採用成功ガイドRECRUIT GUIDE


目次


    新卒採用に比べて、中途採用は人材を集めるタイミングを計るのが難しい傾向にあります。毎年4月1日付での入社という慣例があるわけではなく、基本的には組織の事情に合わせて採用活動を行うため、中途採用を希望する求職者が「できるだけ転職市場に集まる時期」を選ぼうと考える採用担当者は、実のところそう多くありません。逆に言えば、転職活動が活発化する時期を意図的に狙えば、優秀な人材を早い段階で獲得できるチャンスがあります。この記事では、採用担当者が中途採用に取り組みやすい時期について、一般的な時期・職種ごとの時期などについてご紹介します。

    1.管理部門の採用に適した時期


    採用に適した時期は、会社側の都合だけでなく、職種による都合も少なからず関係してきます。また、一般企業と会計事務所では、中途採用の時期を設定する考え方が根本的に異なります。以下に、主な職種を募集する際の採用に適した時期について、職種別にご紹介します。

    1-1.経理の時期的傾向

    経理職において「猫の手も借りたい」状況は、言うまでもなく決算の時期です。3月決算の企業を想定すると、確定申告の期限は決算の2か月後である5月末になりますから、即戦力としての人材を募集するなら1~2月には求人・採用を想定しておかなければなりません。 決算の時期は、経理未経験の求職者にとってもチャンスで、会社によっては簿記の資格を取得していれば入社できてしまうケースもあります。しかし、採用側としてはできるだけハイレベルな人材を補充したいはずですから、より早くスケジュールを立てておけば、3月になって未経験者を採用せざるをえないような状況に陥るリスクは少なくなります。

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    1-2.人事の時期的傾向

    人事職で新しい人材を募集する場合、採用担当者として自社の立場になって考えれば、自ずと答えが見えてきます。3月~9月までは、閑散期をはさみつつも、どうしても新卒採用に向けた業務に時間を費やさなければなりません。そのためか、10月を目途に転職活動を始める求職者は多く見られます。あるいは、社内行事・選考業務などがひと段落する6月なども、求職者が転職活動に向き合う時間を作りやすい時期です。そこを狙って2~3か月前から準備を進めれば、人材が数多く集まる時期を狙える確率が高まります。

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    1-3.法務の時期的傾向

    法務における人材確保は、法務部への就転職を試みる人材のキャリアに応じて、求人の方向性を考えなければなりません。大手企業で法務を経験した人が転職を検討する場合、3月決算の会社であれば、4~6月までは株主総会・登記手続き・登記事項チェックなどの業務がからんできます。よって、閑散期となる7~9月、もしくは10~12月あたりを狙って、採用担当者の新卒採用業務がいったん落ち着く6月ごろから行動しましょう。

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    2.士業の採用に適した時期

    2-1.弁護士の時期的傾向

    法律事務所に在籍する弁護士の場合は、それぞれが抱える案件によって繁閑が異なるため、全体的な時期的な傾向はあまり見受けられません。そのため、採用側としても通年採用が基本となります。尚、弁護士が抱える顧客との人間関係は濃密な部分が多く、信頼を勝ち取ればその分現在の職場を離れるのは難しくなるとこともあります。よって、求職者が安心して自社に来てもらえるように、採用担当者は数か月のスパンで採用に向けた準備を進めなければならないものと考えておきましょう。

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    2-2.公認会計士の時期的傾向

    監査法人に在籍する公認会計士の場合、企業の決算の監査業務が立て込む3月末から5月上旬頃、および12月末から2月上旬頃が繁忙期となりますので、この時期を外して採用を行うのが良いでしょう。一方で、コンサルティングファームに在籍する公認会計士の場合は、プロジェクトによってスケジュールが異なるため、繁忙・閑散期もそれぞれです。

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    2-3.税理士・税務スタッフの時期的傾向

    税理士の場合は、年末調整の業務が立て込む12月~1月、また確定申告や決算の業務が立て込む2月~5月頃が繁忙期となります。そのため、6月以降、夏~秋頃にかけて求職者・企業共に転職市場が活発になる傾向にあります。また、税理士の資格を目指している方を採用する場合は、8月中旬の税理士試験が終わるタイミングを狙うのが良いでしょう。

