2025年05月27日

難関資格なのに「公認会計士はやめとけ」と言われるのはなぜ?3つの理由を紹介!

公認会計士の資格を取得しようと思った矢先に、「公認会計士はやめとけ」という噂を聞いて、取得を思いとどまっている方は少なくないかもしれません。
では、なぜそのような否定的な評価が下されているのでしょうか。

この記事では、公認会計士に対するネガティブな理由に着目しつつ、公認会計士になるメリット適性他のおすすめの資格についても触れていきます。

「公認会計士はやめとけ」と言われる3つの理由

公認会計士は、企業の経済活動を支える専門職であり、高い社会的地位を誇ります。
それにもかかわらず、「公認会計士はやめとけ」と言われることが少なくありません。

なぜそのような意見が生まれるのか、想定される理由を3つ挙げてみましょう。

公認会計士試験の難易度が高い

公認会計士は、医師や弁護士と並ぶ三大国家資格の一つとされ、試験の難易度は極めて高いです
試験範囲は、財務会計論・管理会計論・監査論・企業法・租税法など広範囲にわたり、膨大な学習時間が必要とされます。

一朝一夕で合格できる試験ではなく、長期間の勉強が求められることから、「やめとけ」と言われる要因の一つになっています。

仕事が激務になりやすい

公認会計士の仕事は、時期によっては長時間労働が発生しやすく、残業や週末出勤が当たり前になることもあります。
特に監査法人やコンサルティングファームでは、クライアントの決算時期に合わせて業務が集中し、忙しさがピークに達します。
また、人手不足の影響もあり、一人あたりの業務量が増えがちです。

こうした厳しい労働環境が、「やめとけ」と言われる理由の一つとなっています。

意外に単調な業務が多い

公認会計士は高度な専門知識を活かす職業ですが、実際には単調な業務が少なくありません。
例えば、帳簿や取引データのチェック、文書作成、ファイリングなどのルーチンワークも多く含まれます。
人によっては、こうした業務が「単調でつまらない」と感じることもあるでしょう。

以上のような理由から、公認会計士を目指すことに慎重な意見があるのも事実です。
しかし、これらの点は本当にデメリットなのでしょうか。

次の章では、こうした「やめとけ」と言われる理由の真相を掘り下げていきます。

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やめとけと言われる理由の真相は?

「公認会計士はやめとけ」と言われる背景には、試験の難易度や業務の忙しさなどが挙げられます
しかし、これらの理由は本当なのでしょうか。

ここでは、やめとけと言われる理由の真相について、その実態を詳しく見ていきます。

公認会計士試験の合格率は10%程度

前提として、公認会計士試験は、短答式試験と論文式試験の2段階の試験となっており、論文式試験は短答式試験に合格しなければ受験することができません。
また、公認会計士試験には受験資格がなく、年齢・性別・学歴・国籍に関係なく誰でも受験可能です。

そのうえで、公認会計士試験の合格率は、短答式試験が約10%、論文式試験が約35%、最終合格率が7〜10%程度となっており、国家資格の中でも難関試験の一つと言えます。
さらに、試験範囲は財務会計論・管理会計論・監査論・企業法・租税法など広範囲にわたり、試験に合格するためには約4,000時間の学習が必要とされています。

公認会計士試験は難易度が高いものの、合格すれば安定したキャリアを築ける職業であるため、努力に見合うリターンがあるとも言えます。

決算前後の時期は忙しくなりやすい

公認会計士の仕事は、企業の決算期に大きく影響を受けるため、時期によって業務量に波があります。
特に監査法人に所属している場合、クライアント企業の年度末決算(3月)四半期決算(6月・9月・12月)の対応に追われるため、繁忙期が周期的に訪れます。

決算期には、以下のような業務が集中します。

  • ・有価証券報告書の作成・提出
  • ・決算短信の作成
  • ・四半期報告書の作成

これらの業務を期限内に完了させる必要があるため、繁忙期には残業時間が増えることもあります。
さらに、監査業務では企業の財務資料を精査し、リスクを評価する業務も含まれるため、正確性が求められます。

