日商簿記2級のココがすごい!合格率から年収・転職成功事例まで徹底解説!



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経理職への転職においては、多くの企業で応募者の実務経験が重視される傾向にあります。
しかし、各種求人媒体に掲載されている求人の中には、「日商簿記2級」の取得者を歓迎、または必須要件としているものも見られます。
日商簿記2級はそれだけ市場価値の高い資格である一方、実際に経理職として働いているビジネスパーソンであっても、その価値を理解していない人が一定数います。
この記事では、日商簿記2級取得のメリットを紹介し、合格率や年収、転職成功事例についてもご紹介します。
日商簿記2級は"資格取得のメリット"がすごい!
日商簿記2級は、一般的に「経理職や会計事務所で働く際に有利な資格」と考えられていますが、取得する過程で学んだことは様々な分野に応用できます。
以下、日商簿記2級の資格取得のメリットについて解説します。
経理や会計事務所への就職・転職に有利!
日商簿記2級で学ぶ内容は経理や会計事務所での実務と直結しており、総じて就職・転職に有利な資格とされています。
仮に、20代前半で転職を志す場合、同じ未経験者であっても日商簿記2級に合格していれば、その分評価が高まるものと考えられます。
詳細は後述しますが、日商簿記2級を取得することで、企業規模を問わず経理職に採用されやすくなる傾向にあり、会計事務所への途も開けてきます。
また、資格取得の勉強の中で「財務諸表を読み解く力」も身に付くため、あらかじめ企業の財務諸表を確認してから、経営・財務状況を考慮した上で応募を検討することもできます。
年収・給与アップにつながる!
働く企業によっては、日商簿記2級が資格手当の対象となる可能性があります。
支給される金額は企業によりますが、概ね数千円~10,000円ほどの金額が給与にプラスされるため、年間で考えると数万円以上の収入アップが見込めることになります。
また、日商簿記2級の取得が資格手当などで直接的な給与アップに繋がらない場合でも、資格取得の過程で身に付けた知識やスキルを業務で活かすことができれば、昇給や昇格に繋がり、結果的に給与アップが期待できます。
様々なビジネスシーンで活用できる!
日商簿記2級で学ぶ内容は、“企業の血液”であるお金の動きを把握するのに役立ちます。
一般企業においては、経理はもちろんのこと、営業・販売・経理管理など様々なジャンルで知識を活かせます。
例えば、損益計算書を見ることによって、本業による収益はいくらか、営業利益に占める販管費の割合はどのくらいなのかを把握することができます。
試験では損益分岐点となる売上高の算出方法も問われるため、売上に関わる職種のビジネスパーソンが日商簿記2級を取得すると、自分の店舗を基準として「黒字にするためには最低でも売上をどれだけ出す必要があるのか」計算することも可能です。
日商簿記2級を活かした就職・転職先一覧
日商簿記2級を取得することで、就職・転職先の幅が広がります。
以下、日商簿記2級を活かした主な就職・転職先について、弊社が運営する管理部門・士業特化型転職サイト「MS Career」に掲載されている2024年8月時点の求人数と併せてご紹介します。
なお、各就職・転職先への求人数は、職種に加えて「日商簿記2級取得が要件となっている」ものをカウントしています。
企業の経理部
一般企業の経理部は、日商簿記2級という資格がもっともマッチする職場の一つです。
MS Careerに掲載されている求人数は「約1,000件」となっています。
大手企業の経理
大手企業の経理は、業務が細分化されていることが多く、経理担当がそれぞれの業務を専門に担当する方法をとっています。
また、グループ企業として子会社を持っている場合は、通常の決算業務に加えて連結決算など複雑な業務が必要になるため、経理のスペシャリストなど優秀な人材が重宝されます。
新人の教育体制が整っている企業も多いため、日商簿記2級以上を取得することで、実務未経験でも転職できる可能性があります。
大手企業の経理につき、MS Careerに掲載されている求人数は「約200件」となっています。
中小企業の経理
中小企業の経理は大手企業と違い、少ない人員で広範囲な業務を担当しています。
また、企業によっては経理以外の業務を任されることもあるため、幅広い業務経験を積むことができます。
