【女性会計士の転職】転職先別の働き方やニーズ、転職成功のポイントなど

近年では女性の社会進出が進み、女性が第一線で活躍する光景も珍しくなくなりました。
公認会計士としてキャリアをスタートさせても、数年同じところに勤めると不満が生まれることもあります。
「転職市場における女性公認会計士にニーズはある?」「どのような働き方ができる?」といった疑問を抱えている方も多いかもしれません。
そこで本記事では、女性会計士の転職をテーマに、転職先別の働き方や気をつけるべきポイントなどを解説します。
女性会計士の転職成功事例もあわせて紹介しますので、転職を考えている方はぜひ参考にしてください。
女性会計士は増加傾向
女性会計士の人数推移
日本公認会計士協会のデータによれば、女性会計士活躍促進協議会の会員として登録されている女性会計士数の推移は以下のようになっています。
年 | 女性会計士 |
---|---|
2010年 | 2,547人 |
2020年 | 4,713人 |
2023年 | 5,480人 |
上記からもわかるように、女性会計士の数は増加傾向にあります。
さらに、日本公認会計士協会は女性会計士の活躍のため、以下のKPI(主要業績評価指標)を設定しています。
- 1. 2048年度(公認会計士制度100周年)までに会員・準会員の女性比率を30%へ上昇させる
- 2. 2030年度までに公認会計士試験合格者の女性比率を30%へ上昇させる
そのため、女性公認会計士はこれからさらに増えていくものと考えられます。それにあわせて、大手監査法人を中心に女性活躍推進のための取り組みも実施されています。
公認会計士試験合格者の女性比率
もう1つ参考にできるデータとして、公認会計士試験合格者の女性比率をチェックします。2014年~2023年の10年間の推移は以下の通りです。
年 | 男性 | 女性 | 合計 | 女性割合 |
---|---|---|---|---|
2014年 | 913人 | 189人 | 1,102人 | 17.2% |
2015年 | 844人 | 207人 | 1,051人 | 19.7% |
2016年 | 872人 | 236人 | 1,108人 | 21.3% |
2017年 | 989人 | 242人 | 1,231人 | 19.7% |
2018年 | 1,039人 | 266人 | 1,305人 | 20.4% |
2019年 | 1,022人 | 315人 | 1.337人 | 23.6% |
2020年 | 1,007人 | 328人 | 1,335人 | 24.6% |
2021年 | 1,063人 | 297人 | 1,360人 | 21.8% |
2022年 | 1,129人 | 327人 | 1,456人 | 22.5% |
2023年 | 1,199人 | 345人 | 1,544人 | 22.3% |
全体として、女性の合格者数は年々増加傾向にあり、2014年から2023年の間に189人から345人へと大幅に増えています。
割合としては、約17%から25%の間で推移しており、とくに2018年以降は、女性の割合が20%を超えて安定しています。
2020年に女性の合格者割合が24.6%とピークに達した後、やや減少しているものの、依然として高い水準を保っていることがわかります。
日本社会における男女平等の推進や、女性の社会進出が進むなかで、専門職に就きたいと考える女性が増加しているようです。
公認会計士は高い専門性と社会的な信頼が求められる職業であり、キャリア志向の強い女性にとって魅力的な選択肢となっています。
女性会計士の転職ニーズは?
女性会計士の転職市場におけるニーズが高まっている背景には、いくつかの要因が挙げられます。
まずは、「多様性の重視」です。企業が多様性(ダイバーシティ)を重視するようになり、職場でのジェンダーへの配慮が求められています。
意思決定の場においても女性の視点を取り入れるケースがあるなど、女性会計士の採用ニーズが高まっています。
柔軟な働き方の普及も、女性会計士にとっては追い風です。
コロナ禍を経て、リモートワークやフレックスタイムなどの柔軟な働き方が広がりました。
家庭と仕事を両立させたい女性会計士にとっては、働きやすい環境が整いつつあります。
日本ではまだ会計士全体に女性が占める割合は5分の1程度ですが、アメリカではほぼ半数が女性です。
日本の企業が今後さらに欧米型の働き方を取り入れると、女性が活躍するフィールドも一段と広がるでしょう。
女性特有の視点やスキルの活用ができるのも、転職市場でのニーズが高い要因です。
女性はコミュニケーション能力や共感力が高いとされることが多く、スキルはクライアントとの関係構築やチーム内での協力を必要とする会計・税務・コンサルティング分野で重宝されます。
また、男性とは異なるキャリアを志向する傾向にあるのも女性会計士の特徴です。
男性の場合はキャリアアップを求めて、ある程度の経験を身につけると、転職を考える傾向が強くなります。
一方で、出産や育児を控えた女性の場合、復職後の安定も含めて同じ職場での継続的な勤務を望む傾向が強いようです。
法人の立場からすると、女性会計士を雇用するメリットは、多様性の実現だけでなく、職場への定着率の高さにもあります。
