監査法人の公認会計士って激務なの?働く前に年収や業務内容を確認しよう

公認会計士試験に合格後、多くの合格者は監査法人への転職を希望します。
これは、合格者が公認会計士となるためのステップとして、2年以上の実務経験・実務補習の修了が必要とされていることが関係しています。
監査法人の環境・年収・待遇は恵まれているため、公認会計士のキャリアをスマートに積みたいなら、監査法人を目指す選択肢は決して悪くありません。
しかし、監査法人の現場の仕事量は多く、しかも間違いが許されないプレッシャーのもとで業務を進めなければならないため、激務によるストレスは避けられません。
就職する際には、自分の適性を把握した上での判断が求められます。
そこで、この記事では、監査法人への就職・転職を検討している人向けに、監査法人の年収・業務内容について解説します。
監査法人への就職を考えているものの、働くことに不安を感じている人は、ぜひ一度目を通して欲しいと思います。
監査法人所属の公認会計士とは
監査法人所属の公認会計士は、主に監査を職務としています。
監査とは、企業の財務諸表の信頼性を保証することであり、もう少しかみ砕いて説明すると「決算書の中身が正しい」と株主・債権者・投資家に伝えるために行われます。
また、監査法人とは、公認会計士が5人以上集まって設立する法人のことです。
そのため、監査法人に所属している公認会計士の仕事は第一に「監査」であり、会計・税務・コンサルティングなどの業務はそれに付随しています。
新卒者にとって監査法人という環境は有益
ここ数年の公認会計士2次試験合格者の平均年齢は、25歳~26歳と比較的若い年代です。
そして、合格者の動向としては、社会人経験なく新卒者として監査法人に就職する人が多い状況です。
新卒者が公認会計士になるための実務経験を積む上で、大手監査法人およびそれに続く規模の監査法人は最適な環境であり、監査法人内でも若い職業専門家を育てる役割を担う意識は強いものがあります。
特に、大手監査法人では毎年300名規模の採用があり、前年度の様子が聞ける相談相手も身近にいます。
正式に資格を取得するまでに、公認会計士の仕事内容、業務範囲に加えて、今後の方向性・可能性を肌で感じられる貴重な経験ができることでしょう。
具体的な監査法人での業務について
実際に監査法人で働いた場合は、スタッフとしてどのような業務に携わるのでしょうか。
以下に、主な業務についてご紹介します。
監査証明業務
監査証明業務は公認会計士の独占業務であり、企業・地方公共団体・学校法人など幅広い組織が公表・提示する財務情報について、中身が適正かどうか第三者の立場で調査を行います。
また、監査の種類は2つに大別でき、法律の規定によって義務付けられている監査を法定監査、監査の目的・内容につき当事者間の契約で任意に決められて実施される監査を任意監査といいます。
監査は公認会計士にのみ認められており、弁護士や税理士が代行することはできません。
非監査業務
サービスの提供につき、必ずしも特定の資格・要件を必要としないものの、公認会計士の名称を用いて行える業務のことを非監査業務といいます。
平たく言えば、監査業務以外の幅広い業務が該当します。
具体的な例としては、IPO支援業務・内部統制システム構築支援業務・財務デューデリジェンス業務などが挙げられます。
コンサルティング業務
顧客の悩み・問題を聞いて解決へと導くコンサルティング業務も、ジャンルによっては監査法人の管轄になります。
具体的には、会計・M&A・事業売却などのジャンルのアドバイザリー業務などが該当します。
得意分野が増えれば増えるほど、コンサルティング業務に携われる可能性は高まります。
監査法人は「激務」なのか?
