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新卒・中途の別を問わず、優秀な人材の力を効率的に取り入れるには、内定承諾率の適正な設定が重要です。 内定辞退は会社にとって大きな痛手となりますが、いたずらに高い数値を設定したとしても、人材の選び方が「当社を第一志望に考えている人材」だけを選ぶようなバイアスに偏ってしまいます。 とはいえ、実際の内定承諾率が極端に低くなってしまうと、それは明らかな戦略ミスです。 この記事では、理想と現実の狭間で少しでも優秀な人材を確保するための、適切な内定承諾率の設定方法についてご紹介します。
1.内定承諾率とは
そもそも、内定承諾率とはどのような指標を指すのでしょうか。
内定承諾率は、「企業が内定を出した後、それを承諾した求職者がどのくらいいるのか」を割合にした数値です。
具体的な計算方法は『内定承諾率=内定承諾者数÷内定取得者の総数』という数式で示されます。
内定承諾率と求職者の関係性は、簡単に言うと「買い手市場」か「売り手市場」かによって変わってきます。
企業側の立場が強いなら内定承諾率は高くなると考えられますし、求職者側に選択の自由があるならその逆になるでしょう。
新卒採用や通年中途採用などの場合は、1年間の内定承諾率を集計するだけでなく、過去の結果から今年度はどうなるか・今年度の目標数値はどのくらいかを計算し、偏りのない採用を検討します。
2.内定承諾率の平均値
自社の内定承諾率に関しては、過去の採用状況をチェックすれば算出できます。 しかし、自社で極力バイアスをなくして採用を行おうとすると、他社がどのくらいの平均値となっているのか分からなければ、なかなかイメージするのは難しいかもしれません。 そこで、各種統計を参考にしつつ、中途採用・新卒採用の内定承諾率と、内定承諾率の過去推移についてお伝えします。
2-1.中途採用の内定承諾率は平均75~80%
中途採用に関するデータは、採用を行っている会社ごとに多数存在しており、一口に平均を確認することはできません。
しかし、中途採用の場合、求職者はすでに入りたい会社が決まっていることが多く、辞退につながるケースはそれほど多くありません。
全体平均としては、概ね75~80%が承諾するものと想定しておくと、採用担当者としてはズレが少ないでしょう。
内定承諾率が高い傾向にあるのは、医療関係・不動産関係の企業に多く見られます。
逆に、IT・情報通信、運輸・物流関係などは、内定承諾率が低い傾向にあります。
もちろん、これも都道府県・会社によりけりですから、一概には言い切れません。
2-2.新卒採用の内定承諾率は平均35%
過去に厚生労働省が問題視した「学生の内定辞退率の予測とデータ販売」から分かる通り、新卒採用者の内定承諾率は相対的に低い傾向にあります。
学生が複数の企業にアプローチするため、最終的な承諾率としては、概ね平均で35%程度が想定の範疇に入ります。
しかし、厚生労働省の発表によると、2020年12月1日現在における「令和元年度大学等卒業予定者の就職内定状況」では、就職内定率が87.1%となっています。
全体的に高い傾向ではあるものの、前年度が90%以上だった状況に比べるとパーセンテージが低くなっており、学生の選り好みが内定率の減少につながっているとは必ずしも言い切れません。
2-3.内定承諾率の過去推移
厚生労働省によると、2019年12月における有効求人倍率は1.57倍となっており、依然として売り手市場が続いています。 2013年12月が1.03倍だったことを考えると、相対的に内定承諾率も減少傾向・新卒就活市場の需要ギャップは激しいものと想定されます。 各社の資料によって具体的なパーセンテージにバラつきはあるものの、新卒人口の減少に歯止めがかからない日本では、政府が少子化対策で結果を出さない限り、今後もこの傾向に変わりはないものと推察されます。
3.内定承諾率を上げるために人事ができること
全体的な傾向として、内定承諾率は今後も減少するものと考えてよいでしょう。 そのような流れを見越して、各社でより効率的・効果的な採用方法を用いるなど、新しい動きは確実に人事の世界にも浸透しています。 人事職として、内定承諾率を少しでも上げるために何ができるのか、いくつか対策をご紹介します。
3-1.募集を広げすぎない
数の論理で言えば、母集団形成の段階から幅広い人材にアプローチすることで、多くの求職者の中から自社に合致した人材を探しやすくなります。
しかし、このやり方は現代においてやや古い手法であり、とにかく人を集めたからといって、その中に優秀な人材が揃っているとは限りません。
現代のような売り手市場で採用を行うには、募集の対象を広げすぎないことが重要です。
どんな人に入社して欲しいのか・どんな人材を求めているのかを明確に定め、希望に合致しない人は事前に省くスタンスでの採用を意識することで、最短でのマッチングができるでしょう。
