2024年02月22日

公認会計士に簿記資格は必要?関連性やメリット・デメリットを徹底解説!

管理部門・士業の転職

公認会計士の試験科目には、管理会計論、財務会計論、会計学など、「日商簿記試験」と重なる内容も含まれています。
「日商簿記試験」の延長線上に公認会計士試験があるとも言われており、簿記の勉強が公認会計士の資格取得に役立つのは事実です。

では、実際に公認会計士を目指すにあたって、簿記の資格は必要なのでしょうか。
この記事では、簿記と公認会計士の関係性や両資格の難易度簿記取得のメリットなどを紹介します。
なお、この記事では「簿記」は「日商簿記」を示すものとします。

公認会計士と簿記の概要

公認会計士と簿記の資格や仕事にはどのような違いがあるのか、概要を以下にまとめています。

公認会計士とは

公認会計士は、「監査」を独占業務として行える唯一の国家資格です。
試験は、短答式(マークシート式)試験(4科目・年2回)と論文式試験(5科目・年1回)の2段階方式で、年齢や性別、国籍にかかわらず受験することが可能です。
試験範囲として、財務会計論・管理会計論・監査論・企業法・租税法など幅広い専門知識が求められるため、学習には長期間を要します。
合格にあたっては、すべての科目で合格点を上回る必要があり、合格率が10%前後という非常に難易度の高い資格です。

試験合格後は、2年以上の業務補助と3年間の実務補習の修了が認められることで、公認会計士として登録できるようになります。
会計のスペシャリストである公認会計士は、監査法人や税理士法人、コンサルティングファーム、一般企業、金融機関などさまざまな分野・業種で活躍が期待できます。

簿記とは

簿記とは、企業の財務状況を把握するため、お金の出入りを記録する業務です。
簿記の資格には、日商簿記・全経簿記・全商簿記の3種類があり、難易度や試験内容はそれぞれ異なります。
この中で最も認知度の高いのは日商簿記で、2級もしくは1級を取得すると経理のスペシャリストとして評価され、転職にも有利です。特に日商簿記1級は難易度が最も高く、公認会計士試験に近いレベルの簿記知識が求められます。

1級に合格すると、税理士の受験資格を得られることも魅力的なポイントです。
2級以上の出題範囲に含まれる商業簿記と工業簿記は、公認会計士の試験科目である財務会計と管理会計に該当します。
商工会議所が実施する日商簿記検定は、3級・2級が年3回、1級が年2回です。
簿記の資格を取得した後には、一般企業の経理部門や会計事務所などで経理や簿記に関する業務に従事することが一般的です。

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公認会計士試験と簿記1級試験の関連性や違い

前述の通り、公認会計士試験は国家資格で、簿記1級は公的な資格ですが、公認会計士試験の合格には日商簿記1級合格程度の知識が求められることもあり、共通点もみられます。

試験の特徴 公認会計士 簿記1級
受験資格制限 なし なし
試験方式 1次試験:マークシート
2次試験:論文式
1回の試験のみ
出題内容 1次試験:管理会計論、財務会計論、監査論、企業法
2次試験:会計学、監査論、租税法、企業法、選択科目
商業簿記、会計学、工業簿記、原価計算
合格率 10% 10%
勉強時間 約3,500時間 約900時間

受験資格

公認会計士試験、簿記1級試験は、どちらも受験資格に制限が設けられていません。年齢、性別、国籍を問わず、だれでも受験できます。

試験方式

公認会計士試験は、短答式(マークシート式)の1次試験に合格後、論文式の2次試験を受験できます。
簿記1級試験は1回の試験のみで合否が決まります。

出題内容

公認会計士試験の試験科目は、1次試験が管理会計論、財務会計論、監査論、企業法、2次試験は会計学、監査論、租税法、企業法、選択科目(経営学、経済学、統計学、民法)と幅広くあります。
対して簿記1級の試験科目は、「商業簿記、会計学、工業簿記、原価計算」の4科目です。

