2023年11月01日

税理士登録するべき?公認会計士が税理士登録する方法やメリット・経験を積むためには?

管理部門・士業の転職

日本の税理士制度においては、公認会計士は税理士としても登録し、活動できます。
しかし公認会計士の資格を取得すれば、そのまま自動的に税理士に登録されるわけではありません。自ら税理士の登録申請をあらためて行う必要があります。
そこで今回は、公認会計士が税理士登録するまでのプロセス、必要となる費用や書類、さらに税理士登録することで得られるメリットについて詳しく説明しましょう。

公認会計士が税理士登録するまでの流れ

税理士登録の申請は、日本税理士会連合会の最寄りの支部に対して行います。申請してから登録完了までの期間は、通常約3カ月かかります
登録までの大まかな流れとしては、最初の月に提出書類を準備して提出し、翌月に面接および審査が行われ、3カ月目に税理士証書交付式を経て税理士登録が正式に行われる、というのが基本です。

書類提出後に行われる面接・審査の場では、
・税理士として登録しようと考えた動機
・税理士として今後どのような活動を行っていく予定なのか
・これまでどのような業務経験があるのか

などといったことが聞かれます。

申請先の支部にもよりますが、支部会業務への参加のお願いや、同好会活動の勧誘なども行われるケースも多いです。
よほどのことがない限りは、面接・審査の場で落とされることはありません


まずは転職エージェントに無料相談する

税理士登録にかかる費用

申請先の支部によって変わるものの、税理士登録には20万円近くの費用がかかると見込んでおく必要があります。

具体的な費用の内訳としては、まず「登録免許税」の6万円、「登録手数料」の5万円は、全国どこで登録申請を行う場合でも同額必要です。
それに加えて、「税理士会の入会金と年会費」と「税理士会支部の年会費」の負担が求められます。
税理士会とは「東京税理士会」や「関東信越税理士会」、「近畿税理士会」等、広いエリアごとに設置されている会です。
そして「税理士会支部」は、各エリア内の特定の地域ごとに設置されています。
たとえば、東京都品川区で税理士として活動するなら、「東京税理士会」に入会金と年会費を払い、さらに「品川支部」にも年会費を払う必要があるわけです。
税理士会、支部によって必要となる入会金、年会費は異なりますが、相場としては入会金で4万円前後、年会費は毎年10~12万円前後と言われています。


まずは転職エージェントに無料相談する

税理士登録に必要な書類

税理士会に提出する書類は膨大です。ざっと列挙すると以下の通りです。

1.税理士登録申請書(第1号様式で5通)
2.登録免許税領収書
3.登録手数料(5万円の納付は税理士会での受付時に現金で払う、又は郵便振込等)
4.写真(3枚)※裏面に氏名と撮影年月日が記入されたもの。3枚のうち1枚は税理士証票に使用。
5.戸籍抄本又は個人事項証明書(但し外国籍の者は不要)
6.住民票の写し
7.登記されていないことの証明書(全国の法務局・地方法務局の戸籍課窓口に申請して発行)
8.身分(身元)証明書
9.資格を証する書面(公認会計士の場合は、日本公認会計士協会が発行している公認会計士名簿に登録されていることを示す「登録証明書」の原本。)
10.履歴書(第3号様式)
11.誓約書(第4号様式)
12.直近2年分の確定申告書のコピー又は住民税の(非)課税(所得)証明書
13.はがき

これだけの書類を揃えるには、通常1~2週間は必要です。余裕をもって準備を進めるために、書類集めは早めに始めておくとよいでしょう。


まずは転職エージェントに無料相談する

公認会計士が税理士登録するメリット

独立後に有利

税理士登録することで公認会計士が得られる最大のメリットとしては、税務業務を提供できるようになるため、とくに中小企業に対するサービスの幅が広まるという点が挙げられます。
公認会計士の業務は、基本的に上場企業等の大企業を対象とする業務が中心となります。もし独立を考えているのであれば、独立後に監査業務を請け負うには非常勤で監査法人に勤務する方が多く、自分の事務所の仕事というよりは、事務所の売り上げが上がるまでのつなぎとしての業務になるケースがほとんどです。