監査法人が、一般企業と比較して激務と言われる理由は、やはり監査という業務自体の性質にあります。
当然ながら、監査は誰にでもできる仕事ではありませんし、公認会計士という専門職は簡単に増やせるものではないため、結果的に限られた一部の優秀な人材が膨大な仕事をこなす構図になりがちです。
人の目で見て決算書類の問題点を暴き出すのが仕事ですから、高性能なAIが仕事の一部を代行するなどしない限り、マンパワーに頼る状況は続くでしょう。
多くの企業において決算期は3月に集中するため、一部の期間に激務が押し寄せることも、監査法人のスタッフが激務にならざるを得ない一因となっています。
ただ、監査法人によっては残業した分を閑散期に長期休暇として取得できたり、そもそも残業を減らす取り組みをしていたりと、働き方改革を推進しているところもありますから、一概に監査法人のすべてが激務を求められるとは限りません。
就転職を検討する際は、自分の将来像を明確にした上で、監査法人を選びたいところです。
【関連ページURL】
・監査法人と会計事務所の違いは?公認会計士のキャリアの選び方
監査法人の良いところは?
監査法人で働くメリットは多岐にわたり、会計業界で一度も働いたことがない公認会計士試験合格者なら、間違いなく勤務経験がプラスに働くはずです。
以下に、監査法人が持つ良い点をまとめました。
数多くの業種を知る機会に恵まれる
監査法人は、大手企業・中堅企業・新興企業と様々なステージの企業がクライアントになります。
業種に関しても、金融業・製造業・サービス業・不動産業と幅広い業種に対応することが予想されます。
一般企業に勤務した場合、複数の業種の財務情報に触れる機会はほとんどありませんから、その経験値は会計職として圧倒的なものです。
将来的に公認会計士の資格を取得して、インチャージ(現場責任者)を経験すれば、より深くクライアントとなる企業・業種の特性を知ることにつながります。
監査法人での業務は、総じて今後のキャリア形成の段階で有利になるため、早い段階で経験しておきたいところです。
大手監査法人なら年収も高め
正式な公認会計士になっていない状況とはいえ、実務経験が積めて修了考査を受けるにも有利な環境を用意してもらえる分、監査法人勤めは優遇されています。
その上、大手監査法人に勤めた場合、勤続年数に応じて安定して年収を増やせる可能性があります。
もちろん、働き始めた時点での年収は企業勤めと大きく変わらないかもしれませんが、公認会計士として登録されれば600万円以上の年収(残業代は別途支給)も十分期待できます。
昇進を重ねればその分だけ年収も増えるでしょうが、管理職が向いているかどうかは適性が関係してくるため、一概に昇進を目指すことが正解とは言えないかもしれません。
バランス感覚が養える
複数のクライアント・業種を経験することで、企業の良し悪しが分かるようになったり、自分なりの判断基準ができあがったりします。
監査を通じて、決算書から逆算して物事を見る視点・全体的なリスク把握能力などを養う機会は、日々多数の監査を担当する監査法人だからこそ得られるものです。
【参考URL】
・資格の学校TAC『公認会計士の年収は本当に高いのか。年収でみる、公認会計士を目指す価値』
監査法人内でのキャリアプラン
監査法人内でキャリアを積む場合、実際の年数やタイミングには個人差があるものの、まずはスタッフとして入社後に3~4年ほど働き、そこからシニアスタッフへと進んでいきます。
シニアスタッフの経験年数は4~5年といったところで、その間にインチャージも4~5年を目途に経験します。
そこからマネージャーになる場合、一般的には入社後10年前後が必要とされます。
さらにキャリアを積み重ねていくとシニアマネージャーの道が開け、最終的なポジションはパートナーとなります。
ただ、パートナーになるまでの道は険しく、実績を上げるには相応の努力と実力が必要なため、年功序列のイメージは早い段階で捨てることをおすすめします。
監査法人以外に転職する場合
キャリアのスタートが監査法人だったからといって、転職先を監査法人だけにフォーカスする必要はありません。
世の中には、公認会計士資格取得者・監査法人経験者を欲しがっている企業・組織がたくさんありますから、一つの選択肢にこだわらず求人情報をチェックすべきです。
