USCPAで監査法人に転職!~転職後のキャリアや年収を徹底解説~
USCPAで監査法人に転職!~転職後のキャリアや年収を徹底解説~
USCPA(米国公認会計士)は、世界中で最も認知度の高い公認会計士資格です。
取得すると「英語」と「会計」の両方をこなせるエキスパートとして高く評価されます。
ではUSCPAを取得すれば、Big4のような監査法人に転職しキャリアアップしていくことはできるのでしょうか?
今回は、USCPAを取得することは監査法人への転職時に評価対象となるのか、という点に注目し、詳しく解説していきます。
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USCPAを取得すると監査法人に転職は可能!
監査法人では、USCPA取得者の採用が積極化してきています。
そのため、保有資格がUSCPAのみでも、監査法人への転職は可能でしょう。
実際、監査法人に勤務している人の中には、日本の公認会計士資格を持たず、USCPAの資格だけを持っている人も多いです。
「USCPAしか保有していないけど、監査法人に就職できるのか」という点に関して不安を感じる必要はないと言えますが、もちろん本人の経験や能力が問われるため、USCPAの資格さえ取得すれば問題ないというわけではありません。
しかしながら、間違いなく強力な武器となるでしょう。
USCPA取得者は未経験でも転職できる?
結論から言うと、未経験でもUSCPA取得者であれば監査法人に転職することは可能です。
USCPAはアメリカの資格ではありますが、全世界で約40万人の取得者がいると言われ、世界的に高い認知度を持っています。いわば国際的に通用する資格であり、近年では日本においても、USCPA取得者は高い評価を受けるようになりました。
さらに現在、日本では企業内会計士が増加しており、監査法人の人材確保が難しくなりつつあります。
そのため公認会計士資格がなくても、同水準の知識・能力を持つと判断できるUSCPA取得者を積極的に採用しようとする動きがみられるのです。
基本的に監査法人における未経験者の採用は、入社後の育成が前提です。
USCPAの資格取得を実現していることから学習能力、自己管理能力、向上心などを評価し、入社後も成長のための努力を続けてくれることを期待して採用する、という方針・考え方もあるようです。
ただし、一般的に転職市場では即戦力となる人材が高評価を受けるため、監査法人での実務が未経験であっても、企業経理やコンサルティング業務などの経験があると採用される可能性はより高まります。
また日本の法制度上、監査業務は公認会計士の独占業務です。
USCPAを取得していることで英語力・グローバルな会計知識を持つことはアピールできますが、監査法人側があくまで監査業務を集中して担当できる人材を募集している場合、採用されにくくなってきます。
USCPA取得者の監査法人での仕事とは?
実際にUSCPAの取得者が監査法人に転職したら、任される業務としては「会計監査」と「アドバイザリー」の2種類があります。
会計監査
会計監査とは、企業が作成する財務諸表に記載ミスや不正行為がないかについて、所定の監査手続きに基づいて意見を表明することです。
株式会社は決算の時期に合わせて、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書といった財務諸表を作成し、ステークホルダー(株主や金融機関などの利害関係者)に開示する必要があります。
このとき企業側としては、少しでも財務状況や経営状態を良く見せるために、財務諸表の内容は少しでも良好なものにしたいと考えます。
その意識が行き過ぎると、粉飾決算などの不正行為に至る可能性もあるわけです。
会計監査では、そうした企業側の意図により財務諸表の内容が不当に変更されていないか、企業の実態を適正に表していない内容になっていないかを、厳格にチェックします。
ただし、会計監査を行うには国もしくは州(アメリカの場合)の公認会計士資格を保持していることが必要です。
そのため、アメリカの公認会計士資格であるUSCPAを取得していても、日本企業の財務諸表に対してそれが適正もしくは不適正であるとしてサインをすることはできません。
USCPA資格保持者は、日本の公認会計士の監査業務をサポートする形で、実際の監査業務(財務諸表のチェック業務)などを行えます。
アドバイザリー
監査法人では通常、クライアントの経営リスクを軽減させるため、内部統制やCSR(企業の社会的責任)など会計分野以外の助言を行う「アドバイザリー」業務も実施しています。
転職者にアドバイザリー業務を任せる場合、採用試験の場ではコンサルティングファームでの勤務経験の有無が重視されます。
また、アドバイザリー業務ではクライアントと何度も話し合いを行うため、コミュニケーション能力の有無も評価対象です。
USCPAの有資格者が監査法人でアドバイザリー業務に取り組みたいなら、求められる経験・スキルを保有していることが必要です。
USCPAが監査法人で評価される理由とは?