ただし、決算期を乗り越えた後は比較的業務が落ち着く時期もあるため、年間を通じた業務の波を理解すれば、メリハリをつけて働くことも可能です。

実際は単調な作業以外も多い

公認会計士の業務には、帳簿チェックや書類作成、データ入力などのルーティーンワークも含まれます。
特に監査法人に勤務する場合、会計監査において証憑(請求書・領収書・契約書など)の確認や、決算書の誤りをチェックする作業が発生します。

しかし、業務のすべてが単調な作業ではありません。
例えば、企業の財務健全性を評価するリスクアプローチや、経営改善の提案など、クライアントと直接やり取りする業務も多くあります。
また、経験を積むことでM&A支援内部統制のコンサルティングなど、より専門性の高い業務に関わる機会も増えていきます。

そのため、公認会計士の仕事が単調かどうかは業務の種類やキャリアの選択次第と言えます。
また、監査法人に限らず、コンサルティングファームや企業の経理・財務部門へ転職すれば、より戦略的な業務や経営に関わる仕事に挑戦することも可能です。

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公認会計士になる魅力やメリット

公認会計士は、「やめとけ」と言われることがある一方で、さまざまな魅力メリットを見出せる職業でもあります。
その主な例は以下のとおりです。

年収が高く、安定している

会計分野の専門家である公認会計士は、水準の高い年収を伴うことが特徴です。
厚生労働省の統計によれば、公認会計士の平均年収は約1,000万円となっています。
大会社や上場企業で義務づけられている法定監査は、公認会計士の独占業務であるため、需要が安定していることも大きな魅力です。

社会的信用がある

公認会計士は企業の財務健全性や法令順守の監査に携わるため、社会的な信頼度が高い職種です。
幅広い企業や団体が公認会計士の助言を必要とし、その意見書や監査報告書は法的にも重要視されています。
社会的信用を得ていることで、車や住宅のローンが組みやすいなど、生活面に直結するメリットを享受できます。

高い専門性がやりがいにつながる

監査業務では高度な専門知識を活かし、さまざまな業種のクライアントを受け持ちます。
この専門性を磨き、クライアントの財務健全性を評価する能力を高めることで、自己成長や専門的なスキルの向上が期待できます。
企業の健全な事業運営や持続可能な成長に貢献することは、大きな達成感やりがいにつながるでしょう。

一生使える資格で、キャリアの選択肢が豊富

公認会計士の資格は一生ものであり、キャリアプランの選択肢が豊富なことも利点です。
会計士としての経験を積みながら、経理コンサルタント、金融アドバイザー、一般企業の経営企画、独立開業など、さまざまな転身が可能です。
最新の知識とスキルを随時アップデートしていくことで、将来にわたって公認会計士資格の価値を保ち続けられます。

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公認会計士に向いている人の特徴

ここまで「公認会計士はやめとけ」と言われる理由の真相や、公認会計士として働く魅力について紹介しました。
しかし、「自分は公認会計士に向いているのだろうか」と疑問に思う方もいるかもしれません。

そこでこの章では、公認会計士に求められる資質や適性をもとに、公認会計士に向いている人の特徴 を紹介します。

責任感の強い人

公認会計士は、企業の財務情報を正確かつ法律に準拠して扱う重要な役割を担います。
特に公正な立場でかかわる監査業務では、信頼性透明性に責任を持つことが求められます。
責任感が強い人ほど、この役割を遂行するのに適していると言えるでしょう。

会計や経営に興味のある人

公認会計士としての役割を果たすためには、会計と経営に関する幅広い知識を持つ必要があります。
会計や経営に興味を持っている人は、その分野にかかわることへのモチベーションが高く、専門知識を積極的に習得しようとする傾向も見られます。

勉強好きな人

難易度の高い公認会計士試験に合格するためには、膨大な勉強時間が必要です。
勉強が好きな人は、長期間にわたる継続的な学習に耐えられる可能性が高く、試験合格を目指す前向きな姿勢が備わっていると言えます。