【転職先別】会計士の働き方
会計士の主な転職先としては、以下の4つが挙げられます。
- ・監査法人
- ・一般企業
- ・会計事務所
- ・コンサルティングファーム
それぞれの働き方や、どのような人に向いているかについて解説します。
監査法人
公認会計士のファーストキャリアとして選ばれる監査法人ですが、別の監査法人へ転職するというルートもあります。
上場企業や大企業に対する法定監査が中心で、繁忙期には長時間勤務が続くこともありますが、会計士として成長するチャンスが多くあります。
監査法人に向いているのは、チームで働くことが好きで、協調性が高い人です。
高い専門性をもち、監査業務を通じてキャリアアップを目指したい人にもおすすめの選択肢です。
ルーティンワークも多くあるため、淡々と仕事をこなせる人にも適性があります。
一般企業
一般企業で働く場合、経理や財務部門、内部監査部門などが主な選択肢です。
業務内容は、日常的な経理処理や月次・年次決算、財務分析、内部統制の評価などが中心となります。
比較的安定した勤務時間が多く、ワークライフバランスを重視しやすい環境です。
一般企業で働くのに向いているのは、安定したキャリアを求める人です。
また、経理や財務の専門知識を深め、企業の経営に直接貢献したい人にも適性があります。
特定の業界に対する強い関心があれば、それに合った企業を選ぶのがよいでしょう。
とくに女性の場合は、産休や育休などで職場から離れる機会も多いため、福利厚生が整っている一般企業はぜひ候補として入れておきたいところです。
会計事務所
会計事務所は、主に中小企業や個人事業主向けの税務申告、会計監査、経営コンサルティングなどを行います。
類似するものとして税理士事務所もありますが、呼び方の問題であり、基本的に大きな違いはありません。
繁忙期には業務が集中することもありますが、顧客との距離が近く、多様な業務に携われるのが大きな特徴です。
そのため、将来独立を視野に入れている人に向いています。
また、中小企業・個人事業主のサポートに興味がある人や、税務・会計業務に幅広く携わりたい人にもおすすめの選択肢です。
働き方の多様化が起こっているなか、女性会計士として独立を考えている人も少なくないでしょう。
会計事務所は独立のための経験を積むのに良い環境が整っています。
コンサルティングファーム
コンサルティングファームでは、企業の経営戦略や財務戦略、M&A、リスクマネジメントなどに関するコンサルティングを行います。
ファームの種類は幅広いため、転職先によって携わる業務は大きく異なります。
コンサルティングファームでは、プロジェクトベースでの業務が多く、クライアントのニーズに応じた柔軟な対応が求められます。
ハードワークが求められることもありますが、大きな達成感が得られる職場です。
問題解決・戦略的思考に強い関心がある人や、クライアントの経営課題に対して直接的に貢献したい人に向いています。
家庭との両立を目指す場合はもちろん、バリバリと働きたい女性にとっても良い選択肢です。
会計士の転職を成功させるには
理想の職場へ転職をするには、「叶えたいキャリアを明確にする」「応募先の働き方を確認する」の2点が重要です。
それぞれのポイントを解説します。
叶えたいキャリアを明確にする
まず、自分が将来どのようなキャリアを築きたいのかを明確にしましょう。
たとえば「専門性を深めたいのか」「マネジメントのポジションに進みたいのか」「ワークライフバランスを重視したいのか」など、目指す方向性は人によって異なります。
また、女性の場合は、出産や育児などのライフイベントがキャリアに影響を与えることもあるでしょう。
これらを踏まえ、タイミングを見極めることが、長期的に満足のいくキャリア形成につながります。
応募先の働き方を確認する
残業の有無や育児支援制度など、とくにワークライフバランスに関わる情報を事前にチェックしましょう。
家庭との両立が可能な職場かどうかを重視される方も多いのではないでしょうか。
女性が働きやすい環境が整っているかも重要です。
たとえば女性管理職の割合や、育児休業からの復職率などをチェックすれば、女性のキャリアがどの程度サポートされているかを把握できます。
「応募先の企業や事務所で実際にどのような業務が期待されるのか」「その業務が自分のキャリアビジョンに合っているか」を確認することも大切です。
面接時に、具体的な質問をするとよいでしょう。
転職先別などの詳細を知りたい方は、以下の関連記事をご確認ください。
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女性会計士の転職成功事例
30代・女性公認会計士Aさんの転職事例
転職前:大手監査法人
転職後:大手メーカー
Aさんは、監査法人での経験をさらに深めるか、事業会社で新たな経験を積んでキャリアの幅を広げるか迷い、将来のキャリアを考えるなかで転職を決意しました。
また、結婚を機にワークライフバランスを重視した働き方も希望されていました。
転職活動ではキャリアアドバイザーと相談し、英語力を活かせるグローバル企業を中心に求人を絞り込んでいます。
最終的には、カルチャーマッチや福利厚生の充実さが決め手となり、大手メーカーへの転職を決定しました。