監査法人への転職活動において、USCPA取得者が評価される理由として以下の点が挙げられます。
国際会計基準(IFRS)に対する理解
現在、日本企業の多くが海外進出に乗り出していますが、その際に必要となるのが、国際会計基準(IFRS)に関する知識です。
USCPAの資格取得試験では、国際会計基準に関する問題も出題しているため、有資格者は「IFRSに対応できる人材」として、監査法人への転職活動時に高評価を受けることが多いです。
もちろん、USCPAの資格を持っていることに満足せず、資格取得後も国際会計基準の動向を気にかけ、制度改定があればその内容を把握するよう心掛けることが大切です。
英語力
USCPA試験は問題がすべて英語で出題されるため、資格取得者は相応の高度な英語力を持つと評価されます。
USCPAの有資格者として海外企業での実務経験があれば、その点も高評価につながるでしょう。
USCPA取得者の監査法人でのキャリアを紹介!
監査法人に勤めるUSCPA取得者はクライアント企業から引き抜かれることもあります。
現在、国際的な監査基準に適合する形で財務諸表を作成する企業が増加しており、USCPA取得者はそのための専門家としてニーズが高まっているからです。
そのため近年、監査法人では会計士が慢性的に不足しつつあり、日本の公認会計士資格取得者だけにしぼって人材獲得を進めても必要数を確保できない、という状況も生じています。
それに伴い、日本での監査報告書へのサインこそできないものの、国際会計基準に関する深い知識を持つUSCPA取得者を採用しようとする動きが、監査法人で強まっているのです。
監査法人では、USCPA取得者は監査補助者としての業務を担います。実際に監査報告書にサインをするのは、チームリーダーであり、日本の公認会計士資格を有する「主査」です。
USCPA取得者は主査が行う作業をサポートするのが主な役割です。
主査をサポートする監査業務自体は、日本の公認会計士資格がなくても、USCPAの資格のみで問題なく行えます。
監査法人に勤務することは、USCPA取得者にとって望ましいキャリアパスの一つと言えます。
ただ、監査法人と一口に言っても、転職先となる事務所によって待遇・キャリアのあり方は変わってきます。
例えばBig4監査法人(EY新日本有限責任監査法人、有限責任あずさ監査法人、有限責任監査法人トーマツ、PwC Japan有限責任監査法人)だと、平均年収は約1,200万円と言われ、クライアントには日本を代表する大企業も多いですが、転職活動時における競争が激しく、高い倍率を勝ち抜く必要があります。
中堅監査法人(事業所規模100~999人)の場合、Big4監査法人よりも平均年収は400万円ほど低くなると言われていますが、個人の業績や転職後の業務内容(残業量)によっても年収は変わります。
小規模監査法人(事業所規模10~99人)では任される業務量も比較的少なく、平均年収も中堅監査法人より落ちますが、仕事とプライベートとの両立がしやすく、将来的に中堅~Big4への転職を目指すための経験を積む場としても活用できます。
国際的な会計基準の理解と英語力を証明できるUSCPAの取得者は、監査法人の他にも「事業会社」「FAS/コンサルティングファーム」「外資系企業」などさまざまなキャリアパスがあります。
多くの選択肢があるため、自分のやりたい方向性を見つけてキャリアを進んでいけるという点でもUSCPAの取得は大きなメリットと言えるでしょう。
USCPA取得者が監査法人で働くメリットは?
