2025年02月10日

ホワイトな監査法人はあるのか?中小監査法人はおすすめ?

監査法人で働く会計士の多くは、クライアントの多様なニーズに応える中で多忙な日々を送っています。
一方で、労働時間や待遇面も含めてより安定した環境を求め、働き方の見直しを考える会計士は少なくないようです。
監査法人=激務という印象を持たれがちですが、働きやすい監査法人はあるのでしょうか。
本文では、規模の異なる監査法人の特徴や勤務環境を取り上げながら、中小監査法人という選択肢に焦点を当てていきます

監査法人の種類

監査法人は、規模や取引先、サービス内容に応じて大手、準大手、中堅、中小の4つに分類されます。
それぞれの特徴や働きやすさを見ていきましょう。

大手監査法人

大手監査法人とは、上場企業を100社以上監査し、常勤の監査実施者が1,000名を超える規模の法人を指します。
その代表格が「有限責任監査法人トーマツ」「有限責任あずさ監査法人」「EY新日本有限責任監査法人」「PwC Japan有限責任監査法人」の4大監査法人です。
それぞれグローバルな監査に強みがあり、クライアント層も豊富で、社風や得意領域に多様性があります。

監査のみならずコンサルティングやアドバイザリー業務にも力を入れており、幅広いサービスを展開している点が特徴です。
日々高度な知識やスキルの向上が求められる一方で、働きやすい環境整備も進んでいます。

準大手監査法人

規模としては大手には及ばないものの、クライアントは中堅企業から大企業まで幅広く、業界を牽引する立場の監査法人です。
質の高い監査業務に加え、IPO監査やパブリックなど、幅広いクライアント層・サービスラインが特徴です。
近年では、大手から準大手へ移行するクライアントも見られ、業績と知名度が上昇傾向にあります。

準大手監査法人の組織構造は、大手ほど縦割りではないため、幅広い業務にかかわる機会に恵まれています。
大手同様に、財務アドバイザリーやコンサルティングにも対応しており、専門知識を深めながら幅広い経験を積むことも可能です。

中堅監査法人

中堅監査法人の定義は明確ではありませんが、準大手と中小の間に位置する監査法人を指すことが一般的です。
規模の目安として、公認会計士が数十名〜100名未満の人数構成となります。
準大手よりも大規模案件は少ない一方でクライアントとの密接な関係性ときめ細かな対応が特徴です。

職場内での円滑なコミュニケーションや、従業員同士の連携が重視される環境です。
フラットな組織体制が多いため、迅速な意思決定が行われやすく、柔軟な働き方ができる点も魅力と言えるでしょう。

中小監査法人

大手や準大手に比べ規模が小さい分、より個別のニーズに応じた監査が強みです。
200社以上ある中小監査法人の中には、業績が良く、知名度のある法人も見られます
中堅監査法人と同様に、クライアントへのきめ細かな対応や、信頼関係を築きやすい点が特徴です。

昇進も比較的早く、若手のうちから重要な業務に携わる機会が与えられることもあります
アットホームな社風やコミュニケーションが取りやすい職場も多く、ワークライフバランスを保ちやすい環境が魅力です。

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どの監査法人が働きやすい? それぞれの勤務時間は?

勤務時間の実態は、働きやすさにかかわる重要な指標です。
ここでは、大手・準大手監査法人と中小監査法人の労働時間や残業時間に着目します。

大手・準大手監査法人

大手監査法人と準大手監査法人の働き方は、基本的に共通しています。
どちらも繁忙期と閑散期があり、それに応じて業務量も増減することが通例です。
繁忙期には監査対応が集中して残業が増える一方、閑散期は比較的余裕のあるケースが見られます。

始業時間は法人やチームによって異なる場合がありますが、9時〜9時半頃が基本です。
所定労働時間は1日7時間とされており、この時間を基準に日々の業務が進められています。
残業時間は繁忙期と閑散期で差はあるものの、年間の月平均で見ると40時間前後です。
リモートワークやフレックスタイム制度を導入している法人が多く、柔軟な働き方を選べる場合もあります。

中小監査法人

中小監査法人では、ワークライフバランスを保つ働き方が実現しやすい傾向にあります。
始業時間は大手同様に9時〜9時半頃で、終業時間は18時までとする法人が一般的です。
業務量に応じて残業が発生する場合もありますが、繁忙期以外は残業時間がほとんどなく、仕事とプライベートが両立しやすくなっています。

監査対象となるクライアント企業の規模がそれほど大きくないため、監査にかかる時間も比較的短めです。
大手のように社内の独自規則や厳格なルールがある法人は、中小監査法人ではほとんど見られません。
そのため、不要な作業に時間を取られることなく監査業務に集中でき、効率的に仕事が進むため、定時に終わりやすくなります。
介護や育児といった家庭の事情に合わせて、時短勤務・在宅勤務が可能な法人もあり、働きやすい環境が整っていると言えるでしょう。