将来、ゼネラリストや管理部門全体のマネージャー職などを目指している場合は、中小企業の経理に転職するのがおすすめです。
中小企業の経理につき、MS Careerに掲載されている求人数は「約800件」となっています。
大手企業の財務部
大手企業では、経理とは別に財務部が設置されていることがあります。
財務部では、銀行融資や株式発行などの資金調達や予算管理業務を行っています。
財務部の業務にも会計知識は必須のため、日商簿記2級の知識を活かすことができます。
企業の財務部につき、MS Careerに掲載されている求人数は「約700件」となっています。
会計事務所・税理士法人
会計事務所や税理士法人では、業務の1つとして企業の経理代行を担っています。
税務申告・税務相談においては、クライアント企業の会計データの分析・整理のほか、各種必要書類の作成も行います。
日商簿記2級で培ったスキルが特に活かされる業務としては、年度末に集中する確定申告の作成があげられます。
日商簿記2級を保有していて、将来に備えて実務経験を積みたいという場合は、複数の企業の経理業務を経験できる会計事務所を選ぶのがおすすめです。
なお、会計事務所・税理士法人につき、MS Careerに掲載されている求人数は「約1,200件」となっています。
その他(金融・コンサルなど)
その他、日商簿記2級の資格を活かせる職種としては、金融・コンサル系の職種があげられます。
金融業界では、信用評価・リスク管理に関連する業務で資格を活かしやすく、具体的には融資審査・財務分析といった業務で役立てられます。
すでに一定の実務経験を積んでいる場合は、経営コンサル・会計コンサルなどを狙うのも一手です。
財務状況や予算管理に関するアドバイスを行うほか、セミナーの講師を務める働き方も選べます。
MS Careerに掲載されている金融・コンサルなどの求人数は「約100件」となっています。
日商簿記2級保有者の年収は?
MS Agentの登録者データをもとに弊社が公開している【簿記資格保有者の雇用実態レポート2024】において、簿記保有級別の平均年収・平均年齢は以下の通りとなっています。
級 | 平均年収 | 平均年齢 |
---|---|---|
1級 | 583万円 | 38歳 |
2級 | 472万円 | 35歳 |
3級 | 456万円 | 36歳 |
上記結果を見る限り、1級と2級を比較すると、111万円の年収差が見られます。
そのため、日商簿記2級取得後に更なる年収アップを狙うのであれば、1級取得に向け勉強するのがよいでしょう。
続いて、同じく【簿記資格保有者の雇用実態レポート2024】より、日商簿記の保有級別の平均年収を「年齢別」に分類したデータをご紹介します。
年齢 | 1級 | 2級 | 3級 |
---|---|---|---|
~29歳 | 383万円 | 362万円 | 365万円 |
30~34歳 | 479万円 | 451万円 | 431万円 |
35~39歳 | 593万円 | 497万円 | 457万円 |
40~44歳 | 630万円 | 542万円 | 499万円 |
45歳~ | 777万円 | 630万円 | 602万円 |
1~3級のすべてにおいて、年齢上昇にともない平均年収は上昇しています。
また、級の高さに応じて年収の上昇幅が変化しており、1級は394万円、2級は268万円、3級は237万円と、1級がもっとも上昇幅が大きいことが分かります。
2級取得者の推移を見ると、40~44歳の時点で年収500万円を突破しており、3級取得者よりも早く年収500万円台に到達しています。
よって、無資格または3級取得者に比べて、2級取得者の年収アップのタイミングは早いといえそうです。
日商簿記2級を活かせる求人例3選
日商簿記2級を取得することで、就職・転職市場において選べる求人の幅が広がります。
ここでは管理部門・士業特化型転職エージェント「MS Agent」でご紹介可能な日商簿記2級を活かせる求人例を紹介します。
経理スタッフ/業界大手企業/未経験歓迎
仕事内容 |
・経費精算 ・販管費の支払い ・月次/四半期/年次 決算業務 ・開示関連業務 |
必要な経験・能力 |
・簿記2級以上の資格 |
想定年収 |
414万円 ~ 505万円 |
経理労務/創業30年以上の安定企業
仕事内容 |
