採用成功ガイドRECRUIT GUIDE


目次


    採用内定通知書は、選考を通過した採用決定者に向けてその旨を伝えるためだけのものではなく、その人材に内定を承諾してもらう目的も兼ねて送付する書面です。通知書の内容および送り方によっては、内定者に入社後の不安を抱かせてしまい、内定を辞退されてしまう可能性も生じるため、細部までこだわりながら雇用契約のクロージングを目指す必要があります。以下では、採用内定通知書の必要性や、そこに記載すべき内容、送付方法などをまとめていきますので、今後の参考としてください。

    1.採用内定通知書の必要性


    1-1.求職者に内定を実感してもらうため

    採用決定の通知を電話だけで行い、以降の流れを伝えているだけの企業も多くありますが、内定者に入社承諾してもらう可能性をできるだけ高めようとするならば、採用内定通知書を活用したほうがいいでしょう。この書面があるだけで、内定者に“自分が評価された”という喜びを与えられるとともに、内定を実感してもらえます。電話だけで済ます通知よりも、書面での通知のほうがフォーマルで重々しいため、内定者に辞退しづらい想いを抱かせる効果も期待できます。

    1-2.求職者との認識の齟齬をなくすため

    また、“言った、言わない”の話となってしまわないよう、重要な情報を書面で送付するのはビジネスの基本であり、人事でも同様です。求人者と求職者は相互に自分を売り込んでいるのであり、求人者である会社側は採用決定者との雇用契約の締結を目指して最終的な詰めを行っていきます。このように考えれば、重要な契約を結ぶために欠かせない情報をやり取りする採用内定通知書はとても大切なものであると理解しやすいのではないでしょうか。

    1-3.企業側の誠意を見せるため

    確かに、採用内定通知を電話で済ませてしまうことができれば、負担が少ないので人事担当者にとって助かるかもしれませんが、あえて一手間加えることで、内定者に向けた誠意を見せられるとも考えられます。自社の戦力になると判断して採用を決定した人材なのですから、入社してもらえるように企業側も熱意を持って対応していく必要があり、そのために一役買ってくれるのが採用内定通知なのです。

    2.採用内定通知書の作成パターン


    2-1.採用内定通知書+労働条件通知書

    採用内定通知書は大きく分けて3つの作成パターンがあります。まずは、採用内定通知書と労働条件通知書をそれぞれ別のものとして用意する方法であり、もっとも多く見かけるパターンです。この作成方法の場合には、採用内定通知書と労働条件通知書それぞれに書きたい事項をしっかりと記入できるうえ、レイアウト上のまとまりも良いため、目を通す内定者にとっても読みやすくなります。

    2-2.採用内定通知書に労働条件も記載

    次に多いのが、採用内定通知書に労働条件も記載するパターンです。採用決定の旨と労働条件を同一の書面として作成していきます。記載事項が多い場合、1枚の用紙に収まりきらなかったり、フォントサイズが小さくて読みづらかったりしますので、採用内定通知書と労働条件通知書を別々とするパターンも候補としつつ、労働条件についての記載事項がどれほどあるのか把握したうえで作成パターンを決定するといいでしょう。

    2-3.採用内定通知書に入社承諾書を付ける

    また、採用内定通知書に入社承諾書も付けるパターンもありますが、この作成パターンとする場合、入社承諾書の提出期限については取り扱いを慎重にするよう注意しなければなりません。就業しながら転職活動を行う求職者は多く、内定者が繁忙期の状況にあれば、スケジュール上のすれ違いが生じてしまう可能性もあります。事前にメールなどで添付する入社承諾書の取り扱いについて打ち合わせておくと、よりスムーズなやり取りとなり、内定の承諾を得られやすい状況へとつなげていくことができます。

    3.採用内定通知書の記載内容


    ▶こちらから内定通知書のフォーマットをダウンロードできます(Word版)

    3-1.採用内定通知書に記載すべきこと

    採用内定通知書には必要事項を漏れのないように記載しなければなりません。内定の旨は当然、労働条件も記載するのであれば、入社日や試用期間の有無、給与や各種手当、問い合わせ先などを記載していきます。上でも3つの作成パターンをご紹介しているよう、厳格なフォーマットが存在しているわけでもありませんので、内定者に伝えるべき事項をしっかりと伝えられる書面であれば問題ありません。記載内容については、事前にメールで伝えておけば、受け取った内定者の確認作業がスムーズとなるので喜ばれます。