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ワークライフバランスだけじゃない!中小監査法人の魅力

前述のとおり、中小監査法人ではワークライフバランスの良さが特徴ですが、それに加えたメリットも見逃せません。
以下に、中小監査法人ならではの魅力を紹介します。

無駄な作業が少ない

大手監査法人では、グループファームの要請による厳格な手続きや、膨大な文書の管理作業が多く発生しがちです。
対して、中小監査法人はそういった組織的な縛りはなく、業務の本質から外れるような作業に時間を費やすことはほとんどありません
そのため、監査を手がける深度が増し、監査スキルやノウハウが身につきやすくなります。
主要な業務に集中できることは、仕事へのモチベーションを高め、自身のキャリア成長にもつながる利点です。

マネージャー・パートナーに昇格しやすい

比較的少人数で構成されている中小監査法人は、個人の実力が評価されやすい環境です。
大手のように役職ポジションが限定的ではなく、成果を出した若手会計士にも昇進の機会が開かれています。
法人によっては幹部候補として迎え入れる人材ニーズもあるため、マネージャーやパートナーへの昇格も期待しやすいと言えるでしょう。
積極的にキャリアアップを目指したい人にとっては、チャンスとなる法人が多いかもしれません。

クライアントとの距離が近く、人脈を作りやすい

大手監査法人では、規模の大きなクライアントに複数のチームで対応する体制が一般的です。
一方、中小監査法人では、少人数のチームでクライアントと密接にコミュニケーションを取りながら業務を進める傾向にあります。
このため、クライアントとの信頼関係を築きやすく、今後のキャリア形成に役立つ人脈も広がるでしょう。

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中小監査法人の年収は?

中小監査法人の年収は?働きやすい環境が多い中小監査法人ですが、大手監査法人転職する場合、年収が大幅に下がることを懸念している人もいるのではないでしょうか。
そこで、MS-Japanの転職エージェントサービスMS Agentに公開されている求人から監査法人の年収を調査してみました。
監査法人を「Big4」「準大手・中堅」「中小」の3つに分類し、募集は監査もしくはアドバイザリーに限定しています。その結果が以下です。

分類 Big4 準大手中堅 中小
中央値平均(万円) 762.96 764.59 682.99

※募集要項から想定年収の下限・上限の中央値を算出し、全求人から平均を求めました。
※本記事では公認会計士・監査審査会「令和6年版 モニタリングレポート」に倣い、有限責任あずさ監査法人、有限責任監査法人トーマツ、EY新日本有限責任監査法人及びPwC Japan有限責任監査法人の4法人を大手(Big4)監査法人。仰星監査法人、三優監査法人、太陽有限責任監査法人及び東陽監査法人の4法人を準大手監査法人。その他の監査法人を中小監査法人と分類しています。

Big4監査法人と準大手・中堅監査法人では大きな差はない結果となりました。
一方で、中小監査法人の年収は約80万円下がります。
要因として、Big4や準大手・中堅監査法人のクライアントは上場企業の中でも大手が多いため監査報酬が高いこと、またアドバイザリー部門も充実しており、監査以外の売上が職員の給与に反映されています。

現在、Big4や準大手・中堅監査法人に勤務している場合、中小監査法人に転職すると年収が下がってしまう可能性はありますが、中小監査法人は上位役職へのポジションチャンスも大手・準大手より多い傾向です。何を優先したいのか、自身の価値観をしっかりと見つめた上で転職すべきでしょう。

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MS-Japanで取り扱う監査法人の求人事例

ここでは、MS-Japanの転職エージェントサービスMS Agentで取り扱っている働きやすい中小監査法人の求人情報を一部ご紹介します。

公認会計士★残業ほぼ無し

仕事内容
監査業務及びコンサルティング業務をお任せ致します。
■法定監査
■任意監査
■各種コンサルティング
※現時点で上場会社3社、IPO監査7社の実績がございます。今後もIPO監査が増加する見込みです。
必要な経験・能力
【必須要件】
公認会計士
修了考査から3年程度の監査実務経験を有すること
想定年収
600万円 ~ 1400万円