USCPA取得者が監査法人に転職するメリットとしては、以下の点を挙げられます。
①「会計監査」の経験が積める
USCPAの資格だけを持ち、公認会計士資格を取得していない場合、主査として監査報告書へのサインはできません。
しかし、英語力の高さ、国際会計基準に対する理解度の高さにより、主査の補助役として監査業務に従事できます。
監査業務での経験は、USCPA取得者の今後のキャリアで大いに活用できるでしょう。
将来的に日本での公認会計士試験、税理士試験の合格を目指す際にも役立つ経験です。
「USCPAを取得して、監査法人に転職する」というキャリアは、将来を見据えた合理的な選択肢と言えます。
②大手グローバル企業や外資系企業の実態を理解することができる
国際会計基準に精通したUSCPA取得者を採用している監査法人は、クライアントの中に多国籍企業や外資系企業が含まれていることが多いです。
監査法人での監査業務では、クライアント企業と頻繁にコミュニケーションを取ることになり、それらの機会を通して、多国籍企業や外資系企業の実情を理解できます。
またクライアント企業とのコミュニケーションを繰り返す中で、担当者・経営者と個人的なコネクションを得ることも可能です。
そうしたつながりの中から次のキャリアが見えてくることもあり、その意味でもUSCPA取得者が監査法人で働く利点は大きいと言えます。
③クライアント企業に引き抜かれて転職・キャリアアップするケースもある
監査法人での監査業務の中では、さまざまな経営者、企業の役員・管理職とコミュニケーションを取る機会が多いです。
その際、監査業務における活躍ぶりを買われて、クライアント企業から引き抜きの誘いを受けるケースもあります。
実は監査法人は激務であることから、離職率が高めの職場としても知られています。
しかも監査法人の勤務時代に得た経験・実績は、一般企業における転職市場においても高く評価される傾向にあり、監査法人から引き抜かれる形で企業に転職していくUSCPA取得者は多いです。
監査法人から転職すると監査業務に携わる機会はほとんどなくなりますが、その専門性を活かして、業界を問わず幅広く活躍できます。
また監査法人で働くUSCPA取得者の中には、数年ほど監査法人で働いた後、その後は監査業務を担う監査法人の系列会社に転職するケースも多く見受けられます。
例えば大手の監査法人の場合、系列会社としてアドバイザリーサービスを提供する企業があり、そこに転職して新たなキャリアを積んでいく人も多いのです。
大手監査法人では、監査業務以外にアドバイザリーサービス(IFRS導入支援サービス、IPO(株式公開)支援サービス、不正対策、係争支援サービスなど)も行っており、それらの業務で得た経験を転職後に活かせます。
④年収が高い
USCPA取得者が監査法人に転職した場合、年齢や実績にもよりますが、通常は一般職である「スタッフ」の役職からスタートします。
Big4監査法人における、USCPA資格を持つスタッフの平均年収は500~650万円と言われています。
一方、国税庁の「令和3年分民間給与実態統計調査」によれば、給与所得者の平均年収は443万円。
若い職員が多い最も下位の役職であるスタッフであっても、一般的なサラリーマンの平均年収を大きく上回っているわけです。
スタッフから一つ役職が上がると「シニアスタッフ」となりますが、その平均年収は700~850万円。
その次の上位職である「マネージャー」は900~1,100万円、さらに上位の「シニアマネージャー」は1,200万円程度になります。
そして共同経営者である「パートナー」となると、年収は1,500万円以上となるのが通例です。
中堅クラスの監査法人の場合、平均年収はスタッフだと400~550万円、シニアスタッフで500~650万円、マネージャーだと800~1,000万円、パートナーだと1,300万円以上になると言われています。
⑤業務上で英語力を活かす機会がある
USCPA取得者が監査法人で高評価を受ける理由の一つが、高度な英語力です。
海外のクライアント企業との折衝、打ち合わせの場で英語力を活かせるので、やりがいをもって業務に参加できます。
また監査法人で使用する英語は、ビジネス英語だけでは対応できない会計・監査領域の専門用語が多く飛び交います。
USCPA取得者だからこそ活躍できるシーンが多数あり、また業務を通してさらに英語力を高めることも可能です。
USCPAだけではできない監査法人の業務とは?
USCPA取得に向けた学習を通して、国際会計基準(IFRS)に関する深い見識を得ることができ、さらに専門性の高い英語力も身に付けられます。
監査法人の転職市場においても高い評価を得ることはできますが、日本においてはUSCPA取得者に認められた独占業務はありません。
一方、日本の公認会計士試験合格者には、監査業務の主査として監査報告書に署名できるなどの独占業務があります。
そのため、多国籍企業や海外進出した企業など、海外との関係がある監査法人ではUSCPA取得者の活躍の場は多数ありますが、特に中小企業を主なクライアントとする中小~中堅の監査法人では、USCPA資格を発揮できる場面が少なくなるとも考えられます。
転職エージェント伝授!USCPA取得者の転職必勝法!
