IFRS(国際財務報告基準)とは?日本基準との違いやメリット・デメリットなど

更新日:2023/09/12
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IFRS(国際財務報告基準)とは?日本基準との違いやメリット・デメリットなど

管理部門・士業の転職

会計に関わる仕事の方であれば、IFRS(アイファース・イファース)という言葉を聞いたことがあるでしょう。近年、国際的にIFRS適用が進む中で、日本国内でも上場企業を中心にIFRSへの関心が高まっています。
しかし、実際にIFRS適用している企業はまだ少なく、言葉を聞いたことがあっても、いざ説明しようとするとよくわからないという人も多いでしょう。

そこで、この記事ではIFRSに関する情報やキャリアについてまとめましたので、IFRSについて詳しく知りたい方や、経理などの会計業務従事者でキャリアアップを希望される方は参考にしてみてください。


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IFRS(国際財務報告基準)とは?

IFRSは、International Financial Reporting Standardsの略で、国際会計基準審議会が設定している会計基準のことです。日本語では、国際財務報告基準と訳されます。
EU域内上場企業に適用が義務付けられたことから始まった欧州発の会計基準ですが、平成29年には130カ国以上で取り入れられており、世界共通の会計基準とされています。

今後も採用する国が増えるのはもちろんですが、日本国内の企業でも徐々に利用されていくと予測されているため、会計に関わる仕事の方は注目しておきましょう。


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IFRS(国際財務報告基準)の特徴とは?

IFRS(国際財務報告基準)の特徴は以下の3つです。

原則主義

IFRSは具体的に様々な事柄を設定しておく細則主義とは異なり、考え方の根拠となる原則だけを定める原則主義を採用した自由度の高い会計基準です。財務報告に関わる解釈指針の他に規定や数値基準が定められていないため、解釈や運用が各企業に任されています。

BS重視

日本の会計基準は、業績評価を重視するPL重視(収益費用アプローチ)に基づいていますが、IFRSでは資産状況の評価を確認するため、企業価値を重視するBS重視(資産負債アプローチ)を採っています。企業の資産の調達や運用状況が確認できるBSは、投資家や銀行にとって投資や融資を行う際の重要な目安となります。

グローバル基準

世界各国で利用できるように、特定の国の会計基準や税制への配慮をしていません。各種の定義は英語のみで行われています。


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IFRS(国際財務報告基準)と日本の会計基準の違いは?

上記を踏まえ、以下で日本基準との相違点を確認しましょう。

IFRS 日本基準主義
収益認識基準 企業毎に原則を解釈・ルール化して運用する原則主義 ルールベースで詳細に規則化する細則主義
重視する表 将来キャッシュフローに基づく現在の価値がわかる貸借対照表 一定期間内の活動成果がわかる損益計算書
基準 英語で表記されるグローバル基準 日本のみのルールを用いた日本基準

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IFRS(国際財務報告基準)のメリット

IFRSには以下のような導入メリットがあります。

経営管理の簡略化

特に海外の子会社が多い場合は、経営管理が容易になります。子会社すべてがIFRSを採用すれば、各国の基準をすべて理解する手間が省け、会社間での指標が統一されます。
また、評価基準が統一されることで、子会社の業績をより的確に比較できます。これにより業績について子会社との認識の相違を避けることも可能です。

海外の投資家への説明簡略化

IFRSを採用することで、海外投資家の理解が得やすくなり、説明の手間を削減できます。
日本基準を採用している場合は、海外投資家に対して、まず日本の会計基準の特徴を説明し、時にはIFRSとの違いまで理解してもらう必要がありました。しかしIFRSを導入すれば、この説明工程を省けます。
また、日本の投資家と海外の投資家に平等な会計基準での投資判断を促せるといったメリットも生まれます。

さらに、海外に対して財務諸表をそのまま使用できるため、資金調達の選択肢を拡大することが可能です。

のれん代が償却不要

日本基準では合併や買収をした際、のれん代として毎年一定額を償却しなければならないため、決算に少なからず影響が出ます。しかしIFRSではのれん代の償却が行われないため、より多くの額を利益として決算時に提示できます。

 

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IFRS(国際財務報告基準)のデメリット

IFRSの導入にはメリットが多いですが、以下のデメリットもあります。

帳簿作成の事務負担が増加する

日本の会社法においては日本基準での開示が求められています。そのため、IFRSを導入しても結局日本基準の帳簿も作成する必要があり、二重の手間がかかります。

注記情報が多く作成の負担がかかる

IFRSは、規定や基準を細かく定めていない原則主義ですが、好き勝手に解釈して良いわけではありません。その解釈がどのような判断で行われたのかを「注記」で明確にする必要があります。
そのため必然的に注記情報が多大になってしまいます。

導入コストがかかる

日本基準からIFRSへ移行するにあたって、十分な知識を持った外部のアドバイザーを利用する費用や、現状の会計システムなどをIFRSに対応したものに変更するための費用がかかります。
導入後、日本基準の財務報告の監査報酬に加え、IFRSの監査報酬が発生する点も考慮が必要です。


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IFRS(国際財務報告基準)を適用している日本企業は?

