日商簿記2級を持っている人は転職に有利?活かせる仕事や成功事例など!

日商簿記2級は、会計系資格の中でも登竜門として認知度が高く、人気の資格です。
仕事や転職へ活かすために日商簿記2級を取得した人、これから取得を目指す人にとって、「どのような仕事に活かせるのか」は大きな関心事でしょう。
この記事では、日商簿記2級を活かせる仕事の分野について、転職成功事例も交えて紹介いたします。
日商簿記2級のおさらい!
簿記とは、経営活動に伴うお金の出入りや取引情報を記録し、企業の利益と損失を整理・報告するための体系的な方法です。
日商簿記2級は、簿記の資格の一つであり、日本商工会議所が主催する簿記検定試験の中で中級レベルに位置づけられます。
2級の試験では、財務諸表の作成や分析、原価計算、予算管理、税務処理など、会計と税務の基本的な知識が問われます。
これらのスキルは、企業の経営者、会計担当者、経理スタッフなどが日常的に必要とする能力です。
経営判断や財務管理に役立つ知識として、企業が求める資格の中では信頼度が高く、資格としての知名度も群を抜いています。
日商簿記2級の統一試験(ペーパー)での合格率は、過去10回の平均で21.5%です。
最高合格率は第133回の47.56%、最低合格率は第107回の5.69%とバラついていますが、回によっては10%を下回ることもあり、難易度は高い傾向と言えます。
2020年から導入された2級ネット試験の合格率は平均39.2%となっており、統一試験と比べて差があるようです。
日商簿記2級を持っている人は転職に有利?取得するメリットを解説
日商簿記2級を取得することによって、実際にどのようなメリットがあるのでしょうか。
以下に、主な3つの利点について解説します。
社会人としての基礎的感覚が身につく
日商簿記2級の取得は、会計や財務に関する基本的な知識・スキルを習得する機会です。
これにより、ビジネスや経済における基礎的な理解が深まり、社会人としての基本的な感覚が身につきます。
ビジネスパーソンに求められる能力を得ることは、働く上での大きなメリットと言えます。
持っていないと転職で不利になる
経理や財務職の採用選考の際には、簿記2級以上の資格を持っていることが応募条件として求められるケースも少なくありません。
これはある程度の実務経験を積んでいる経理であれば、多くの方が取得しているためです。
20代であれば、日商簿記2級を持っていることが、転職で有利に働きます。
一方で、30代以降の場合は、持っていることを前提に何の経験を積んでいるかという評価になるため、持っていない場合は転職において不利になる可能性があります。
企業の経営・財務状況が確認できる
日商簿記2級の取得により、企業の経営判断や財務状況を理解するための基礎を身に着けることができます。
これは経理に限らず、どの職種の人にとっても役立つ知識です。自社のビジネス上のリスクを見極めるためにも、一定の財務データの分析能力は必要だと言えるでしょう。
会計情報や財務諸表を解読できる日商簿記2級は、経営状況を客観的に判断することに役立ちます。
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「日商簿記2級は持っていても意味ない」という話はホント?
簿記2級の受験勉強をしていた際に、ネット上で「簿記2級は持っていても意味がない」という口コミを目にしたことがあるかもしれません。
そのウワサは本当のことなのでしょうか。
「意味がない」と言われる要因について、実情を掘り下げてみましょう。
取得者が多いため、市場での競争力が低いと思われている
簿記2級は例年15万人近くが受験し、約3万人もの合格者が出ています。
取得者数が多いことで、資格としての優位性が差別化しにくく、転職市場での競争力が低いのではと思われているようです。
しかし、多くの求人募集で、日商簿記2級が応募条件に入っていることを考えると、採用企業側としては一定の評価対象となっている資格です。
知名度が高いことで、取得しやすいと誤解されている
簿記2級は広く知られた資格であることから、一部では容易に取得できるものと誤解されています。
しかし、前述のとおり合格率の平均は21.5%となっており、受験者のうちわずか2割程度しか合格できない難易度です。
このことから、会計の基礎を身に着けるための資格であるため、何度か受験することで合格にたどり着くことは可能ですが、必ずしも簡単な資格ではないことがわかるはずです。
外部の専門家に任せればいい
「お金のことはお金の専門家に任せればいいのでは」という意見は、ある意味、的を射た考え方です。
しかし、経営判断を伴う会計事案や、企業の機密情報にかかわる支出管理などは、外部に委託しづらい面があります。
お金の出し入れは社内で管理すべきと考える企業も多く、外部委託には慎重な傾向があります。
AIに置き換えられてしまう可能性がある
AIの技術進歩が著しい昨今、簿記や会計業務の一部が自動化される可能性は否定できません。
ただし、経理の作業はAIに代替できても、分析し経営層に正しく報告する業務や判断は人間の柔軟な思考が必ず必要となります。
円滑な出金管理や指示を司る部分も含めて、会計業務のすべてをAIに置き換えることには限界があると言えます。
日商簿記2級を活かした仕事は?