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    2-4.法科大学院修了生の時期的傾向

    法科大学院修了生の場合は、司法試験が5月に行われるため、その結果が出るまでの間や、司法試験の結果発表後にあたる9月~11月が就職活動のピークになります。法務や管理部門のポジションで、法律の素養のある優秀な若手を採用したい場合は、この時期を狙うのが有効でしょう。

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    3.求職者の動きから見えてくる、採用に適した時期の種類と傾向


    まずは、求職者側の都合から、転職市場が活発化しやすい時期について考えてみましょう。実際のところ、求職者が転職を考える理由はある程度似通っているため、時期も比較的分かりやすい傾向にあります。

    3-1.「4月」は環境の変化により転職を考えやすい

    一般的に、4月は仕事の区切りをつけるには絶好の時期であることから、環境の変化を見越して転職を検討するケースが多いようです。ちょうど人員が流動する状況で転職した方が、辞めるにも勤め始めるにも都合が良いという考え方から生まれた傾向と推察されます。

    3-2.「6月」は賞与後に転職を考えやすい

    ボーナスがもらえる6月~7月のタイミングで、転職を考える層も一定数存在します。求職者の目線で考えると、6月にきちんとボーナスをもらってから転職するスケジュールを立てた方が、今後の転職活動が長引きそうな場合でも安心できるからだと考えられます。

    3-3.「12月」は繁忙で転職を控える傾向

    12月は繁忙期となり、年末年始の休みも長いことから、求職者もこの時期の転職は考えにくい部分があります。しかし、採用担当者側にとっては必ずしも悪い時期ではなく、求人広告を出すライバルが少ない分、掘り出し物を見つけられるチャンスがある月でもあります。

    3-4.年明けは4月入社に向けて転職を考えやすい

    会社を辞めてすぐに転職しようと考えるのではなく、4月入社をターゲットに転職を検討している求職者は、在職中から何らかの行動を起こします。一般的に年明けは4月入社に向けて転職を考えやすい時期であるため、この時期に心機一転して転職エージェントを利用したり、転職サイトに登録したりする求職者を狙うのも有効です。

    4.企業の動きから見えてくる、採用に適した時期の種類と傾向


    続いては、企業側の動きから見て、採用に適した時期についてご紹介します。決算月などは会社によって異なるため、必ずしも全ての企業・業種・職種に当てはまるとは限りませんが、覚えておくと求人のタイミングを計りやすくなるはずです。

    4-1.年度切り替え時期は求人が発生しやすい

    毎年のことですが、年度の切り替えが行われる時期は、求人が増加する傾向にあります。公益社団法人全国求人情報協会が発表した「求人広告掲載件数等集計結果(平成29年12月分)」によると、多くの会社で年度切り替えになる4月・下半期がスタートする準備を進める9月やその前後は、求人数が他の月に比べて増えている傾向があります。12月決算の会社もありますが、こちらの場合はそもそも多くの会社が忙しい時期のため、中途採用の準備に時間をかけられない事情もあって求人広告の掲載は少ないものと考えられます。

    4-2.新卒採用が忙しい時期も中途採用は控える傾向にある

    中途採用は、スケジュールを比較的自由に決められるため、通年募集している会社を除いては、新卒採用の忙しい時期を避けて採用を行うのが一般的です。特に、9~11月は、大学の後期授業が始まるタイミングになり、中途採用に人員を割きやすい時期の一つです。逆に、企業へのエントリーが始まる3月・新入社員の入社シーズンである4月・新卒選考が本格化する5月などは、他の業務を優先せざるをえず、欠員募集など急を要する中途採用以外には時間を割けない会社が多く見られます。

    5.まとめ


    中途採用では、求職者の立場に応じて、臨機応変に採用活動を組み立てていかなければなりません。また、各職種に応じたスケジュールを組み立てる際には、採用担当者と一緒に採用に関わる、各部署の幹部への根回し・サポートも必要になるでしょう。採用における動き出しをスムーズにし、なおかつ良いマッチングにつなげるためには、いつ優秀な人材が集まるのかを知り、それに向けて準備を整えることが大切です。 転職市場の傾向をつかみ、欲しい人材に合わせて採用戦略を立てましょう。

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    【参照】
    求人広告掲載件数等集計結果(全求協ニュース・リリース)