USCPA取得者が転職する場合のポイントとして、以下の点が挙げられます。
監査法人から求められているスキルを理解する
監査法人がUSCPA取得者に最低限求めているのは、国際会計基準に対する理解と高度な英語力です。
USCPAはアメリカの会計基準の資格ではありますが、出題範囲に国際会計基準(IFRS)の内容が含まれます。
これによりUSCPA取得者は、アメリカおよびアメリカの会計基準を採用している国々だけでなく、国際会計基準を用いているEU圏まで活動範囲が広がります。
監査法人側としてもUSCPA取得者を採用する場合、一国にとどまらない範囲で作業ができる人材と見込んでいます。
国際会計基準は変更・改正も行われるので、最新動向についてもリアルタイムで把握することも大切です。
語学力については、USCPAを取得できている時点で、相当高いレベルに達しているはずです。
ただ、生きた英語を身に付けているかどうかを判定する上で、海外の会計事務所・企業・事業会社での勤務・駐在経験の内容も評価対象となるのが通例です。
USCPAの資格だけには頼らない
大手も含めて日本の監査法人においては、主役はあくまで公認会計士です。
監査業務においては、USCPA取得者は主査である公認会計士のサポート役にとどまります。
そのため、転職活動時に自己アピールをする場合、USCPAを取得していることだけを強調するのではなく、それ以外のアピールポイントを整理し、伝えられるようにしておくことも大事です。
とくに監査業務未経験の場合、USCPA資格に加えて、それまで経験してきた実務経験を伝えることも重要になってきます。
監査・会計に関わらない実務経験であっても、社会人としての経験は向上心、コミュニケーション力、交渉力などを評価する上で参考にされることが多いです。
USCPA資格を保有していることに加え、それらの経験が高評価されて採用に至るという状況も十分に考えられます。
グローバルに活躍できる監査法人を選ぶ
監査法人はそれぞれ特徴・タイプが異なりますが、USCPA取得者が転職先として選ぶべきなのは、自分の強みを最も発揮できる事務所です。
USCPA取得者の強みは、国際会計基準への対応力が高いこと、そして英語力です。
そのため、海外のクライアントを多く抱えている監査法人ほど、USCPA取得者への評価は高くなります。
簿記2級以上を取得する
USCPA取得のために勉強して得た会計・簿記の知識は、日本の会計・簿記制度と差異もあるため、即戦力として活躍する上で活用できるとは限りません。
そうした知識不足を補うためには、日本の簿記について学べる日商簿記検定の取得を目指すのが望ましいです。
日商簿記検定は最低でも2級を取得し、可能ならば勉強を続けて1級も取得したいところです。しかし1級は難関であるため、まずは2級の取得を目指すと良いでしょう。
USCPA歓迎の監査法人求人事例
実際の監査法人における、USCPA取得者を対象とした求人を3つご紹介しましょう。
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【年収】
492万円 ~ 900万円
【必要な経験・能力】必須条件として、「日本公認会計士、あるいは、日本公認会計士試験合格」もしくは「米国公認会計士(USCPA)、あるいは、米国公認会計士(USCPA)試験全科目合格」、および経理領域での実務経験。
【仕事内容】
会計監査(金融商品取引法、会社法監査等に基づく監査)、会計監査に関連する業務、株式上場支援
【スタッフ~シニアマネージャー】大手監査法人にてアドバイザリー担当者を募集
【年収】
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【必要な経験・能力】※1~4のいずれかに当てはまる方。
1.国内外の公認会計士資格保有者もしくは科目合格者
2.会計監査業務もしくはアドバイザリー業務経験
3.経理実務経験(資格不問)
4.ビジネスレベルの英語力を持つ方、簿記1級など高いポテンシャルを持つ方(実務経験・資格不問)
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【仕事内容】
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法定監査(金商法/会社法/学校法人/任意監査)、株式公開支援、英文財務諸表監査、連結支援業務・指導業務、財務デューデリジェンス、事業再生サポート、IFRS関連業務など。
まとめ
USCPAの資格を取得することは、監査法人への転職・キャリアアップにつながるのは間違いありません。
ただし、USCPAはあくまでアメリカの公認会計士資格であり、日本の公認会計士とは異なるので、実際に転職活動の準備を進める場合は、その点を認識しておくことも大事です。
USCPA取得者には、国際会計基準の理解度、英語力といった日本の公認会計士にはない強みがあるため、それを活かせる職場や部門で働くことが重要と言えます。
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この記事を監修した人
企業担当のリクルーティングアドバイザーを経験した後、現在は転職を考えられている方のキャリアアドバイザーとして、若手ポテンシャル層~シニアベテラン層まで多くの方の転職活動のサポートをしています。
人材業界での経験も長くなり、いつまでも誰かの記憶に残る仕事をしていたいと思っています。
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