試験内容に共通する範囲もあります。
公認会計士試験の財務会計論には、簿記1級にある計算問題が含まれており、管理会計論は商業簿記と工業簿記に該当します。監査論や企業法、租税法の出題を解くにも、簿記1級の知識が必要です。
具体的な共通点としては、ともに「財務諸表」を取り扱うことです。簿記1級では財務諸表を作成する能力、公認会計士は財務諸表を正しく報告するスキルが求められます。

合格率

簿記1級と公認会計士の試験は、合格率がどちらも10%前後という狭き門ですが、視点を変えると難易度に違いも見られます。

簿記1級は公認会計士の登竜門と言われ、簿記1級に合格することが公認会計士試験の基礎固めや応用に役立つとされています。
簿記1級の試験では難易度の高い計算問題も出題されますが、公認会計士試験は短答式や論文式など出題のアプローチに変化があり、論点も幅広いため、難易度がより高い傾向にあります。
筆記試験だけでなく、実務経験や面接試験など複数の段階にわたって評価されることも、公認会計士試験のハードルが高いとされる理由のひとつです。

勉強時間

また、勉強時間の面でも難易度が異なります。
簿記2級・3級の資格を持たずに簿記1級を目指した場合、合格に必要な勉強時間は約900時間が目安です。
一方、公認会計士試験に合格するためには、約3,500時間もの勉強量が必要と言われています。
公認会計士試験は、習得すべき専門知識がハイレベルであるのに加えて科目数も多いことから、学習にかかる道のりも容易ではありません。

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公認会計士試験の前に簿記から取得する必要はある?

公認会計士試験に合格するためには、簿記の内容を正しく学習することが重要です。公認会計士試験は簿記1級レベルの問題が出されるため、その基礎となる簿記3級の知識が欠かせません。基礎からすべてを学習するための学習時間が必要になります。

メリット

簿記の知識を先に身につけると、基礎を固められるため公認会計士試験の内容をスムーズに理解できます
また、簿記の試験を先に挑戦しておくことで試験勉強の進め方が確立でき、試験に合格した成功体験から学習のモチベーションアップにもつながります。

公認会計士を目指すステップとして、基礎を身につけて学習イメージにつなげやすい簿記3級から勉強するのは良い方法です。簿記3級取得後に簿記2級へステップアップすることで理解力が深まり、学習がスムーズに進んでいきます。
簿記2級の試験科目では管理会計論が加わりますが、これは公認会計士試験においても重要な科目のひとつです。簿記2級は、管理会計論の知識をカバーできるメリットも含めて、公認会計士に向かう道筋を確かなものにしてくれるでしょう。
簿記1級では、試験範囲が公認会計士試験と重なる科目が少なくありません。特に多くの学習時間を要する科目が重複しているため、簿記1級を取得することが公認会計士試験の学習にかかる負担軽減につながります。

デメリット

一方、簿記資格を取得するためには相応の時間を費やすので、公認会計士試験のための勉強時間が減るのはデメリットであると感じる方もいます。簿記1級は難易度が高く、合格するためには公認会計士試験では求められない出題範囲も含めて長時間の勉強が必要です。

簿記3級から順に試験を受けていく場合、それぞれの試験で以下のような学習が求められます。
簿記3級の試験内容は、主に小規模な会社の経理業務に必要な商業簿記の基礎知識です。合格率は45%~55%程度で、3級の合格に必要な学習時間は100時間程度とされています。
簿記2級の試験内容は、中規模程度の会社における会計処理、財務諸表作成などの知識を含む高度な商業簿記、製造業に欠かせない原価計算などです。合格率が15%~30%程度、学習時間は200時間ほど必要とされます。
簿記1級は、大企業の会計処理が行えるレベルとされます。連結会計、管理会計、高度な簿記知識が出題される試験です。上記のとおり合格率は10%程度、約900時間の学習時間が必要になります。

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公認会計士の資格がなくても簿記があれば転職で有利に!