具体的には、以下のような転職先が考えられます。
・一般企業の経理部
・会計事務所
・ベンチャー企業のCFO
・経営企画部
・PEファンド など
もちろん、上記以外にも、公認会計士を必要としている組織は数多く存在します。
監査法人において上場企業等の監査を経験した人材は、監査法人以外の組織に「実務を伴った高度な会計知識を有する人材」と認識されます。
よって、一般企業に転職した場合、経理部門をはじめとする管理部門の中心的な役割を果たす人材として期待されるでしょう。
語学力など、会計知識以外の資格・スキルを身に付けているなら、海外のグループ企業の取りまとめ・連結財務諸表の作成など、求められる役割も増えていきます。
転職前のスキルが限られていたとしても、転職後に自分のできることを増やし、転職先で唯一無二の存在になれれば、やがて納得のいく立場・年収・待遇を得られるはずです。
【参考URL】
・公認会計士の転職日誌『公認会計士の転職先を全て見せます【監査法人から、その先へ】』
まとめ
監査法人での仕事は、あくまでも監査が主体であり、それに付随して他の仕事が存在します。
そして、監査という仕事そのものが、どうしても激務を生みやすいという点は否めません。
しかし、幅広いクライアント・業種を通じて専門性を磨けば、その分だけ監査法人でのキャリアを長くすることにつながります。
また、経験を活かして他のフィールドで活躍する方法もあります。
もし、監査法人の違い・公認会計士の幅広いキャリアの知識を得て、自分に合った転職先を見つけたい場合は、転職エージェントを通して情報収集するのが近道です。
忙しい中でも、限られた時間を有効に活用し、後悔しない選択肢を選びましょう。


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公認会計士が外資系企業に転職するメリットは何ですか?
公認会計士が外資系企業に転職するメリットは、「自分のペースで仕事ができる」「日系企業に比べて年収が高い」の2つです。 外資系企業は良くも悪くも実力主義のため、成果を出すことができていればプライベートの時間も確保しながら仕事をすることができます。 また、日系企業に比べて年収が高い傾向がありますが、福利厚生は日系企業の方が充実しているため、年収と福利厚生のどちらを重視するかを検討する必要があります。
公認会計士は外資系企業でワークライフバランスを重視した働き方が出来ますか?
外資系企業は日系企業に比べて実力主義な傾向が強いため、自分で労働時間を管理することができます。 また、今では日系企業でもリモートワークを採用している企業が多いですが、外資系企業は日系企業よりもリモートワークが普及しているため、働き方という意味でも外資系企業ではワークライフバランスよく働くことが可能です。
公認会計士は外資系企業でどのような部門に配属されることが多いですか?
公認会計士が外資系企業に転職する場合、「アカウンティング部門」もしくは「ファイナンス部門」のいずれかが有力な選択肢となります。 アカウンティング部門は、日系企業でいう経理部に当たり、ファイナンス部門は日系企業でいうと予算管理部門と経営企画部門のちょうど間ぐらいの立ち位置になります。
公認会計士が外資系企業で働くにはどのようなスキルが求められますか?
公認会計士が外資系企業で働くには、本国の経営陣や従業員とビジネス的な会話ができるレベルの語学力が必要です。 また、本国の所在地にもよりますが、US-GAAP、IFRS/IASといった海外の会計基準と日本の会計基準の違いをしっかりと理解しておく必要があります。 日本の公認会計士だけでなく、USCPAなどを取得しておくと外資系企業への転職には有利になります。
公認会計士が外資系企業に就職・転職するハードルは高いですか?
公認会計士が外資系企業に就職・転職するハードルは決して低くはありませんが、IFRS(国際財務報告基準)に関する知識と経験がある方には転職のチャンスがあります。 また、一定の英語スキルも必要にはなりますが、入社時に極端に高い語学力が求められるわけではありません。 尚、管理職を目指す場合は本国や他国の拠点とやり取りをするためにも、英語力は必須となります。
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