忍耐力のある人

細かな確認作業複雑な問題に向き合うことは、公認会計士の仕事内容から切り離せません。
粘り強さや忍耐力があれば、時間をかけて問題を解決し、正確な情報を提供することができるでしょう。

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公認会計士に向いていない人の特徴

公認会計士には向いている人の特徴がある一方で、業務の特性上、向いていないと考えられるタイプも存在します。

数字が苦手な人

会計の仕事は、当然のことながら数値を扱うことが中心です。
数字に抵抗感がある場合、計算ミスや誤った情報提供が懸念されるだけでなく、複雑な財務データを解釈することが難しいかもしれません。

細かいことを気にしすぎる人

監査業務は詳細なデータを調査し、小さなエラーや不一致を見逃さないことが重要です。
しかし、細かいことに神経質になりすぎると、ストレスを感じやすく、逆に業務効率が低下する可能性があります。


公認会計士の適性を判断するための特徴は上記のとおりですが、向き・不向きにとらわれすぎることは好ましくありません。
自分に適性があると思っても、実際に働いてみるとうまく馴染めなかったり、逆に適性がなくても、自己啓発や学習によって克服できたりする場合もあります。
向き・不向きはあくまで参考として捉え、目標に対する信念や可能性を広げる行動を心がけましょう。

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公認会計士になるまでの流れ

公認会計士になるまでの流れ

「やめとけ」と言われても、興味を持ったからには公認会計士を目指すプロセスが気になるところです。
公認会計士になるためには、大きな流れとして「試験」「就職」「登録」という3つのステップをクリアする必要があります。
以下にそれぞれの要点を説明します。

公認会計士試験

公認会計士になる最初のステップは、国家試験である公認会計士試験に合格することです。
受験資格については特に制限はなく、学歴や国籍などを問わず誰でも受験できます。
ただし、試験の難易度は高く、合格率が低いため、周到な準備が必要です。
試験は短答式(4科目、年2回)と論文式(5科目、年1回)から成り立っており、短答式に合格しないと論文式に進むことはできません。
短答式に合格すると、合格した年から2年間は短答式試験が免除され、論文式のみに集中できます。

就職

公認会計士試験に合格した後は、3年間以上の業務補助と実務補習(3年の期間内に受講)を経て、修了考査に合格することで公認会計士として登録が可能となります。
実務経験を積むために、試験合格者のほとんどは、まず監査法人に就職することが一般的です。
監査法人の内定は、公認会計士試験の合格発表から約2週間後となっているため、就職活動は迅速に進めなければなりません。
ファーストキャリアとなる監査業務では、財務諸表や内部統制の評価を行い、会計・財務・税務の知識を深め、スキルアップにつなげていきます。
上司や先輩からの指導を受けつつ、マネジメントやプレゼンテーションのスキルを磨く機会も提供されるでしょう。

公認会計士登録

実務経験を積む要件がすべて満たされると、いよいよ公認会計士として登録するステップに進みます。
まずは、日本公認会計士協会に登録申請書類や添付書類を提出し、審査を受けるなど、必要な手続きに従います。
登録には一定の費用がかかり、会費なども発生しますが、就職先が一部を負担する場合もあります。
登録が承認されると、晴れて公認会計士として業務を開始することができます。

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公認会計士以外のおすすめの資格

公認会計士資格を目指すことについて「やめる・やめない」で迷っているのであれば、公認会計士と親和性のある資格を目指すという選択肢もあります。
おすすめとしては、以下の2つの資格です。

日商簿記(2級以上)

日商簿記検定は、広く知名度があり、会計や財務に関する知識を証明するための資格です。
3級では個人や小規模事業の会計知識を習得しますが、2級以上を取得すると、多様な企業会計に関する専門知識が評価されます。
特に1級を取得すれば、コンサルティングや経営分析にも活かせるスキルが身につきます。
2級以上の資格は転職時に有利に働き、公認会計士としてのキャリアを補完するのに適しています。

