2023年03月15日

公認会計士が監査法人からコンサルティング業界へ転職するために知っておきたいこと

管理部門・士業の転職

公認会計士の多くが働いている監査法人の メイン業務は 監査であり、基本的にはルーティンワークが中心です。
しかし、繁忙期は激務が続くことから、担当の 作業と業務量の多さに限界を感じ、別の転職先を検討している会計士は少なくありません。

会計・財務の知識を活かしつつ、新しいキャリアを選択したい会計士の中には、企業へのアドバイザリー業務に従事するコンサルティングファームを目指す人もいます。
この記事では、コンサルティング(以下コンサル)業界への 転職を検討している会計士に向けて 、業務内容や適性等についてご紹介します。

管理部門・士業の転職

コンサルティング業界へ転職する公認会計士が多い理由とは

公認会計士として最初のキャリアを積むルートとしては、昔も今も監査法人の選択が一般的です。
しかし、以下のような理由から、コンサル業界を転職先に選ぶ公認会計士が少なくありません。

監査法人でこれ以上出世できないと悟った

監査法人のキャリアパスはピラミッド型になっていて、採用後はスタッフ(アソシエイトと呼ぶ法人有り)からキャリアをスタートさせ、年数・年次を経過することでシニアスタッフへ上がっていく流れとなります。しかし、シニアスタッフ職位、アシスタントマネージャー職位を経てマネージャー・パートナーを目指すのは狭き門であり、自動昇格できるわけではなく、相応の実績・評価・信用が不可欠です。
その為、これ以上努力しても、現在働いている監査法人では天井が決まっていることを悟り、専門職性を伸ばす、クライアントワークを行っていける選択肢としてコンサル業界へ転職を意識する公認会計士は今も昔も少なくありません。

監査法人での監査の仕事に飽きがきてしまった、正直 もう少し感謝される仕事がしたい欲求

監査の仕事は、複雑な業務ではあるものの、ルーティンワークとなっている業務も少なくありません。
そのため、地道に膨大な作業を進めることや、クライアントの顔が見えない中での仕事に対して、一種の「飽き」が生じてしまうのも珍しいことではありません。また、お仕事柄からダメ出しを行わなければならない立ち位置・役割であるため、 なかなかクライアントに感謝されにくく、 仕事に対するモチベーションが段々と下がってしまう方も少なくありません。
定型業務からの脱却、人間の本能的なもっと感謝される仕事がしたいという 欲求から別のキャリア選択を取っていこうとする公認会計士のセカンドキャリアとして「コンサル業界」への転職を前向きにとらえる傾向が あります。

コンサル業界に転職実現のチャンス・新たな専門性の獲得・魅力的な年収を感じた

時代の変化とともに、多くの企業は従業員の働き方や仕事の進め方を改善する必要に迫られており、コンサル業界の知見・メソッドを求めています。
特に、会計分野に精通した高度専門人材が不足傾向にあるため、問題解決能力やその分野・領域に精通された公認会計士に対する採用ニーズは依然として高い状況です。加えてコンサル業界の顕著な傾向として一定年数に基づいて退職(転職)すること が一般化しており、人材のターンオーバーが発生していることから、 通年でコンサルタントを 採用している場合 も珍しくありません。

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コンサルティング業界へ転職したい公認会計士の転職先とは

実際にコンサル業界への転職に向けて準備・検討を進める場合、コンサルならどこでもいいという話にはなりません。ご自身の特性・属性と相性の良い 分野・領域を選択することが重要です。
以下、公認会計士がコンサルティング業界へ転職する際の、主な転職先をご紹介します。

FAS(ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス)

公認会計士としての専門性を活かし、魅力的なキャリアと年収水準となっている転職先として、最もポピュラーなFAS領域(財務系コンサルティング)が挙げられます。 一口にFASと言っても、監査法人のアドバイザリー業務へ従事するのか、大手系列FAS、独立系FASで働くのかなど、選択肢は複数存在します。
監査法人のアドバイザリー部門と比較すると、財務デューデリジェンス業務やバリュエーション業務など専門業務へ従事する割合が高く 、部門の区分けなく様々な業務を経験できる可能性があります。

戦略コンサル

企業の経営陣が抱える問題を解決する戦略コンサルは、ずば抜けて高い論理的思考能力とビジネスセンスが要求されるため、純粋な監査業務経験を有する公認会計士のキャリアからの転身・転職ハードルは相当高い分野・領域に分類されます。 ちなみに戦略コンサルでは、基本的に「売上を上げる」か「費用を減らす」かを思考の柱にしているため、監査経験をベースにして仕事を組み立てる公認会計士向きのキャリアとは相性が良いとは言えません。
しかし、英語力やポテンシャル含めた提案力など、何かしらの武器をアピールできるなら、チャレンジする価値は十分にあります。