公認会計士の資格がなくても簿記があれば転職で有利に

公認会計士を目指していても、何らかの理由で資格取得をリタイアする人はまれではありません。では、そのような方は就職、転職が出来ないのでしょうか。
実は、公認会計士資格を取得できていなくても、公認会計士の試験勉強をしていたことで会計知識があると見なされやすく、転職には有利になります。

また、日商簿記2級以上の資格があれば、経理にかかわる転職の際には大きな強みになります。簿記2級を持った人材は、会計帳簿の作成や財務諸表を読み解く即戦力として評価され、書類選考も通過しやすいでしょう。
簿記2級の資格を活かせる転職先としては、会計事務所や税理士事務所、企業の経理・財務・営業部門、コンサルティング会社、金融機関など多岐にわたります。
「公認会計士の資格はないけれど、簿記2級の資格ならある」という方は、自信を持って転職に臨んでください。

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簿記を活かせる求人例

ここでは、弊社「MS Agent」で取り扱っている簿記資格を活かせる求人の一部をご紹介します。

大手電機メーカーのグループ会社での経理求人です。

想定年収
400万円~600万円
仕事内容
・メーカーの経理/会計業務全般
・事業戦略/計画の策定補助
・内部統制業務、経営分析、経営管理
必要な経験・能力
<必須>
・簿記3級以上の方もしくは、同等の知識をお持ちの方

<歓迎条件>
・金融機関からキャリアチェンジを希望される方
・メーカーでの経理経験のある方
・1,000名以上の規模での経理経験のある方
公認会計士や税理士などを目指したことのある方

企業の経営戦略とディスクロージャーをトータルサポートしている企業にて会計コンサルタント募集

想定年収
425万円~850万円
仕事内容
会計コンサルタントとして、会計システムの提案・導入支援からコンサルティングまでお任せします。
・ヒアリング・提案
・システムの導入サポート
必要な経験・能力
<必須>
・会計コンサルティング業務に興味をお持ちの方

<歓迎>
公認会計士・短答式試験合格者・受験経験者
・税理士・科目合格者・受験経験者
日商簿記検定2級以上もしくは同等以上の知識
・企業や会計事務所等での会計・経理実務経験

【会計士、簿記1級合格者歓迎】大手金融機関から経理担当の求人です

想定年収
450万円~1,200万円
仕事内容
・財務諸表の作成など決算に係る各種業務(米国会計を含む)
・決算に係る各種開示書類及び当局報告等の作成
・決算業務の高度化・プロセス効率化
・会計制度・会計基準等に係る調査研究、新会計基準対応等
必要な経験・能力
<必須>
以下のいずれかを満たすこと
・業務経験:事業会社での会計実務経験、監査法人、コンサルティングファーム等経験者
・会計資格:CPA試験合格者(日・米)または日商簿記1級合格者

<歓迎>
・英語力:TOEIC(L&R)テスト730点以上(米国会計はTOEIC(L&R)テスト800点以上)
・ITスキル:ExcelVBAベーシック、AccessVBAベーシック
・業務経験:決算業務高度化・プロセス効率化、それらのコンサルティング

まとめ

簿記試験と公認会計士試験は、試験内容がある程度重複しています。先に簿記試験に合格して基礎を身につけると、公認会計士試験の学習を理解しやすくなり、試験勉強の負担軽減につながるメリットを得られます。

公認会計士の資格を取得していなくても、簿記2級以上の資格があると転職活動で企業へのアピールが可能です。転職後に公認会計士の学習にじっくり取り組むこともできるため、簿記の資格取得から挑戦して徐々にスキルアップしていきましょう。

この記事を監修したキャリアアドバイザー

鈴木 雅也

大学卒業後、飲料メーカー営業、学習塾の教室運営を経て19年MS-Japanに入社。キャリアアドバイザーとして企業管理部門、会計事務所などの士業界の幅広い年齢層の転職支援を担当。

経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 公認会計士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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