2023年04月01日

IFRS検定とは?難易度や勉強時間、取得のメリットは?

管理部門・士業の転職

IFRS検定とは?難易度や勉強時間、取得のメリットは?

会計・経理に関する資格と聞くと、日本人の多くは簿記検定を思い浮かべるかもしれません。
しかし、各種簿記検定が通用するのは基本的に日本国内に限られ、海外勤務・外資系企業での勤務を視野に入れるなら、国際資格を取得した方が有利です。

その中でも、会計に携わっていれば一度は目にする資格の一つ「IFRS検定」は、ヨーロッパを中心に国際スタンダードとして認知されています。

この記事では、IFRS検定の概要をご紹介するとともに、その難易度や転職市場での評価についてお伝えします。

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IFRS検定とは

IFRSとは、英語で「International Financial Reporting Standards」の略語であり、日本語に訳すと「国際会計基準(国際財務報告基準)」」となります。
IFRS検定とは、国際会計基準において求められる、広範な知識・理解力を測る認定試験のことです。

試験は原則として2月・6月・11月の3回行われ、マークシート式で60問に解答します。
実施時間は2時間となっており、正答率60%で合格となります。
国際会計基準に関する知識や理解力が問われる試験のため、試験は原則として英語で行われていました。

しかし、2009年12月から、世界初の日本語試験(英語以外の同検定試験)が開始されたことで、語学力の壁が取り払われました。
2005年にEU域内上場企業に適用義務化された後、様々な国・地域で採用され、その数は増え続け120以上と言われています。

日本でIFRSを導入している企業はまだ少数派ではあるものの、IFRSを取得するメリットは多岐にわたり、今後は導入する企業が増えるものと予想されます。

例えば、海外に子会社を多く持っている場合、すべての子会社でIFRSを採用することにより、会社間の指標が同じになり経営管理を適切に行えるようになるメリットがあります。
会社間の指標を同じにすることで、業績がより正確に把握できるようになりますし、日本の会計基準との違いを説明する必要がなくなります。

結果的に、海外投資家に好印象を与え、資金調達を進めやすくなります。

その一方で、日本では会社法上「日本基準の開示」が必要になるため、IFRS用・日本用という2種類の帳簿を用意しなければなりません。

IFRSそのものが難解・改正が多いなどの理由もあって、なかなか自社にスムーズに導入するのが難しいことから、導入を控える企業は多いようです。


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IFRS検定の難易度

IFRS検定の難易度は、合格率を見る限りバラつきがあり、合格率が高い回は80%以上・低い回は40%台まで落ち込みます。

受験者の平均点は概ね50~60点台・合格者の平均点は60~70点台となり、合格点が60点ということを考えると、IFRS検定は一定の会計知識がある人向けの試験と言えそうです。

難しい回は、最高点が70点というケースもありますが、最高点は概ね80~90点台といったところです。


試験内容は、以下の通り非常に幅広い内容が網羅されています。

・財務諸表の作成及び表示に関するフレームワーク

財務諸表の作成及び表示に関するフレームワーク

IAS1:財務諸表の表示

IAS2:棚卸資産

IAS7:キャッシュフロー計算書

IAS8:会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬

IAS10:後発事象

IAS11:工事契約

IAS12:法人所得税

IAS16:有形固定資産

IAS17:リース

IAS18:収益

IAS19:従業員給付

IAS20:政府補助金の会計処理及び政府援助の開示

IAS21:外国為替レート変動の影響

IAS23:借入費用

IAS24:関連当事者についての開示

IAS26:退職給付制度の会計及び報告

IAS27:個別財務諸表

IAS28:関連会社及び共同支配企業に対する投資

IAS29:超インフレ経済下における財務報告

IAS32:金融商品:表示

IAS33:1株当たり利益

IAS34:期中財務報告

IAS36:資産の減損

IAS37:引当金、偶発負債及び偶発資産

IAS38:無形資産

IAS40:投資不動産

IAS41:農業

IFRS1:国際財務報告基準の初度適用

IFRS2:株式に基づく報酬

IFRS3:企業結合

IFRS4:保険契約

IFRS5:売却目的で保有する非流動資産及び廃止事業

IFRS6:鉱物資源の探査及び評価

IFRS7:金融商品:開示

IFRS8:事業セグメント

IFRS9:金融商品

IFRS10:連結財務諸表

IFRS11:共同支配の取決め

IFRS12:他の企業への関与の開示

IFRS13:公正価値測定


ただ、IFRS検定は求められる知識を素直に問うタイプの試験のため、基礎知識が頭に入っていれば合格できる試験と言われています。
感覚的な難易度としては、日商簿記2級に合格できるだけの知識に加えてIFRSの知識があれば、合格できる可能性は十分といった具合です。