その意味では、人材紹介会社に相談してターゲットを絞るのは理にかなっています。
3-2.スピーディーな選考、内定判断
優秀な人材をすぐに確保するためには、どれだけ「求職者を大切に思っているか」という視点が大切です。
スピーディーな選考・内定判断ができる環境を備えることも、内定承諾率を高めるのに必須条件と考えておきましょう。
求職者にとって、就職の内定に関する情報提供は、早ければ早いほどありがたいものです。
採用であれ不採用であれ、次の一手を判断する材料になるからです。
人事側の都合でいたずらに時間を延ばすようなことがあれば、求職者にとってはその分できることが減りますから、他の会社から連絡が来た時点で「この会社に未来はない」と判断して離れてしまうことは容易に想像できます。
書類選考に時間がかかったとしても、せめて面接に至る段階では採用を前提に話を進めるくらいでなければ、市場に取り残されてしまっても文句は言えません。
最終面接を終えたら、即日採用できるくらいのスピード感が大切です。
3-3.人材紹介会社との密なコミュニケーション
採用のスピードを速めるためには、人材紹介会社と意思疎通を図ることがポイントです。
内定に至るまでの流れは複雑で、求職者が複数の会社とやり取りしている場合、その分だけ内定承諾に至る確率も低くなります。
少しでも自社に気持ちをとどめてもらうためには、できるだけ求職者の気持ちに寄り添うことが大切です。
また、就職活動・選考等の進捗について、企業と求職者それぞれの状況を共有しておかなければ、気持ちのズレに気付けません。
企業と求職者の間に立って話ができる人材紹介会社を介することで、二者との距離を縮めやすくなるでしょう。
【関連記事】
>採用成功に繋がる人材紹介会社の選び方を教えます!
3-4.クロージングを工夫する
内定は、出しただけで終わりではなく、その後の心離れを防ぐためのケアが肝心です。
これをクロージングと言い、正式に入社に至るまでの間、何らかの形でフォローを入れるよう工夫します。
具体的な手法としては、内定後に自社への入社を決意してもらうために面談を行う「オファー面談」・同じ内定者や先輩社員と交流できる「懇親会」などが挙げられます。
時間がなければ電話・メールという方法もありますが、場合によっては逆効果になるリスクもあるため、十分注意が必要です。
4.内定承諾率以外の採用KPIとその計算方法
採用で役立つKPI(重要業績評価指数)には、内定承諾率以外にもいくつか指標があります。 以下に、各指標の概要と、その計算方法をご紹介します。
4-1.内定辞退率
内定承諾率とは逆の指標で、特定の期間において内定をもらったものの、その後辞退したケースの割合を算出したものです。 計算方法は『内定辞退率=内定辞退者数÷内定取得者の総数』という数式で示されます。
【関連記事】
>中途採用の選考期間はどれくらい?選考期間は辞退率の関係
>内定辞退を減らす!内定者フォローのポイント
4-2.途中辞退率
内定辞退率が内定後の辞退率を算出しているのに対し、途中辞退率は「選考途中で辞退した求職者の数」をもとに算出した指標です。
計算方法としては、『途中辞退率=各選考時点での辞退者数÷各選考時点での求職者の総数』という数式で示されます。
この辞退率は細分化でき、『書類選考合格者数÷エントリー者数』で計算する書類通過率・『面接合格者数÷書類選考合格者数』で計算する面接通過率などがあります。
5.まとめ
内定承諾率は、日本の労働者人口が減少傾向にある状況下において、年々減少するものと想定されます。
働く会社を自由に選べることは、多くの企業が「選ばれる立場」になることを意味しており、その分欲しい人材は集まりにくくなっています。
そのような中、欲しい人材にアプローチするためには、迅速な対応やアピールが必要です。
しかし、人事職が自力で全てを行おうとすると、事業規模によっては他の仕事に手が回らなくなるでしょう。
効率的に求職者にアプローチして、内定承諾率を高めるためには、求職者に近い人材紹介会社を活用するのが近道です。
その上で、クロージングを強化し、確実に欲しい人材を確保できるよう動きましょう。
【この記事を読んだ方におすすめ】
>内定承諾につながる中途採用のクロージングとは
>内定承諾に繋がる!採用内定通知書作成のコツ【フォーマットあり】
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【参照】
厚生労働省「令和元年度大学等卒業予定者の就職内定状況(12月1日現在)を公表します」
厚生労働省「令和元年度大学・短期大学・高等専門学校及び専修学校卒業予定者の就職内定状況調査(12月1日現在)について」
厚生労働省「一般職業紹介状況(令和元年12月分及び令和元年分)について」
厚生労働省「一般職業紹介状況(平成25年12月分及び平成25年分)について」
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