また、会計士が得意とする業務はM&AやSOX法関連業務、IPO支援、フォレンジックなど、単価は高い一方で、単発の業務であるケースが多く、長年にわたって収益を確保することが難しいケースが往々にしてあります。
もし税理士登録をして、いくつか税務顧問先を持つことができれば、毎月安定した収入が見込めるため、事務所のキャッシュフローが安定しやすく、心理面でも負担が少なく事務所経営を続けることができます。
また、税務顧問先を持つことで、それらの企業で会計士が得意とするような単発業務が発生した際に最初に相談を受けることが多くなり、税務顧問+αの仕事依頼を期待することもできます。
公認会計士が税理士登録する一番のメリットと言っても過言ではないでしょう。

クライアントと直接やり取りできる

税理士業務ではクライアントと直接やり取りすることが多く、そのことにメリットを感じる人も一定数います。たとえば監査法人の場合、監査の独立性を保つため、クライアントの依頼にもとづく業務などは制限されます。あくまで第三者的な視点をもって接することが求められるため、クライアントに対して親身に相談に乗ったり、付加価値業務を行ったりすることは基本的にできません。そのことに物足りなさを感じる公認会計士も少なからずいるでしょう。

その点、税理士業務ではそのような制限は少ないです。クライアントと親身に接して、コンサルティングをはじめ、その企業にとって税務上有利になるようなアドバイスも行えますクライアントから感謝されることも多く、そうした点にやりがいを感じる人にとっては、税理士業務は働きがいを感じられるでしょう。


まずは転職エージェントに無料相談する

公認会計士の転職成功事例

公認会計士の転職成功事例公認会計士の専門性を活かす税理士法人(金融特化型会計事務所)に転職!

  • 【転職者】Aさん 30歳 男性 公認会計士
  • 【転職前】大手銀行(年収約1,000万円)
  • 【転職後】税理士法人(金融特化型会計事務所)
Aさんはもともと大手監査法人に勤務していましたが、安定性やブランド力に魅力を感じて大手銀行に転職しました。しかし、企業経理では公認会計士としての専門性よりもオールラウンダーとしての活躍が期待されたため、次第に業務内容に物足りなさを感じるようになったそうです。その結果、あらためて会計の専門家としてのキャリアを形成し直したいと思い、大手銀行から会計事務所への転職を決意しました。

大手銀行への転職の際、自身が望むキャリアのあり方について十分に検討できていなかったことを反省し、今回は「公認会計士としての強みを活かせること」「実力次第で年齢に関係なく上位のポジションを目指せること」「年収を下げないこと」の3点を条件として、転職先を探したそうです。転職エージェント(MS-Agent)と相談した結果、Aさんのそれまでのキャリアを踏まえて金融業界に強い税理士事務所を提案し、最終的にAさんはほぼ希望通りの条件で転職に成功しました。

Aさんはそれまでのキャリアも十分にあるので、Big4監査法人をはじめ、大手の税理士法人、会計事務所、大手上場企業、金融機関など、転職先には多様な選択肢がありました。そんな中でAさんは「何のために転職するのか」「どのようなキャリアを歩みたいのか」を明確にすることで、適切な選択が可能となったのです。

柔軟な雇用形態の税理士法人で、独立に向けたキャリア形成を実現!

  • 【転職者】Bさん 35歳 男性 公認会計士
  • 【転職前】Big4監査法人(年収約1,000万円)
  • 【転職後】税理士法人(年収約600万円+インセンティブ)
BさんはBig4監査法人の第一線で活躍する公認会計士でしたが、将来的に独立開業したいとの希望をもつようになり、それを見据えた業務経験を積みたいと考えて転職を決意。独立後は中小~中堅企業を対象としたサービス提供を考えていたため、大手税理士法人のサービスラインとは異なる実績を積む必要があると考え、独立系の税理士法人を転職先として決定します。

Bさんは転職前の時点で年収は約1,000万円に達しており、転職による年収ダウンは避けたいと考えていました。単価の低い税務案件をメインとする税理士事務所では希望通りの年収は得られないと考え、税務だけでなくコンサルティングにも力を入れている税理士事務所に絞って転職活動を開始しました。

転職エージェント(MS-Agent)とも相談しながら転職活動を進めたところ、コンサルティング業務6割、税務4割程度で、クライアントの開拓を自ら行うこともできる税理士事務所への転職に成功。その事務所では報酬を「年収+インセンティブ支給」で規定しており、努力・成果次第で年収1,000万円を維持できる余地を残すこともできました。

