監査法人・税理士法人の海外出向プログラムに挑戦!~身に付くスキルとキャリアパス~

Big4系列の監査法人や税理士法人では、海外出向(派遣)プログラムという制度があり、年に数名ずつ海外現地の事務所に人材を送り込んでいます。
この海外出向案件に選ばれる方は、社内の厳しい選考をパスしてきた猛者たち。彼らは現地でどのような仕事をしているのでしょうか。また、海外出向を経験すると、どのようにキャリアが広がっていくのでしょうか。
今回の会計トピックスでは、海外出向を経験することで身に付く能力やその後のキャリアについてまとめてみました。
海外出向案件に応募するには?
Big4系のファームで働いている方であれば、勤務して約2年という規定期間を満たしていれば、海外出向(派遣)プログラムに応募することが出来ます。また、ファームごとに応募するための必要条件は異なるようですが、最低でもTOEIC700点以上は要求されるようです。
上記のハードルを見ると、そこまで応募のためのバーは高く設けられていない印象。Big4系ファームでは若い社員にも平等にチャンスがあるようですので、一般事業会社で勤務するよりも海外への切符は手にしやすいのかも知れません。
海外現地では、どのような仕事をしているのか?
上記のように海外出向案件に応募~社内選考を突破した場合、実際にどのような経験を積むことが出来るのでしょうか。弊社が独自に入手した情報によると、海外出向経験者の多くが以下のような経験を積んでいることが分かりました。
≪海外現地のBig4に出向すると…≫
・基本的にJapanデスクへの配属が中心
・日系企業の海外子会社に対する税務・会計コンプライアンス業務が基本
・日系企業の海外進出支援をトータルにサポートする案件も多数
※出向する国によっては、日系企業ではなく現地企業の監査や税務を担当することも
海外現地のBig4事務所に出向した場合、基本的には日系企業の海外子会社向けに監査や税務上のサービスを実施することが多いようです。
公認会計士の方であれば、日系企業の海外子会社に対するIFRS基準での監査、海外基準での内部統制監査、日本の親会社向けレポート・資料のチェックなどがオーソドックスな業務になる印象です。
また、上記のようなルーティン業務以外にも、日系企業が海外進出する際の各種アドバイス業務に従事するケースも少なくありません。
その場合は、海外現地の税制や会計基準などを踏まえて、最適な子会社設立のスキームや、現地でビジネスを行う上での留意点などを総合的にアドバイスしていくことになりますので、税法や会計基準に限らずゼネラリスト的な立場で顧客をサポートしていくことになるかと思います。
海外出向で身につく能力は?
上記のような経験を積むと、自ずと海外現地の会計基準や税法、ビジネス環境に精通していくことになります。これは日本のBig4事務所に在籍している限りなかなか身につかないものです。
特に日本のBig4は監査法人、税理士法人、コンサルティング会社が“独立性の観点”から完全分業制になっていますが、海外現地では同じオフィスの中で緩やかに業務領域を分けているケースも珍しくありません。
特に新興国やメジャーではない国に出向する場合は、日本の人出向者も僅かで、少ない人数で現場を切り盛りする必要が出てきます。従って、税務も監査もビジネスアドバイザリーも兼任するケースが出てきます。
結果、クライアントとの窓口対応、アドバイス業務は日本人が担い、決算・税務申告、監査実務は現地の外国人スタッフに委ねる(日本人はレビュー中心)というケースも多いようです。
上記を踏まえると、監査、税務、ビジネスアドバイザリー、外国人スタッフのマネジメント、そしてクライアントへの提案~コンサルティング能力が備わりやすいと言えるでしょう。
海外出向後のキャリアについて
今までは海外出向中に経験できること、身に付く能力について記載をしてきましたが、帰国後のキャリアについても触れておきましょう。
海外出向の任期満了を迎えた方には、どのような選択肢が出てくるのでしょうか。主だったキャリアパスを挙げてみましたのでご覧ください。
≪日本に帰国後、想定される代表的なキャリア4つ≫
ケース1
・Big4監査法人の国際部や海外会計基準を扱うアドバイザリー部門に配属
⇒グローバル日系企業の監査、または外資の日本子会社の監査対応。
または、IFRS基準の導入アドバイザリーなどにアサインされる可能性が高い。
ケース2
・Big4税理士法人の国際部、または国際性の高い案件を扱う部門に配属
⇒日系企業の海外進出支援、または外資系企業のインバウンド支援、その他移転価格税制支援、駐在員向けの所得税申告等
ケース3
・Big4以外の会計ファームに転職
⇒中堅税理士法人や専門性の高い小規模ファーム等で国際サービス部門の立ち上げ
または、上記のような国際サービス部門のマネジャーポジションを狙う
ケース4
・グローバル企業に転職
⇒世界展開する企業の経営管理部門で新しいキャリアを築く
(海外子会社管理、海外拠点へ駐在、その他、IFRS導入、移転価格対応など専門性が問われるポジション等)
上記のように海外出向経験を経ることで、より国際性のあるキャリアを築くことが可能になります。
「会計や税務といった専門知識はあるが、国際性という切り口では自信がない。」「今後は国際性のあるキャリアを目指したい。」という方は、海外出向という選択肢も検討されてみてはいかがでしょうか。


