にハードルを上げ過ぎる

    一つ目は、入社前にハードルを上げ過ぎてしまう場合です。能力面、人物面の採用要件を満たす人材の採用に成功し、配属先の既存社員に新たなメンバーが加わることを知らせようとする際、“新しく入ってくる中途採用者は○○で働いていた”、“●●のプロジェクトに従事していた”など、いかに優秀な人物であるか触れ回ってしまうと、入社後の環境がとてもプレッシャーの大きなものになってしまいます。周囲も過度な期待を持って接しがちとなってしまうため、せっかく採用した中途採用者も本来のパフォーマンスを発揮しづらくなってしまいます。

    ②前職のやり方にこだわっている

    二つ目は、前職のやり方にこだわっている場合にも期待はずれとなりやすい傾向にあります。いくら類似した業務に従事したからといって、会社が異なれば業務のやり方も異なるものであり、前職のやり方にこだわり続けていれば自ずと生産性が低下してしまいます。その人物だけでなく、周囲の従業員にとって迷惑となるケースも少なくないため、中途採用者が即戦力として活躍するには素直さや謙虚さを持ち合わせている必要があります。

    ③期待されていることを正確に理解していない

    また、中途採用者が期待されていることを正確に理解していない場合にも、企業側が期待しているパフォーマンスを得られません。この場合、業務の方向性そのものが異なっているので、それを修正していく必要があります。企業はその人物が自社の求める役割を担うのに必要な能力を持っていると認めて採用しているため、改めて自社の求めている役割を正確に伝えて改善していかなければなりません。

    ④企業風土に馴染めない

    4つ目のパターンとして、即戦力として期待していた中途採用者が企業風土に馴染めない場合が挙げられます。実際に入社してみないとわからない点は多くあるものであり、必ずしも中途採用者と企業の価値観が一致するわけではありません。仕事のやり方ひとつにしても中途採用者は少なからず違和感を覚えますが、それが慣れへと変化するか、我慢できないものとなるかは、その人物によりけりです。後者となれば早期離職にもつながりかねないので、選考時にその応募者が自社の企業風土に馴染むことのできる人物であるかどうか、注意深く観察しておく必要があります。

    即戦力より未経験者の方がよい場合もある