現在、公認会計士の中途採用市場は、完全に売り手市場です。各事務所は人材確保を進めるため、柔軟な給与制度や雇用形態を採用するなど、働きやすい環境の整備を進めています。Bさんは「固定給+インセンティブ支給」という形となりましたが、こうした条件が提示される背景には、優秀な人材を得たいという事務所の狙いがあるといえます。こうした税理士事務所は今後さらに増加していくのではないでしょうか。


まずは転職エージェントに無料相談する

公認会計士が税務経験を詰める求人例

弊社MS-Japanは士業と管理部門に特化した転職エージェント「MS Agent」を提供しています。ここでは、「MS Agent」で取り扱っている求人のうち、「公認会計士(試験合格者)」を応募条件としている税務経験が積める求人の一部をご紹介します。

大手監査法人出身者の多い少数精鋭組織です

ポジション名
会計士 / 税理士※税務未経験の会計士も歓迎/パートナー制度あり
業務内容
会計および税務全般に関わる広い業務をメインに担当していただきます。
・会計・税務・経営全般のサポート
・会計処理の相談対応
・税務書類の作成
・会計帳簿や経理レポートの作成と月次報告
・株価算定、相続税の計算、上場コンサルティング、税務コンサルティング 等
応募条件
公認会計士または税理士の方
※税務業務未経験でも応募可能です。
想定年収
550万円 ~ 1,000万円

幅広い業務経験が積める税理士法人にて公認会計士または税理士募集!

ポジション名
公認会計士(税務・会計・FAS/Big4同等のクライアントを抱える準大手法人)
業務内容
税務・会計業務が主ですが、手を挙げればFAS業務の経験も積めます。
<税務会計業務>
・質問対応(税務・会計関連、事業承継)
・税務リスクを減らすという観点でのブックレビュー
・税務申告書の作成
<FAS業務>
・財務・税務デューデリジェンス
・バリュエーション
応募条件
以下どちらか必須
・公認会計士の資格を保有
・公認会計士論文式試験合格者
想定年収
510万円 ~ 1,300万円

まずは転職エージェントに無料相談する

税理士・会計士の求人情報を確認したい方はコチラ

税理士の求人情報

税理士の求人情報

大手税理士法人〜中小希望の事務所、ブティック、コンサル、 事業会社など税理士資格を持っている方を求めている求人をまとめております。業界最大級の求人数から求人検索できます。
弊社のみが扱っている求人も多いため、ぜひご確認ください。

公認会計士の求人情報

公認会計士の求人情報

上場企業の経理マネージャーからIPO準備企業のCFO候補の求人などの高年収が見込める企業求人から公認会計士資格が活かせる会計・税理士事務所などの事務所求人を幅広くご用意しております。
サイト上で公開されている求人はごく一部です。そのほかの求人情報は会員登録することでご確認いただけます。

まとめ

公認会計士が税理士に登録する場合、書類の手続きが必要であったり、登録費用が発生したりします。しかし税理士登録をしておくことで、独立後に有利になる、クライアントと直接やり取りができる業務に携われる、などのメリットもあります。将来的なご自分のキャリアを考えた上で、登録するか否かを決める必要があるでしょう。ただし、税理士としても活躍したいなら、税務経験も積んでいく必要があります。将来的に税理士事務所を独立・開業したい場合は、経験を積むことを目的とした転職も視野に入れるとよいかもしれません。

この記事を監修したキャリアアドバイザー

篠原 義樹

大学卒業後、不動産会社にて個人向けの営業を経験。その後MS-Japanへ入社。会計事務所・コンサルティングファーム・監査法人・法律事務所・社会保険労務士事務所等の法人側担当として採用支援に従事。現在はキャリアアドバイザーも兼務し一気通貫で担当しております。

会計事務所・監査法人 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ USCPA を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

あなたへのおすすめ求人

サイトメニュー

職種で求人を探す
資格で求人を探す
勤務地で求人を探す
資格の転職情報を調べる
転職セミナー・個別相談会
転職サービス紹介
転職ノウハウ
求人企業の皆様へ
MS-Japanについて

業界最大級の求人数・転職支援実績!管理部門・士業の転職に精通した専門アドバイザーがキャリア相談~入社までサポートいたします。

無料でキャリア相談する

関連おすすめ記事

新着記事

業界最大級の求人数・転職支援実績!管理部門・士業の転職に精通した専門アドバイザーがキャリア相談~入社までサポートいたします。

無料でキャリア相談する