・売上計上、請求書発行 ・日常業務 ・決算業務(月次、四半期、年次決算) |
必要な経験・能力 |
・経理実務経験3年以上 ・簿記2級以上 |
想定年収 |
400万円 ~ 700万円 |
税理会計ジュニアスタッフ/会計事務所
仕事内容 |
・税務、会計相談業務 ・各種税務申告書および税務関連書類の作成業務 ・月次のレビュー業務 |
必要な経験・能力 |
・日商簿記2級以上 ・税理士試験科目の合格者 ・基本的なPCスキル |
想定年収 |
400万円 ~ 550万円 |
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日商簿記2級保有者の転職成功事例
日商簿記2級で未経験から経理にキャリアチェンジ
Zさん(20代後半/男性)資格:日商簿記2級
転職前:フィールドエンジニア
転職後:上場子会社経理(年収20万円アップ)
Zさんは、大学卒業後、エンジニアとして活躍されてきましたが、新型コロナウイルスの影響を受けて経理へのキャリアチェンジを決心されました。
未経験でも評価されやすい日商簿記2級を武器に内定を獲得し、未経験ですが前職よりも高い年収を得ることができました。
子育てママさんの働きやすさ重視の経理転職
Kさん(30代前半/女性)資格:日商簿記2級
転職前:上場グループの事業会社
転職後:非上場の事業会社(年収30万円アップ)
Kさんは、前職で産休育休後に職場復帰しフルタイム勤務されていましたが、仕事と育児の両立が難しく残業時間が短く、リモート勤務が可能な職場に転職されました。
これまでの経理経験や簿記2級を高く評価され、複数社から内定を獲得したため、自分にあった職場環境を選択することができました。
日商簿記2級試験の概要
日商簿記2級試験は、主に統一試験・ネット試験で受験でき、受験料は税込5,500円となっています。
以下、これから日商簿記2級試験の受験を目指す方向けに、試験の概要(日程・試験内容)について解説します。
日商簿記2級試験の日程
2025年度における、日商簿記2級試験の日程は以下の通りです。
<統一試験日程>
・2025年2月23日(日)
・2025年6月8日(日)
・2025年11月16日(日)
なお、統一試験に関しては、例年次の時期に「年3回」実施されます。
・6月第2週日曜
・11月第3周日曜
・翌年2月第4週日曜
<ネット試験>
・全国各地の各ネット試験会場で試験日が決定
・統一試験各回が行われる前後に休止期間が設けられる
なお、上記における2025年度の休止期間は以下の通りです。
・2025年4月1日(火)~4月13日(日)
・2025年6月2日(月)~6月11日(水)
・2025年11月10日(月)~11月19日(水)
日商簿記2級の試験内容
日商簿記2級の試験は、商業簿記と工業簿記の2科目で構成されており、試験時間は90分です。
合格基準は70%以上で、合格率は20〜30%ですが、回によっては合格率が1桁台だったり、40%を超えたりと振れ幅が非常に大きいため、難易度は回によって異なります。
具体的な試験科目と科目内容は以下の通りです。
商業簿記(配点60点)
商業簿記とは、「企業が外部との取引(商業活動)を記録・管理すること」です。
ビジネスの場で特に使用されている簿記であり、商業活動に関連する全ての金銭取引を正確に記録することが求められます。
日商簿記2級では、基本的な会計原則や取引の記録、財務諸表の作成に関する知識を理解する必要があり、単純な取引から複雑な取引まで、多岐にわたる会計処理を行う技能が求められます。
工業簿記(配点40点)
工業簿記とは、「主に製造業における原材料の購入や在庫管理、生産コストの計算など製品の製造活動を記録・管理すること」です。
工業簿記は2級から試験科目になるため、日商簿記2級では、製造業の原価計算全体の流れの基本を理解し、製造業での会計実務やコスト管理に関する知識と技能が必要です。
日商簿記2級は、3級の試験範囲を十分に理解したことを前提とした試験になっています。
2級からの受験を考えている場合でも、試験勉強は3級の範囲から行うことをおすすめします。
また、2021年6月以前の日商簿記2級は試験時間が120分と現在の試験時間よりも30分長く設定されていました。
しかし、試験時間変更前後で問題数は変更されていないため、現在は問題を解く正確性とスピードどちらも重視されていると考えられます。
日商簿記2級の難易度・合格率は?