逆に言えば、日商簿記2級・IFRS検定の知識のいずれかだけで合格できるわけではないので、基本的な会計の素養全般が求められるものと考えておいた方がよいでしょう。

また、一部に知識の欠損があればそれだけ合格は遠のきますから、最後に簿記の資格を取ってから間が空いているなら、復習の時間を設けることも大切です。


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BATICとの違い

BATICとの違い

IFRS検定の受験を検討している人なら、おそらくBATICについても知識がある・もしくは受験を検討したことがあるかもしれません。
これらの試験は、いずれも国際的な会計知識の習熟度を測るという意味では共通していますが、それぞれ資格としては違いがあります。
注意:BATIC(国際会計検定)は2022年度の実施をもって終了しております。

共通点と相違点

まず、共通点についてですが、IFRS検定・BATICのいずれも、IFRSが共通の会計基準となっています。
そのため、取得する際に必要な基礎知識は、両方ともIFRSがベースになります。

次に相違点についてですが、これら2つの検定には違いが2点あります。
それは、言語と得点制度(合格基準)です。

IFRSはかつて英語でしか受験できませんでしたが、2009年12月以降からは、日本語でも受験ができるようになっています。
しかし、BATICは英語のみの受験となるため、英語に苦手意識を持っている人にはつらい試験となるかもしれません。

得点制度に関しては、IFRSが正答率60%を合格基準としているのに対して、BATICはスコア制を導入しています。
一定の基準点を満たした者に合否の判定が行われるのではなく、TOEICなどと同じようにスコアによって評価されます。

BATICは試験制度そのものが変わった

かつては、BATICの場合、得点に応じて4段階の称号が授与される形でした。
具体的には、以下のような形でスコアに応じて、レベル分けされていたのです。

スコア

取得レベル

参考レベル

8801000

コントローラーレベル

Controller Level

日商簿記1級程度

700879

アカウンティングマネジャーレベル

Accounting Manager Level

日商簿記2級程度

320699

アカウンタントレベル

Accountant Level

日商簿記3級程度

200319

ブックキーパーレベル

Bookkeeper Level


このうち、コントローラーレベル・アカウンティングマネジャーレベルについては、日々会計基準が変更することを鑑みて、認定期間が3年となっていました。

つまり、3年ごとの更新が必要だったのです。

しかし、2021年度から試験制度が大幅に変わり、今後はインターネットでの試験に変更されます。
持ち時間は70分で、400点満点のスコア制となっており、称号は正答率に応じて以下のように変更されます。

スコア

称号

初級レベル(50%)

Entry

中級レベル(80%)

Middle

上級レベル(90%)

Advanced


なお、東京商工会議所・検定センターに問い合わせたところ、過去に取得したコントローラーレベル・アカウンティングマネジャーレベルにつき認定期間が終了した後は、上記表中の称号「Advanced」を引き続き保有する形になる、とのことです。

このように、BATICの試験制度が大幅にリニューアルされたことを考えると、IFRSの取得メリットがより際立つ結果になったと言えるかもしれません。


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IFRS検定のみでは転職で評価されづらい

IFRS検定に合格すれば、国際会計基準を正しく理解している人材として、企業も評価しやすいでしょう。
一方で、IFRS検定のみに合格し、他の会計に関する資格を取得していない場合は、活躍できる場所が限定されるおそれがあります。

日本では、会計基準をIFRSに合わせる形で統一する動きが鈍く、当面はあくまでも会社法にのっとった形で各種帳簿を作成しなければなりません。

例えば、IFRSで作成される損益決算書には、日本で重視される経常利益がありません。

利益や損失を表示する順番も異なりますし、どの数字を重視するのかについても解釈が違います。
こういった事情から、国内でIFRSの知識を活かせる企業はそれほど多くないため、その意味で日本における資格の普及は未だ発展途上と言えます。

ただ、インターネットによって世界との距離が縮まった昨今では、今後IFRSのニーズがより強まる可能性が高く、例えば大企業だけでなく中小企業クラスでも、IFRSの導入に踏み切る企業が増えるかもしれません。

海外の企業や投資家に、自社の会計情報を積極的に開示できれば、大きなビジネスにつながるチャンスがあるからです。

とりあえず現段階では、日本式・IFRS式の両方を必要とするため、日本の会計にも理解が必要です。
転職でIFRS検定をアピールするのであれば、日商簿記・ビジネス会計検定など、その他の会計に関する資格取得も視野に入れておきましょう。


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まとめ

以上、IFRS試験について、概要・試験の難易度・転職市場での評価などについてお伝えしてきました。まだまだ日本で馴染みの少ないIFRSですが、それだけに取得している人材は希少と判断されます。

有資格者を活用できる企業はそこまで多くないかもしれませんが、一方でIFRS検定に合格した人材を求めている企業も少なからず存在しているので、相対的に資格取得者が少ないうちに取得しておいた方が有利かもしれません。

今後、IFRS検定の人気がより強まれば、上位試験が生まれる可能性もあります。
その前に、資格取得に向けて早めに行動を起こしておいた方が、アドバンテージになるはずです。

国際会計基準を学ぶ必要がある人・外資系企業や海外で働きたい人は、ぜひ一度受験を検討して欲しいと思います。

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