この記事を監修したキャリアアドバイザー

大学卒業後、新卒でMS-Japanに入社。
法律事務所・会計事務所・監査法人・FAS系コンサルティングファーム等の士業領域において事務所側担当として採用支援に従事。その後、事務所側担当兼キャリアアドバイザーとして一気通貫で担当。
会計事務所・監査法人 ・ 法律・特許事務所 ・ コンサルティング ・ 金融 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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公認会計士が外資系企業に転職するメリットは何ですか?
公認会計士が外資系企業に転職するメリットは、「自分のペースで仕事ができる」「日系企業に比べて年収が高い」の2つです。 外資系企業は良くも悪くも実力主義のため、成果を出すことができていればプライベートの時間も確保しながら仕事をすることができます。 また、日系企業に比べて年収が高い傾向がありますが、福利厚生は日系企業の方が充実しているため、年収と福利厚生のどちらを重視するかを検討する必要があります。
公認会計士は外資系企業でワークライフバランスを重視した働き方が出来ますか?
外資系企業は日系企業に比べて実力主義な傾向が強いため、自分で労働時間を管理することができます。 また、今では日系企業でもリモートワークを採用している企業が多いですが、外資系企業は日系企業よりもリモートワークが普及しているため、働き方という意味でも外資系企業ではワークライフバランスよく働くことが可能です。
公認会計士は外資系企業でどのような部門に配属されることが多いですか?
公認会計士が外資系企業に転職する場合、「アカウンティング部門」もしくは「ファイナンス部門」のいずれかが有力な選択肢となります。 アカウンティング部門は、日系企業でいう経理部に当たり、ファイナンス部門は日系企業でいうと予算管理部門と経営企画部門のちょうど間ぐらいの立ち位置になります。
公認会計士が外資系企業で働くにはどのようなスキルが求められますか?
公認会計士が外資系企業で働くには、本国の経営陣や従業員とビジネス的な会話ができるレベルの語学力が必要です。 また、本国の所在地にもよりますが、US-GAAP、IFRS/IASといった海外の会計基準と日本の会計基準の違いをしっかりと理解しておく必要があります。 日本の公認会計士だけでなく、USCPAなどを取得しておくと外資系企業への転職には有利になります。
公認会計士が外資系企業に就職・転職するハードルは高いですか?
公認会計士が外資系企業に就職・転職するハードルは決して低くはありませんが、IFRS(国際財務報告基準)に関する知識と経験がある方には転職のチャンスがあります。 また、一定の英語スキルも必要にはなりますが、入社時に極端に高い語学力が求められるわけではありません。 尚、管理職を目指す場合は本国や他国の拠点とやり取りをするためにも、英語力は必須となります。
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