税理士

税理士試験は、科目合格制となっており、5つの科目を合格することで税理士資格を取得できます。
税理士試験は科目合格性であり、何年かかっても5科目に合格すれば税理士試験合格となるため、働きながら資格取得を目指せることが利点です。
税理士は税務に関する専門知識を持つプロフェッショナルであり、企業や個人の税務アドバイザーとしての役割を果たします。
税理士資格を取得後、公認会計士試験に挑戦することも可能で、両方の資格を持つことで幅広い専門知識を獲得し、キャリアの多様性を高めることができます。


日商簿記2級も税理士資格も、公認会計士のキャリアに役立つものであり、経理、財務、税務などの分野で専門知識を深めることが可能です。
公認会計士資格に代わる選択肢として、自己の成長と多様なキャリアを追求する上でも検討の価値があります。

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まとめ

「公認会計士はやめとけ」という風評は、3つの理由から判断して、妥当なものとは言えません。
そもそも公認会計士に限らず、どのような仕事でもネガティブな一面や、向き・不向きというのはあるものです。
公認会計士の仕事は数字にかかわる作業が中心で、一見地味に思えるかもしれませんが、実際には多くのメリットややりがいがあることも事実です。
公認会計士は、さまざまな業界やビジネスシーンで求められる資格であり、社会的地位も確立されています。
目指すべき価値のある資格に対して「やめとけ」という言葉に惑わされること自体、やめておきましょう。

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この記事を監修したキャリアアドバイザー

篠原 義樹

大学卒業後、不動産会社にて個人向けの営業を経験。その後MS-Japanへ入社。会計事務所・コンサルティングファーム・監査法人・法律事務所・社会保険労務士事務所等の法人側担当として採用支援に従事。現在はキャリアアドバイザーも兼務し一気通貫で担当しております。

会計事務所・監査法人 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ USCPA を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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公認会計士が外資系企業に転職するメリットは何ですか?

公認会計士が外資系企業に転職するメリットは、「自分のペースで仕事ができる」「日系企業に比べて年収が高い」の2つです。 外資系企業は良くも悪くも実力主義のため、成果を出すことができていればプライベートの時間も確保しながら仕事をすることができます。 また、日系企業に比べて年収が高い傾向がありますが、福利厚生は日系企業の方が充実しているため、年収と福利厚生のどちらを重視するかを検討する必要があります。

公認会計士は外資系企業でワークライフバランスを重視した働き方が出来ますか?

外資系企業は日系企業に比べて実力主義な傾向が強いため、自分で労働時間を管理することができます。 また、今では日系企業でもリモートワークを採用している企業が多いですが、外資系企業は日系企業よりもリモートワークが普及しているため、働き方という意味でも外資系企業ではワークライフバランスよく働くことが可能です。

公認会計士は外資系企業でどのような部門に配属されることが多いですか?

公認会計士が外資系企業に転職する場合、「アカウンティング部門」もしくは「ファイナンス部門」のいずれかが有力な選択肢となります。 アカウンティング部門は、日系企業でいう経理部に当たり、ファイナンス部門は日系企業でいうと予算管理部門と経営企画部門のちょうど間ぐらいの立ち位置になります。

公認会計士が外資系企業で働くにはどのようなスキルが求められますか?

公認会計士が外資系企業で働くには、本国の経営陣や従業員とビジネス的な会話ができるレベルの語学力が必要です。 また、本国の所在地にもよりますが、US-GAAP、IFRS/IASといった海外の会計基準と日本の会計基準の違いをしっかりと理解しておく必要があります。 日本の公認会計士だけでなく、USCPAなどを取得しておくと外資系企業への転職には有利になります。

公認会計士が外資系企業に就職・転職するハードルは高いですか?

公認会計士が外資系企業に就職・転職するハードルは決して低くはありませんが、IFRS(国際財務報告基準)に関する知識と経験がある方には転職のチャンスがあります。 また、一定の英語スキルも必要にはなりますが、入社時に極端に高い語学力が求められるわけではありません。 尚、管理職を目指す場合は本国や他国の拠点とやり取りをするためにも、英語力は必須となります。

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