日商簿記2級の合格率は20~30%
日商簿記2級の合格率は20〜30%と比較的難易度の高い試験です。
同じ日商簿記の1級は合格率が8〜10%、3級は40〜50%と、階級が上がるごとに難易度が高くなっていることがうかがえます。
以下、2023年と2024年の日商簿記2級試験における合格率と平均合格率です。
回 | 試験年月日 | 合格率 |
---|---|---|
第168回 | 2024年11月17日 | 28.8% |
第167回 | 2024年6月9日 | 22.9% |
第166回 | 2024年2月25日 | 15.5% |
第165回 | 2023年11月19日 | 11.9% |
第164回 | 2023年6月11日 | 21.1% |
第163回 | 2023年2月26日 | 24.8% |
なお、日商簿記検定試験を主催する日本商工会議所によると日商簿記2級のレベルは、
「高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を修得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できるなど、企業活動や会計実務を踏まえ適切な処理や分析を行うために求められるレベル。」
と定義されています。
未経験者歓迎の経理の求人の多くで、日商簿記2級を応募条件にしていることからも分かるように、簿記の中でも最も経理の実務に近い知識と技能のレベルであると考えられます。
経理や会計に関する他資格と試験難易度を比較
ここでは、日商簿記2級と経理会計に関する他の資格の難易度を比較します。
ビジネス会計検定
ビジネス会計検定とは、大阪商工会議所が主催している検定の一つで、財務諸表に関する知識や分析手法について問う検定です。
簿記は財務諸表を作成するところまでが試験内容ですが、ビジネス会計検定では作成された財務諸表を利用して分析するところが試験内容になっています。
ビジネス会計検定にも1〜3級まで階級があり、それぞれ簿記と同程度の難易度です。
給与計算検定
給与計算検定とは、一般財団法人職業技能振興会と一般社団法人実務能力開発支援協会で実施している検定で、企業の給与計算業務の知識と実務能力を認定する検定です。
給与計算検定は1級と2級があり、合格率は1級が約50%、2級が約75%と日商簿記よりも比較的難易度の低い試験です。
まとめ
日商簿記2級を取得すると、経理職・会計事務所への就職や転職だけでなく、現在の職場における年収・給与アップにもつながる可能性があります。
経験次第では金融・コンサル業界への途も開けるため、チャレンジする価値は十分あります。
合格率は20~30%と決して易しくはありませんが、その分合格に求められるスキルの水準も高いことから、合格に向けて勉強するだけでも自分の実力をアップさせることにつながります。
見事合格を勝ち取った暁には、資格取得後のキャリア・転職相談に、MS Agentの充実したサポートをぜひご活用ください。
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この記事を監修したキャリアアドバイザー

大学卒業後、外資系小売り業に就職、セールスマネジメントや採用、教育研修を経験。
人がいかに業績を左右するかについて認識し、現職のMS-Japanに転職する事を決断。
入社以来、東海エリアのキャリアアドバイザーとして、キャリアチェンジやスキルアップを目的とした若年層の支援を中心に担当しております。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 役員・その他 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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