その他の選択肢

上記以外にも、コンサル業界には様々な種類がある為、コンサル業界を経たその先において実現させていきたいキャリア像を設計した上 で、その実現へ近づけていくために必要な能力・スキル獲得が可能な選択肢を取っていくことが大切です。

その選択肢は決してひとつではなく、総合型もあれば特定分野に特化したブティック型などご自身の望むキャリア像を定義頂いて、例えば事業再生コンサルや、M&Aを行うPEファンドなど採用 する側に能力があると認められれば可能性は十分にあります。


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公認会計士が実際にコンサル業界へ転職した事例・仕事内容

公認会計士がコンサル業界で働く場合、選択されたジャンル・領域によって担当する仕事に違いがある旨、前述にて記載いたしました。しかしながら、公認会計士として培ってきた基本的なキャリアと属性を有効に活かす観点から考えると、以下のような業務領域へ従事する可能性が高いでしょう。

M&A関連

FASなどで働く場合、M&A関連の業務に従事するケースは少なくありません。 具体的には、買収もしくは売却対象の企業の財務リスクを洗い出す財務DDや、企業の価値を数値的に評価するバリュエーション、資産・負債を取得時の時価で評価するPPAなどが挙げられます。

事業再生

倒産の危機に瀕している企業を健全な経営状態に導くなど、事業再生の分野で働く場合は、監査で培った経験とは対極にある「アドバイス」と「支援」を行います。 経営者と直接会話しながら、事業・人材・財務の各方面で改革を進めていくため、複数の職域を担当することも考えられます。

フォレンジック

企業組織ぐるみの大規模な不正・不祥事は昨今大きな社会問題となっており、コンプライアンス・ガバナンスの観点からフォレンジック(不正調査)サービスを提供することもあります。
企業で万一のトラブル・不祥事などの事態が発生した場合の対応に加えて、組織の再編や予防策などを講じます。

その他、監査以外で公認会計士が貢献できる分野について知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

【関連記事】 公認会計士の仕事内容とは?就業先ごとに解説!


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公認会計士が活躍できるコンサルティングファームの種類

公認会計士として十分に貢献できる職場・職務を見つけるためには、その職務内容とコンサルティングファームの種類について十分に理解する必要があるでしょう。
以下、具体的な種類について触れていきます。

財務・会計系

会計士として培ってきた能力を活かすなら、財務・会計系コンサルティングファームが第一志望になるでしょう。
監査法人で培った 経験をそのまま活かしたいのであれば、Big4系のFASに転職するのが一般的です。
独立を視野に入れて転職するなら、IPOコンサル領域や税務領域まで担当していける機会も検討しておきたいところです。

企業・事業再生系

クライアントの喜ぶ顔が見たいのであれば、企業・事業再生系コンサルティングファームを選ぶことで、満足度の高い転職が実現するはずです。
経営状況が悪化した企業の支援を担当するため、事業計画の立案だけでなく、資金繰り交渉や事業再編にも関わります。

戦略系

監査法人以上に「絶対的な付加価値」にこだわる仕事がしたいなら、戦略系コンサルティングファームがターゲットになります。
基本的に、監査法人でのキャリアだけで採用されるケースは少ないですが、人材不足のファームではあるので、高いポテンシャルを訴求できるかどうかチャレンジする価値は十分にあります。


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コンサルタントの適性がある人材とは

コンサルタントは人を選ぶ職種であり、適性の有無で成果にも違いが生じるため、転職する前に自分がコンサルタント職に向いているかどうかを知ることは大切です。 以下、コンサルの適性がある人材の特徴についてご紹介します。

論理的な説明能力も含めた高いコミュニケーションスキルがある

クライアントの問題を解決していくことを期待・ミッションとしていることから、クライアントに対して口出し(ダメ出し)するだけが仕事ではなく、本質的にクライアントが納得できるように具体的な問題解決の流れ・方法を説明する能力が求められます。
枠組みだけを作るのではなく、具体的な根拠・事実・数字を用いて説明するなど、丁寧なコミュニケーションを苦にしない人材が向いています。

フレキシブルに考えられる

コンサルタントとして働く場合、クライアントの要望だけにとらわれず、社会情勢も踏まえた上での解決策を提案することが大切です。
状況に応じてフレキシブルに考えられるよう、意識的に思考回路を変えていかなければ、コンサル業界の変化の スピード感についていけなくなるでしょう。