一概に、日本基準よりIFRSの方が良いわけではありません。しかし、グローバル化を視野に入れている日本企業は、IFRSを積極的に導入しています。

日本では、2010年からIFRSを使用した連結財務諸表の作成が可能となりました。日本取引所グループの2023年6月末現在時点において、IFRSを適用済みの日本企業は254社、適用を決定している企業は14社、合計して268社に上ります。
IFRS適用済みの日本企業を一部ご紹介します。

日本電波工業、HOYA、住友商事、日本板硝子、日本たばこ産業、ディー・エヌ・エー、アンリツ、SBIホールディングス、トーセイ、双日、丸紅、マネックスグループ、ネクソン、中外製薬、楽天グループ、ソフトバンクグループ、AGC、武田薬品工業、アステラス製薬、小野薬品工業、そーせいグループ、第一三共、リコー、伊藤忠商事、三井物産、三菱商事、伊藤忠エネクス、エムスリー、エーザイ、Zホールディングス など

この他、村田製作所やライフネット生命保険、パーソルホールディングスなどが導入を決めています。


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IFRS(国際財務報告基準)は経理のキャリアアップにつながる

IFRS(国際財務報告基準)は経理のキャリアアップにつながる

IFRS の実務経験や知識は経理の転職市場で高い評価を得ることができます。しかし、日本基準と大きく異なる上に複雑であるため、IFRS未対応の企業に勤務している場合はIFRSの知識を得ることは難しいでしょう。

また、IFRSに関する最新情報は主に英語で表記されているため、英語を学び、原文を正しく解釈できるスキルも必要不可欠です。

IFRSに関心がある国内企業は、上場済みのグローバル企業だけでなく、これから上場しようと考えるベンチャー企業や関連企業などにも広がっており、IFRS対応を進める企業は増えていくと予想されます。それに伴い、IFRSの専門知識持った経理人材のニーズも高まるでしょう。


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IFRS(国際財務報告基準)の企業の求人例

※公認会計士対象※連結決算/FinTech・DXを支える決済業界のリーディングカンパニー

【想定年収】
1000万円 ~ 1400万円
【業務内容】
M&Aの際のデュー・デリジェンス、バリュエーション検討を含めた新たな取引の検討、連結予算、連結着地作成、グループ会社のモニタリングなど、会計に関連する幅広い業務に従事いただきます。
【必要な経験・能力】
<必須>
・公認会計士有資格者
<歓迎>
・IFRS決算の実務経験のある方
・TOEIC 600点以上保持されている方

IFRS(国際財務報告基準)に携わるために上場企業に転職した会計士の成功事例

IFRS導入案件に携わっていたAさんは仕事に非常にやりがいを感じていましたが、異動によってIFRSに関わることができなくなり、転職を決意されました。

初めは同じIFRS導入業務を担っているコンサルや監査法人に応募していましたが、視野を広げてIFRS導入予定のある企業にも応募したところ、採用試験の過程において導入後の業務内容にも興味を持ち、その企業を第一志望として内定を獲得しました。

IFRSの導入だけではなく、導入後の業務に携わることもできることになり、グローバルな視点を持つ企業ならではライフワークバランスの取れた環境で働けることになり、長期就労を考えた際にプラスとなる転職結果となりました。

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まとめ

IFRSは英語が必須である他、日本基準と異なる点が多く難解ではありますが、IFRSを必要とする企業は増えつつあります。また、IFRSの知識を有した人はまだ多くないため、身に着けておくことで、転職活動で有利になるでしょう。
キャリアの可能性と選択肢を広げるためにも、IFRSについて学んでみましょう。

管理部門・士業の転職

<参考>
・JPX『IFRS適用済・適用決定会社一覧』

この記事を監修した人

大学卒業後、外資系小売り業に就職、セールスマネジメントや採用、教育研修を経験。
人がいかに業績を左右するかについて認識し、現職のMS-Japanに転職する事を決断。
入社以来、東海エリアのキャリアアドバイザーとして、キャリアチェンジやスキルアップを目的とした若年層の支援を中心に担当しております。
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