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    現代の企業経営において、法務部門は契約法務だけではなく、リスク管理やコンプライアンス徹底に加え、新規事業を支える戦略的機能として、その重要性が高まっています。しかし、需要の急増に対し供給が追いつかず、優秀な法務人材の確保は企業の競争力に直結する喫緊の課題です。本記事では、最新の市場動向と戦略的採用の成功事例に基づき、採用を成功に導く具体的なポイントと適正年収を解説します。

    1.法務人材が不足する背景と採用市場の現状(2025年版)

    需要急増の背景と専門人材の希少性

    企業法務担当者の役割は、契約実務によるトラブル防止に留まらず、迅速な意思決定を通じて経営基盤を支えることへと進化しています。特に、DX推進ややグローバル展開に伴い、高度な専門性を持つ人材への需要が急増しています。しかし、法務人材の育成には時間がかかるため人出不足の売り手市場が続いています。

    市場は「超売り手市場」へ

    管理部門職種の求人倍率

    このグラフは、弊社MS-Japanが提供する管理部門・士業特化型転職エージェント「MS Agent」における、法務職の求人倍率推移を示しています(2022年~2024年)。コロナ禍以降、管理部門職種は全体的に上がっているものの、その中でも特に法務職は大幅な上昇を記録し、採用難易度が高くなっております。

    この需要と供給のミスマッチにより、現代の法務人材市場は「超売り手市場」となっています。求人倍率はコロナ禍以降も高水準を維持しており、特に人材が集中する関東圏だけでなく、関西や東海のエリアでも、獲得競争が激化しています。この状況下では、迅速な採用プロセス、柔軟な働き方、そして競争力のある給与設定が採用成功の絶対条件です。

    2.優秀な法務人材を獲得するための戦略的アプローチ

    採用マーケティングによる「部門ブランディング」強化

    採用難の時代においては、採用マーケティングの視点を取り入れた部門のブランディングが不可欠です。求職者は、給与や待遇といった条件面だけでなく、法務部門における「成長機会と専門性の深化」というキャリアパスを深く重視する傾向があります。企業側は、契約法務、予防法務、戦略法務といった業務領域全体でのキャリアステップを明確に定義し、組織の魅力を戦略的に訴求しなければなりません。業務の事例や社員インタビューを通じて、部門の「攻め」と「守り」双方のリアルな業務内容と組織風土を伝え、候補者のエンゲージメントを高めることが有効です。

    ターゲットを広げる柔軟な戦略

    経験者採用が困難な現状を踏まえ、採用ターゲットの幅を広げる戦略が効果を発揮しています。

    若手法務は法科大学院修了生を採用

    法務の労働人口は非常に少ないため、若手の採用は非常に難易度が高いです。その中で、多くの企業積極的に行っているのが、法律分野のポテンシャルが高い法科大学院修了生の採用です。実務経験は未経験ですが、法科大学院修了生は論理的思考力に長け、英語力を備えた人材もいるため、中長期的に見れば組織に大きな貢献を期待できます。司法試験終了後のタイミングを狙った早期のアプローチが、競合に対して優位に人材採用を成功させる鍵です。

    シニア層

    組織構成上、未経験人材の採用がどうしても難しい場合は、50代以上のシニア人材にも目を向けることで採用母集団を拡大できます。この年齢層には優秀で経験豊富な人材が多く存在しますが、市場全体としては若手を採用したい傾向にあるため、他の年代に比べて比較的競合しづらいというメリットがあります。実務経験が豊富なため、特定の法務分野(例:コンプライアンス、M&A対応)における深い経験とノウハウを即座に組織に還元できる、即戦力として期待できます。

    3.採用プロセスにおける重要なポイント

    法務部門の積極的な参加

    専門知識を持つ法務部門の管理職が面接に加わることで部門の戦略的役割と業務内容、チームのバックグラウンド(法科大学院出身者、弁護士資格の有無、他部門出身者など多様な構成)を説明することで、候補者に入社後のキャリアパスと期待していることを深くイメージさせます。特に、「論理性を重視する法務人材」に対し、部門が経営においてどのような役割を担い、どのような方向性で成長していくかを専門的な視点から説明することで、求職者の長期的なエンゲージメントを高め、ミスマッチを徹底的に防ぐことが可能です。

    差別化ポイントの可視化

    豊富な研修制度や海外業務などの成長機会、近年重視されるリモートワークやフレックス制度がもし導入していれば、他社との差別化ポイントとして強調し、求人票に細かく記載すべきです。

    明確なキャリアパスの提示

    求職者の長期的な就業意欲を引き出す鍵となるのが、入社後の成長機会と具体的な昇進までの流れを提示することです。単に「成長できる」と伝えるだけでなく、階層別の研修カリキュラムやメンター制度などの育成体制に加えて、評価制度を伝えて昇進について透明度高く伝えることで不安を解消します。

    4.法務職の適正年収と設定の具体例

    法務は他の管理部門職種(経理や人事)と比べて希少性が高く、給与も50〜100万円高く設定するケースもあります。特に、スペシャリストや経験豊富な人材を求める場合、現状の社内課題と採用後の改善目標を明確にし、競争力のある適正年収を提示することが重要です。

    関東における企業法務人材の適正年収

    経験年数~職位別でみた年収相場は下記となります。

    経験年数 未経験/法科大学院修了生 経験2年~3年 経験5年以上 マネージャークラス/スペシャリスト 法務部長
    年収 350万円~550万円 550万円~700万円 700万円~900万円 900万円~1200万円台 1000万円~1500万円台

    補足:大手企業や上場企業では、未経験の法科大学院修了生でも500万円以上の年収提示がなされるケースがあります。管理職クラスの場合は、1,000万円を超える年収提示が一般的です。

    5.法務人材の育成と持続的なリソース確保

    育成と評価の明確化

    採用後の中長期的な育成計画(研修制度、OJT)と適切な評価制度は、長期的な定着に不可欠です。面接時には、「論理的思考力」「柔軟性と学習意欲」「コミュニケーション能力」といった法務適性を見極め、採用担当者と法務部門間ですり合わせを行うことが重要です。

    DX推進によるリソースの最適化

    限られた人材リソースを最大限に活用するため、業務環境の整備は喫緊の課題です。

    リーガルテック/法務テックの導入

    契約管理、案件管理などにデジタルツールを導入し、業務効率化を図ることが、法務部門の「守り」の業務負担を軽減し、より戦略的な業務へシフトする時間を創出します。

    外部リソースの活用

    ALSP(代替法務サービスプロバイダー)などを検討し、ノンコア業務を外部委託することで、社内リソースをコア業務に集中させ、パフォーマンスを向上させることが可能です。

    6.まとめ

    法務人材の採用は、企業の持続的な成長に不可欠です。「超売り手市場」の現在、成功の鍵は、市場動向を理解した上での戦略的な部門ブランディングと、競争力のある年収提示にあります。特に、法務テックへの適応力や戦略法務への意欲を持つ候補者に焦点を当て、柔軟なアプローチと育成の仕組みづくりを行うことで、法務部門を強化し、企業全体の競争力を高めることができるでしょう。

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    この記事を監修したリクルーティングアドバイザー

    天野 光

    大学卒業後、スポーツ関連の会社に入社しバイヤー・商品企画・店長・海外駐在等、幅広く経験。 その後、MS-Japanに入社し、東京本社にてリクルーティングアドバイザーとして主にエンタープライズ系企業や新興上場企業を中心に担当。直近はチームリーダーとしてメンバーの取りまとめも行っている。

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