心身のタフさを備えている

コンサルティング業界は、総じて会計業界以上にハードワークを強いられる場面も少なくない為、繁閑期に関係なく夜遅くまで働くことも珍しくありません。また、クライアントとの衝突や意見のすり合わせも多く、心身ともにタフでないと、すぐにダウンしてしまうことが予想されます。


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コンサルティング業界へ転職できる公認会計士の特徴

公認会計士とコンサルタントは、分野によっては似たような知識・経験を共有しますが、基本的には別の職種であるとお考えください。従ってコンサルティング業務がどのようなものか、一定の業務理解を持ち合わせている公認会計士の方が、親和性の高いコンサル業界へ転職できる可能性は十分にあります。
大前提として、コンサルティング業界では提案力がモノを言うので、クライアントの腑に落ちる提案をするためのロジックと分かりやすく伝えていくスキル・能力は必須となります。また、監査業務と比較して、クライアントに有効的なアドバイスという形で提案する機会も多いため、クライアントに寄り添えるホスピタリテの高さも求められます。
公認会計士合格に向けて試験勉強に集中した結果、コミュニケーションスキルが疎かになってしまっている方にはなかなか採用機会を勝ち取ること は難しいでしょう。逆に、監査法人の枠を超えたスキルを持っているなら、そのスキルを前面に出すのも一手です。

すでに監査法人でアドバイザリー業務を経験している場合、監査以外の経験、実績、語学力等をアピールできる経歴があれば 、採用担当者が興味を示すかもしれません。
転職エージェントなどを活用して、プロの意見を積極的に取り入れている方も、転職の門戸が広がるでしょう。


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公認会計士歓迎のコンサル業界求人

MS-Japanでは、即戦力を求める「公認会計士歓迎」のコンサル求人を多数ご案内しています。
以下、一例となる求人をご紹介します。

【求人】

事業再生・M&Aに強み!FAS系コンサルティングファームにて、コンサルタントを募集致します!

ポジション:経営コンサル(事業再生、M&A等)※東京・大阪選択可
雇用区分:正社員
必要な経験:
・能力:公認会計士、税理士、USCPA
・公認会計士試験合格者、税理士3科目以上合格者
・監査業務(監査法人)経験者
・コンサル業務経験者
※いずれかに当てはまる方
想定年収:500万円 ~ 1200万円

M&A後の統合業務に強みを持つ会計・コンサルティングファームにて即戦力の方を募集いたします。

ポジション:公認会計士※FAS業務※将来企業のCFOを目指す方歓迎
雇用区分:正社員
必要な経験:公認会計士として5年超の経験
想定年収:800万円 ~ 1500万円

大手企業に対し経理アウトソース、コンサル業務を行っている会計ファームでコンサルタント(リーダー)募集

ポジション:会計コンサルタント(チームリーダー・グループ長候補)
雇用区分:正社員
必要な経験:
・公認会計士資格をお持ちで、3名程度以上のマネジメント経験がある方
・上場企業にて経理経験をお持ちで、3名程度以上のマネジメント経験がある方
※いずれかに当てはまる方
想定年収:600万円 ~ 1500万円

まとめ

公認会計士からコンサルティング業界への転職は、決して不可能ではありません。 しかし、これまでの経験・実績を踏まえ、どんなジャンルで働けそうか、あらかじめチェックする必要があるでしょう。

論理的思考能力をベースに、様々な問題にフレキシブルに対応していける柔軟性を養わなければ、転職後に苦労するかもしれません。また、監査法人での勤務以上に、激務となることも予想されるため、タフネスさも要求されます。ただ、クライアントとの距離が近い傾向にあるので、その分やりがいを強く感じられるはずです。監査中心の仕事から脱却して、自分の全力を試したい人にとっては、ふさわしいフィールドと言えるでしょう。

なお、公認会計士のコンサル業界への転職やキャリアパスについて、より詳しく知りたい方は、以下の記事もご一読ください。

管理部門・士業の転職

この記事を監修したキャリアアドバイザー

濵田 翔平

大学卒業後、大手信用金庫に入庫。個人・法人営業及びビジネスマッチング等に従事。
MS-Japanに入社後は、横浜支社の立ち上げに加え、経理・人事・法務・経営企画・公認会計士・税理士等、幅広い職種のマッチングに従事。
2021年より東京本社へ異動後は、公認会計士・税理士・弁護士・社労士等の士業を専門とするJ事業部の管理職を務める傍らプレイヤーとしても従事。

会計事務所・監査法人 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ USCPA を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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