30代・女性公認会計士Yさんの転職事例
転職前:大手監査法人
転職後:金融/内部監査
Yさんは、育休中に監査法人への復帰前に転職を考え、「働き方に制限がありながらも子育てに理解のある企業でキャリアを続けたい」と考えたことが転職のきっかけです。
転職活動ではキャリアアドバイザーのサポートを活用し、ママさんが多く働く企業を中心に活動を進めました。
働き方の柔軟性を重視しつつ、フレックスやリモートワークを活用できる企業を探し、最終的に待遇面も含めて希望に合致する企業への転職を成功させています。
50代・女性公認会計士Oさんの転職事例
転職前:個人会計事務所
転職後:IPO準備企業
Oさんは、独立開業後、再び事業会社の一員として貢献したいと考え、将来性のある企業でのキャリアを追求するため転職を決意しました。
結婚を機にワークライフバランスを重視し、常勤監査役への転職を検討していたそうです。
キャリアアドバイザーの助言を受け、当初考えていた管理部長やCFOポジションから、より働き方の自由度が高い常勤監査役へ方向転換しました。
最終的には、自身の経験と資格を活かせるIPOベンチャー企業の常勤監査役として新たなキャリアをスタートさせています。
まとめ
女性の社会進出などに伴って、女性会計士の数は増えつつあります。
日本公認会計士協会や各企業の取り組みもあり、今後も数は増えていくと予想されます。
転職市場において女性会計士のニーズは高く、一般企業や会計事務所、監査法人、コンサルティングファームなどさまざまな選択肢があります。
まずは転職の軸を明確にしつつ、各企業の情報をチェックするとよいでしょう。
自分の力だけで転職を進めるのが難しい場合は、転職エージェントを活用するのがおすすめです。
MS Agentは、管理部門や士業に特化した転職エージェントです。
女性会計士として転職を考えている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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この記事を監修したキャリアアドバイザー

大学卒業後、カーディーラ・小売業を経験し、2008年からMS-Japanでリクルーティングアドバイザーとキャリアアドバイザーを兼務しております。
会計事務所・監査法人 ・ コンサルティング ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ USCPA ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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公認会計士が外資系企業に転職するメリットは何ですか?
公認会計士が外資系企業に転職するメリットは、「自分のペースで仕事ができる」「日系企業に比べて年収が高い」の2つです。 外資系企業は良くも悪くも実力主義のため、成果を出すことができていればプライベートの時間も確保しながら仕事をすることができます。 また、日系企業に比べて年収が高い傾向がありますが、福利厚生は日系企業の方が充実しているため、年収と福利厚生のどちらを重視するかを検討する必要があります。
公認会計士は外資系企業でワークライフバランスを重視した働き方が出来ますか?
外資系企業は日系企業に比べて実力主義な傾向が強いため、自分で労働時間を管理することができます。 また、今では日系企業でもリモートワークを採用している企業が多いですが、外資系企業は日系企業よりもリモートワークが普及しているため、働き方という意味でも外資系企業ではワークライフバランスよく働くことが可能です。
公認会計士は外資系企業でどのような部門に配属されることが多いですか?
公認会計士が外資系企業に転職する場合、「アカウンティング部門」もしくは「ファイナンス部門」のいずれかが有力な選択肢となります。 アカウンティング部門は、日系企業でいう経理部に当たり、ファイナンス部門は日系企業でいうと予算管理部門と経営企画部門のちょうど間ぐらいの立ち位置になります。
公認会計士が外資系企業で働くにはどのようなスキルが求められますか?
公認会計士が外資系企業で働くには、本国の経営陣や従業員とビジネス的な会話ができるレベルの語学力が必要です。 また、本国の所在地にもよりますが、US-GAAP、IFRS/IASといった海外の会計基準と日本の会計基準の違いをしっかりと理解しておく必要があります。 日本の公認会計士だけでなく、USCPAなどを取得しておくと外資系企業への転職には有利になります。
公認会計士が外資系企業に就職・転職するハードルは高いですか?
公認会計士が外資系企業に就職・転職するハードルは決して低くはありませんが、IFRS(国際財務報告基準)に関する知識と経験がある方には転職のチャンスがあります。 また、一定の英語スキルも必要にはなりますが、入社時に極端に高い語学力が求められるわけではありません。 尚、管理職を目指す場合は本国や他国の拠点とやり取りをするためにも、英語力は必須となります。
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