会計分野の専門知識とスキルを問われる日商簿記2級は、さまざまな業界・職業においてその能力を活かすことができます。
以下では、日商簿記2級を活かせる仕事について紹介します。
一般企業の経理部
どのような事業を営むにしても、お金のやりとりは企業活動において必要不可欠です。
そのため、日商簿記2級は多くの一般企業でニーズがあり、そのスキルは経理部のポジションで活かされます。
経費精算や仕訳などの日常的な経理業務だけでなく、企業の財務状況や収支の把握、予測でも日商簿記2級の知識が役に立つでしょう。
月次・年次の決算や財務諸表の取り扱いなど、経営の要となる会計業務にも日商簿記2級の知識は必要不可欠です。
会計事務所(税理士事務所)・税理士法人
日商簿記2級の知識は、会計事務所(税理士事務所)・税理士法人でも重宝されます。
メイン業務である税務の代理や税務書類の作成、税務相談は税理士の独占業務であるため、日商簿記2級の保有者は従事することができません。
しかし、経理業務の代行や税務申告・税務相談の準備として、クライアント企業の経理データを分析・整理し、必要書類の作成などに携わることができます。
また、年度末に集中する確定申告や決算業務のサポートなどは、日商簿記2級のスキルを存分に発揮できる場面です。
その他の職業や業種においても、日商簿記2級の資格は強みになります。
営業の仕事では、商品やサービスの収益性を分析したり、会計知識を活かした有益な情報を顧客へ提案したりすることも可能です。
金融業界では、融資審査や財務分析など、信用評価とリスク管理に関わる業務に資格を活かせます。
経営コンサルティングでは、クライアント企業に対して財務状況や予算管理のアドバイスを提供できるでしょう。
また、管理職として、部署の予算管理や財務戦略の観点から意思決定を下すことにも役立ちます。
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日商簿記を持っている人におすすめの求人例
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日商簿記2級を持っている人の転職エピソード
日商簿記2級の資格を活かし、未経験で経理へのキャリアチェンジを成功させた方の事例をご紹介します。
簿記2級を活かして転職を成功させたYさんの転職成功エピソード
- 転職前:非上場企業(営業事務)
- 転職後:東証スタンダード上場企業(経理職)
転職成功ストーリー:派遣社員から、簿記2級取得で正社員経理に!
服飾系の専門学校を卒業後、数社で働いていたYさん。
直近は派遣社員で働いていましたが、正社員として長期的に働いていきたいと思っていました。
そこで職業訓練に通い、簿記2級を取得し、その後転職活動を開始しました。経理未経験での挑戦でしたが、人柄や意欲を評価され、正社員で上場企業経理職として正社員採用されました。
転職成功のポイント:事前の面接対策で自信をもって面接へ
Yさんの転職成功のポイントは、「事前の面接対策」にありました。謙虚なお人柄のYさん、これまで派遣社員だったこともあり、上場企業へのキャリアチェンジはハードルが高く思っていました。
そこで、弊社の面接対策を受け、面接前に不安なことは全てキャリアアドバイザーに相談。面接当日は落ち着いて臨むことができたようです。
新たなキャリアをスタートさせるためには何を準備すればいいのか、自分の強みや志向性を明確にすることが、転職成功の鍵となります。
「なぜ転職するのか」、「転職して何を叶えたいのか」など、背景やキャリアイメージの整理でお困りの際は、ぜひ弊社アドバイザーにご相談ください。
まとめ
経済を動かすことは、お金を動かすことにほかなりません。お金の動きがあるところに、簿記の能力を必要とするニーズもあります。
特に日商簿記2級は、一般企業の経理部門をや会計事務所・税理士法人をはじめ、コンサルティング会社、金融機関、商社、小売業、サービス業、製造業など、幅広い業種で活かせる資格です。
一般企業では経理部に限らず営業職や販売職、管理職などでも役立ちます。
日商簿記2級取得後の転職活動に不安がある方は、経理を含めた管理部門・士業の転職サポートを行っているMS-Japanにご相談ください。
日商簿記2級を活かせる求人情報はもちろん、職種ごとに専門知識のあるキャリアアドバイザーが、業界動向や面接対策などのサービスを提供いたします。


この記事を監修したキャリアアドバイザー

大学卒業後、食品メーカー営業を経て2005年MS-Japan入社。企業側営業担当を1年半経験し、以降はカウンセラー業務を担当。若手中堅スタッフの方から、40~50代のマネージャー・シニア層の方まで、年齢層問わず年間500名以上をカウンセリングさせていただいています。
企業管理部門全般~会計事務所など士業界、会計士・税理士・弁護士資格者まで弊社の特化領域全般を担当しています。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 役員・その他 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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