公認会計士※残業20時間以下/ワークライフバランス◎

仕事内容
金融商品取引法監査やIPO監査など、監査業務全般をお任せします。また各種アドバイザリー業務へのクロスアサインも可能です。在籍している公認会計士と共に協力し合いながら、公認会計士としてキャリアを積んでいただけるポジションです。
<具体的には>
・金融商品取引法監査・会社法監査
・IPO監査・支援業務
・その他の監査・保証業務
・M&A支援サービス
・企業価値評価サービス
・コンサルティング業務 等
必要な経験・能力
<必須>
監査法人での実務経験を有する公認会計士資格保有者
明るくコミュニケーションを大事にできる方
公認会計士試験(短答式試験)合格者歓迎
論理的な思考能力のある方
<尚可>
パワーポイントが得意な方(報告書の作成等、使用頻度が高いため)
想定年収
600万円 ~ 1200万円

公認会計士<ワークライフバランス◎/カジュアル面談可/産休・育休・時短OK/飛び級あり>

仕事内容
■監査証明業務
・金融商品取引法監査(期中レビュー、内部統制監査)
・会社法監査
・その他の法定監査(特定目的会社、投資事業有限責任組合、公益法人、学校法人等)
・任意監査(上場準備のための監査、監査など)

その他、ご経験やご志向に応じて下記業務もお任せします。
■財務デューデリジェンス ■上場支援
■ショートレビュー    ■内部監査支援
必要な経験・能力
■論文式試験合格者(過年度合格者含む)、公認会計士
<歓迎>
■インチャージ経験者
■監査経験者(5年以上ある方はなお歓迎)
想定年収
560万円 ~ 1140万円

まとめ

監査法人での働き方を見直す際に重要なのは、どの環境が自身の理想に近いかを理解することです。
大手・準大手監査法人は、監査だけでなくコンサルティングやアドバイザリーなど、多様な経験を積むことが可能ですが、その分業務が煩雑になる場面も少なくありません。
一方、中小監査法人では、クライアントとの信頼関係や昇進のスピード、ワークライフバランスといった魅力があります。
「働きやすい監査法人」を探すとき、中小監査法人がその有力な候補となるかもしれません。
年収面は大手に及びにくいものの、安定した職場でのキャリア形成が可能で、自己成長と働きやすさを両立できる選択肢と言えるでしょう。

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この記事を監修したキャリアアドバイザー

篠原 義樹

大学卒業後、不動産会社にて個人向けの営業を経験。その後MS-Japanへ入社。会計事務所・コンサルティングファーム・監査法人・法律事務所・社会保険労務士事務所等の法人側担当として採用支援に従事。現在はキャリアアドバイザーも兼務し一気通貫で担当しております。

会計事務所・監査法人 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ USCPA を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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公認会計士が外資系企業に転職するメリットは何ですか?

公認会計士が外資系企業に転職するメリットは、「自分のペースで仕事ができる」「日系企業に比べて年収が高い」の2つです。 外資系企業は良くも悪くも実力主義のため、成果を出すことができていればプライベートの時間も確保しながら仕事をすることができます。 また、日系企業に比べて年収が高い傾向がありますが、福利厚生は日系企業の方が充実しているため、年収と福利厚生のどちらを重視するかを検討する必要があります。

公認会計士は外資系企業でワークライフバランスを重視した働き方が出来ますか?

外資系企業は日系企業に比べて実力主義な傾向が強いため、自分で労働時間を管理することができます。 また、今では日系企業でもリモートワークを採用している企業が多いですが、外資系企業は日系企業よりもリモートワークが普及しているため、働き方という意味でも外資系企業ではワークライフバランスよく働くことが可能です。

公認会計士は外資系企業でどのような部門に配属されることが多いですか?

公認会計士が外資系企業に転職する場合、「アカウンティング部門」もしくは「ファイナンス部門」のいずれかが有力な選択肢となります。 アカウンティング部門は、日系企業でいう経理部に当たり、ファイナンス部門は日系企業でいうと予算管理部門と経営企画部門のちょうど間ぐらいの立ち位置になります。

公認会計士が外資系企業で働くにはどのようなスキルが求められますか?

公認会計士が外資系企業で働くには、本国の経営陣や従業員とビジネス的な会話ができるレベルの語学力が必要です。 また、本国の所在地にもよりますが、US-GAAP、IFRS/IASといった海外の会計基準と日本の会計基準の違いをしっかりと理解しておく必要があります。 日本の公認会計士だけでなく、USCPAなどを取得しておくと外資系企業への転職には有利になります。

公認会計士が外資系企業に就職・転職するハードルは高いですか?

公認会計士が外資系企業に就職・転職するハードルは決して低くはありませんが、IFRS(国際財務報告基準)に関する知識と経験がある方には転職のチャンスがあります。 また、一定の英語スキルも必要にはなりますが、入社時に極端に高い語学力が求められるわけではありません。 尚、管理職を目指す場合は本国や他国の拠点とやり取りをするためにも、英語力は必須となります。

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