    3-2.採用内定通知書作成時の注意点

    採用内定通知書の作成において留意すべきは、会社側が採用を決めたと通知したからといって、内定者が必ず入社してくれるわけではないという点です。その通知を受けて入社を承諾することではじめて雇用契約の成立へと至るわけですから、内定者に対して入社してくれるよう心を込めて作成していかなければなりません。記載する項目に目を通してみれば、どうしても事務的な書面となってしまいがちに思えますが、採用の決め手となった理由や、一言メッセージなどを記しておけば、だいぶ印象が変わります。どのような文面とすれば、受け取った人の自己肯定感をくすぐることができるのか考えつつ、書面の内容を考えていくといいでしょう。よく採用における求人者と求職者の関係性は恋愛に例えられていますが、採用内定通知書の取り扱いについては、ラブレターのようなものと考えてみてもいいでしょう。

    4.内定承諾に繋げるポイント


    4-1.採用内定通知書は内定後早めに作成しよう

    内定に承諾してもらえる確率を高めるには、誠意を持った対応が大前提となります。まずは採用内定通知書をできるだけ早めに作成するように心がけましょう。内定者が他社の選考も並行して受けていた場合、先に採用通知を受けて入社に同意してしまう可能性がありますので、通知は急がなければなりません。また、早めの通知をすることで、内定者が予定していた他社の選考を辞退する可能性も生じますので、自社にとってはメリットしかありません。言うまでもなく、早期の採用決定通知は内定者に自社への好感を抱かせるものです。

    4-2.求人票や面接時の説明と齟齬がないように

    採用内定通知書の記載事項は当然、求人票や面接時の説明と食い違いのないように記入しなければなりません。記載事項はいずれも大切な情報なので、食い違いがあれば不信感を抱かれる原因ともなりかねませんので、書面を作成した後は入念に書面の内容を確認するようにしましょう。重要な雇用契約の成立に向けた書面なのですから、複数人が目を通してチェックするなどしてもいいでしょう。

    4-3.オファー面談を設定しよう

    内定者により確実に入社してもらうためには、採用内定通知書の発送前に根回しも兼ねてオファー面談をしておくと効果的です。その場では通知書の記載事項についての擦り合わせだけでなく、入社後の年収の上がり方やキャリアアップについて言及しておけば、内定者にとってより安心して入社できる状況へとつながっていきます。入社した先のことなので通知書には記載できませんが、内定者のモチベーション向上が期待できるため、内定に承諾してもらえる可能性が高まります。

    5.採用内定通知書の送り方


    採用内定通知書を送る際には、メールと原本を同時に送付するといいでしょう。突然、採用内定通知書を送りつけられれば、受け取る人によっては“傲慢である、雑な取り扱いである”、と解釈されかねません。こうなれば、せっかくの相思相愛の状況が崩れてしまう可能性もあります。また、多忙であったり、他の郵便物に埋もれてしまったり、などで通知書の存在を見落とされる場合も考えられます。こういった状況を避けるためにも、通知書を送付するだけでなく、その旨をメールでも重ねて通知するようにしたほうがおススメです。メールには一緒に郵送する書類も記載しておくと、よりスマートです。どうすればスムーズなやり取りが実現できるか考えて対応するようにしましょう。

    6.まとめ


    採用内定通知書とは、雇用契約を締結するための最終段階であり、そこで内定者に辞退されてしまえば元も子もありません。素早い対応を心がけるとともに、書面の内容も精査しなければならないため、テンプレート的な対応に終始している会社も多いことでしょう。そのようなときには人材紹介会社にクロージングを依頼してみてはいかがでしょうか。人材紹介会社は業務上、数多くの求職者に採用内定通知を行っているので、これまで蓄積してきたそれらのノウハウを活用することで、より内定承諾の確率を高められるアプローチが期待できるようになります。普段から人材紹介会社と付き合っておけば、人事が困ったときの心強いアドバイザーともなってくれます。

    ▶こちらから内定通知書のフォーマットをダウンロードできます(Word版)

    【この記事を読んだ方におすすめ】
    >1回の採用メールで求職者の印象が変わる?採用通知・不採用通知のメール連絡の最適案!
    >内定承諾率ってどれくらい?上げるために人事ができることとは
    >内定承諾につながる中途採用のクロージングとは

    【関連】
    「労働条件通知書」をダウンロードする(専門家テンプレート/Manegy)